樋口清之さんはこんなことを⑥-「日本人はなぜ水に流したがるのか」 MG出版 1988年(2) / 池田潔「自由と規律」 岩波新書 1963年 ②【再掲載 2017.3】 [読書記録 歴史]
今日は5月2日、木曜日です。
今回は、4月20日に続いて「樋口清之さんはこんなことを」6回目、
「日本人はなぜ水に流したがるのか」の紹介 2回目です。
30年以上前の本ですが、要約を見直しても新鮮に感じます。
今回紹介分から強く印象に残った言葉は…
・「米は多収穫性であり籾殻を付けたままなら栄養価半減まで10年かか
る。数十年間食用可能であり米は財産、貨幣の役目を果たしていた」
・「村八分には禊ぎの意味もあった。村人集合の祝い事、助け合いについ
ては、火事と葬式以外は断った。それは一定期間であり、その後改心
して村八分を解くようお願いし金や土地を納め、わび入れ(労役奉仕
も)を行えば解かれた」
・「派閥は水権利を守る共同体に似ている。各川で独自の共同体が派生
(支流)した。反対者が出ては困るからであり、根回しが行われた」
・「水に流す性格をつくる土壌は閉鎖的人間関係であり、身内だからこそ
水に流すことができた」
もう一つ、再掲載になりますが、池田潔さんの
「自由と規律」②を載せます。
半世紀以上にわたり、読まれ続けている理由がわかりました。
☆樋口清之さんはこんなことを⑥-「日本人はなぜ水に流したがるのか」 MG出版 1988年(2)
◇水が結ぶ共同体
□日本文化は米が支えてきた
米 ・ 多収穫性
・ 籾殻を付けたままなら栄養価半減まで10年
数十年間食用可能
= 米は財産 貨幣の役目
江戸期300年も鎖国
= 米の力→欧州の経済の波に飲まれず
◎ 米は日本の政治 経済 宗教の要
□水が共同体の要であった
灌漑施設
共同作業
水源に沿った農村共同体
→ 個人より農村共同体を維持
隣村意識 水争い
わだかまりは水に流して結束を強めることにより問題解決
→ ◎「和の精神」
為政者
農村共同体を利用して支配
= 土地の支配者
◎一揆はいつも川筋に
□自然と信仰を利用した共同体
環壕集落
祭り
= 一種のエネルギーのはけ口
= 無礼講
相撲
= 田んぼを荒らし地力を増幅
どんと焼き
= 灰を田んぼに
□村八分には禊ぎの意味も
村人集合の祝い事助け合い
(火事 葬式)以外断つ
◎一定期間
その後改心して村八分を解くようお願いし「金」や「土地」
を納める
= わび入れ(労役奉仕も)
□笑いで流す罪
笑いで厄落とし
- 羽つき
□横でつながる共同体
徹底平等主義
- 何事も全員賛成の上で
→ 説得 なだめすかし同じ意見に持っていく
= 一人の反対意見のためスムーズに流れている
水を濁らせてはならない
村リーダー
反対者を丸く収める
= 和解
□「お互い様」の精神
五人組制度
= 農民側からすれば責任拡散の制度
組織で生きていくためには組織に適応しわき起こる不満
を抑えある程度水に流しつつうまく立ち回らないといけな
かった
□共同飲食
◎「今度一杯やりましょう」 つきあい確認の酒
= 飲み食いでつながる仲間意識
あいまいさ
- 中国のように全部のみ干すまで強制されない
杯に口を付けるだけで許される
横のつながりを強めた講
集会
- 宗教的な行事を名目に集まった
幕府も認めざるを得ない
いろいろな講をつくりだした
娯楽
情報交換
= 助け合い
救済制度
□団体旅行の始まりは伊勢参りから
伊勢参り 手形発行
□ヨコ社会だからこそ水に流せる
相互扶助 仲間意識
□擬制家族で絆を強める
保証人
七人の親
