「無功徳」玄侑宗久 海竜社 2008年 ①(前) /「孤独と不安のレッスン」鴻上尚史 大和書房 2006年(下)【再掲載 2017.5】 [読書記録 宗教]
今日は6月27日、木曜日です。
今回は、玄侑宗久さんの
「無功徳」の紹介 1回目です。
出版社の案内には、
「『無功徳』は、禅の教えを取り入れた玄侑宗久によるエッセイ集です。
この作品では、功徳を追求しないことの価値について、日々の生活や
精神的な実践を通じて探求しています。読者は著者の随筆を通じて、
心と命に新たな風を吹き込む禅の教えに触れることができます。功徳
を求めない生き方から生まれる自然な喜びが、どのようにして人々の
生活に好影響を与えるかを、実例と共に学ぶことができる一冊です。」
とあります。
今回紹介分から強く印象に残った言葉は…
・「9.11事件以後、性悪説に傾きつつある。日本も管理監視の思想色濃
くなった。行きすぎた監視が帰って悪を生み出さないだろうか」
・「無償の贈与の結果(自業他利)が『利益』で、自得するのが『功徳』。
現在の世では,自業他利や他業自得というよく分からない関係性が
無視され、ひたすら自業自得,つまり功徳だけを求めるシステムが
採用されている」
・「美点を見出すには,まず好感を持って相手を優しい眼差しで見つめることが
不可欠」
・「大目に見る態度が消えかかっており、偏狭で煩雑なだけの法令催促
が増えている」
自分の失敗は大きくても「大目に見てよ」の一方、
人の失敗は少しのことでも「許せない」態度の人が増えているように感
じます。
自分は他からの視点をもって自分を見られるようにしたい。
もう一つ、再掲載になりますが、鴻上尚史さんの
「孤独と不安のレッスン」(下)を載せます。
☆「無功徳」玄侑宗久 海竜社 2008年 ①(前)

◇はじめに
求めずして得る,無功徳の御利益
9.11事件以後
→ 性悪説に傾きつつある
人間は厳正に管理,監視されるべき存在
→ 日本:管理監視の思想色濃く
◎ 行きすぎた監視が帰って悪を生み出さないか
無償の贈与の結果が「利益」
自業他利が利益,自得するのが功徳
現在の世では,自業他利や他業自得というよく分からない
関係性が無視されひたすら自業自得,つまり功徳だけを求め
るシステムが採用されている
→ 失敗した人に対する「自業自得」「自己責任」という言い方によ
り無慈悲な空気
無駄かどうかは人間には分からない
◎ 功徳の穴に落ちて苦しんでいる現代人
求めない,だからこそ嬉しい
布施
… 功徳を期待しない心情が徹底したお互いの贈与
◎ 功徳を求めるのではなく,御利益があったとうれしがること
こそ素晴らしい
◇人間関係の悩みを解決する
自分を変える禅の手引き 地
獄に行かないよう,まずは予防が大切
人間の心のあり方
=「六道」
地獄,餓鬼,畜生,修羅,人間,天天地獄の底に金輪際
他人と比較せず己に徹するのが基本
× 慢心と嫉妬
学校というのは便宜上比較することを避けられない場所
社会
~ 効率や出来高だけで比較
← 自分の仕事効率はさほど良くないのに,実は他の人々の効率
を上げているような存在に気付かない
= 全ての人は「やおよろず」的存在
好感を持って優しい眼差しで見つめる
◎ 美点を見出すには,まず好感を持って相手を優しい眼差しで見つめる
ことが不可欠
→ 人はそのような関係からしか大きな「影響」は受けない
過去の嫌な記憶を忘れ去る工夫
日々是好日
観音力を高める切り札の42文字
延命十句観音経
「観世音,南無仏,与仏有因,与仏有縁,仏法僧縁、常楽我
浄,朝念観世音,落念観世音,念々従心起念々不離心」
大目にみる
◎ 大目に見る態度が消えかかっている
