「学力と階層」苅谷剛彦 朝日新聞社 2012年 ① /「昭和史をどう生きたか」半藤一利 東京書籍 2014年 ⑩(最終)【再掲載 2015.10】 [読書記録 教育]
今日は1月23日、木曜日です。
今回は、苅谷剛彦さんの
「学力と階層」1回目の紹介です。
出版社の案内には、
「学習資本の階層差がますます拡大する日本の教育。出身階層という社
会的条件の違いが子どもたちにもたらす決定的な差について警鐘を鳴
らす。90年代以降、迷走を続けた教育政策を豊富なデータとともに
検証。学力問題の第一人者が説く処方箋。」
とあります。
今回紹介分から強く印象に残った言葉は…
・「現代は学習資本主義の時代といえ、問題発見・解決能力を養う教育、
コミュニケーション能力を作る教育には、教える側には従来以上に
優れた教育力が要求される。コストのかかる教育になっている」
・「階層下位に学習資本,優れた教員を整備する必要性が大きい。土曜
日の活用、退職教員を学校支援に活かす、資源配分に優先順位をつ
けるなどの下に厚い支援がまず必要である」
・「日本は能力と努力からなるメリットが重視されることをもって業績
原理が支配的であるとみなす社会であり、『努力』努力主義に高い比
重がおかれている」
・「18年間で学習時間の階層差が拡大した。専門管理職の父,大卒の両
親を持つことが学習時間の減少を極力抑える一方、マニュアル職の
父や中卒の場合には,子どもの学習時間の減少が大きくなっている」
もう一つ、再掲載になりますが、半藤一利さんの
「昭和史をどう生きたか」⑩を載せます。
☆「学力と階層」苅谷剛彦 朝日新聞社 2012年 ①
◇はじめに 教育の綻び
◇ 階層で学力が決まるのか 学力が階層を作るのか
1 授業の理解,学習意欲に示される格差
教育問題の難しさ
= 時間問題
階層上位の子がまとめ役になる
現代は学習資本主義の時代
(問題発見・解決能力を養う,コミュニケーション能力を作る)
- 教える側には従来以上に優れた教育力が要求される
= コストのかかる教育
2005.3 中部地方のある市
小5・61326人のデータ
1日の学習時間 理解度 通塾率 まとめ役
社会階層上位 76.7分間 高い 高い 45.2%
社会階層中位 60.7分間 ↑↓ ↑↓ 29.5%
社会階層低位 55.4分間 低い 低い 30.4%
階層下位に学習資本,優れた教員を整備する必要性大
土曜日の活用,退職教員を学校支援に
資源配分の優先順位
→ まず下に厚い支援を!
2 家庭的背景が学力に大きな影響を及ぼす
「新しい学力観」「生きる力」の影響
= 社会全体の階層状況変化と学力形成のプロセス変化
小学生より中学生の方が学習離れ
関西調査 1989年,2001年
文化的環境
① ニュース番組
② 手作りお菓子
③ 小さいとき絵本
④ 家人が博物館等文化施設に行くか
→ 上位 ↑
中位 格差大
下位 ↓
家庭的環境の影響は強まっているのか
文化的階層の高いグループほど基本的生活習慣が身に付いている
子どもが多い
「朝自分で起きる」
「朝食を食べる」
「朝歯を磨く」
「行ってきます,ただいまの挨拶をする」
「前の日に学校の用意をする」
「決まった時刻に寝る」
学校での授業の効果が弱まっている
No Study Kids
(塾にも行かず(行けず)家でもほとんど勉強しない児童生徒)
「確かな学力」の定着が求められるのは学業不振者
No Study Kids問題は放置されたまま
関西調査
1989年 大阪大学人間学部・池田寛助教授
同和地区で
2001年 苅谷剛彦,志水宏吉が中心に調査
3 学習時間の階層差とその拡大
学習時間は学力の代替指標
日本産の理論を発信する
努力は社会階層にどう関わるか
メリトクラシー 業績主義
能力と努力からなるメリットが重視されることをもっ
て業績原理が支配的であるとみなす社会
日本は「努力」に比重 努力主義,頑張る
受験戦争の圧力が弱まった
① 学習に向けての努力(学習時間)は減っているか
② 出身階層により努力の量(学習)に差があるか
③ 出身階層による努力(学習)の差は拡大しているか
出身階層で努力の差は拡大
18年間で学習時間の階層差が拡大した
専門管理職の父,大卒の両親を持つことが学習時間の減少を
極力抑える
←→ マニュアル職の父や中卒の場合には,子どもの学習時
間の減少が大
受験戦争の緩和が不平等を拡大した
努力
= 平等主義がイデオロギーに過ぎない
(努力が平等に存在する幻想により)
- 誰をも競争に巻き込む圧力が減り,学校の後押しが弱
まると,努力の階層差が拡大する条件が生じる
- 努力の不平等とその変動の理論化は日本の現実から出
発した新しい理論的視座を提供する可能性を示している
☆「昭和史をどう生きたか」半藤一利 東京書籍 2014年 ⑩(最終)【再掲載 2015.10】
[ 出版社の案内 ]
昭和史研究の第一人者で、圧倒的な支持を得る半藤一利が、吉村昭、
澤地久枝をはじめ、昭和を生き抜き、作品のテーマとしてきた日本
を代表する作家・研究者と徹底的に議論した「昭和史の真実」。
特攻作戦に最後まで反対し、隊から一人も特攻者を出さなかった指
揮官に戦後会いに行く話など、これまでまったく語られることのな
かった衝撃の事実の数々

◇幕末から昭和へ-熱狂の時代に 宮部みゆき S35東京都生
幕末のミステリーを歩く
都立隅田川高校出身の2人 府立七中
龍馬
~ 人物の魅力はすごくあったけれど独自の発想は何もない
陽性の人で人好きがした
勝海舟と大久保一翁に添え状を出させてしまう魅力
それを持って会いに行く行動力
そして会ってしまえば何とかなっちゃう
5年間を走り抜けた
斬ったのは見廻り組の佐々木只三郎・今井信郎
→ 〇 居場所を流したのは薩摩? 大久保利通・西郷隆盛?
