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「日本がわかる思想入門」長尾剛 新潮社 OH文庫 2000年 ③ [読書記録 一般]

「鎌倉仏教の思想家(法然、親鸞、栄西、道元、日蓮など)はいずれも最澄の天台宗を一
 度は信じ、比叡山に登るところから自らの仏教の道を歩み始めている」




今回は 1月17日に続いて、長尾剛さんの
「日本がわかる思想入門」、3回目の紹介です。



出版社の案内には、


「ヨーロッパ哲学だけが人類の思想・哲学のすべてではない。古代から、中世、近世、近
代まで、各時代の日本思想にこそ、知的発見の楽しみが満ち溢れている。先賢に学ぶ40
のニッポン・オリジナル。」


とあります。



今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「奈良時代の仏教は国家事業そのもの」


・「安貴族の間では密教が大ブーム」


・「天台宗 - 最澄の死後,密教の呪術的要素を大幅に取り入れ,神秘的な儀式を執り
行い,急速に密教化していった」





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☆「日本がわかる思想入門」長尾剛 新潮社 OH文庫 2000年 ③

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◇平安仏教は奈良仏教とこれだけ違う

□奈良時代の仏教は国家事業そのもの
 
 東大寺と国分寺,国分尼寺


 仏教の使命 = 鎮護国家
   国家の安泰を祈る


 南都六宗
  ~ 「人々の救いとは関係ない」


 僧 
  キャリア的自尊心 = 「俺が日本を守ってやっているんだ」



次第に朝廷の政治にも口を挟むようになっていった





□平安時代の仏教

 最澄(767~822) 奈良仏教に反旗を翻した

「こんなものが本当の仏教であるはずがない。私の真の願いは人々を仏教の力で救うこ
  となのだ」


近江生 
  中国に留学して日本天台宗を開く


 一途でまじめな仏教者
   南都六宗への不満=「人々を救う精神の希薄」


 「法華経」を中心に仏教を精密に整理し直した
「妙法蓮華経」は論理性の高い宗教哲学 = まじめなインテリ向け


 比叡山に寺を造営 → 後の延暦寺
天台宗の普及に誠心誠意

↑↓

平安貴族の間では密教が大ブーム
密教
   = 直観重視、呪法、祈祷 「大日如来」信仰

大日如来という絶対普遍の仏さまがこの大宇宙を守る
= 頼りになる仏さま

 現世利益に直結する儀式性




 真言宗開祖・空海(774~835)
讃岐出身

高野山  天皇より東寺を賜り道場にした

基本経典 「大日経」「金剛頂経」

密教以外は「顕教」として対立





□最澄の天台宗と空海の真言宗

 平安仏教での勝者は空海



 天台宗 
   最澄の死後,密教の呪術的要素を大幅に取り入れ,神秘的な儀式を執り行い,急速
  に密教化していった



東密 - 真言宗ルートの密教(東寺から)

  台密 - 天台宗ルートの密教



 違いは世間の評価での違い


しかし,彼等が救おうとしていたのは都会の貴族層で庶民ではなかった



鎌倉時代 → 庶民のための仏教を模索
鎌倉仏教の思想家(法然、親鸞、栄西、道元、日蓮など)はいずれも最澄の天台宗を
 一度は信じ、比叡山に登るところから自らの仏教の道を歩み始めている


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