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「思春期の心を開く」八ツ塚実 朱鷺書房 1990年 ⑤ [読書記録 教育]

「今夜は静かに過ごす日だ。合格したんだからもうそれでいいんじゃないか」

「長い人生、高校合格ぐらい小さな事だ。それくらいで有頂天になったり得意になったり
 するのは人間としてまことにみっともないことだ」



- 高校受験に合格し、合格パーティを計画していたC君に対してのC君の父の言葉。
合格しなかった友達のことを考えようと言う教え、その時は理解できなかったとして
 も、C君は後々理解するのではないかと思いたい…

  このような保護者が少なくなってきたように思います。
  むしろ、C君の父を批判する保護者も多そうです。 
  


八ッ塚さんの言う「「人間らしい賢さとは」何かと考えます。    







今回は12月13日に続いて 八ツ塚実さんの
「思春期の心を開く」5回目の紹介です。



八ツ塚さんの本から教わることはたくさんあります。



出版社の案内には、

「心は堅く閉ざされ、さまざまな問題が噴出するかのようにみえる時。思春期のただ中に
 ある子どもを見守るこころ、人間教育の場としての家庭の役割を説く。」

とあります。





今回紹介文から強く印象に残った言葉は…

・「(学力を点数で測るというのは)代用である以上あくまでも代用」


・「人間性の裏付けこそ」
「人間らしい賢さとは」


・「知識は量だけでなく『如何に獲得したか』」
- 簡単にえられてあっという間に忘れてしまうものではなく、血や肉となる知識。


・「テストの結果を自己批判に使う教師こそ本物の教師」





A君の両親の語り掛けから多くのことを学びます。





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☆「思春期の心を開く」八ツ塚実 朱鷺書房 1990年 ⑤

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◇人間らしい賢さとは

□「学力」って何?

・学力は学ぶ力だ 
     
 ・学ぶ力があるならたくさん学んでいるはずだ

 ・たくさん学んでいるなら知識も多くなり問題を解く力も持っているはずだ
     
 ・ということになれば、問題を解かせてみてよく解く者は「学力がある」と判断しても
  良いはずだ

 ・点という数値にするには現在の所この方法しかない

 ・この「数値」を「学力」の代用として利用しよう



※代用である以上あくまでも代用




□人間性の裏付けこそ

 ○A君とB君、二人の生き方

  A君B君とも難関高校に合格

→ A君   他校の受験を辞退し、礼儀正しく教員に挨拶


  → B君    他校も受験して入学手続きを辞退せず
他の子を「困らせてやれ」(が心の底にあるから)




□攻撃的な勉強の勧め

 ① 友達と力を合わせ工夫して作ったゲーム盤で遊んだこと

   自分たちでルールづくり、行き詰まったら解決策を考える、何度もやる

   予想を立てて確かめる → 探究の原則を体験できた

   自分の頭で考える遊び


 ② 図書館通いの習慣が身に付いた

   分からないことは自分の力で調べる

   「自ら学ぼう」という姿勢

   知識は量だけでなく「如何に獲得したか」



※受け身ではなく攻撃的な勉強の勧め
 









◇学びのエネルギー
 
□教育の成果 
 ①どれだけ早く

②どれだけ確実に 自学自習の体制に入れたか

↑↓

<現在の風潮> 
  どれだけ手厚く面倒を見るか どれだけいつまでも関わるか

  どれだけ手助けて得点を上げるか

  =「手助け教育」



□夏休み年表づくりの宿題  
      
 B君 級友の作品を丸写し


    ↑↓


 A君 図書館で調べ


 <担任>
「A君の年表はすばらしい。先生は自分で調べて作ってくるように言ったはずです。年表
 をそのまま写してきなさいとは言っていません」

          ∥

 点数で評定できる学力以上に人間の生き方の内部にある測定不能の学力にその担任は注
目していた

 ※学力とは「学びのエネルギー」である

「学びの対象に敬意を払いつつ探究していくか」
 







◇数値化できない「人間らしい賢さ」

□「人間らしい賢さ」
 ・驕り高ぶらなくなる 

 ・より礼儀正しくなる

 ・他者への配慮ができるようになる

 ・人間らしさに厚みが増してくる



※教科テストのみを学力判定の基準にするから「人間らしい賢さ」が見失われるのだ



※「人間らしい賢さ」は数値に置き換えられない

また、絶対に置き換える工夫をしてはならない

※数値にはできないし機械的な判定には馴染まない
 

「『人間らしい賢さ』、このような学力は日常生活の中でゆっくり身に付け、共に生活す る者同士が生活実感の中でゆっくり身に付け、共に生活する者同士が生活実感の中で認
 め合うことだ」





「『教科テスト』も、もともと人物判定のために始めたものではなく、教える側の人間が
 自己反省のためにやり始めたものだ」
 ・実際に身に付けてくれただろうか

・私のやり方に間違いはなかったのだろうか

・どんな内容が相応しいんだろう



※テストの結果を自己批判に使う教師こそ本物の教師


□A君 
「両親の語りかけ」

①「人間絶対にいい気になってはいけないよ」

 ②「いつもあなたの全力でぶつかりなさい。その結果がどう出ようと、父さん母さんも
   あなたと一緒に喜ぶからね」

③「人様には絶対に迷惑を掛けてはいけないよ」

 ④「人を小馬鹿にしたりつれない態度を取ると必ずそのお返しが来るよ」








◇中止された合格祝いパーティ

□C君のお父さんが中止させた

 人間らしく生きるとは…
 
「今夜は静かに過ごす日だ。合格したんだからもうそれでいいんじゃないか」

「長い人生、高校合格ぐらい小さな事だ。それくらいで有頂天になったり得意になったり
 するのは人間としてまことにみっともないことだ」




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