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『致知』2004年1月号(2) /「日本子育て物語-育児の社会史」 上笙一郎 筑摩書房 1991年 ⑪ 【再掲載 2017.3】 [読書記録 一般]

今日は12月14日、土曜日です。


今回は月刊誌「致知」2004年1月号から
関東の言葉を紹介します。



もう一つ、再掲載になりますが、上笙一郎さんの
「日本子育て物語-育児の社会史」⑪を載せます。




☆『致知』2004年1月号(2)

◇特集「人生のテーマ」


 忘れられない詩がある。


 15歳の重度脳性マヒの少年が、その短い生涯の中でたった一篇、命
を絞るようにして書き残した詩である。




 ごめんなさいね おかあさん

 ごめんなさいね おかあさん

 ぼくが生まれて ごめんなさい

 ぼくを背負う かあさんの

 細いうなじに ぼくはいう

 ぼくさえ 生まれなかったら

 かあさんの しらがもなかったろうね

 大きくなった このぼくを

 背角って歩く 悲しさも

 「かたわな子だね」とふりかえる

 つめたい視線に 泣くことも

 ぼくさえ 生まれなかったら

 ありがとう おかあさん

 ありがとう おかあさん

 おかあさんが いるかぎり

 ぼくは生きていくのです

 脳性マヒを 生きていく

 やさしさこそが 大切で

 悲しさこそが 美しい


 そんな 人の生き方を

 教えてくれた おかあさん

 おかあさん

 あなたがそこに いるかぎり




 本誌2002年9月号で向野幾世さんが紹介した詩である。


 作者は山田康文くん。


 生まれた時から全身が不自由、口も利けない。通称やっちゃん。


 そのやっちゃんを養護学校の先生であった向野さんが抱きしめ、彼の
言葉を全身で聞く。


 向野さんがいう言葉がやっちゃんのいいたい言葉だったら、やっちゃ

んがウインクでイエスのサイン。


 ノーの時は舌を出す。

 気の遠くなるような作業を経て、この詩は生まれた。

 そしてその2か月後、少年は亡くなった。
 

 自分を生み育ててくれた母親に報いたい。


 その思いがこの少年の人生のテーマだったといえる。


 
 短い生涯ながら少年は見事にそのテーマを生ききり、それを一篇の詩
に結晶させて、逝った。


 生前、ひと言の言葉も発し得なかった少年が、生涯を懸けてうたいあ
げた命の絶唱。


 この詩が私たちに突きつけてくるものは重い。


 人は皆、一個の天真を宿してこの世に生まれてくる、という。


 その一個の天真を輝く掘り下げ、高め、仕上げていくことこそ、各人
が果たすべき人生のテーマといえるのではないか。


「我行精進、忍終不悔」Iわが行は精進して忍んで終に悔いない。
 

『大無量寿経』の言葉である。


 永遠の人生のテーマがここにある。









☆「日本子育て物語-育児の社会史」 上笙一郎 筑摩書房 1991年 ⑪ 【再掲載 2017.3】

[出版社の案内]

原始時代から現代まで―子どもの歴史と子育ての歩みを、豊かな資料を
引きつつ興味深く語り、日本人の育児の知恵と子どもへの深い思いを明
らかにする。

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≪近代≫②

◇ボーイスカウトとスポーツ - 子供集団と遊びの近代化

□村の子供組の弱体化
  小学校長が子供組の弾圧解体
    → ボーイスカウトの登場

□ボーイスカウト運動
英国軍人 バーデン・パウエル
 戦争から発生
   - 軍隊に倣ったものが多い
     ヒットラー・ユーゲント
大日本青少年団
1908年 ボーイスカウト
1921年 大日本青少年連盟<少年団>
  ① 地域に囚われぬ
  ② 自由参加
   ③ 規約がある
 ④ 大人のリーダーシップ

□遊びの主流は近代スポーツへ
和楽   から スポーツへ
童歌遊び から 近代的競技へ
  「偶然性」   「主体的努力」

□「おもちゃ」の商品化・金属化・動力化 
  競争原理



◇麻疹疱瘡怖からず - 近代小児医学

□「命さだめ」「器量さだめ」

□「はしか」と「疱瘡」
1862年 江戸市中 麻疹死亡者 267877人

□精霊神・神祭で我が子を守る

□子供を解放した近代小児医学 
  ドイツ系小児医学

□科学の大鉈が切り捨てたもの
  生活に即した子育て法



◇「洟ったらし」の克服へ

□「洟ったらし」は子供の代名詞 
  非衛生的

□汚い子供ときれいな子供との分かれ目
  イザベラ・バード 『日本奥地紀行』
    経済的に豊かか否か

□呪術迷信から社会衛生的な手だてへ

□病人目・寝小便小僧をなくす道
  地域社会と学校施設の双方における衛生政策



◇わが子を学校に通わせぬ親たち - 自由主義教育の試み

□新しい子育て観を持った親の登場
  「大正自由主義教育」「児童中心主義」の教育
    倉橋惣三,手塚岸衛,木下竹次

□私立学校における自由とその限界
  中村春二の成蹊小学校
  沢柳政太郎の成城小学校
 赤井米吉等の明星小学校
  → 大正13年 児童の村小学校 野村芳兵衛

□自由主義教育のうち当たった壁
  → 羽仁進 と きだ・みのる のみ
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コメント 2

kome

忘れられない詩ですね。
生きるテーマというほどでもないのですが、若いときは何か表現することでしたが、最近はなぜか駅周辺や通勤路をきれいにすることに自然と力が入ってしまっています。
by kome (2024-12-14 20:38) 

ハマコウ

komeさん ありがとうございます。
向野幾世さんの「お母さん、ぼくが生まれてごめんなさい」は、
かつてのベストセラー本だったそうですね。
30年も前に三田氏ですが、心に残っています。
公共の環境をよくするために努力する姿勢に頭が下がります。
by ハマコウ (2024-12-15 08:31) 

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