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「日本がわかる思想入門」長尾剛 新潮社 OH文庫 2000年 ⑫ [読書記録 一般]

「日本人は日本人の主体性である『大倭心』をしっかり固めなければならない。そのため
 には、死後の世界について知ることが第一である。」『霊能真柱』





今回は 6月 1日に続いて、長尾剛さんの
「日本がわかる思想入門」、12回目の紹介です。



出版社の案内には、


「ヨーロッパ哲学だけが人類の思想・哲学のすべてではない。古代から、中世、近世、近
 代まで、各時代の日本思想にこそ、知的発見の楽しみが満ち溢れている。先賢に学ぶ40
 のニッポン・オリジナル。」


とあります。



今回紹介するのは、「神道」についてです。



今回紹介分から強く印象に残ったことばは…

・「『敬」 
  自己抑制と君臣関係の徹底
究極には唯一最上の存在を崇める」


・「平田篤胤  『日本最優越論』-神懸かり的国粋主義」


・「自国を絶対視する国粋主義は、日本においては天皇絶対服従に直結せざるを得ない
  = 国学が最も観念的に凝り固まった一つの例」







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☆「日本がわかる思想入門」長尾剛 新潮社 OH文庫 2000年 ⑫

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◇江戸時代における神道の見直し

□神道見直し気運

○山崎暗斎(1618~1682)

 羅山以上の朱子学者


 生真面目一本厳格主義 羅山の世渡り気に入らず


「敬」 
  自己抑制と君臣関係の徹底

究極には唯一最上の存在を崇める


 朱子学と神道の融合
   ~ 天皇に対する絶対崇拝


 垂加神道 
  保科正之(会津藩)が暗斎のファン





□平田篤胤(1776~1843

 下級武士の子 
   貧しい日々に耐えながら学び続けた


 夢の中で宣長に会い弟子入り
   -神秘がかった性向


 日本の神秘性を追求し主張するという
  「国学の宗教的側面」


 古代日本の純粋な神道「復古神道」


 「古事記」こじつけた読み方
地球上のすべての文化圏にあって日本こそが唯一最上の神の国

   「日本最優越論」神懸かり的国粋主義



自国を絶対視する国粋主義は、日本においては天皇絶対服従に直結せざるを得ない
 
 = 国学が最も観念的に凝り固まった一つの例



 死後の世界「幽冥会」
   大国主命が主宰するところ

死ぬことを不安に感じる必要はない



「日本人は日本人の主体性である『大倭心』をしっかり固めなければならない。そのため
 には、死後の世界について知ることが第一である。」『霊能真柱』



 徹底した日本優越論
   → 尊皇攘夷運動の背景に










◇江戸期日本の常識-尊皇思想

□尊皇思想 

= 日本は神が創った国であり、その神の子孫たる天皇は、すべての日本人を統べる存在
 である。天皇はすべての日本人に敬われなければならない。




□武家政権  

 天皇の権威を後ろ盾にして成り立っている



 いつの時代でも日本の支配層は、少なくとも建前ポーズとして朝廷(天皇)を敬うこと
が自らの政権の正当性を内外に示すことと直結する。
 

 「天皇が絶対的頂点」
  -国学、江戸時代型神道(垂加神道、復古神道)





□水戸学派 

 藤田幽谷(1774~1826) 藤田東湖(1806~1855)


 水戸学
   水戸藩公式の歴史学 水戸光圀「大日本史」

「支配者層の地位の肯定」を論証する内容


 尊皇思想 - 徹底した排他思想



 日本人は徳川幕府のもとで一致団結する必要がある

徳川家を守ることを目的とした政略的発想






□吉田松陰 

 長州藩 兵学師範の吉田家を継ぐ藩お抱えの軍学者

 ① 密航計画  

    失敗し長州で終生俘囚の身


 ② 朝廷幕府に何度も内政・外交・国防の意見書

<幕府と朝廷はパートナーシップ>



   幕府の現実逃避・問題先のばし



  一君万民の国家体制
天皇を敬うことにおいて日本人すべてを平等とする

= 身分制度の否定

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