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山本七平さんはこんなことを ⑮-「山本七平の知恵」谷沢永一 PHP1992年(7) / 『作文集 泣くものか』 養護施設協会編 亜紀書房 1977年 (昭和53年度毎日出版文化賞受賞) ①【再掲載 2012.1】 [読書記録 一般]

今回は、わたしの教育ノートから、8月20日に続いて、
「山本七平さんはこんなことを」14回目-「山本七平さんの知恵」7回目の紹介です。




出版社の案内には、


「日本人とは何か。そして日本社会は、いかなる見えざる論理で動いているのか ― こ
 のテーマに一貫して取り組み、比類なき足跡を残した思想家、山本七平。当代随一の読
 書人、人間通である著者・谷沢永一が、敬愛してやまない山本七平の代表的な著作から7
 5の視点を厳選して、そのエッセンスを紹介した山本日本学の真髄。」



とあります。





今回紹介分より強く印象に残った言葉は…

・「施恩・受恩の絶対化と血縁関係の絶対化」


・「(善意の隣人よりも)悪意の隣人の方がまし ~ 遮断すればよいから」


・「日本は少能者天国  捨てずに活用する」


・「集団主義『見えざる規範』の手本
= 契約状方式 傘連判 発起人を隠す・誰がリーダーでもない」



いかにも日本的な「空気」。
ときどき、恐ろしく感じることがあります。




もう一つ、再掲載となりますが、
『作文集 泣くものか』①を載せます。
わたしが通った小学校の裏に、児童養護施設がありました。友達も多く、よく遊んだもの
でした。明るい子が多かったのですが、このような辛い思いをしていたことを想像してい
ませんでした。「すみれさん」は、もしかすると、同じ小学校に通っていた同窓生かもし
れません。
どの子も幸せだと思うことができる社会を目指していきたいですね。








☆子供たちの学習に
文部科学省の
「子供の学び応援サイト(臨時休業期間における学習支援コンテンツポータルサイト)」




ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>
  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。












☆山本七平さんはこんなことを ⑮ -「山本七平の知恵」谷沢永一 PHP1992年(7)

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◇死よりも怖い血縁関係からの隔離

□施恩・受恩の絶対化と血縁関係の絶対化



□流罪 ~ 近親者からの仕送り

 しかし,血縁から切り離すことは死以上の刑罰



日本人が亡命しない理由 
   血縁のネットワークの中に生きているから

   血縁社会 共同体 血縁共同体・職場共同体・同業共同体・学会
 



◇社会的通念について

  社会的通念 = 全く成文化されていないルール   情状酌量
 



◇困りものの「善意の隣人」

□「日本人の親切」
    悪意の隣人の方がまし ~ 遮断すればよいから

    |

□感情移入
   - 相手に対して存在感を認めない議論

   両者の痛み分けができない
 




◇機能集団と共同体

□機能集団 → 共同体に  


 
□名経営者 
  
  = 共同体という性格を守りながら,機能集団としての能力を発揮しうるか

   |

※ 機能集団として突っ走るとつぶれる
共同体としてだけでもつぶれる

= ハーバードビジネススクール出身者には分からない



□松下幸之助「レイオフしない」

~ 共同体システム 
    ストレスが少ない = 長生き
少能者天国



□日本は少能者天国

 捨てずに活用する


少能者に対して「おまえは少能者だ」と言わない
※嘘でも「あんたしっかりやっているね」

マイペース
 




◇消費倫理を確立した社会

□消費倫理はすごい ~ 石田梅岩

 使うことにおいて気兼ねしなければいけない社会
     


□日本人の嫉妬心の強さ
  他人を自分と比較する

領主を羨望した
 





◇命令ができない・日本人のリーダー

 衆議で全員一致で行動 ~ 例え将軍の命令でも



集団主義「見えざる規範」の手本


 一 契約状方式 傘連判 発起人を隠す・誰がリーダーでもない
 










☆『作文集 泣くものか』 養護施設協会編 亜紀書房 1977年 (昭和53年度毎日出版文化賞受賞) ①【再掲載 2012.1】

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◇お父さんは変わってしまった-いままであったいろいろなこと 小5 浜田すみれ(仮名)