偏狭で煩雑なだけの法令催促が増えている
大切なのは「心の平安」だけ,あとのことは大目にみる
「視」という凝視より,「観」という全体視こそ重要
◎ 分析知より大局的・直感的見方を
にこにこするのは世界を大目にみている証拠
ペリー
→ アメリカの奥さんに
「日本人はニコニコしながら仕事をする不思議な民族。礼儀
正しく挨拶も丁寧。風呂が混浴で驚いた。」
案ずるより産むが易し
とにかく行動を起こせ 志向に行き詰まったら動いてみるに限る
◎ 人は動くだけで楽観的に考えられる生き物
できるけど,しないたしなみ
スーパーウーマン症候群,良い夫婦症候群
◎ 命名しただけで治療法が確立されたわけではない
できるんだからしてしまおう、は「だらしない」
死ぬまで続く相対化
真理を掲げたとたん,心の活動力は落ちる
◎ 生きることは時々に応じた自分を立ち上げ続けること
☆「孤独と不安のレッスン」鴻上尚史 大和書房 2006年(下)【再掲載 2017.5】
[出版社の案内]
「ニセモノの孤独」を知る、「根拠がない」から始めよう、つらくなっ
たら、誰かに何かをあげる、あなたを支えるものを作る―人気演出家が
綴る「ひとり」を生きるための練習帳。
◇他者と付き合って成熟する
あなたの思い一つで変わる人たち
宙ぶらりんのまま,ふうふう言いながら
分かり合えなくて当たり前だと思うこと
信頼と依存は違うと言うこと
気持ちより理解,愛情よりも情報が大切
◇辛くなったら誰かに何かをしてあげる
緊張する体の部分を見付ける
自分のいつも強ばるところを意識して力を抜く
不安にフォーカスを当てない
→ おみやげを人に
「暇人クラブ」のおみやげ
→ 不安に悩む前に何かをあげる
◇人間関係の距離感を覚える
「人間関係が得意で好き」な人はいません
相手と呼吸を合わせる
~ 距離感
◇自意識を鎮め,のんきになる方法を見付ける
自分について考えすぎるぼくたち
自分で「孤独と不安のレッスン」を
頭の速度でなく体の速度で
のんき攻撃
◇「今ある自分」と「ありたい自分」のいい関係を作る
口うるさい「ありたい自分」
目の前の人間に聞いてみる
傷ついて死んだ人はいない
「今ある自分」がメイン,「なりたい自分」はサブ
ほんの少し上に
「ありたい自分」が「今ある自分」より下にいる人は?
→ 小さな勝ち味を積み重ねる
◇あなたを支えるものを作る
おみやげを忘れても許して支えてくれる人が2人(恋人,配偶者以外
に)いる
小さな勝ち味があれば,それで
2人 + 人間以外のものを ~ 支える
◇一人暮らしの勧め
「孤独と不安」は年をとっても減らないから
簡単に慰められてはいけない
大学は「何をしたらいいかが分からない」ということを学ぶ
場所
オウム真理教
…「何をしたらよいか分からない」状態に耐えられなかったから,
明確な目標を与えてくれる教祖に飛びついた
人生のどこかで「何をしたらいいか分からない」状態になる
20歳前後で経験しておくと免疫が付く
孤独と不安になれていた方がいい
体の声を聞く
→ 若さの暴走は体を無視した結果
◇一人暮らしと恋愛の関係を知る
恋愛の多くは「孤独と不安」から始まる
相手がすてきだからではなく,自分が孤独で寂しいから多くの
人は恋愛する
人間が善心で人間を求めるとき,魅力的になる
◇声に出してみる
今回は、玄侑宗久さんの
「無功徳」の紹介 1回目です。
出版社の案内には、
「『無功徳』は、禅の教えを取り入れた玄侑宗久によるエッセイ集です。
この作品では、功徳を追求しないことの価値について、日々の生活や
精神的な実践を通じて探求しています。読者は著者の随筆を通じて、
心と命に新たな風を吹き込む禅の教えに触れることができます。功徳
