SSブログ

「大人になれないこの国の子供たち」町沢静夫  PHP 1999年 ③ /「一隅を照らす」 - 『小さな人生論』藤尾秀昭 致知出版社 2003年より【再々掲載 2011.11】 [読書記録 教育]

今回は、7月5日に続いて、町沢静夫さんの
「大人になれないこの国の子供たち」の紹介 3回目です。



出版社の案内には


「本書は、精神科医の視点から、今の子どもたちがいかに成熟を拒否し、
 大人になる責任から逃れようとしているかを論じたものである。そも
 そも大人になるとはどのようなことか。著者は4つのポイントをあげ
 ている。まず、自己の内面や感情のコントロールができること。第二
 に、独立心の獲得。第三に、人生の目標や計画を主体的に形成できる
 こと。第四に、他人への思いやりや共感があることである。このよう
 な点から見れば、現代の子ども(青年)たちがいかに幼稚であるかが
 わかるだろう。そして数々の症例をもとに解説している。不登校の原
 因、普通の子どもによる凶悪犯罪、行きすぎた潔癖主義、ボーダーラ
 インと閉じこもり、拒食症と強迫神経症等々。 著者の考えでは、こ
 れらの根本問題は『母子密着』をどう解決するかであると指摘する。
 母性社会ニッポンのゆがんだ構造がみえてくるだろう。豊かな国の寂
 しい子どもたちの心の危機がリアルに伝わってくる好著である。」


とあります。


今回紹介分より強く印象に残った言葉は…

・「少子化による母子密着・母子共生のために母子密着によるしつけの
  失敗があるのではないか。母親の温もりから出られずにいる子ども
  が見られる。愛されるばかりでしつけを施してもらえず、しつけ不
  足となり、対人関係能力の低下、感情のコントロールの低下、共感
  能力の低下が見られるようになったのではないか。」


・「『学校へ行け』と言わないのは人権派の勘違いではないか。殆どの
  子は『行きたいけれど行けない』のだ。実は当人たちの本音を知ら
  ないという意味で非人権的だと思ってしまう。多くの不登校児は学
校へ行くことを楽しみにしているのに。」


・「傷付きやすいために学校への登校を拒否し,それを本格的ないじめ
と受け取ることはいささか不可解なことであり,それはあまりジャ
  ーナリズムに支配されて現状を見ていない。不登校の子供たちは、
  そのきっかけの殆どはいじめだと述べる。しかし,内実は…」


・「学校に行かなくなれば学力が落ち友達を失う。半年や一年たって
から精神科医の所を訪れても遅すぎる。早ければ早いほどよい
迷っている時こそ当人の中に入ってあげるのが本当の人権派では
ないのか」



かつて「登校拒否は三日が勝負」という言葉がよく言われました。
いろいろな考え方があるのですが、町沢さん考えが、
わたしにはよく分かります。




もう一つ、再掲載となりますが、藤尾秀昭さんの『小さな人生論』より
「一隅を照らす」を載せます。


七夕の昨日も一昨日に続き午後3時頃より雷雨となりました。
農作業が進みません。
暑さ厳しき折、外に出ないで済む理由ができ、ほっとする気持ちもあり
ますが。
ただ、確実に作業が遅れています‥。





<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト







ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
2.jpg






<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。






☆「大人になれないこの国の子供たち」町沢静夫  PHP 1999年 ③

1.jpg

◇豊かな国の寂しい子供たち(2)

□普通の子どもが何故犯罪を

 非行歴のない少年による凶悪犯罪
少年犯罪 
     第一の波 
       戦後混乱期 家出・売春・刑法犯多
第二の波 
       高度成長期 少年犯罪の悪質化 都市流入少年の犯罪
第三の波
       昭和50年~平成4年
第四の波 
       平成7年から


 今日の非行
① 凶悪・粗暴かが目立つ

② 非行歴のない少年による重大な非行が目立つ

   ③ 遊ぶ金ほしさでの犯行歴

   ④ 集団非行が目立つ

   ⑤ 模倣犯が目立つ


 少年内面
① コントロールできない

   ② 自分の感情を言語化し表現する力が低下している

   ③ 被害者・周囲の受ける悲しみについての認識・欠如


 幸福感の希薄な日本の子供たち
精神的な病気になる不安を抱いている

  少年犯罪の多くは社会からドロップアウトした人たちによる
学歴社会  
       勝者と敗者 = 単純な価値観が人生の失望を
母子密着によるしつけの失敗
少子化による母子密着・母子共生
→ 母親の温もりから出られずにいる
愛されるばかりでしつけを施してもらえず

◎しつけ不足 対人関係能力の低下 感情のコントロールの低下
    感能力の低下



□不登校の根本的問題とは

 「学校へ行け」と言わない人権派の勘違い
◎殆どの子は「行きたいけれど行けない」
∥ → 実は当人たちの本音を知らないという意味で非人権的
   ◎あまりにも冷たい言葉
◎ 「集うこと」「話し合うこと」を忘れた子供たち
◎ 多くの不登校児は学校へ行くことを楽しみにしている
 ・みんなが集ってくるから
・みんなが話し合っているから
          → 楽しみ
・みんなが遊んでいるから

