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小浜逸郎さんはこんなことを24-「いまどきの思想 ここが問題」PHP 1998年 (3) /「生涯一年生教師物語第9章 阪神大震災時代」 鹿島和夫 月刊『少年育成』より ①【再掲載 2012.11】 [読書記録 教育]

今回は、2月7日に続いて、
「小浜逸郎さんはこんなことを」24回目、
「いまどきの思想 ここが問題」3回目の紹介です。


今回はわたしには分かったような、分からないような…。



出版社の案内には


「日本人はさまざまな社会問題をどう感じ取り、思想としてどう考えているのか。本書は、
 戦後ニッポンの思想的問題点をとりあげた評論集である。テーマは戦争総括、歴史教科
 書問題、大江健三郎のノーベル賞問題、オウム、援助交際論、フェミニズム、クローン
 技術への危機意識など多岐にわたる。 例えば、昨今、物議をかもした『歴史教科書問
 題』。自虐的な歴史観を超えよ、という風潮の中、著者は、政治イデオロギーの対立と
 して考えること自体が間違いだ、と語る。慰安婦がいた、いないを論じるよりも、戦時
 に人間は何をするかわからない存在だ、という文学的想像力を育てることが先決ではな
 いのか。また、大江健三郎ノーベル賞問題とは何か。美談としてでしか報じられなかっ
 たことに、この国の批評精神の貧困さを嘆く。マスコミに流布される言説から、一歩引
 いた視点で捉え直し、自前で考える必要性を説いている。日本人の無邪気な知性を論駁
 した意欲作である。」

とあります。





今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「『恨み節』は『知の北朝鮮』だ
お勉強ばかりしていないでちょっと巷に出てごらん」


・「ミスコンは共通了解下のこと 差別ではない!」


・「別姓問題は、個人の権利さえ訴えていけばすむような夫婦だけの問題ではなく
て、『平等性の彼岸』にある家族空間の問題に関わるから割り切れない。別姓
  を使う権利さえ認められればよい」


・「日本人は『他者依存性』から脱却できない。独特の相互依存の精神構造をもつ」




もう一つ、再掲載となりますが、月刊『少年育成』より、鹿島和夫さんの
「生涯一年生教師物語-第9章 阪神大震災時代」①を載せます。
淡々と具体的に記されていて恐ろしさと準備の大切さを教えてくれます。





<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。




☆小浜逸郎さんはこんなことを24-「いまどきの思想 ここが問題」PHP1998年 (3)

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◇フェミニズムの旗手たちを論駁する

□フェミニストが陥る陳腐な被害者意識

 社会的差別をなくしていこうという主張はくめる
↑↓
性差そのものがけしからん
男女が個別につるむこと自体が問題という主張

◎ 共同体(性)としての狡猾さ


□男と女が引きつけ合うエロス的関係性は?

 美しく「見られる(見せる)」ことに喜びを見出して、自分を磨こうとする女性
が圧倒的に多いという事実をどう解釈するか?


□政治的なフェミニスト・上野千鶴子を斬る


□ミスコン反対議論から「ストロベリー・シーズン」削除問題まで

 「どろんこ祭り」も消えた

→ 男らしさ、女らしさのイメージを固定化してしまうから


□「恨み節」は「知の北朝鮮」だ

 お勉強ばかりしていないでちょっと巷に出てごらん


□吉澤夏子の可能性


□「男対女」という図式自体が間違っている


□夫婦別姓は、子供・家族の問題まで考えるべき

 別姓問題は、個人の権利さえ訴えていけばすむような夫婦だけの問題ではなく
て、「平等性の彼岸」にある家族空間の問題に関わるから割り切れない

◎ 別姓を使う権利さえ認められればよい


□「家族」の原理論的追及  

 家族 = 絶対的運命的空間


□「ミスコン」は果たして差別か?

 ◎ 共通了解下のことは差別ではない!


□「差別」を規定する原則とは?

  女性のエロス的身体的価値と人格的価値はあいまいに重なり合う
 



◇クローン技術や生命操作をそれほど危惧することは…

□私たちの周りには生命操作があふれている

 人間に関する「生命操作」をやってきている
避妊、中絶、不妊手術、人工早産、未熟児哺育、人工栄養 
排卵促進、人工授精、体外受精、延命措置、メガネ…

   ◎ 人間はそういった業を負ってきている


□遺伝子決定論への盲信

 遺伝子は人間の形態的側面を方向付ける一条件ではあっても、意志や人格や生の
あり方を絶対として決定づける

   可塑性を持つ


□クローン技術の気持ち悪さはどこから来るのか


□クローンは個体的な主体としての統覚の自明性をぐらつかせる

 ◎ 大半の人はクローン技術などにかかわりたくないと感じている




◇新たな共同体のヴィジョンを目指して

□物差しを失った日本人の精神

 ソビエト社主崩壊に伴う知識人のアイデンティティ喪失

 日本に対するアメリカの支配力の相対的な後退

 天皇制の弱体化


□日本人は「他者依存性」から脱却できない

 日本人は西欧並みに強い「個」を確立することは無理

独特の相互依存の精神構造


□個人と社会との関係を生き生きとさせる条件は何か
 
 ① 人は、個人のみによっては生きられず、関係によって生きる

 ② 人が関係に於いて重要視しており、しかも、これを捨ててしまっては関係そ
  のものが成り立たないと考えられる条件は二つである
    (a)相手から気に入られること
(b)何らかの役割に於いて生きること

