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「社会不安障害のすべてがわかる本」貝谷久宣 講談社 2017年 ④(最終) /「教師の現在 教職の未来」油布佐和子 教育出版 1999年 ①【再掲載 2014.8】 [読書記録 一般]

今回は、8月22日に続いて、貝谷久宣さんの
「社会不安障害のすべてがわかる本」紹介4回目 最終です。



出版社の案内には、


「【社会不安障害は『性格の問題』ではありません。治療すれば治る『心の病』です。】
 人前でのスピーチ、オフィスでの電話、上司との対話。ほかの人にとっては何でもない
 ことに、不安や恐怖を感じてしまう…。これは性格の問題ではありません。治療すれば
 治る『心の病』です。放っておくとうつ病やパニック障害などを併発する恐れがありま
 す。本書では正しい診断から、薬物療法や認知行動療法など有効な治療法まで、イラス
 トを使ってわかりやすく解説します。」


とあります。



社会不安に立ち向かう【3つの方法+1】は皆に役立ちそうです。




今回紹介分より強く印象に残った言葉は…

・「わたしはわたしを変えてみたい - 認知行動療法で克服する」


・「社会不安に立ち向かう方法をマスターする → 3つの方法+1」


・「暮らしの中で行動パターンを変えていく」


・「自助努力が可能」


・「一直線に改善するものはない」





もう一つ、再掲載となりますが、油布佐和子さんの編集による
「教師の現在 教職の未来」①を載せます。
20年以上も前に、現在の教育の問題が提示されていたのに、なぜ?と思ってしまいます。古くに出版された本ですが、教員に読まれるべき本だと思います。




<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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☆「社会不安障害のすべてがわかる本」貝谷久宣 講談社 2017年 ④(最終)

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◇わたしはわたしを変えてみたい1 - 認知行動療法で克服する

【A君のケース⑤】 

 もう逃げ出したくはないから


□特徴

 暮らしの中で行動パターンを変えていく
◎思いこみ(認知)
「うまくいかないに違いない」

    「他人は自分をバカにしているだろう」

↑↓

   ○行動パターン   ○変えるには?
①うまくいかないだろうと挑戦しない ← ①行動の元、考え方を修正する

   ②人前に立つことを避ける ②行動そのものを変える方法を学ぶ                        

 自助努力が可能
   

 一直線に改善するものはない



□方法 

 社会不安に立ち向かう方法をマスターする
  
 ◎3つの方法+1

 ① 認知修正法

    考え方のクセに注目  偏りを修正


 ② エクスポージャー(暴露)

    あえて苦手な状況に身を置き不安や恐怖に慣れていく

 ③ SST

    社交術(ソーシャルスキル)を学び、対人不安の軽減を図る

 +1 不安への対処
 
   = 呼吸法や筋肉を弛緩させる方法など身体面から心のリラックスを図る


 自分を変えるのは自分自身の力
  

 認知行動療法で性格が変わる


 ◎不安にも良い面はある 

  ~ 付き合う方法を学んでいこう



①認知の修正【認知修正法】

 「思いこみにこだわらず、違う視点に立ってみる」


   <よくある思いこみ>     <別の考え方>

 1 全か無か(オールオアナッシング) → 白や黒だけではない 灰色もある 


 2 たまたまとは思えない   → 状況は変化する 次回はうまくいくかもしれない


 3 プラス面の過小評価      → 他人がどう思うか知らないが進歩は進歩


 4 マイナス面の過大評価     → うましかないだけじゃない。成功もあった。


 5 否定的な結論づけ     → 否定的なことが起こると決まったワケじゃない


 6 否定的な予測         → やってみなければ分からない


 7「~すべき」思考       → 「~すべき」だなんて誰が決めた?


 8過剰な自意識        → 人は他人のことにそれほど関心を払っていない



②恐怖と向き合う【エクスポージャー(暴露)】

 あえて苦手な状況に身を置き「恐怖」に慣れる


 不安は徐々に減っていくもの
留まり続けることで不安や恐怖は薄まっていく
  

 真正面から立ち向かうために
・しらふで頑張る
 
   ・逃げ出さない  30分以上
    
   ・無意識の回避行動を減らす  


 まずは、ちょっと苦手なことから始めてみよう


 エクスポージャーの進め方
徐々にステップアップ



③社交術を磨く【SST】
  
 イメージトレーニング「楽しむ自分」に慣れてみる
イメージトレーニングで先入観を変えてみる


 笑顔と姿勢をマスターすれば第一印象は良くなる
リラックス 背骨 笑顔 口角
  

 「うまく話そう」とあせらず「良い聞き手」を目指す
   ・自分からほほえみかけてあいさつを
 
   ・頷くだけでも会話は成立する

   ・視線は「時々目を合わせる」くらいが丁度良い    


④不安への対処法【+1 不安への対処】

 不安を沈める即効テクニック
   1 呼吸を整える  意識して呼吸をゆっくり
 
   2 つぼを押す  手首
    
   3 筋肉を弛緩する  ギュッ → 抜く 足首 肩 腕 指


 不安への対処法
  生活習慣の見直しが必要なこともある
 
  いつも心に「魔法の言葉」を                       





◇貝谷久宣(かいや ひさのぶ)

