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「子どもの発達が気になったらはじめに読む発達心理・発達相談の本」加藤弘通・岡田智 ナツメ社 2019年 ④ / 「四人の哲人」宮本常一 『宮本常一著作集51 私の学んだ人』(2012年)より【再掲載 2015.7】 [読書記録 教育]

今回は、7月 9日に続いて、加藤弘通さん、岡田智さんの、
「子どもの発達が気になったらはじめに読む発達心理・発達相談の本」の紹介5回目です。



発達心理、発達相談について書かれた本です。


子どもの健やかな発達を願うことは皆が思うことです。






出版社の案内には、


「『発達心理学』と『発達相談知』の知識に照らしながら、『子どもに起こっていること』
 や『子どもの気持ち』を、いつもと少し違う視点から理解し、どうやって子どもに接し、
 生活の場面で工夫していけばよいかを具体的に解説しています。」


とあります。




今回紹介分より強く印象に残った言葉は…

・「発達の『状況』は『5つの側面』で考えることができる」


・「複数の場面でも同じような苦手さがあるかどうかを見立てることが大切になる」


・「早期の気づきと支援が必要 - 早期療育」


・「(小学生としては) 着席、姿勢保持、体育、音楽、筆記用具操作に苦手」









もう一つ、再掲載となりますが、『宮本常一著作集51 私の学んだ人』より、
「四人の哲人」を紹介します。
戦後間もない頃の文書ですが、哲人と挙げた四人の選択に、宮本さんらしさを感じます。

 小野武夫さん(農業経済学者)
 柳田国男さん(民俗学者)
 未解放部落の区長さん
大阪府波有手(現在は阪南市内)の老漁師

・「小作料と軍事費からの解放が生産力を爆発的に高め、それによって民衆の生活は向上
  した。」
 
・「わたしたちは勝っても負けてもどちらでもいいんです。日本がおさめようがアメリカ
  がおさめようが、下積みであることには変わりがないのですから」


 要約を再び読み、切ない思いになりました。










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☆「子どもの発達が気になったらはじめに読む発達心理・発達相談の本」加藤弘通・岡田智 ナツメ社 2019年 ④

1.jpg

◇「発達の障害」とは?                             

□「いろいろな発達」の領域
 
◎発達の「状況」は「5つの側面」で考えることができる

 

 側面② 言葉の発達(言語能力)から考える
 
  ・言葉を理解する力(言語理解力)

  ・言葉で試行する力(言語思考力)

  ・言葉を表現する力(言語表現力)
     

 1 発達がゆっくりで4~5歳過ぎに伸びるタイプの場合
     

 2 社会性やセルフコントロール、認知発達にアンバランスがあり、そのことによって言
  葉の発達が遅れてしまう場合
     

 3 家庭での養育環境や養育者とのかかわりに制約や問題があり、言葉を学習する環境に
  恵まれなかった場合
     

 4 子どもに知的障害や顕著な自閉症がある場合
   言葉の理解 

   言葉で考える 

   言葉の表現 

   理解力・推理力(認知理解)
   
   聞く力・注意・記憶 

   セルフコントロール 

   ワーキングメモリー

   どもり・吃音 

   発達障害 

   そのほかの言葉の面 
 




側面③ セルフコントールの発達(実行機能発達)から考える
     
   ・注意集中         (集中・気が散らないように)
     
   ・衝動性のコントロール   (ブレーキをかけたり、まったりする)
     
   ・多動性のコントロール   (落ち着いて取り組む)
     
   ・感情のコントロール    (気持ちを安定させる)
     
   ・行動や考えのモニタリング (自分を振り返り、とらえる)
     
   ・折り合いや切り替え    (こだわらず状況に柔軟に対応する)
     
   ・計画立てや段取り     (手順の見直しを立てる優先順位)
   
              |

         「実行機能」 前頭葉

 ◎ 複数の場面でも同じような苦手さがあるかどうかを見立てることが大切になる 
 




 側面④ 社会性と情緒の発達(社会衝動的発達)から考える
     
     早期の気づきと支援が必要 - 早期療育





 側面⑤ 「感覚」と「運動」の発達から考える

     小学校 着席、姿勢保持、体育、音楽、筆記用具操作に苦手
  
      ~ 感覚統合療法


















☆「四人の哲人」宮本常一 『宮本常一著作集51 私の学んだ人』(2012年)より【再掲載 2015.7】

1.jpg

◇四人の哲人
 
1 小野武夫 明治16(1883)~昭和24(1949)
    