 ③ エロスの原理 (a)

 ④ 社会の原理  (b)

 ⑤(a)(b)は排他的である

 


◇卑怯な言説者の登場
 
 芹沢俊介 VS  佐藤通雅(高校教師・歌人)
吉本隆明  「そんなに言うなら、あなたがここに来てやってみなさい」
芹沢俊介はお子様教
  「芹沢は自分は逃げ腰のくせに人に向かって神になれ仏になれと要求してい
   る」

 斉藤二郎(お子様教)
コーヒーを入れながらカタストロフィを見据える







☆「生涯一年生教師物語」第9章 阪神大震災時代 鹿島和夫 月刊「少年育成」より ①【再掲載 2012.11】

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第9章 阪神大震災時代

1 その日のこと

 その日の朝、ぼくは、何か眠れずに起きてしまっていた。


 昨夜、岸本さん夫妻や春川さんが遊びにきて、久し振りに歓談のひとときを過
ごしたものだった。


 酒をしこたま飲み、酔っぱらって早くから床につき熟睡できるはずだったのに、
早くから目を覚ましてしまっていた。


 階下の自分の部屋に入り、ワープロを入力し始めた。


 昨夜は、痛飲したため、子どもの作品を学級通信に整理するのが残っていた。


 確か小さな地震があったように思ったが、みんな楽しく語らっていたために、
さほど気にならなかった。


 そういえば、夕方の6時頃だったか、やらないで過ごしてしまっていた。


 やがて、5時46分ぐらいであっただろうか。


 全部の入力が終り、印刷にかかろうとした時だった。


 ドドッと音の津波が西の方角から聞こえてきたかと思うと、部屋の電気がバシ
ッと消えてしまった。


 とたんに、真っ暗闇になった部屋が揺れだした。


 地震だ!


 ぼくは、咄嵯に、左手を伸ばして都市ガスの火を消していた。


 闇夜の中で、部屋が右に揺れ左に揺れる。まるで、大嵐の中をさまようヨット
の船底でいるようだ。

 ワープロが投げ出され、プリンターの台が横に倒れ、押し入れの道具が飛び出
て本棚がドタドタとぼくの体にかぶさってきた。


 手で上にあげようとしても、ガンとして動かない。


 ぼくは必死の思いで本棚の下から這いずり出てきた。


 そして、散らばった本の上を這いながら人目のドアの所にやってきた。


 開こうとノブを引くがなにか道具がさえぎっていて開かない。


 どうしてなんだろう。


 引けども押せどもビクともしない。


 ぼくは焦った。


 ガタガタと震えが止まらない。


 そのうちに地震は、収まっていた。


 とたんに静寂がやってきた。あたりはシーンとして人声も聞こえない。


 「オーイ」


 ぼくは、大きな声で怒鳴ってみたがだれも答えない。


 2階で寝ている家内はどうしているんだろうか。


 3階で寝ている娘は。


 ともかく、脱出しなければ。


 闇の中、手さぐりで、何かあるのか、探ってみた。


 南側の雨戸は、きちんとしまっている。


 電動シャッターで動く西側の窓はぴしっと閉められている。


 真っ暗な密室というのは、恐怖の世界のように思える。


 明りが欲しい。


 懐中電灯はどこに置いていたのか。

 

