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「続午前8時のメッセージ」草柳大蔵 静岡新聞社 2002年 ⑦ /「忘れられた日本人を読む」網野善彦 岩波セミナーブックス 2003年 ①【再掲載 2014.4】 [読書記録 教育]

今回は、8月 2日に続いて、草柳大蔵さんの
「続午前8時のメッセージ」7回目の紹介です。


出版社の案内には、


「評論家・草柳大蔵が送る待望の第2弾。家庭、学校、社会、さまざまな角度から子ども
 の心を見つめ、輝く未来のために祈りを込めて語る珠玉の99話。」


とあります。


現在では、高段の人間ピラミッドについては安全面から行われなくなっていますが、
一つのことに向けて皆で力を合わせて努力する経験は大きいと思います。
子どもたちが「なぜ怒鳴られたのか」納得できたということも。




もう一つ、再掲載となりますが、網野善彦さんの
「忘れられた日本人を読む」①を載せます。
民俗学の面白さを教えてくれる本です。




<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。







☆「続午前8時のメッセージ」草柳大蔵 静岡新聞社 2002年 ⑦


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◇メッセージを伝えよ

 前にご紹介した中村諭先生は、現在、宝塚市の市立高司中学校の校長先生をしていらっ
しゃいますが、そこにモモちゃんという女の先生がいるんです。


 そのモモちゃんが、子どもたちに自分が集団の一員だということを自覚させよう、と女
子マスゲームに取り組み、男子は人間ビラミッドをつくつたんです。8段までつくるので
すが、8段のピラミッドにはなんと90人弱の子が必要なんです。


 一番下の子は、その重みに耐えなければいけないから大変ですし、上の方に行けば行く
ほど、力を抜いてやらなければいけないですね。


 思いやりですよ。それでようやく8段ができる。


 体育大会の日に8段のピラミッドをつくったら、全国から見にきていた先生や、市や県
の教育関係者がワーツと拍手した。


 終わったときになんと男子の指導者がマイクを取って、

「ただいまより、オプションで9段をつくります。高中生の心意気です」

と言ったんですね。


 すると120人がワーツと出てきた。


 そして、とうとう9段のピラミッドをつくってしまったんです。


 そのときのモモちゃんの文章があります。

「体育館での最後の練習、タワーを組む人たちの頑張り。周りで支える人たちの頑張りを
 感じることができた。タワーが立ち上がった時、涙が溢れてきた。拍手も起きた。『泣
 いちゃ駄目。泣くのは本番やで』と3年生の子が言った。ああ、高司中の子はやっぱり
 いい。私はこんな心のある子がいっぱいいる高司中のみんなが大好き。そして、ドラマ
 が生まれたのです」

と。


 これが彼女が最後に書いたメッセージなんですよ。


 すごいですね。
 

 これをやった子どもたちの方は、

「モモちゃんに怒鳴られて怖かった。私はあの怖さを忘れられない。だけど、最後に8段
 のピラミッドを組み終わって、そして皆さんから拍手を貰って、ピラミッドを崩し終わ
 った時に、モモちゃんが怒ったのは私たちへの愛だったということがわかった」

と書いているんですね。


 怒鳴りまくられたのが、実は私たちに対する愛だったんだということを、中学生だから
こそ、こちらがすごい本気のメッセージを送ってやればピタツと受け取るものなんですね。


 こういうことを考えると、どんな教育制度をつくっても、その中で子どもが勉強を持続
するかどうかということが問題なんですね。


 今の制度が悪いとか、昔の制度が良かったということではなくて、今が棒暗記主義にな
っているということが悪いんです。


 棒暗記主義だと、知能の働きがそこで止まってしまうんですね。


 試験が終わるとケロツと忘れてしまうんです。


 そうではなくて、勉強というものは、試験があろうとなかろうと、心に留まったことを
頭の中でもう一度繰り返して、そして別の情報がきたときにそれと並べてみたり、結び付
けてみたりすると、その人だけの方程式が頭の中にできるんですね。


 このことが大切なんです。













☆「忘れられた日本人を読む」網野善彦 岩波セミナーブックス 2003年 ①【再掲載 2014.4】

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◇宮本常一との出会い 民俗語彙の再発見(1)
   