 わたしの、お母さんが死んでからもう6年もたってしまった。


 お母さんはからだが弱かったそうです。お母さんが死んだ日は、10月9日でした。
その日の前の日は、小学校の運動会でした。朝、お母さんが


「すみれ、きょう小学校の運動会にいくか。誠といっしょにいけはたのしいに」


といったこともおほえています。



 朝はとても元気だったお母さんが、急に昼ごろから気分が悪いからといって運動会に行
きませんでした。

 わたしは、「つまらないなぁ」と思いました。
 

 その夕方、夕はんはそこそこにして、すぐテレビを見ました。
 

 よるねているとお父さんにおこされました。
 

 びっくりしておきて見るとお母さんのロからあわがぶくぶくでていました。


 お父さんは、近所の人をおこしてきました。みんな


「さち子さんしっかりして」


「しっかりさち子さん」


と言っていました。


 わたしは、ただないて見ているだけでした。さっちゃんのおばさんが


「こんや家でねな、さっちゃんもいるで」


といったので誠といっしょにさっちゃんの家へいきました。



 朝、目をさますと、まくらもとにふくがおいてありました。それをきておばさんに、


「おばさんねまきどうする」


ときくと


「家においときな」


といいました。


 朝ごはんを食べてから、自分の家へいってテレビを見ました。そしたらきゅうに、おば
さんが、


「すみれちゃん誠ちゃん病院にいくよ」


といったので、すぐ出かけました。


 病院に入って中をきょろきょろ見ていたら、おばさんが


「すみれちゃんこっち」


といったのでひっぱられてお母さんのいるへやにつきました。


 ベッドを見ると、お母さんがねていたので誠が


「お母ちゃんなにねてるの、おきて」


といいました。お父さんは、


「誠、なにいってもだめ」


といった。


 それから、お父さんが


「死んでしまったよ」


といったそのとき、わたしは、びっくりしました。


 それからもうさっちんの家へとまりっきりでした。おそうしきのときお母さんのつとめ
ている会社の人もきました。


 わたしは、むかむかするきもちで、心がおちつきませんでした。


 おそうしきがすむと、よるさっちゃんの家にとまりました。


 そのつぎの日、四国にいきました。汽車の中で一日寝ました。それからタクシーでおば
あちゃんの家につきました。


 そこで、おはかを作りに山にいきました。二日とまって、お父さんはかえってそれから、
四国でくらしました。


 4か月ぐらいたったある日お父さんがむかえにきました。それから、浜松の、おじいさ
んの家にいきました。そこで1年生に入学しました。


 今度は、山梨にひっこし、2年3年とくらしました。


 お父さんとお母さんと弟とわたしと4人で、とてもたのしくくらしていたのに、お母さ
んが死んでしまってから、お父さんはとっても変わってしまいました。


 私達をおいてどこかに行ってしまいました。お母さんが死んでしまってから私の家は急
にメチャメチャになってしまいました。


 そして3年の終わりごろ浜松にきました。それで、寮にはいりました。


 いまでは、みんなとなかよく、くらしています。さみしくはありません。


※ 母は死亡。父は無職で子どもたちに食事すら与えず行方不明となったため入寮。一
 年後、父より再婚し九州にいるとの手紙があり、読んできかせると泣きだしてしまった。
  その時の気持を作文に「手紙がきてとてもうれしかった。でもよく考えてみたら私は
 手紙ではなく直接お父さんに会いたいと思った」と書いていた。
 
                            (1972年 S県 S寮)

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コメント 2

yokomi

現代のみならず、50年前にも子の養育義務を忘れてしまった親が居たのですね(>_<) ということは、これからもあり得ることであり、何かの対策が欲しいです。科学が進んで忘れてしまう因子が見つかってしまうと、かつての優生保護法みたいな事になってはそれも大変(>_<) やはり学校教育や社会教育におんぶせざるを得ないのでしょうか(>_<)
by yokomi (2020-08-31 21:46) 

ハマコウ

yokomiさん ありがとうございます。

作文を読むと子どもの優しい気持ちに気づきます。児童養護施設や学校が、すみれさんのような子どもたちにとって安心できる場所であってほしいと願うばかりです。
by ハマコウ (2020-08-31 22:16) 

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