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「宮本常一伝書鳩のように」石川直樹 平凡社 2019年 ③ / 「弱き者の生き方」大塚初重・五木寛之 毎日新聞社 2007年【再掲載 2011.6】 [読書記録 民俗]

今回は、8月25日に続いて、石川直樹さんの
「宮本常一 伝書鳩のように」の紹介 3回目です。



歩く民俗学者と呼ばれた宮本常一さんには、いまでもファンが数多くいます。
宮本さんに関しての本が、没後40年近くたっても出版され続けています。




出版社の案内には、


「日本各地を歩き、漂泊民や被差別民、歴史の表舞台に姿を現さなかった無名の人々の営
 みや知恵に光を当てた『野の学者』宮本常一。膨大な著作のエッセンスを一冊に集成。」



とあります。





今回紹介分より強く印象に残った言葉は…

・「村共同体というのはこのように水を共同利用することから成長していったのではない
  か」


・「シレエモチ(曼殊沙華) - ゆでたものを一週間流水でさらし毒抜き」


・「娘たちにとって旅は見習いの場 ― 他郷の知識と言葉」


・「女たちのエロ話の明るい世界は、女たちが幸福であることを意味している」








もう一つ、再掲載となりますが、考古学者の大塚初重さん、作家の五木寛之さんの
「弱き者の生き方」を載せます。
出版社の案内に
「おのれの悪を凝視し、絶望的体験の地底から恐るべき記憶と無類のユーモアを武器に、 日本人再生の希望を掘りおこす。迫真のライブ・トーク。」
とあります。
大変心に残理、考えさせられた本です。
大塚さんがなぜ考古学の道に進んだかが非常によくわかりました。
知人の考古学の研究者が、大塚さんを非常に尊敬していました。
その理由がわかった思いがしました。
一部、カーチス・ルメイのところ、他の本の要約が入っているではないかと思います。
御承知願います。




☆子供たちの学習に
文部科学省の
「子供の学び応援サイト(臨時休業期間における学習支援コンテンツポータルサイト)」




ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。








☆「宮本常一伝書鳩のように」石川直樹 平凡社 2019年 ③

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◇共同井戸 1979年 72歳
 
 昭和35年ごろまで 
   共同井戸 ほとりに石の地蔵様や水神様 屋根
 

 一つの井戸に20軒内外
   井戸組 ― 江戸中期ごろから
 

 武蔵野
   マイマイズ井 浜松付近、伊豆新島にも残存
     
   水が乏しければ工夫した

 ※ 村共同体というのはこのように水を共同利用することから成長していったのではな
  いか?






◇すばらしい食べ方より  1975年 68歳 
 
□田楽
   奈良県大東村〇原 
サトイモ、アズキ ゆでたものを一回ごとに一つのもの         



□高知県山中に寺川
   シレエモチ(曼殊沙華)

   - ゆでたものを一週間流水でさらし毒抜き

     

□うまいもの豆腐田楽
   女の人が二人がかりで丸々一日の豆腐つくり

 

□タラ飯
   主食物がコメになると米をうまく食うための工夫して副食物が多様化していったの
  ではないか
  
   昭和17年12月 能登一宮気多神社 鵜浦
   
   タラのとれた夜だけタラ飯を食った ~ 楽しい夜
 


□石焼味噌汁
   昭和20年冬 吉野地方 

   大変な雪 → 勤労奉仕中学生 ― 木をまっすぐに
   
   ワッパに味噌を入れ(川の水)、焼けた石を次々に中に入れる
   
   昔の杣人は皆石を焼いて、いろいろの料理を作った
 


□サツマのあばれ食い
  メバル 味噌

  冷めないうちに






◇女の世間  1959年 52歳
 
□田植え―女
 
  男をツボにする

  早乙女  大田植
 
  女四国



□土佐の国を抜いた三国 
  
 土佐は〇の国 宿も貸してくれむ
 

 気安く泊めてくれる善根宿とお接待

  
 家を出るときは二円 
  → 戻るときは五円に増えていた
 

 もらい子も
 

 旅の楽しみは道連れ
 
 「秋仕」は40日の稼ぎ  四斗俵一俵
   

   嫁に行くまでの若い女の仕事
 
 昔は若い女はよく逃げ出した
   萩の城下へ逃げていくものが多かった

   娘たちにとって旅は見習いの場 ― 他郷の知識と言葉


 観音様 = 田植えの時のエロ話  40歳前後

   こそこそ話は× 「ひそひそ話は罪つくり」

   性の話を通して男への批判力を獲得した

   エロ話の上手な女の多くが愛夫いえであるのもおもしろい
 

 女たちのエロ話の明るい世界は、女たちが幸福であることを意味している
 
    |
※女たちのエロ話を聞いて、エロ話がいけないのではなく、エロ話をゆがめている何者か
がいけないのだとしみじみ思うのである




















☆「弱き者の生き方」大塚初重・五木寛之 毎日新聞社 2007年【再掲載 2011.6】

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◇弱者,汝の名は人間なり

□ジェネサイドそのものの東京大空襲 



□絨毯爆撃

 … 風下から周囲を焼き、真ん中に向けて焼き尽くす



□歴史的民間人全滅作戦

  1937.4 スペイン・ゲルニカ



□作戦指揮 カーチス・E・ルメイ
  
 米陸軍航空隊第21爆撃機集団司令官
  

 C・E・ルメイの回想  
  浜松は名古屋の南東,天竜川と浜名湖の間にあり海岸確認が容易だった

 「来る月も来る月もB29にとって浜松はなじみの場所だった。日本に侵入したものの、
  トラブルに遭遇(故障等)した場合,パイロットたちは浜松に積荷(爆弾)を捨てるよう
  に指示されていた。そして,浜松は数え切れないほどの爆弾を投下された。なぜなら,
  当時のB29には数え切れないほどの問題が発生したから…」  


