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石井式漢字学習 石井勲 (『致知』2003年12月号より) ⑥ /「司馬遼太郎が語る雑誌言論100年」中央公論社 1998年 ②【再掲載 2013.7】 [読書記録 教育]

今回は、5月20日に続いて、月刊誌『致知』2003年12月号より、
石井勲さん「石井式漢字学習」の紹介 6回目です。


『致知』での小堀桂一郎さんとの対談です。

話し言葉ですので、わかりやすいと感じました。



もう一つ、再掲載となりますが、
「司馬遼太郎が語る雑誌原論100年」②を載せます。
昭和2年にイギリスの評論家が語っていたとされる言葉が、
印象に残りました。







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☆石井式漢字学習 石井勲 (『致知』2003年12月号より) ⑥

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◇「漢字は心の珠を磨く道具だ」

小堀 
  それから、国語力を養成する際に決定的に大事なことは何かという
 と、やはり歴史的仮名遣いです。私どもはこれを正仮名遣いと呼んで
 いますが、この正仮名遣いで文章を読ませなければ真の国語力はつき
 ません。
   
  ではどうやって教育すればいいか。これは私の持論なのですが、国
 語教育で現代文はやらなくていい、古典教育だけやればいいのです。
 古典の文章は、当然歴史的仮名  遣いで書かれていますからね。
   
  この歴史的仮名遣いも、長い歴史の中でその法則性が見失われてす
 っかり乱れてしまうという時代が長く続きました。それを元禄時代に
 契沖が、仮名の本質に潜んでいる法則を再発見し、それから江戸時代
 の国学者たちが長い時間をかけて研究を重ね、漸く正しい綴りが出来
 上がっていくのです。
   
  その法則が確認され、どうやら体系化に成功したのは明治40年代
 になって、と見られています。そんなに長い時間がかかっているので
 す。ですから、なぜ歴史的仮名遣い、正仮名遣いで文章を読ませ綴ら
 せることが大事かというのは、そこには学問的に確認された正しさと
 いうものをよしとする感覚があるからなのです。これは非常に大事な
 ポイントで、これを以て日本人に法則に基づく正しさを尊重する、正
 しいことを価値とするという、価値観の復興が望めると思うのです。
   
  ところが現代仮名遣いは、ただ覚えやすさ、使いやすさ、便利さと
 いうものを基準にして作られている。それでは正しさへの感覚という
 ものが養われないのです。

  国語において正しさの感覚が失われてしまうと、それがあらゆる面
 に表れてきます。世に生きていく上で、正しさよりも便利さ、能率、
 安上りということのほうが大事になってしまう危険がある。


石井 
  いまのお話には大賛成ですね。私もいま書いている本の中に、
「戦後の日本人の堕落の原因の第一は、伝統的仮名遣いを廃止して表音
 的仮名遣いを採用したことにあります」
 と書いたんです。

  ですから、なんとしても現代仮名遣いを廃止して、伝統的な仮名遭
 いを復活させなければいけない。私はこれを、残りの人生を懸けて取
 り組もうと考えているんです。


小堀 
  全国民に普及するには時間はかかるでしょうが、これは絶対にやら
 なければなりません。
   
  しかし完全に普及するまでは、当面は寛容さが必要であると思いま
 す。寛容というのは決してどちらでもいいということではなく、法則
 的に正しいものは正しいと認めた上で、しかし直ちに一般の人々がそ
 の通りに綴れたり、読めたりすることを強要するわけではない。

  しばらくは寛容に対応することが大事です。そうすれば徐々に普及
 していって、日本の国語教育も回復していくと私は思います。


石井 
  私はそれを小学校で具体的にやってきたんです。正しいことを教え
 て、それをとにかく実行しようとすればいいんだと。ですから、子ど
 もが漢字を間違ってもバツをつけないほうがよい。

  一番やる気をなくさせるのがバツなんです。それもどうでも好いよ
 うな、点の位置が離れているとか、向きが違うとかいってバツにする。
 これが一番子どものやる気をなくさせています。


小堀 
  子どもが漢字嫌いになるのがわかりますよ。はねるか、止めるか、
 などという些末なことですぐにバツをつけられたりしますからね。


石井 
  それらしく書いてあれば用は足りるんです。それでも、やる気のあ
 る子どもはよりいいものを求めますから、現状で決して本性は満足し
 ないんです。それを信頼して教育をやらなければいけないというのが
 私の教育論なんです。


小堀 
  しかし、専門の文学者や評論家と称する人の中に「現代仮名遣い賛
 成」という人は、後を絶たないですね。私はその連中との論争になり
 ますと、結局は
「わかった。あなた方は昭和17年に、日本陸軍に占領された東南アジ
 アの国々の人たちと同じ水準になりたいんですね?」
 と言って袂を分かつのです。相手にとっては痛くも浮くもないでしょ
 うけれどもね。


