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「忘れないでおくこと 随筆集あなたの暮らしを教えてください2」暮しの手帖社 2023年 ④ /「児童生徒に聞かせたいさわやか1分話」柴山一郎 学陽書房 1993年 ④【再掲載 2017.5】 [読書記録 一般]

今日は6月12日、水曜日です。

今回は、6月8日に続いて暮しの手帖社から出されている
「忘れないでおくこと 随筆集あなたの暮らしを教えてください2」
の紹介 4回目です。


出版社の案内には、

「豪華執筆陣で贈る珠玉の随筆集『あなたの暮らしを教えてください』
は、『暮しの手帖』の本誌と別冊に寄せられた『暮らし』がテーマの随
筆作品を選りすぐり、全4冊にまとめたシリーズです。
 第2集は、日々の気付きにまつわるお話を集めています。当時の話題に
触れて感じたこと、近所の猫やお店のこと、仕事や家事を通しての発見
や、趣味や学びのなかで思うことなど、小さな日常をいつくしみたくな
る一冊です。」

とあります。


わたしには気付かされることの多い随筆集でした。



もう一つ、再掲載になりますが、柴山一郎さんの
「児童生徒に聞かせたいさわやか1分話」④を載せます。



☆「忘れないでおくこと 随筆集あなたの暮らしを教えてください2」暮しの手帖社 2023年 ④

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◇平凡を非凡に生きる 渡邊和子

 修道院に入ったからといって、すぐ修道者になれるのではない。


 カトリックの洗礼を受けていることを前提として、その後、いくつかのス
テージを通らなければなれないのだ。


 入会をした後、まず一年近い志願期を過ごす。


 そこを無事通過すると、修練期が二年程。


 その後ようやく、清貧、貞潔、従順の三誓願を立てることが許される。


 これら誓願は、一年毎に数回更新するので、この間は、有期誓願者と呼ば
れ、この間に還俗する人もあり、修道会が退会をすすめることもある。


 この後ようやく、三誓願を一生守り通す約束をして修道者になるのである。


 家庭の事情もあって、30歳近くまで働いてから修道院に入った私は、英語
が使えることもあって、たった一人の日本人修練女として、ボストンの修練
院に派遣され、百名近いアメリカ人修練者たちとで一年間生活した。


 朝5時起床、夜9時就寝の間の時間は、ほとんどが命ぜられた単純労働に
費やされた。


 ある夏の昼下がりのことだった。

 私は、与えられた夕食の配膳をしていた。

 一つひとつのパイプ椅子の前のテーブルに皿、コップ、フォーク等を並べ
るのである。

 いつの間にか背後に修練長が来ていて、私に

「シスター、あなたは何を考えながら仕事をしているのですか」

と尋ねた。

 咄嗟のことでもあり、

「別に何も」

と答えた私に、修練長は、

「あなたは、時間を無駄にしています」

と叱責するのだった。

 命ぜられた仕事をしているのに「なぜ」といぶかる私に、修練長は穏やかに
言った。
「同じ並べるのなら、夕食を摂る一人ひとりのために、祈りながら置いてい
 きなさい」
 

 かくてその時まで私は、仕事はすればいい(doing)と考えていたが、仕事は
意味あるものとする(being)ことが大切なのだ。

 時間の使い方は、そのままいのちの使い方になるのだということ。

 この世の中に雑用はないということ。

 用をぞんざいにした時に雑用になるのだということを習つたのである。


 草取りでも同じであった。

 むしるのでなく、根こそぎ抜く。

 それは面倒かも知れないが、非行少年少女の足が、悪の世界から抜けます
ようにと祈りながら抜くのだ。

 その時、つまらない仕事は、意味あるものに変わるのだ。


 人間の尊さは、このように平凡な行いを、意味あるものに変えることがで
きるところにあるのだ。


 環境の奴隸でなく、環境の主人となり得ることにあるといえよう。


 何も考えないで皿を並べ、草を抜いたとしても、外から見たら、ほとんど
同じにしか見えず、時間も同じだけ経っているかも知れない。


 時間の使い方は、いのちの使い方なのだ。


 ロボットがするような仕事ではなく、私しか与えることのできない愛と祈
りをこめる時、平凡な仕事は、非凡な仕事になり得るのだ。


「ひとも、ものも両手でいただくこと」


 ある人から教えられたこの心を、大切に、雑用を雑用とすることなく、平
凡な暮らしを、非凡な日々にして過ごしてゆきたい。 
                            2014年11月






☆「児童生徒に聞かせたいさわやか1分話」柴山一郎 学陽書房 1993年 ④【再掲載 2017.5】

[出版社の案内]
学活、道徳、朝会、学年集会、父母会、地域の集会、職場の話材・例話
に最適120話。『教育新聞』の「ちょっといい話」欄に連載したものを
まとめた。

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◇「菜根譚」
  順境にいるとき,逆境に備えよ


◇フランスの諺 
  他人に益なきことは,何らかの価値なし
「一生懸命生きましょう」永井次代さん
  - 「自分などいなくてもこの社会にとってどうということはない
     と考える人間になることが一番恐ろしい。無責任な行為はそ
     こから生まれ,自分の命すら投げやりになります。自分がや
     らねば誰がやるとかけがえのない人間として努力してこそ
     価値が生じるのです」


◇王陽明
  常に己の進路を求めて止まざるは水也
「水五訓」


◇ミケランジェロ 
  千の喜びも一つの苦しみに値しない


◇武田信玄  1521~1573
  老人には経験という宝物がある


◇上杉謙信  1530~1578
宝在心(宝は心にあり)


◇シェークスピア 1564~1616
険しい丘を登るには最初はゆっくり歩くことが必要である。


◇伊達政宗  1567~1636
この世に客に来たと思え。自分は主人公ではない。


◇徳川家康  1542~1616
人の一生は重荷を背負うて遠き道を行くがごとし
 今川義元の人質
   - 義元は部下に「むごい教育をせよ」と命じた
  ◎むごい教育
   「寒い時は暖かく,暑い時は涼しく,毎日うまいものを食べさ
     せよ。大抵の子はダメになる。」
   しかし,家康はダメにならなかった
   = 理由:お家再興という目的があったから

   「人の一生は重荷を背負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべから            
ず。不自由と思えば不足なし。心に望み起こらば困窮したると
    きを思え。堪忍は無事長久の基。怒りは敵と思え。勝つことば
    かり思うな。おのれをせめて人を責めるな。」

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