◇水に見る人の心
水を治めるために知恵を絞る
派閥は水権利を守る共同体に似ている
各川で独自の共同体が派生(支流)
→ 反対者が出ては困る 根回し
ギリシャ
タレス「万物の根源は水である」
◇水を敬い利用した日本人
水利用に通じていた日本人
◇水気の演出
人間まで柔らかくした湿気文化
水の文化
枯れの文化
中間色を好む
湿気水はものを薄め柔らかくする
= 曖昧さ ぼかし文化 水割り文化
濡れた感じがいい
「みずみずしい」独自の美的感覚
水引のおしゃれ
◇多湿との闘いが生んだアイデア
カビを利用した日本の味
発酵食品・旨み
干物と餅は長旅のための発想
日本人はぴったりした服が嫌い
◇擬態家族の知恵
商売は家族的団結で成功する
「うちの会社」思考
運命共同体・終身雇用制度
のれん分け
◎終身雇用制とコネは擬制家族制の延長
◇共同体精神
□日本人総身内意識
縁の社会
① 血縁
② 出身地(地縁)
③ 学閥
④ 仕事縁
コネ
= 縁的ネットワーク(共同防衛組織)
□水に流す性格をつくる土壌
閉鎖的人間関係
身内だからこそ水に流すことができる
☆池田潔「自由と規律」 岩波新書 1963年 ②【再掲載 2017.3】
[出版社の案内]
ケンブリッジ、オックスフォードの両大学は、英国型紳士修業と結びつい
て世界的に有名だが、あまり知られていないその前過程のパブリック・ス
クールこそ、イギリス人の性格形成に基本的な重要性をもっている。若き
日をそこに学んだ著者は、自由の精神が厳格な規律の中で見事に育くまれ
てゆく教育システムを、体験を通して興味深く描く。
◇パブリックスクールの生活
「中世グループ」古典尊重
「近世グループ」自然科学基調
パブリックスクールの公約数
(1)寮
(2)校長
(3)ハウスマスターと教員
(4)学課
(5)運動競技と精神
(1)寮
○ 自制耐乏の訓練
○ 共同目的貫徹に奉仕
= 運動競技重視
○ 美術蔑視○個性発展の抑圧
○ 卒業生「他人と異ならない」事を信条に社会生活
○ 監禁生活
一学期に二回の休日と一週間に一回三十分の外出
○ イギリス青少年
- 服従精神をたたき込まれる
○ ◎ノブレスオブリージ
第一次世界大戦-特権階級の子弟が率先して国難に馳せた
◎ 政治上の特権は殆ど失われていたが,なお社会的特
異な優遇を受けていた彼らの,特権を裏返しにしてそ
れにともなう義務を潔く果たそうとする祈願より出た
こと
= 感情の起伏を美徳としその誇張を不躾だとする戒律の
生まれた所以
○食事
朝・昼・お茶(夜はなし)=質素
世が終わるかと思われる嵐でさえもいつかは必ず雲が薄れる
雲の彼方には常に輝いている
小泉信三 昭和23年8月15日「自由と訓練」東京毎日新聞
- 正を正とし邪を邪とする道徳的勇気
・イギリス人のもつ良識と勇気
愛児の為にかりそめの安易を捨て得る勇気
万難に打ち勝って「困難な道」をゆく決断
勉強の時怠けることが悪いことと同じく,他人のくつろ
ぐときに一人勉強するとは悪いことである。
労働は立派なことだが,組合規定を破って働くことは罪
悪である。
◎日曜日
- 学課と運動は厳禁
日曜日の退屈さ 夜,家族に宛てた手紙
(2)校長
○ 幸運の興廃は校長の人に掛かる
○ 優れた学校には必ず優れた校長がいる
- 校長の判断と責任
厳選な人選
◎独裁者による善政
○ 校名によらずその校長の名を冠して学校が呼ばれる例も希で
はない
例 「ビシカー博士の学校」
少なくとも一学期に二回,子弟の業績についての詳細適切
な講評が校長の自筆によって全部の保護者に送られる