石井 
  歴史的仮名遣いは、成人してからでも、やれば誰だってできるんで
 すよ。本当は生まれた時からやれば、何の迷いもなくすんなりといく
 んですが、原理というものは簡単で自然なものですから、途中からだ
 って自然に身についていくんです。
   
  40年ほど前に、数学者の岡潔先生にお会いした時にいただいた言
 葉が忘れられません。

 「あなたは日本のためにとてもいいことをやってくれている。漢字は
  心の珠を磨く道具だから、頑張ってくれ」

と。


小堀
  いい言葉ですね。


石井 
  以来私はそれを合言葉に、日本中に漢字教育を広めようと思ってや
 ってきたんです。









☆「司馬遼太郎が語る雑誌言論100年」中央公論社 1998年 ②【再掲載 2013.7】

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◇戦争総合雑誌の挫折

□菊池寛の「文藝春秋」  大正12年1月創刊
 米国プラグマティズムとよく合った

友達思い 
  → 才能を愛した
紙袋の大きさと頼もしさ
「座談会」形式

   
□大陸政策への抗議
 「中央公論」リットン報告書 昭和7年に掲載

 軍部批判 石橋湛山 小日本主義

イギリス アウタルキー理論
朝鮮 略奪しただけで何も受けていない

     植民地は損


□発禁切り取り 
 昭和12年  中央公論9月号 矢内原忠雄 全文削除

昭和10年  美濃部達吉「天皇機関説」事件

  学問の自由への圧力

 昭和8年  滝川事件     


□言論弾圧   廃業へ
昭和17年中央公論1月号
   三木清「戦時認識の基調」

 横浜事件
   日本言論界に致命的打撃

 昭和19年
   4月 文藝春秋 → 文芸誌に転換
7月 改造社と中央公論社「自主的廃業」

 昭和2年 イギリスの評論家
「日本は滅びるでしょう。日本の軍人は世界一だと言っている。すべて
   において世界一だと言っている。そこにはまったくリアリズムがない。
   このまま行けば,軍人が政権に近づき,政権を握ったとき日本は滅び
   るでしょう。」 



◇戦後言論の潮流

□多くの総合雑誌の再建と出発
昭和20年10月 「新生」

昭和21年 1月
   「中央公論」復刊
「改造」
「世界」(岩波書店)
「展望」(筑摩書房)


□「世界」の平和論


□新しいタイプの言論人の登場
大宅壮一  
   「駅弁大学」
   「恐妻」
   「一億総白痴化」
中央公論昭和30年5月号「無思想人」宣言

 梅棹忠夫  
   中央公論昭和32年2月号「文明の生態史観序説」
文化人類学 今西錦司

 見直されるべきジャーナリズム
 


◇解説・明治編 松木三之介
□啓蒙期の代表者・福沢諭吉
 
 明六雑誌 明治7年3月創刊

 福沢諭吉 
   「西洋事情」(明2)
「学問のすすめ」(明5~明9)
「文明論之概略」(明8)

 加藤   
  「立憲政体略」(慶応4) 
  「真政大意」(明3)
「国体新論」(明8)


□民権運動が生んだ気骨ある言論
明治十年代
   「愛国志林」(明13~)   植木枝盛
「東洋自由新聞」(明14)  西園寺公望社長 中江兆民主筆
「東洋経済雑誌」(明12.1)田口卯吉
「東海経済新報」(明13.8)犬養毅


□明治国粋主義の骨格
明治二十年代~
  「国民之友」(明20.2~)徳富蘇峰
「日本人」(明21.2~)
「日本」(明22.2~)


□政治の季節への反省が生んだもの


□キリスト教・社会主義者による体制批判

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コメント 4

tyuuri

 対話とは言え、「歴史的仮名遣い」の復活を主張するお二人の会話が、現代仮名遣いで記述されているのは、意味深い。それは、「歴史的仮名遣い」への復古が完全に無理であることを示している。大衆の手に放たれた言語規範は、一部の懐古主義者によって変えられることが無いことの歴史的結果だ。
by tyuuri (2022-05-23 05:54) 

そら

漢字、言葉、国語教育から始まって、人を認め成長させる深いお話ですね。
バツって簡単で、分かりやすい評価なんですよね。
教育だけではなく、生きる上での大切なことだと思いました。
by そら (2022-05-23 08:14) 

ハマコウ

tyuuriさん ありがとうございます。
歴史的な仮名遣いも読めるよと言えるくらいになるのも、
なかなか大変だと思います。
by ハマコウ (2022-05-23 13:54) 

ハマコウ

そらさん ありがとうございます。
×を付ける場合でも、その付け方で子どもの反応に違いがありますね。
by ハマコウ (2022-05-23 13:57) 

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