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山本夏彦さんはこんなことを⑮-「完本 文語本」文藝春秋③ [読書記録 一般]

今回は、4月6日に続いて、わたしの要約ノートから、
キーワード「山本夏彦さんはこんなことを」15回目の紹介、
山本夏彦さんの「完本 文語本」③です。




出版社の案内には、

「祖国とは国語である。日本人は文語文を捨てて何を失ったか。明治以来流入した欧米の
 文物は、混乱と活気と迷惑をもたらした。中江兆民、二葉亭四迷、樋口一葉、萩原朔太
 郎、佐藤春夫、中島敦たち諸家の名文を引き、失った父祖の語彙を枚挙し、現代口語文
 の欠点を衝く。 」

とあります。




今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「(樋口一葉は)萩の舎きっての才女であるのに,貧乏故に下女同然の扱い」


・「今,詩は全く読者を持たない。持たないと詩は難解になる。どうせ読まれないのだか
  らアバンギャルドになることを許される」


・「(谷崎) 口語文の欠点は文末  「です」「だ」しかない」




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☆山本夏彦さんはこんなことを⑮-「完本 文語本」文藝春秋③

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◇一葉の日記

□樋口一葉 

 文語の中の文語で育ち世間が口語になる寸前に死んだ


 中島歌子の「萩の舎」塾で古典と和歌を学ぶ
萩の舎きっての才女であるのに,貧乏故に下女同然の扱い


 朝日新聞お抱えの記者半井桃水の弟子になる
→ 名は上がったが収入は伴わない

「三文商い」駄菓子と荒物




□昭和20年敗戦までは官庁に文語文と候文



文語文は文と筆者が密接していない
皮膜を隔てている 『文藝春秋』1997.2

 




◇萩原朔太郎

 詩集『永島』昭和9年 晩年


 萩原朔太郎 
   明治19年上州前橋生まれ

父は県立病院副院長 のち開業医


 北原白秋明治18年  室生犀星明治22年  佐藤春夫、芥川龍之介明治25年

          |

 朔太郎は文語臭のない口語の詩を書いた一人者
文語で育ったが世の中は口語の時代に

口語中の口語でありながら文語育ちだから朗誦に耐える



 『永島』では全部文語で表れた
口語自由詩になってこの方,詩は明治の昔あれほどいた読者を失った。


  今,詩は全く読者を持たない

持たないと詩は難解になる。どうせ読まれないのだからアバンギャルドになることを
 許される
                    『文藝春秋』1996.6

 




◇佐藤春夫

 佐藤春夫 
   明治25年生  
   谷崎潤一郎 明治19年生


  佐藤は谷崎の妻に惚れ,別れたいと思っていた矢先なので譲っていいと言ったが何故
 か譲らず。絶交。(大正10年)『秋刀魚の歌』


 昭和5年 9年後に妻を譲る


 晩年になるまで文語を棄てず


 谷崎 → 口語文の欠点は文末  「です」「だ」しかない
↑↓
      文語文 ~  けりにする

            べしにする = 一つとして重ならないようにする

          のみにする

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