= 学生との日常の接触
校長 - 名門○僧籍多し
今回は、4月20日に続いて「樋口清之さんはこんなことを」6回目、
「日本人はなぜ水に流したがるのか」の紹介 2回目です。
30年以上前の本ですが、要約を見直しても新鮮に感じます。
今回紹介分から強く印象に残った言葉は…
・「米は多収穫性であり籾殻を付けたままなら栄養価半減まで10年かか
る。数十年間食用可能であり米は財産、貨幣の役目を果たしていた」
・「村八分には禊ぎの意味もあった。村人集合の祝い事、助け合いについ
ては、火事と葬式以外は断った。それは一定期間であり、その後改心
して村八分を解くようお願いし金や土地を納め、わび入れ(労役奉仕
も)を行えば解かれた」
・「派閥は水権利を守る共同体に似ている。各川で独自の共同体が派生
(支流)した。反対者が出ては困るからであり、根回しが行われた」
・「水に流す性格をつくる土壌は閉鎖的人間関係であり、身内だからこそ
水に流すことができた」
もう一つ、再掲載になりますが、池田潔さんの
「自由と規律」②を載せます。
半世紀以上にわたり、読まれ続けている理由がわかりました。
☆樋口清之さんはこんなことを⑥-「日本人はなぜ水に流したがるのか」 MG出版 1988年(2)
◇水が結ぶ共同体
□日本文化は米が支えてきた
米 ・ 多収穫性
・ 籾殻を付けたままなら栄養価半減まで10年
数十年間食用可能
= 米は財産 貨幣の役目
江戸期300年も鎖国
= 米の力→欧州の経済の波に飲まれず
◎ 米は日本の政治 経済 宗教の要
□水が共同体の要であった
灌漑施設
共同作業
水源に沿った農村共同体
→ 個人より農村共同体を維持
隣村意識 水争い
わだかまりは水に流して結束を強めることにより問題解決
→ ◎「和の精神」
為政者
農村共同体を利用して支配
= 土地の支配者
◎一揆はいつも川筋に
□自然と信仰を利用した共同体
環壕集落
祭り
= 一種のエネルギーのはけ口
= 無礼講
相撲
= 田んぼを荒らし地力を増幅
どんと焼き
= 灰を田んぼに
□村八分には禊ぎの意味も
村人集合の祝い事助け合い
(火事 葬式)以外断つ
◎一定期間
その後改心して村八分を解くようお願いし「金」や「土地」
を納める
= わび入れ(労役奉仕も)
□笑いで流す罪
笑いで厄落とし
- 羽つき
□横でつながる共同体
徹底平等主義
- 何事も全員賛成の上で
→ 説得 なだめすかし同じ意見に持っていく
= 一人の反対意見のためスムーズに流れている
水を濁らせてはならない
村リーダー
反対者を丸く収める
= 和解
□「お互い様」の精神
五人組制度
= 農民側からすれば責任拡散の制度
組織で生きていくためには組織に適応しわき起こる不満
を抑えある程度水に流しつつうまく立ち回らないといけな
かった
□共同飲食
◎「今度一杯やりましょう」 つきあい確認の酒
= 飲み食いでつながる仲間意識
あいまいさ
- 中国のように全部のみ干すまで強制されない
杯に口を付けるだけで許される
横のつながりを強めた講
集会
- 宗教的な行事を名目に集まった
幕府も認めざるを得ない
いろいろな講をつくりだした
娯楽
情報交換
= 助け合い
救済制度
□団体旅行の始まりは伊勢参りから
伊勢参り 手形発行
□ヨコ社会だからこそ水に流せる
相互扶助 仲間意識
□擬制家族で絆を強める
保証人
七人の親
◇水に見る人の心
水を治めるために知恵を絞る
派閥は水権利を守る共同体に似ている
各川で独自の共同体が派生(支流)
→ 反対者が出ては困る 根回し
ギリシャ