□網野善彦 

 1950(昭和25)年4月 日本常民文化研究所に入所 月島分室 

宇野脩平 
  「文書はすべて借りてこい」
        
↑↓

宮本常一 
  「本当に必要なものだけ借りる」
    → 最後まで責任

  「存在だけでまわりが明るく生き生きするような特異な力」



□宮本常一の中世史像 - 清水三男への高い評価

 宮本常一
  「石母田正や藤間生大の学問はだめだ」

「清水はすばらしい」

  「松本新八郎もおもしろいところがある」


 1950年代
  「民話の会」

   清水三男
     共産党員からの転向
  「天皇に対する見方、庶民、百姓、村に対するとらえ方」

   天皇に対する親愛感
   


□宮本常一の学問 

 月島分室閉鎖
  → 都立北園高校  

 河村武春から宮本の話



□強烈な人格  

 大変な迫力 - 強烈な人格

 日本常民文化研究所 
  - 神奈川大学

◎古文書の返却の仕事


 宮本常一
 「あなたが行ってくれて、自分は地獄からはい上がれたような気がする」(1980年)



□宮本常一と渋澤敬三 

 佐野眞一
  「旅する巨人」
  「渋澤家三代」



□海から日本社会を見る 

 「日本文化の形成」(そしえて)

  → ちくま学芸文庫

 = 海から日本の社会を見る



□東・西日本の文化の差異と「民具」研究の提唱



□進歩とは何か? 発展とは何か?

「進歩とは、発展とは何なのか、そこで切り落とされてきたものの中に非常に大事なもの
 がある」


 1980年 網野善彦 
   名古屋大学 → 神奈川大学短期大学部
日本常民文化研究所員



◎古文書返却の旅

 
 短大のテキストに「忘れられた日本人」
大変な文化的・生活的な断絶



□「もののけ姫」とアジール 

 宮崎駿と鈴木敏夫プロデューサー
   


□民俗語彙の再発見

 お辞儀 - 「時宜」 
   時宜に対して頭を下げる意


朋輩(ホウバイ)
  - 中世「傍輩」 
    対等な関係(単純な友達ではない)


えっと
  - ある限度を超えた誤り、過失


おとし宿
  - 「おとす」とは人間のものではなくなってしまうこと 



無縁、神仏のもの「無主物」


 ◎落とされて初めて奪い取ることが可能になる


 中世
  - 山の神によって山の中に入った人の持ち物はすべて「落ちて」しまうので、狩人
   が山の中を通る人の物を奪うことが不法とならない

        |
 
   ◎落ち穂拾い 
      誰が拾っても構わない
      = 神仏からの贈り物

      
   ◎落ちてしまえば山賊にならない


 「おとし宿」 = 無縁の場
「宿」には無縁の場の性格がある



□善根宿の役割



□狂言「かくしだぬき」の世界

 「いちは」(市庭 = 市場)
14世紀初までは都市へ
たぬきが市場で売買されていた


荘園代官
   国司・守護に接待し、文句を言わせない
百姓には正月・祭りの時、年貢納めの時酒宴



◎必要経費としている


 京都に年貢を送るときは銭を為替に替えて手形で送る 14ct初より
           
  = 13ct後半以降 信用経済                  


 <備中国新貝荘領家方所下帳>良資料
せがき(施餓鬼)

   ゑとき(絵解き)
  
 千寿万歳(万歳)

とひ(とび=贈り物)

はうとう(保頭-保の頭)

あいさつに来た物には八文出すのが相場

「おおとびでございす」「もっておんだされ」
            = 神に対しての贈答

ありきそ女(村の使い走り)
→ 代官宣深の接待のやりすぎがばれて免職に(東寺)


百姓=農民は江戸時代後期から


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ミケシマ

モモちゃん先生、大切なことを教えてくれましたね。
子どもたちにそのメッセージが届いたのが素晴らしいです。
by ミケシマ (2021-08-05 17:25) 

ハマコウ

ミケシマさん ありがとうございます。
子どもたちに伝わるだろうと態度で示して思いが伝わったのは、
この「モモちゃん先生」の頃までだったと思います。
このごろは、最初に「○○するためにこういった練習をします」のように、事前に子どもたちに伝えないと、後で要らないトラブルになってしまうこともあります。態度で示すことより、言葉、それもかみ砕いた分かり易い言葉で伝えることが大切になってきているように感じます。
社会も変わっていくのでしょう。
by ハマコウ (2021-08-06 05:41) 

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