    ◎ そういう楽しみを放棄して学校に行かないのは彼等がそうとう
     の犠牲を払っていることになる
       = 学歴中心主義 権威主義
※ 集うことのなさが根底に


 傷付きやすさが問題を生む
登校拒否
    - 母子密着 
        最終的には母親が守ってくれる

学校では 
       … 守ってくれる人がいなくなる 
       → 傷付く
      ◎ いざ守られないとなると、瞬く間に不登校

   
   現代の子が抱えている問題の一つ
 ◎「傷付きやすさ」
 傷付きやすいために学校への登校を拒否し,それを本格的な
     いじめと受け取ることはいささか不可解なことであり,それは,
     あまりジャーナリズムに支配されて現状を見ていない。

◎ 不登校の子供たちはそのきっかけの殆どはいじめだと述べる
しかし,内実は…
「自分がクラスの仲間に入れない」
「友達が声を掛けてくれない」
「学校の先生が自分に優しくしてくれない」
= くれない族
◎ いじめか学校の不当な態度か子供たちの問題か?

※ 受け取り方の問題


 受験校と底辺校との違い
受験校の不登校 - 大半が成績の問題
努力しても上がらない - 閉じこもり(家庭用)
   自尊心が傷つけられることによる

   底辺校の不登校 - どうせドロップアウト - 投げやり
恐ろしい行動
      - かつあげ 授業妨害

先生方 強靱な体力と精神力


   対応の遅れが不登校を深刻にする
◎ エリートの先生には人権や教育の基本が十分身に付いている
     人が意外に少ない
教師 = 日本全体の視野で

   登校拒否の「二次災害」
学校に行かなくなれば学力が落ち友達を失う

◎半年や一年たってから精神科医の所を訪れても遅すぎる

◎早ければ早いほどよい
迷っている時こそ当人の中に入ってあげるのが本当の人権
     ではないのか

   その時こそ本音を話してくれるし対策を練ることもできる
   |
◎ それなのに登校刺激を与えないということで,その根を深め,半
    年や一年もたって精神科医も解決できないこと事態に陥ってしまう
    のはいかにも愚かなこと







☆「一隅を照らす」-『小さな人生論』藤尾秀昭 致知出版社 2003年より【再々掲載 2011.11】

◇一隅を照らす

「古人言く、径寸l枚、これ国宝に非ず。一隅を照す、これ則ち国宝なりと」

 伝教大師最澄『天台法華経年分学生式』の冒頭に出てくる言葉である。

 これは最澄の師、唐の湛然の著『止観輔行伝弘決』にある次の話を踏まえ
ている。

 むかし、親王が言った。

「私の国には直径一寸の玉が十枚あって、車の前後を照らす。
 これが国の宝だ」。

 すると、斉王が答えた。

「私の国にはそんな玉はない。だが、それぞれの一隅をしっかり守っている
 人材がいる。それぞれが自分の守る一隅を照らせば、車の前後どころか、
 千里を照らす。これこそ国の宝だ」
と。

 この話にこもる真実に深く感応したのが、安岡正篤師である。
 爾来、安岡師は「一燈照隅」を己の行とし、この一事を呼びかけ続けた。


「賢は賢なりに、愚は愚なりに、一つことを何十年と継続していけば、必ず
 ものになるものだ。別に偉い人になる必要はないではないか。社会のどこ
 にあっても、その立場立場においてなくてはならぬ人になる。その仕事を
 通じて世のため人のために貢献する。そういう生き方を考えなければなら
 ない」


 その立場立場においてなくてはならぬ人になる、一隅を照らすとはそのこ
とだ、という安岡師の言葉には、私たちの心を奮起させるものがある。

 国も社会も会社も自分の外側にあるもの、向こう側にあるもの、と人はと
もすれば考えがちである。

 だが、そうではない。そこに所属する一人ひとりの意識が国の品格を決め、
社会の雰囲気を決め、社風を決定する。
 一人ひとりが国であり社会であり会社なのである。

 世界が激しく揺れ動いているいまこそ、一人ひとりに一隅を照らす生き方
が求められているのではないだろうか。


nice!(148)  コメント(2) 
共通テーマ:学校

nice! 148

コメント 2

yokomi

一人ひとりが国であり....には同感です。自分を磨くほかに、人を見いだし、導いてやるお役目の方も欲しいですね(^_^;)
by yokomi (2022-07-09 00:20) 

ハマコウ

yokomiさん ありがとうございます。
一人の中に各省庁のようなものがあると考えると、私には厚労省的な仕事が重要になるでしょうか。外交も大切になりますね。

by ハマコウ (2022-07-09 07:32) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。