を求めない生き方から生まれる自然な喜びが、どのようにして人々の
生活に好影響を与えるかを、実例と共に学ぶことができる一冊です。」
とあります。
今回紹介分から強く印象に残った言葉は…
・「9.11事件以後、性悪説に傾きつつある。日本も管理監視の思想色濃
くなった。行きすぎた監視が帰って悪を生み出さないだろうか」
・「無償の贈与の結果(自業他利)が『利益』で、自得するのが『功徳』。
現在の世では,自業他利や他業自得というよく分からない関係性が
無視され、ひたすら自業自得,つまり功徳だけを求めるシステムが
採用されている」
・「美点を見出すには,まず好感を持って相手を優しい眼差しで見つめることが
不可欠」
・「大目に見る態度が消えかかっており、偏狭で煩雑なだけの法令催促
が増えている」
自分の失敗は大きくても「大目に見てよ」の一方、
人の失敗は少しのことでも「許せない」態度の人が増えているように感
じます。
自分は他からの視点をもって自分を見られるようにしたい。
もう一つ、再掲載になりますが、鴻上尚史さんの
「孤独と不安のレッスン」(下)を載せます。
☆「無功徳」玄侑宗久 海竜社 2008年 ①(前)

◇はじめに
求めずして得る,無功徳の御利益
9.11事件以後
→ 性悪説に傾きつつある
人間は厳正に管理,監視されるべき存在
→ 日本:管理監視の思想色濃く
◎ 行きすぎた監視が帰って悪を生み出さないか
無償の贈与の結果が「利益」
自業他利が利益,自得するのが功徳
現在の世では,自業他利や他業自得というよく分からない
関係性が無視されひたすら自業自得,つまり功徳だけを求め
るシステムが採用されている
→ 失敗した人に対する「自業自得」「自己責任」という言い方によ
り無慈悲な空気
無駄かどうかは人間には分からない
◎ 功徳の穴に落ちて苦しんでいる現代人
求めない,だからこそ嬉しい
布施
… 功徳を期待しない心情が徹底したお互いの贈与
◎ 功徳を求めるのではなく,御利益があったとうれしがること
こそ素晴らしい
◇人間関係の悩みを解決する
自分を変える禅の手引き 地
獄に行かないよう,まずは予防が大切
人間の心のあり方
=「六道」
地獄,餓鬼,畜生,修羅,人間,天天地獄の底に金輪際
他人と比較せず己に徹するのが基本
× 慢心と嫉妬
学校というのは便宜上比較することを避けられない場所
社会
~ 効率や出来高だけで比較
← 自分の仕事効率はさほど良くないのに,実は他の人々の効率
を上げているような存在に気付かない
= 全ての人は「やおよろず」的存在
好感を持って優しい眼差しで見つめる
◎ 美点を見出すには,まず好感を持って相手を優しい眼差しで見つめる
ことが不可欠
→ 人はそのような関係からしか大きな「影響」は受けない
過去の嫌な記憶を忘れ去る工夫
日々是好日
観音力を高める切り札の42文字
延命十句観音経
「観世音,南無仏,与仏有因,与仏有縁,仏法僧縁、常楽我
浄,朝念観世音,落念観世音,念々従心起念々不離心」
大目にみる
◎ 大目に見る態度が消えかかっている
偏狭で煩雑なだけの法令催促が増えている
大切なのは「心の平安」だけ,あとのことは大目にみる
「視」という凝視より,「観」という全体視こそ重要
◎ 分析知より大局的・直感的見方を
にこにこするのは世界を大目にみている証拠
ペリー
→ アメリカの奥さんに
「日本人はニコニコしながら仕事をする不思議な民族。礼儀
正しく挨拶も丁寧。風呂が混浴で驚いた。」
案ずるより産むが易し
とにかく行動を起こせ 志向に行き詰まったら動いてみるに限る
◎ 人は動くだけで楽観的に考えられる生き物
できるけど,しないたしなみ
スーパーウーマン症候群,良い夫婦症候群