斬られたとき大げさに憤る
志士たちの明治 勝海舟
2・26事件とわたし
2・26事件で統制派が勝ち組となって、敗れた皇統派の有能
な人たちがみんな追い払われたのが戦争で道を誤った原因か?
2・26事件は陸軍内部の権力争い、戦略観の抗争
陸軍はこの後事件を脅しに使った
「わたしたちはいいんですよ。ただ若い者が黙ってはいま
せんよ。何をするかわからんですな。」
- ◎ 陸軍が何をするか分からない恐怖
終戦時
鈴木貫太郎首相 「かまわん 命を賭ける」
熱狂の時代に生きる
◇清張さんと昭和史 佐野洋 S3東京都生
推理小説作家・松本清張の誕生
飛行機のトリック
GHQと官僚への執着
公憤
- 責任はノンキャリアに押しつけてキャリア組が好き放題
戦前の日本
「天皇の軍隊」 → ×
「天皇の官僚」 → 自分の省のための官僚
「砂の器」の衝撃
ハンセン病
邪馬台国と戦後日本
森本六爾 → 「断碑」
直良信夫 → 「石の骨」
歴史学に必要なのは →◎ [ 推理能力 + 批判精神 ]
◇戦後60年が問いかけるもの 辻井喬 S2東京都生 堤清二
マッカーサーへの感謝状
戦後60年が問いかけるもの
今回は、苅谷剛彦さんの
「学力と階層」1回目の紹介です。
出版社の案内には、
「学習資本の階層差がますます拡大する日本の教育。出身階層という社
会的条件の違いが子どもたちにもたらす決定的な差について警鐘を鳴
らす。90年代以降、迷走を続けた教育政策を豊富なデータとともに
検証。学力問題の第一人者が説く処方箋。」
とあります。
今回紹介分から強く印象に残った言葉は…
・「現代は学習資本主義の時代といえ、問題発見・解決能力を養う教育、
コミュニケーション能力を作る教育には、教える側には従来以上に
優れた教育力が要求される。コストのかかる教育になっている」
・「階層下位に学習資本,優れた教員を整備する必要性が大きい。土曜
日の活用、退職教員を学校支援に活かす、資源配分に優先順位をつ
けるなどの下に厚い支援がまず必要である」
・「日本は能力と努力からなるメリットが重視されることをもって業績
原理が支配的であるとみなす社会であり、『努力』努力主義に高い比
重がおかれている」
・「18年間で学習時間の階層差が拡大した。専門管理職の父,大卒の両
親を持つことが学習時間の減少を極力抑える一方、マニュアル職の
父や中卒の場合には,子どもの学習時間の減少が大きくなっている」
もう一つ、再掲載になりますが、半藤一利さんの
「昭和史をどう生きたか」⑩を載せます。
☆「学力と階層」苅谷剛彦 朝日新聞社 2012年 ①

◇はじめに 教育の綻び
◇ 階層で学力が決まるのか 学力が階層を作るのか
1 授業の理解,学習意欲に示される格差
教育問題の難しさ
= 時間問題
階層上位の子がまとめ役になる
現代は学習資本主義の時代
(問題発見・解決能力を養う,コミュニケーション能力を作る)
- 教える側には従来以上に優れた教育力が要求される
= コストのかかる教育
2005.3 中部地方のある市
小5・61326人のデータ
1日の学習時間 理解度 通塾率 まとめ役
社会階層上位 76.7分間 高い 高い 45.2%
社会階層中位 60.7分間 ↑↓ ↑↓ 29.5%
社会階層低位 55.4分間 低い 低い 30.4%
階層下位に学習資本,優れた教員を整備する必要性大
土曜日の活用,退職教員を学校支援に
資源配分の優先順位
→ まず下に厚い支援を!