タレス「万物の根源は水である」
◇水を敬い利用した日本人
水利用に通じていた日本人
◇水気の演出
人間まで柔らかくした湿気文化
水の文化
枯れの文化
中間色を好む
湿気水はものを薄め柔らかくする
= 曖昧さ ぼかし文化 水割り文化
濡れた感じがいい
「みずみずしい」独自の美的感覚
水引のおしゃれ
◇多湿との闘いが生んだアイデア
カビを利用した日本の味
発酵食品・旨み
干物と餅は長旅のための発想
日本人はぴったりした服が嫌い
◇擬態家族の知恵
商売は家族的団結で成功する
「うちの会社」思考
運命共同体・終身雇用制度
のれん分け
◎終身雇用制とコネは擬制家族制の延長
◇共同体精神
□日本人総身内意識
縁の社会
① 血縁
② 出身地(地縁)
③ 学閥
④ 仕事縁
コネ
= 縁的ネットワーク(共同防衛組織)
□水に流す性格をつくる土壌
閉鎖的人間関係
身内だからこそ水に流すことができる
☆池田潔「自由と規律」 岩波新書 1963年 ②【再掲載 2017.3】
[出版社の案内]
ケンブリッジ、オックスフォードの両大学は、英国型紳士修業と結びつい
て世界的に有名だが、あまり知られていないその前過程のパブリック・ス
クールこそ、イギリス人の性格形成に基本的な重要性をもっている。若き
日をそこに学んだ著者は、自由の精神が厳格な規律の中で見事に育くまれ
てゆく教育システムを、体験を通して興味深く描く。
◇パブリックスクールの生活
「中世グループ」古典尊重
「近世グループ」自然科学基調
パブリックスクールの公約数
(1)寮
(2)校長
(3)ハウスマスターと教員
(4)学課
(5)運動競技と精神
(1)寮
○ 自制耐乏の訓練
○ 共同目的貫徹に奉仕
= 運動競技重視
○ 美術蔑視○個性発展の抑圧
○ 卒業生「他人と異ならない」事を信条に社会生活
○ 監禁生活
一学期に二回の休日と一週間に一回三十分の外出
○ イギリス青少年
- 服従精神をたたき込まれる
○ ◎ノブレスオブリージ
第一次世界大戦-特権階級の子弟が率先して国難に馳せた
◎ 政治上の特権は殆ど失われていたが,なお社会的特
異な優遇を受けていた彼らの,特権を裏返しにしてそ
れにともなう義務を潔く果たそうとする祈願より出た
こと
= 感情の起伏を美徳としその誇張を不躾だとする戒律の
生まれた所以
○食事
朝・昼・お茶(夜はなし)=質素
世が終わるかと思われる嵐でさえもいつかは必ず雲が薄れる
雲の彼方には常に輝いている
小泉信三 昭和23年8月15日「自由と訓練」東京毎日新聞
- 正を正とし邪を邪とする道徳的勇気
・イギリス人のもつ良識と勇気
愛児の為にかりそめの安易を捨て得る勇気
万難に打ち勝って「困難な道」をゆく決断
勉強の時怠けることが悪いことと同じく,他人のくつろ
ぐときに一人勉強するとは悪いことである。
労働は立派なことだが,組合規定を破って働くことは罪
悪である。
◎日曜日
- 学課と運動は厳禁
日曜日の退屈さ 夜,家族に宛てた手紙
(2)校長
○ 幸運の興廃は校長の人に掛かる
○ 優れた学校には必ず優れた校長がいる
- 校長の判断と責任
厳選な人選
◎独裁者による善政
○ 校名によらずその校長の名を冠して学校が呼ばれる例も希で
はない
例 「ビシカー博士の学校」
少なくとも一学期に二回,子弟の業績についての詳細適切
な講評が校長の自筆によって全部の保護者に送られる
= 学生との日常の接触
校長 - 名門○僧籍多し
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