◎ 命名しただけで治療法が確立されたわけではない
できるんだからしてしまおう、は「だらしない」
死ぬまで続く相対化
真理を掲げたとたん,心の活動力は落ちる
◎ 生きることは時々に応じた自分を立ち上げ続けること
☆「孤独と不安のレッスン」鴻上尚史 大和書房 2006年(下)【再掲載 2017.5】
[出版社の案内]
「ニセモノの孤独」を知る、「根拠がない」から始めよう、つらくなっ
たら、誰かに何かをあげる、あなたを支えるものを作る―人気演出家が
綴る「ひとり」を生きるための練習帳。
◇他者と付き合って成熟する
あなたの思い一つで変わる人たち
宙ぶらりんのまま,ふうふう言いながら
分かり合えなくて当たり前だと思うこと
信頼と依存は違うと言うこと
気持ちより理解,愛情よりも情報が大切
◇辛くなったら誰かに何かをしてあげる
緊張する体の部分を見付ける
自分のいつも強ばるところを意識して力を抜く
不安にフォーカスを当てない
→ おみやげを人に
「暇人クラブ」のおみやげ
→ 不安に悩む前に何かをあげる
◇人間関係の距離感を覚える
「人間関係が得意で好き」な人はいません
相手と呼吸を合わせる
~ 距離感
◇自意識を鎮め,のんきになる方法を見付ける
自分について考えすぎるぼくたち
自分で「孤独と不安のレッスン」を
頭の速度でなく体の速度で
のんき攻撃
◇「今ある自分」と「ありたい自分」のいい関係を作る
口うるさい「ありたい自分」
目の前の人間に聞いてみる
傷ついて死んだ人はいない
「今ある自分」がメイン,「なりたい自分」はサブ
ほんの少し上に
「ありたい自分」が「今ある自分」より下にいる人は?
→ 小さな勝ち味を積み重ねる
◇あなたを支えるものを作る
おみやげを忘れても許して支えてくれる人が2人(恋人,配偶者以外
に)いる
小さな勝ち味があれば,それで
2人 + 人間以外のものを ~ 支える
◇一人暮らしの勧め
「孤独と不安」は年をとっても減らないから
簡単に慰められてはいけない
大学は「何をしたらいいかが分からない」ということを学ぶ
場所
オウム真理教
…「何をしたらよいか分からない」状態に耐えられなかったから,
明確な目標を与えてくれる教祖に飛びついた
人生のどこかで「何をしたらいいか分からない」状態になる
20歳前後で経験しておくと免疫が付く
孤独と不安になれていた方がいい
体の声を聞く
→ 若さの暴走は体を無視した結果
◇一人暮らしと恋愛の関係を知る
恋愛の多くは「孤独と不安」から始まる
相手がすてきだからではなく,自分が孤独で寂しいから多くの
人は恋愛する
人間が善心で人間を求めるとき,魅力的になる
◇声に出してみる
>「人間関係が得意で好き」な人はいません
人間は社会の中で生きているのに周囲との関係がしんどい人ばかりとはなかなか厄介ですね。
by いっぷく (2024-06-27 21:53)
いっぷくさん ありがとうございます。
自分を嫌でない人半分、嫌な人半分くらいに考えてると少しは楽です。
後で、くよくよ考えてしまうことも多いのですが、
「まっ、いいか」と思い込むようにしています。
by ハマコウ (2024-06-28 05:50)
↑「まっ、いいか」も良いですね。
行き詰まったら動いてみる...も素敵な言葉。ただ、どう動けば良いのか分かるまでが大変(>_<)
by yokomi (2024-07-02 23:25)
yokomiさん ありがとうございます。
こだわりに苦しんでいる子に、苦しいときは「まっ、いいか」と
つぶやいてみようと声を掛け、一緒に何回か唱えていました。
気持ちを切り替えるきっかけづくりになると感じました。
by ハマコウ (2024-07-03 05:46)