1943生 和楽会理事長  名古屋市立医大卒

 ミュンヘンのマックス・ブランク精神医学研究所に留学

 岐阜大医学部助教授 自衛隊中央病院神経科部長 →1993なごやメンタルクリニック

1997 赤坂クリニック理事長     1999~2003 東京大学医学部非常勤講師

 2006.3.10 第一刷発行










☆「教師の現在 教職の未来」油布佐和子 教育出版 1999年 ①【再掲載 2014.8】
 
<出版社の案内>
変化しつつある社会の中で、教育の現状と意義を考察する。5では制度的な制約のなかで
多様な役割を求められる現代の教師の現実を検証し、未来の教師像はいかにあるべきかを
様々な視点から模索する。
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◇はじめに 

□教師の指導力不足と権威の低下



□教師の資質向上 プロ教師の会,佐藤学

 ◎ 教師の資質が重要だというわりに,教師の資質向上に役立つような基盤整備は問題
  にされていない

   ○教員養成は制度的に縮小されている

  ○ゆとりのない教師


□教員の資質向上の方向

 ? 教員養成を縮小し,現場の教師を削減し,そうした状況の中で教師が今以上に力量
  を高めて教育問題に対処せよ…。財政支出なしで…。


 

◇教師の頑張りは教育を救えるか 油布佐和子

□教師に向けられる批判

① 教師に落ち度    …  子供は常に批判の対象外「聖域」


 ② 前後の文脈なしに 事件の場面のみ切り取られ批判の対象に


○ステレオタイプ化

  たいていの場合 教育問題は 教師の言動の仕方や対応の仕方が一方的に非難される
 ことで,本質的な点は明らかにされないまま終息していく



□「教師の資質向上」のアノミー的状況

 研修増加 優れた教師により問題を乗り切ろう

 不的確な教師への対応



 ◎ どのような教師が優れた教師がという問題については明確な基準がない


 ◎「不思議にも公的に教師の資質とは何かが,明確に定められていないまま資質の向上
   ばかりが叫ばれ」研修が推進されている


 ○デュルケーム - 自殺考察・アノミーの概念

  「我々の感性は飽くことを知らずに手の届かない目的を追い求めその結果 果てるこ
   とのない不満の状態に陥る」



◎ 教師は終わることのない努力を課せられている



□学校の公共性・正統性の危機 - 子供や親の変化

①子供のそのものの変化
 
 教師のコントロールの範囲を遙かに超える子供の出現

 
宮台真司 
  「満員電車状態」 ← 昔のすし詰め学級でも問題化は顕在化していない


②子供の変化

 産業社会の産物である学校の価値組織のあり方を受け入れない

大人と子供のボーダー消失(情報化社会)



◎ 新しい社会の価値態度を身に付けた子供


③親の変化

 ※私事化(プライバタイゼーション)の進展

  学校がどのような意味を持ち社会的な貢献をしているかを考えるのではなく,自分の
 子供にとって学校はどれだけ役立つかという視点から学校はとらえられるようになって
 きた。



 ◎ 教育への市場原理の導入という政策は,こうした親の行動を支持するものになって
  きている



 ◎ 社会の状態が大きく変化し,学校の役割と現在の人々の役割期待の間に大きな齟齬
  が生じてきた。



 ◎ 本来ならばこのような状況を踏まえ新たな学校や教師の役割が模索されるべきであ
  る。しかしながら,それについては十分には検討されないまま,ひとえに教師への批
  判のみが噴出している。教師が頑張るだけでは問題は解決しない。



④教師の変化 - 割り切り型教師の登場と善良な教師のため息

しかし,教師は全てを免責されるわけではない



教師は一枚岩でない
新しいタイプの教師
    ①「仕事は仕事,余暇は余暇」

   ②「やみくもに役割を担おうとする教師」

   ③「全てを免責されたかのような教師」



④現場に学ぶ - 合理的組織としての学校の見直し

 やりがいがあればストレスと感じない

 「共在性」を楽しみ味わう教師と生き生きとしている子供の姿

↑↓

 ◎「規格化が進み,類例化された仕事の増大が教師のモラールを低下させ,同時に多忙
   化感をつのらせている」組織の合理化の影響



□終わりに

教育問題噴出   原因=学校組織のあり方


 教師という仕事の手応えの希薄化



◎「教師の努力は子供の成長にかかわりながら,それを楽しみつつ指導するその方向線上
  に工夫され開発されるべきだ」

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ミケシマ

教師の仕事というのは本当に大変だなぁと思います。
こどもの資質も親の資質も 以前とはだいぶ変わってきているのでは
と思いますし…。
教師という仕事が、やりがいある楽しいものになるといいですよね。
by ミケシマ (2021-08-25 10:58) 

ハマコウ

ミケシマさん ありがとうございます。
やりがいがある楽しい仕事なのですが、楽しければいいじゃないかと言われると複雑な気がしてしまうと言ったところでしょうか。
「好きならいいじゃない」と教育行政は考えているから、多忙化が叫ばれて志望者が減っても働き方の改革は遅々として進まないのだと思います。10年後、20年後が非常に心配です。
by ハマコウ (2021-08-25 16:17) 

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