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「梅原猛の授業 道徳」梅原猛 朝日新聞社 2003年 ② /「杉並区立和田中の学校改革」苅谷剛彦・清水睦美他 岩波ブックレット№738 2008年 ①【再掲載 2012.12】 [読書記録 教育]

今回は、11月24日に続いて、梅原猛さんの
「梅原猛の授業 道徳」2回目の紹介です。





出版社の著者紹介には

「大ベストセラー『梅原猛の授業 仏教』につづくシリーズ第二作で、哲学者
 は、道徳をテーマに選びました。前巻と同じく、京都の洛南中学での授業
 をもとにまとめた、難しいことをわかりやすく解説する絶好の入門書。
 中学生、高校生はもちろん、その親たちまで、だれが読んでも大丈夫。現
 代の日本人にとって、何が大切なのか、何を中心に生きていくべきなのか。
 生半可な知識をもとにした凡百の生き方書とは異なる、深い学識と洞察に
 もとづく必読書。」
 
とあります。



今回紹介分より強く印象に残った言葉は…

・「観音さまはどこにもいる。観音崇拝を言い換えると母親崇拝にあたるので
はないか。観音さまの愛は平等の愛とも言える。」


・「マルクス主義は人間の見方に無理があるように思う。搾取は資本主義社会
以上にひどかったのではないか」


・「教育勅語こそ伝統を重んじない思想の最たるものである。『教育基本法に
は国家を愛するという精神がない』という政治家には、権力の中枢部に
  いて、さんざん私利を追求している人が多いように思う。私利を追求し
ている政治家が自分の命令に唯々諾々と従う人間をつくるために国家を
愛することを学校で教えろと言っているように思われる。政治家たちが
本当に国を愛し人類を思い私利を超えた自利利他の政治をすれば自然に
若者たちに国を愛する心がおこるものだ」


・「アイヌの『イオマンテ』はクマの霊をあの世に送る儀式である。縄文時代
  の貝塚は『貝のお墓』といえるのかもしれない。貝はおいしい貝の身をお
みやげとしてやってきたお客さんだ。そのお客さんの意志に従って身をい
ただいて、貝の霊をあの世へ送り返すのが貝塚だ。殺生はいけないのだが、
人間が生きていくためには必要だからどうかその身や肉をくださいという
  考え方。」




もう一つ、再掲載になりますが、苅谷剛彦さん清水睦美さんらによる
「杉並区立和田中の学校改革」を載せます。
リクルートから和田中の校長となった藤原和博さんが、
当時、よくメディアに登場していました。
教育の効果は長い時間を経てからわかると言われます。
現在の状況が気になります。





<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。






☆「梅原猛の授業 道徳」梅原猛 朝日新聞社 2003年 ②

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◇第四限 自利利他の行と仏教・キリスト教

<道>

□徳は家庭の中で成り立つ
夫婦関係 -  自利利他 -  夫婦愛
親子関係 -  利他   -  親子愛


□二人の母の利他行でわたしは生きている  
  知多半島


□人類最初の宗教は大地 = 女神崇拝
東洋 -  道徳の源は家庭にある
    
  大地母神

  仏教 2世紀に龍樹によって大乗仏教
利他行と強調

◎ 利他行の仏さまの代表が観音さま
菩薩 - 利他を実践する仏の候補者

  観音さま - 三十三身、三十三の体になって人を救う
あるいは女性、あるいは老人、あるいは子ども

◎ 観音さまはどこにもいる
観音崇拝 = 母親崇拝
観音さまの愛は平等の愛

  阿弥陀様  - 浄土宗 浄土真宗
お念仏を唱えれば死んだ後には必ず極楽浄土へ連れて行ってくださる |
◎ 差別しない = 平等の愛


□母の愛を宿した世界の二大宗教
大乗仏教 ~ 母のイメージ
大地母神のイメージが観音崇拝・阿弥陀崇拝に

  キリスト教
マリア崇拝 処女マリア崇拝

  ◎ 大地母神はいろいろな宗教で




◇第五限 自利利他の道徳と社会  家族・会社・国家

□自分の道を選んだら責任をもって自分の道を進まなければならない


□家族のエゴイズムを超える想像力
◎ 立派な人間は逆境をプラスにする
      逆境~コンプレックス
遠藤周作 「コンプレックスを励みにすることが大切だ」
湯川秀樹 「コンプレックスが立派な仕事を生んだ」

  釈迦 「人は結婚してはいけない」と考えた
結婚するといろいろな欲望にとらわれる
愛にとらわれるから
↑↓
しかし… 結婚して子供を持つのが普通ではないか?