2 家庭的背景が学力に大きな影響を及ぼす
「新しい学力観」「生きる力」の影響
= 社会全体の階層状況変化と学力形成のプロセス変化
小学生より中学生の方が学習離れ
関西調査 1989年,2001年
文化的環境
① ニュース番組
② 手作りお菓子
③ 小さいとき絵本
④ 家人が博物館等文化施設に行くか
→ 上位 ↑
中位 格差大
下位 ↓
家庭的環境の影響は強まっているのか
文化的階層の高いグループほど基本的生活習慣が身に付いている
子どもが多い
「朝自分で起きる」
「朝食を食べる」
「朝歯を磨く」
「行ってきます,ただいまの挨拶をする」
「前の日に学校の用意をする」
「決まった時刻に寝る」
学校での授業の効果が弱まっている
No Study Kids
(塾にも行かず(行けず)家でもほとんど勉強しない児童生徒)
「確かな学力」の定着が求められるのは学業不振者
No Study Kids問題は放置されたまま
関西調査
1989年 大阪大学人間学部・池田寛助教授
同和地区で
2001年 苅谷剛彦,志水宏吉が中心に調査
3 学習時間の階層差とその拡大
学習時間は学力の代替指標
日本産の理論を発信する
努力は社会階層にどう関わるか
メリトクラシー 業績主義
能力と努力からなるメリットが重視されることをもっ
て業績原理が支配的であるとみなす社会
日本は「努力」に比重 努力主義,頑張る
受験戦争の圧力が弱まった
① 学習に向けての努力(学習時間)は減っているか
② 出身階層により努力の量(学習)に差があるか
③ 出身階層による努力(学習)の差は拡大しているか
出身階層で努力の差は拡大
18年間で学習時間の階層差が拡大した
専門管理職の父,大卒の両親を持つことが学習時間の減少を
極力抑える
←→ マニュアル職の父や中卒の場合には,子どもの学習時
間の減少が大
受験戦争の緩和が不平等を拡大した
努力
= 平等主義がイデオロギーに過ぎない
(努力が平等に存在する幻想により)
- 誰をも競争に巻き込む圧力が減り,学校の後押しが弱
まると,努力の階層差が拡大する条件が生じる
- 努力の不平等とその変動の理論化は日本の現実から出
発した新しい理論的視座を提供する可能性を示している
☆「昭和史をどう生きたか」半藤一利 東京書籍 2014年 ⑩(最終)【再掲載 2015.10】
[ 出版社の案内 ]
昭和史研究の第一人者で、圧倒的な支持を得る半藤一利が、吉村昭、
澤地久枝をはじめ、昭和を生き抜き、作品のテーマとしてきた日本
を代表する作家・研究者と徹底的に議論した「昭和史の真実」。
特攻作戦に最後まで反対し、隊から一人も特攻者を出さなかった指
揮官に戦後会いに行く話など、これまでまったく語られることのな
かった衝撃の事実の数々

◇幕末から昭和へ-熱狂の時代に 宮部みゆき S35東京都生
幕末のミステリーを歩く
都立隅田川高校出身の2人 府立七中
龍馬
~ 人物の魅力はすごくあったけれど独自の発想は何もない
陽性の人で人好きがした
勝海舟と大久保一翁に添え状を出させてしまう魅力
それを持って会いに行く行動力
そして会ってしまえば何とかなっちゃう
5年間を走り抜けた
斬ったのは見廻り組の佐々木只三郎・今井信郎
→ 〇 居場所を流したのは薩摩? 大久保利通・西郷隆盛?
斬られたとき大げさに憤る
志士たちの明治 勝海舟
2・26事件とわたし
2・26事件で統制派が勝ち組となって、敗れた皇統派の有能
な人たちがみんな追い払われたのが戦争で道を誤った原因か?
2・26事件は陸軍内部の権力争い、戦略観の抗争
陸軍はこの後事件を脅しに使った
「わたしたちはいいんですよ。ただ若い者が黙ってはいま
せんよ。何をするかわからんですな。」
- ◎ 陸軍が何をするか分からない恐怖
終戦時
鈴木貫太郎首相 「かまわん 命を賭ける」
熱狂の時代に生きる
◇清張さんと昭和史 佐野洋 S3東京都生
推理小説作家・松本清張の誕生
飛行機のトリック
GHQと官僚への執着
公憤
- 責任はノンキャリアに押しつけてキャリア組が好き放題
戦前の日本
「天皇の軍隊」 → ×
「天皇の官僚」 → 自分の省のための官僚
「砂の器」の衝撃
ハンセン病
邪馬台国と戦後日本
森本六爾 → 「断碑」
直良信夫 → 「石の骨」
歴史学に必要なのは →◎ [ 推理能力 + 批判精神 ]
◇戦後60年が問いかけるもの 辻井喬 S2東京都生 堤清二
マッカーサーへの感謝状
戦後60年が問いかけるもの
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