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『新版 静岡県伝説昔話集』(上巻)静岡県女子師範学校郷土研究会編 1994年 ⑥ [読書記録 一般]

今回は、1月16日に続いて、静岡県女子師範学校郷土研究会編による
『新版 静岡県伝説昔話集』(上巻)6回目の紹介です。



静岡県、郷土の出版社、羽衣出版。
素晴らしい本を出しています。




今回は、「念仏池」「鮎つり」「赤子淵」「瀬戸淵」の話です。 
川や淵の近くで不思議な出来事があったのでしょう。





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☆『新版 静岡県伝説昔話集』(上巻)静岡県女子師範学校郷土研究会編 1994年 ⑥

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2 池、淵、泉・井戸などの話 続き

(5)念仏池 (引佐郡三ケ日町只木)

 只木の山のふもとに小さな池がある。

 土地の人は、これを念仏池といって、誰も知らぬ人が無い程の有名な池である。

 昔、この裏山に効験の高い仙人が住んでおられたそうで、この行者がいつも使用してい
たのがこの池である。そのため、この池を土地の人は神の住む池と言うようになった。

 その後、行者はどこかへ姿をかくしてしまったが、この池の不思議は今でも噂となって
いる。

 だれでも池のほとりに立って、南無阿弥陀仏の六字の妙号を唱えると、池の下から不思
議にもたくさんの泡が吹き出して来る。
                               (山本ふみ)






(6)鮎つり (周智郡城西村・現磐田郡佐久間町)

 明治32年ころ、島中の長さという人が、出崎という所のおかぶち(淵)に鮎つりに行
った。


 そこには大きな栗の木があって、長さは夕立のためにその木の下に逃げ込んだ。


 すると長さの前に、7、8歳位の子供が来て、にこにこ笑って立っている。


 長さがどこへ行くのかと聞くと、子供は、にわかにそばへ近付き、長さの足にとっつき、
ずるずると引っ張りはじめた。その子供は年に似合わず大力であった。


 さて、長さは、やらずよ-がなくて(仕方がなく)鮎の腹かき出刃で突こうとした、す
ると、その子供はたちまち水の中に入り、それっきり、かいもく分からなかった。


 それで長さは、鮎釣りはせぬと神にちかった。長さは今なお生きている。
                                  (荒山つる)







(7)赤子淵    (周智郡城西村相月・現磐田郡佐久間町)

 水窪川(切開の地)に赤子淵という淵がある。


 昔、乱世のころ、一族が皆滅ぼされた城主の奥方が、敵の手をのがれて、その淵の辺りまできた時、淵にさえぎられて渡れず、ついに敵に捕らわれた。


 だが、その奥方は、抱いていた子供だけでも敵の手に渡すまいと、やにわに赤子をその淵に投げ込み、自分はついに切られたという。
                                (荒山つる)







(8)瀬戸淵 (磐田郡上阿多古村・現天竜市)

 上阿多古村字阿寺という所に、阿多古川の流れがよどんで、一つの瀬戸淵という淵にな
った所がある。

 今でも水が青黒くよどんで、非常に気味悪い所である。


 昔、ここに大蛇が住んでいた。ある時、蛇取りが来て取ろうとしたが、それが黒い蛇で
あったので、取らずに帰ったという。それで、今なお瀬戸淵には大蛇がいるという。


 また、この瀬戸淵はどんな日照りの時でも、大念仏をしてここへ雨乞いに行けば、必ず
雨が降ったという。                        (鈴木とき)


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