 そうだ、廊下の物入れにあるはずだ。


 ぼくは必死で机やプリンター台を押しやり、ドアを開こうとした。


 すると、神の助けか、ほんのと数センチほど開いたではないか。


 あわてて足を差し入れ、体を押し入れてみた。


 なんとか、ぼくの肥満体が抜け出ることができた。


 廊下も真っ暗。


 手さぐりで物入れの場所にいってみた。


 物入れの中も散乱している。


 確か棚の中ぐらいに置いていたから、このあたりに落ちているはずだ。


 やっと、手に懐中電灯があたった。


 あわててスイッチを入れてみる。


 さっと光線が光る。


 「わっ、これは、何だ」


 あたりは雑具がばらまかれているではないか。


 本棚は、真っ二つに割れて、ガラス戸は粉々。


 ワープロは転がり、プリンターはコードが引きちぎられている。


 本やらフロッピーやCDが、足の踏み場もないぐらいに散乱している。


 ひどい。


 ひどい、これはひどい。


 その時になって、あわてて家族の事を思い出す。


 「お-い。だいじょうぶか!」


 「だいじょうぶ!」と家内の声。


 ぼくは、あわてて、階段を駆け上った。


 2階の居間に入ると、そこにも、すさまじい修羅場が展開されていた。


 ピアノは、壁と何回か衝突を繰り返したのだろう。


 横転している。


 ぼくの自慢のオーディオセットも、応接セットもみごとに粉砕されている。


 家内と台所へ。


 なんと、システムキッチンの食器棚に入れてあった道具や大きな皿や日常的に
使っている茶わんや食器が、観音開きの戸棚からすべて投げだされていた。


 それも、ふるいにかけたように茶碗が割れているため、まるで、砂利のように
粉々になって。


 「これは、酷い」


 家内は、泣かんばかりに眩く。


 とたんに、また、ドドドッと建物が揺れる。


 「怖い、余震だ。早く、外へ逃げよう」


 ぼくたちは、あわててパジャマ姿のまま外へ飛び出した。


 「わっ、これは、なんや」


 ぼくは、驚きの声を上げてしまった。


 そこで見た外の景色が一変していたからである。昨日までに見ていた、あの風
景は、どこにもなかった。


 向かいの鉄骨の建物が前に移動している。その隣の文化住宅が道路側に落ちて
いる。


 下には、家を支えるようにして、トラックがひしゃげていた。


 奥まった所に建てられていた古いアパートは、1階がなくなってしまっている。


 西側の建物も、ほとんどぶっ倒れている。


 東側の金持ちの総ひのき造りの豪邸が、無惨な姿に変貌している。


 瓦が落ち壁が落ち、建っていることで、かろうじて以前の姿をとどめている。


 ぼくは、再び震えがきて止まらなくなってしまった。


 ぼくの家だけは、建ち残ったんだ。


 これは、特異な出来事なのだ。


 ぼくは、いままでにも何回か地震を体験しているが、家が倒壊したような事実
を実際に見たことがないし、経験したこともない。


 だから、地震を体験しても、家が建っているということは、別に不思議なこと
でなかった。


 外に出たとき、わが家が、建ち残っていることには、なにも疑念を抱かなかっ
た。


 ところが、外に出た途端に、周りの家は、ほとんど壊滅状態になっている。


ということは、わが家だけが残ったということは、特別なことだったのだ。


 再び、ゴオーッと轟音が聞こえる。


 道路に出ている人が、「余震だ」と叫ぶ。


 とたんに、道路がミシミシと揺れ始める。


 「わあ、こわい」と嬌声があがる。


 暫くすると、静かになる。


 向かいの文化住宅に対して、L字型にアパートが立っている。


 奥をみると、完全に崩壊している。


 ぼく自身、放心状態になりぼんやりと見つめていたのだが、その時、奥から、


「だれか、助けて。助けてやって」


という中年婦人の声が聞こえたのである。


 そして、その狂乱した様子から、初めて気がついたのだった。


 「そうか、埋もれている人がいるんだ」


 ぼくたちは助かったけど、生き埋めになっている人がいる。


 そういえば、あのアパートには、独り身の人たちが多く住んでいたように聞い
ていた。


 交友はなかったから、名前も知らないし顔も知らない。


 そこに往んでいた人たちはだれも出てきていない。


 ぼくの右前の家の木造家屋は、ちょうど一年前頃に引っ越ししてきた人の筈だ。


 その家の息子が右往左往している


 「お父さんとお母さんと妹が埋まったままなんです」


 必死に助けを求めるがぼくには、どうしてやったらいいのか手の打ち様がない。


 懇意にしている三軒隣の酒店も崩壊している。


 おばあちゃんが寝ているはずだが、どうなっているのだろう。


 裏手の家も、すべてぺっしゃんこだ。


 ぼくは、マンションからふらふらと表通りを出て、国道二号線沿いを西に向か
って歩いていた。


 通りの木造家屋は、すべて倒壊していた。


 よく食べにいった食堂、毎朝、買っていたパン屋さん、なじみの散髪屋さん、
みんなみんな無残な姿を呈していた。


 助けてと泣いている男がいる。


 必死になって家屋を除けようとしているが、ほとんど動かないい。


 まわりが、こんなに崩壊してしまったのに、ぼくたち家族は、よく助かった
ものだ。


「子どもが、埋もれているんです。助けてやって」


 人々が、狂乱のように泣き叫んでいる。


 ぼくは、あてもなく西へ西へと歩いていった。


 しばらく歩くと、毎日、通勤時に見慣れていた巨大な宮地病院が崩壊してい
た。

 鉄筋コンクリートの一階部分が崩れ落ちている。


 何人かの職員や看護婦さんたちは、入院患者を運び出していた。


 そして、二人の当直看護婦さんが閉じこめられていると聞いた。


 ぼくは、唖然として急ぎ足で家に帰ったのだった。





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