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『子どもから大人になれない日本人』深谷昌志 リヨン社 2005年 ③ /「忘れられた日本人の舞台を旅する」木村哲也 河出書房新社 2006年 ①【再掲載 2019.1】 [読書記録 教育]

今回は、1月25日に続いて、深谷昌志さんの
「子どもから大人になれない日本人―社会秩序の破壊と大人の消失」の紹介 3回目です。


出版社の案内には、


「子ども問題研究の第一人者である著者が膨大なデータを元に、現代の子どもと親との
 関わりを検証。育児に関わらない父親、子どもを過剰に庇護する母親、親に依存する
 子ども…社会秩序の崩壊と大人が消失してしまった現代日本のこれからの新しい大人
 像を考える!」


とあります。



今回紹介分より強く印象に残った言葉は…

・「これからの社会では、長幼の序もなく、大人だからといって、尊敬されることはな
  いように思われる」
- どきっとします。

・「…とりあえず、『大人らしく』を意識からのぞくことが大事になる。」
- これが、なかなか なくせません。


・「一人一人が『らしさ』の殻を捨てて、意欲的に自分の生き方を探る。そして、自分
の世界を築く。」
「職場を離れたら、『らしさ』の衣を脱ぐ。それだけで、柔軟な思考が生まれる。」
- 半日勤務のため午後は畑のおじさんとなっています。


・「未来を信じよう」
- 子どもたちに明るい未来を示していきたいですね。




もう一つ、再掲載となりますが、木村哲也さんの
「忘れられた日本人の舞台を旅する」①を載せます。
宮本常一さんの考え方が今の時代に生きるのではないかとわたしは思います。





<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。





☆『子どもから大人になれない日本人』深谷昌志 リヨン社 2005年 ③

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◇大人世代の生き方

 これまでふれてきたように、大都市を中心に伝統的な社会構造が崩壊しているので、
大人が成立する基盤が失われている。

 
 そして、これからの社会では、長幼の序もなく、大人だからといって、尊敬されるこ
とはないように思われる。


 したがって、大人を目指すことはできない。


 とりあえず、「大人らしく」を意識からのぞくことが大事になる。


 そうだとしたら、大人世代はどうしたらよいのか。


 ① 年齢を忘れよう
  - これまでの社会では、長幼の序をふまえ、その年齢らしさというコンセプトが    
あった。「40歳で惑わず」とか「還暦」がその代表例である。

   しかし、これからは年齢を忘れよう。いくつになっても、思い立ったらチャレン
  ジすればよい。チャレンジしている人は、何歳でも青春の真っ只中にいる。


 ② 「らしさ」を忘れよう。
  - 忘れるのは年齢だけではない。男女差もそうだが、銀行員らしく、教師らしくも
   世界を狭くしている。
   「らしい」世界に入ってしまうと、それ以上の発展はない。

   職場を離れたら、「らしさ」の衣を脱ぐ。それだけで、柔軟な思考が生まれる。


 ③ 好奇心を持って
  - 何でもよいから、疑問を持とう。そして、子どものような好奇心を大事にしよう。
   知りたいと思えば、さきへ進もうとする。

    さきへ進む内に道が大きく広がり、そこから新しい人生が始まる可能性がある。


 ④ 自分の個性を作る
  - 情報化社会になると、メディアの流れのままに好奇心を移してしまう人が少な
   くない。

    マイノリティーの世界でよいから、自分のスタンスを大事にしていこう。それ
   が、個性を作る可能性を強くする。


 ⑤ 柔軟なネットワークを作ろう
  - これからの社会では、人とのつながりが大事になる。 

    年齢や性別、職業を超えて、さまざまな人とのネットワークを大事にしよう。
  そうしたネットワークが大きな財産になる。


 ⑥ 未来を信じよう
  - 年齢を重ねるとさきが見えてしまう。そのため、努力することをやめてしまう。
 
    未来を信じて、明日に向かい、一歩進む。そして、次の日もまた一歩進む。
   そうした蓄積の上に、明るい未来が開けてくる。




 こうした感じで、一人一人が「らしさ」の殻を捨てて、意欲的に自分の生き方を探る。

 そして、自分の世界を築く。

 そうした成熟した人たちが増えれば、市民型の社会が成立する。


 これまでのような長幼の序的な秩序に支えられた大人ではなく、年齢や性別、地域性
などを超えて、柔軟なネットワークで社会が構築され、そうした社会をリードする多様
な新しい大人像が誕生しよう。


 これは、日本の社会が年功序列型の固定された秩序から、それぞれが自由に生き方を
模索する柔軟な市民型の社会へ変革することを意味する。

 そうした市民型の社会に脱皮できるかどうかで、これからの日本社会に希望を持てる
かが決まってくる。

 それだけに、大人たちがそれぞれの個性をどう育てていくのか。

 そして、そうした個性を社会的にどう認め合っていくのかが重要になると考えられる。








☆「忘れられた日本人の舞台を旅する」木村哲也 河出書房新社 2006年 ①【再掲載 2019.1】

<出版社の案内>
日本各地、文字通りの津々浦々を歩きに歩いた宮本の金字塔『忘れられた日本人』。そ
の舞台10箇所を、二度三度ていねいにたどり直し、宮本が会った人、その縁者に取材
し続けた、宮本民俗学を今につなぐ若き民俗学徒が脚で拓いた、新たなフィールドの紀
行。
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◇はじめに

 宮本常一 1907-1981


「図書」1985.5 No.454
 ◎「わたしの3冊」の中に司馬遼太郎が『忘れられた日本人』

「宮本さんは地面を空気のように動きながら歩いて歩き去りました。日本人の山河をこ
 の人ほど確かな目で見た人は少ないと思います」 司馬遼太郎



◇ふるさとの島より 「わたしの祖父」「世間師(1)」

 島へ渡る 
   東和町長崎 1993.5.1~5.4


 出稼ぎと移民の島
増田伊太郎(外祖父)の宮本市五郎 
     放浪性 世間師 
本名は升田仁太郎


 御一新の後先


 旅を誘う白木山 
   篤農家-父・善十郎 
   父が伝えた十箇条の心得
   善根宿



◇世間師に会いに行く 「世間師(2)」河内長野市 滝畑の旅
  
 河内高向村滝畑 
   左近熊田翁 

   孫・左近又三郎(1915生)ダム反対


 宮本常一の大阪時代(教員として=ハマコウ註)
   ○ 修斉尋常小学校
   ○ 田尻小学校
   ○ 北池田小学校
   ○ 養徳小学校
   ○ 取石小学校 (「とろし」1935-教え子達と郷土誌を作成=ハマコウ註) 

  
現代の世間師 1996.3.20



◇文字をもつということ「文字を持つ伝承者(1)」島根県邑育郡瑞穂町(現邑南町の旅)
 学者になるな - 資料の発掘者に
田中梅治翁 1939.11
   
   1994.10.12森脇太一 1996.3.26牛尾三千夫

 理想の篤農家像 
   孫の田中勘助さん(1923生)

  ダンボール箱の文書(返却できずにある古文書-のちに網野善彦氏がその役目を)
  「粒々辛苦」の舞台裏

  田中の親友は栗山一夫(赤松啓介)



◇篤農家の消えた後で 「文字を持つ伝承者(2)」 福島県いわき市神谷の旅
  
 日本文化の東と西 1994.11.12 

 在野の民族研究の先学 
   高木誠一 2万冊の本 篤農家

 オシラサマ
   高木秀夫さん

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