□会社の運営も自利利他の考え方で
マルクス主義 - 人間の見方に無理がある
しかし、搾取は資本主義社会以上にひどかったのではないか


□会社は外に開かれねばならない
真の和がある会社が栄える
決定を下すのは長 - 孤独
会社そのものにも道徳が必要


□国家という怪物に支配された二十世紀
国家
    言語共同体
血縁共同体
歴史共同体

  ◎ 教育勅語こそ伝統を重んじない思想の最たるもの

「教育基本法には国家を愛するという精神がないという政治家には、権
    力の中枢部にいて、さんざん私利を追求している人が多いように思う」

 私利を追求している政治家が自分の命令に唯々諾々と従う人間をつ
    くるために国家を愛することを学校で教えろと言っているように思わ
    れる

 政治家たちが本当に国を愛し人類を思い私利を超えた自利利他の政
    治をすれば自然に若者たちに国を愛する心が起こるもの




◇第六時 第一の戒律 人を殺してはいけない

□第一戒律 
 「人を殺してはいけない」
   モーセの十戒 第六「殺してはならない」

  釈迦の戒律  
    戒、 定、 慧
戒律 瞑想 知恵
戒律の第一「生きとし生けるものを殺してはならない」


□二十世紀は殺人の時代、二十一世紀は?
旧約聖書 「殺すなかれ」 - 同じ神を信じている者のみ

  カント 「永久平和論」


□アイヌ思想の根底にある共生と循環
仏教     「殺生戒」生きとし生けるもの

  キリスト教  殺してはいけないのは人間のみ

アイヌ    「イオマンテ」クマおくり = クマの霊をあの世に送る
「イ」それ
           「オマンテ」送る 
 
  貝塚- 縄文人 貝のお墓
貝はおいしい貝の身をおみやげとしてやってきたお客さん。
       そのお客さんの意志に従って身をいただいて、貝の霊をあの世
      へ送り返すのが貝塚。

◎ 殺生はいけないのだが、人間が生きていくためには必要だか
       らどうかその身や肉をくださいという考え方。 

  アイヌ人  木一本切るにも、  
 「木の神様、私は、この木がどうしても必要です。どうぞこの木を
      ください」と頼んで、木を切る。そのかわり、必ず接ぎ木をして
      次の木が生えるようにしておく。

◎ 共生と循環の思想が根底にある
     
  仏教
   ~ 「無用に」生きとし生けるものの命を取ってはならない 
↑↓
宮沢賢治


□殺し殺される世界に絶望した「よだか」
 明治以後の文学者 - 自我中心主義  - 私小説
人間中心主義
↑↓
宮沢賢治 
    ◎ 生きているものが殺し合いながら愛し合う世界を書き続けた
「よだか」
       生きとし生けるものの殺し合いの世界に絶望したよだかは菩薩
      になる。よだかは菩薩に変わって天に舞い上がり星になる。







☆「杉並区立和田中の学校改革」苅谷剛彦・清水睦美他 岩波ブックレット№738 2008年 ①【再掲載 2012.12

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◇はじめに 苅谷剛彦
□藤原和博(リクルート出身) 
① よのなか科

  ② 特別授業

  ③ ドテラ(土曜日寺子屋)

  ④ 夜スペ

  ⑤ 地域本部

 
□キーワード
  ①「二つの顔」 
      改革     … 表の顔(ハレ)
普通の中学校 … 裏の顔(ケ)

②「内からの改革」と「外からの改革」
資源の制約という問題に真っ正面から向き合った
→ 外部資源の活用が教師集団の再活性化につながるかどうか

 
□調査の方法 スクールエスノグラフィー 
  参与観察を中心とした調査方法と学力調査を含む質問紙調査

  03年度からの3年間

 
□和田中とはどんな学校か
2003年度 6学級・169名

2005年度 7学級・213名

  2008年度 11学級・392名 →  5年間で2倍以上に!

就学援助率約3割,ひとり親世帯約2割



◇第Ⅰ部 スクールエスノグラフィー

1 和田中とその生徒たち-「普通の公立中学校としての顔」
   和田中の生徒たち 
      入学時点で男子29名,女子20名,合計49名の2クラス

    部活・行事・試験,そして教師による指導


2 抜群の知名度を誇る学校-「和田中のもう一つの顔の誕生」
 
□世界一の学校を創る 
  ① 出島づくり 
 
  ② 社会関係資本の集中投下

③ 成果の可視化と効率性の追求

  ④ 有名性の資源化

     ↓↓↓↓↓  

  ①「出島」をつくる - 新しい実践を発信する場の創造
出島の拡大 発信=有名性

  
  ② 人的ネットワークから教育資源を引き出す
地域本部会議 - 学校評議委員会

  ③ 目に見える成果と効率性の追求
授業内容には一切介入しないが,枠組みの大きな変更を迫る

  ④ 有名性の資源化
   1 一石を投じる  
     2 さらなる教育資源追加
   3 離脱戦略(校長会脱退,PTA協議会脱退)


3 教師たちの応答
   葛藤から共存へ

   根拠と対案を求められる教師たち

   「今まで主義の否定」 
      教師自らの実践を問い直す契機に

   新しい試みを自分の実践に取り込む

   「有名性」に対する違和感  
      積極性と危険性



4 生徒への影響

□よのなか科  
   評価の幅の広さ・多元性 
    → 単なる悪ふざけの許容にもつながる

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tyuuri

 ご紹介頂いた『梅原猛の授業 仏教』の方を図書館から借りて、読んでいます。
 中学生への授業を書籍にまとめたものですが、内容は本当に深い。
 私の大学の恩師は、30数年前に57歳で心アミロイドーシスという当時治療法の無かった心臓病で亡くなりましたが、最後に親友と交わした言葉が「心無罣礙 無罣礙故 無有恐怖」(心にこだわりが無い、こだわりがないので恐怖、おそれが無い)だったそうで、ずっと後になってから、「般若心経」の一節だったことを知りました。
by tyuuri (2022-11-29 17:17) 

ハマコウ

tyuuri さん ありがとうございます。
難しいことをわかりやすく話すことの大切さを感じます。
梅原さんの話を聞くことができた中学生は大きな刺激を受けたのではないかと思われます。
死が少しずつ身近に感じるようになり、このような本を読むことが増えています。
by ハマコウ (2022-11-30 04:57) 

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