 農業経済学者 法政大学教授
  
  
 大分県山中で百姓

   → 20歳で東京に出て勉強

   → 農業問題
    


 宮本 「先生小作争議はどうしたらなくなるのでしょう?」   




小野 「それは小作制度をなくせばよいのだよ」


 ※ 地主の搾取はなくなり農民の生活は著しく向上した


農地解放は地方発展の一つの大きな契機
   小作人であった家の子でも高校や大学に行けるようになった








2 柳田国男 明治8(1875)~昭和37(1962)8月

宮本 「日本軍も中国で随分戦果を上げているようですね」

                ↓  

柳田 「困ったものだね」

 1940年ごろ

「日本には殺伐の血が流れている。そういう者が武士になった。その武士を殺伐にさせな
 いために儒教でくくりつけてきた。しかし、百姓もせず、大工もせず、武道の稽古をし
 ては儒教の書物を読む。人間性はゆがめられてしまう。そういう人たちを再結成したの
 が軍隊だ。軍隊という特殊な世界に閉じこめておける間はよい。しかし、絶えず殺し合
 いの訓練をさせ、武器を持たせてある。しかも軍人の出世するのは戦争以外にない。
 国の中が平和なら、国の外で戦争する場所を探す。一旦武器を使い始めると失敗するま
 ではやめられなくなる。近世の戦争で国民と国民の間で起こされた戦争はほとんど無い。
 みな軍人が起こしている。
 そして自分らの手で始末に負えなくなると国民を巻き込む」

       

 「民衆は平和が好きなのだよ」 



 柳田先生は多くの史学者たちが支配者の歴史の究明に勢力を注いでいる時、ひとり被支
配者-民衆-の歴史を掘り下げていった。
 

柳田先生も渋澤先生も民衆とは言わなかった。常民という言葉をつかった。


 支配者がいようがいまいが常民はそこに存在し、支配者と運命を共にするものではない、
そういうものが常民である。


 軍隊を持つことほど不幸なことはない。

 

 それにしても軍事に金を割くことの少なくなった日本の一般民衆の文化の絢爛たる開花
はすばらしい。戦前には考えてもみられなかったことである。


 戦前民衆に課せられた道徳の最大なものは質素であり勤勉であった。そして、贅沢は敵
だと言われた。

 質素から得たものは税として吸収され、税の半ばは軍事費になった。軍事費は生産力を
持たない。全て単なる消耗品に過ぎない。どのように優れたジェット機であろうとも、生
産には参加しない。したがって、それほど国全体の生産力は圧迫される。
         

 小作料と軍事費からの解放が生産力を爆発的に高め、それによって民衆の生活は向上し
た。


 だが、われわれだけがこの平穏の中に生活を愉しむものでなく、周囲の人たちとも手を
つないで、ともに戦争のない社会をどうしたらつくられるかを考え工夫すべきことが何よ
りも大切なことではないか…。  








3 未解放部落の区長


昭和20年 (宮本は)大阪府嘱託 農務課長に頼まれ北河内郡のある部落に行った

区長 
「わたしたちは勝っても負けてもどちらでもいいんです。日本がおさめようがアメリカが
 おさめようが、下積みであることには変わりがないのですから」
          
           |

 誰に占領されてもよいと思っている人々。それを非国民と言って責めることができるも
のがあるだろうか。
 この村の人たちもみんな誠実なのである。
 その誠実なものがそのまま評価される世の中こそ一番望ましいのだとわたしは思った。


 戦争がすんで各地を歩いてみて、「この戦争は負けてよかったのだ」という人がいかに
多かったことか。だが、まだ、下積みのままの人がたくさんいる。     







4 大阪府波有手(現在は阪南市内)の老漁師

昭和24年春 
   大阪府沿岸 90歳過ぎのおじいさん
   

四畳半ほどの小さな隠居屋にいて、一人で自炊


 母屋には息子や孫たち


 汚れたままのふんどし 腰までのはんてん
  

 宮本 「今まで一番楽しかったのは?」


 老人
「明治8(1875)年日本中どこへでも一本かさで行けるようになったときのことだ」  

 佐野の舟についていった 3人で

   ↓

  1か月ほど経ち対馬の厳原

老人 
「海の境いうもんはアホな役人のつくったもんやさかい、ないのがほんとです」

  ↓

 朝鮮へ 3年シナまで



故郷へ帰ったらまるまる5年経っていた

      

 老人によると世界中一本かさで通るという-つまりみんな友達だと言うのである

 老人 
「ああ、沖へ出てみなはれ、境はどこにもおまへんさかい、あんたも行ってみなはれ」


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ミケシマ

最近は「発達障害」という言葉も一般化してきてだいぶ理解が深まったように感じます。
「悪い子」なんてものは存在しないのだと。
発達する過程にたまたま障害がある。
本人が一番苦しんでいるということも少なくないようですね。
やはり子どもの気持ちをよく聴いてあげることが大切なのかなと思います。

戦前までは日本でも「階級」というのが当たり前にあったのですものね。
平等であるということがどんなに素晴らしいことか
でもそれがこの現代においてもけっこう難しいことなのだと感じます。
by ミケシマ (2020-07-13 20:27) 

ハマコウ

ミケシマさん ありがとうございます。
「発達障害」の言葉が広く知られるようになりましたね。ADHD、LDなども一般的になりました。生きづらさを感じることが少しずつなくなればと願います。
by ハマコウ (2020-07-13 20:33) 

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