 「わたしは,浜松が何トンの爆弾を投下されたのか正確には知らない。誰だってそうだ
  ろう。そこは,本当に徹底的にやられた。我々は,搭乗員が浜松に爆撃しても,出撃
  に対する功績を認めることはできなかった。浜松は爆撃を終了するためのごみ箱だっ
  たのだ…」



□生き地獄 - 戦友を蹴落として生き延びる
 
 

□戦争で一番の被害者になるのは一般市民

 

□悪を抱えて生きること 
 
  → 「戦争が終わったときから戦争が始まった」



□語り得なかった引き上げの真実
 
  → 「女性を人身御供にして38度線越え」








◇善人なおもて往生をとぐ,いわんや悪人をや

□極限状態では,人はただ小さき者に過ぎない。
 

□命を守るのに必死


□二度の撃沈と敗戦


□日本の植民地支配の爪痕 S21.1復員 
  
  → 考古学 = 民衆の学問


 
□語られない引き揚げ者の悲劇
 
 -残留孤児と不法妊娠(殿下の陣中見舞い) 
  S22~登呂遺跡の発掘   語られない歴史もある  



□右へ左へ揺さぶられ続けるのが人生

大塚初重 明治大学夜間(昼間は商工省勤め)
       
  - 後藤守一「三種の神器考古学」

   神話ではない考古学を!







◇心の貧しさとほんとうの豊かさ

□肉親の死を身近に感じる大切さ 
 
 「恐いながらも通りゃんせ」 = 通過する事の大切さ

 ギリギリのマイナス思考から本物のプラス思考が生まれる



□学内闘争でつるし上げられる



□我が青春の登呂遺跡発掘

 病気になりすまして…S22登呂へ

 後藤守一(しゅいち) 「いい腰しとる」 
   
 西の梅原,東の後藤

 人は泣きながら生まれ,時に優しさに出逢う
S27大学院マスターコース 後藤守一仲人で結婚

 母が亡くなったとき s31.12
杉原教授 
  「5万でも10万でも言ってくれ。家まで持って行ってやるから」


 
□五木
 
「人はすべてこの世という地獄に生まれてくるのではないか。その地獄の中で時として思
 いがけない喜びや友情,見知らぬ人の善意や愛に出逢う。そんな時,人間に生まれてき
 て善かったと,一瞬でも心から感謝する。その一瞬を極楽というのではないかと思いま
 すけど…」



□経済的貧困と貧しさとの違い

 カネでは買えない「誇り」を抱いて 
苦労したから相手の心にも優しくなれる


 後藤 - 大塚
「君ね,石の棺桶,石棺を専門にやっている人はいない。おまえ一人ぐらい日本で棺桶
  の専門家がいてもいいんじゃないか。」



※ 銀座にはこんなに着飾った紳士,淑女が歩いているけど,石棺だったら誰にも負けな
 い。それがわたしの誇りであり生きがいでした。






◇人は受け難し,いますでに受く

□人生の峠道でたたずむ 

五木 … 福永光司(道教研究),林達夫(批評家),網干善紀(考古学・関大)


 人間性と謙虚さ 前田青邨先生の教え


 論争 昭和40年初 末永雅雄 ←→ 小林行雄(京都大学)
齋藤忠が「おっ丁度ランチタイムだからこの辺で…あとは個人的に」とその場を納めた

末永さんからお目掛け(大塚)


□創造力の欠如と「心の教育」
  
 考古学とは人間学だ
   発掘すれば分かる。学生のすべてが分かる。
  
   子供の時の教育が大事(五木) 
 

 人間として生まれた奇跡と幸運    
物語性 ~ 大事なもの=創造力の発達

 ※ 昔話,講談,浪曲,落語などにより物語的想像力が与えられた



今の子どもたちの中には切れ切れのショット,コラージュ


 なぜ人を殺してはいけないのか
  ※ 昔だったら「そりゃあ,仏さんが命を大切にしなさいと言ったからだよ」で済ん
    だものだが…

 明治  「和魂洋才」 しかし,根のない花は造花

 奈良時代「和魂漢才」



 ※ 今は「無魂洋才」 発掘の際,直会






◇人間は一茎の葦である
 
□辛いことも直視する勇気を持ちたい 

 本当に明るく生きるためには,暗さを直視する勇気を持たなければいけない。ほんとうのよろこびというものを知る人間は,深く悲しむことを知っている人間なのではないかと思うんです。(五木)

 辛いところから逃げないでぶつかっていったらいい



あきらめる 「明らかに究めること」
※ 自分の置かれた現状を明らかに究める勇気を持ち直視することが必要

「究極のマイナス思考から出発せよ」



□弱き者たちへ - 人は皆,それぞれの生を生きる






◇あとがきにかえて

 人は苦境に陥ったときこそ真価が問われる

 NHKラジオでの話

 考古学は庶民の学問

 五木
 「人は皆,その際に命を懸けて全力で生き抜いてきたのである。人間は皆弱き者で,そ
  れぞれの人の道を懸命に生きていくのである」


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hagemaizo

機体を軽くするためだけに爆弾を落として人殺し。
ルメイに安っぽい日本国の勲章はお似合いだ。
私ら庶民は宮本常一にこそ見えない勲章をあげるのだ。
by hagemaizo (2020-09-05 06:27) 

ハマコウ

hagemaizoさん ありがとうございます。
東京大空襲を始め各地に悲惨な状況をもたらすきっかけを作ったルメイに勲章を日本が与えたことは信じられないことです。確かに「安っぽい日本国の勲章」と考えるしかないですね。
by ハマコウ (2020-09-05 06:42) 

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