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「日本がわかる思想入門」長尾剛 新潮社 OH文庫 2000年 ⑱ [読書記録 一般]

今回は 9月1日に続いて、長尾剛さんの
「日本がわかる思想入門」、18回目の紹介です。



出版社の案内には、


「ヨーロッパ哲学だけが人類の思想・哲学のすべてではない。古代から、中世、近世、近
 代まで、各時代の日本思想にこそ、知的発見の楽しみが満ち溢れている。先賢に学ぶ40
 のニッポン・オリジナル。」


とあります。







今回紹介分(大正デモクラシー)から強く印象に残ったことばは…

・「『民衆とジャーナリズムが組んで政府と対立する』 = 大正デモクラシーの典型」


・「好景気 = 大正デモクラシーの背景」


・「戦争被害に苦しむ世界の民衆に気を回すだけの想像力を欠いていた」


・「『主権は法人である国家にある』天皇は行使する機関」





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☆「日本がわかる思想入門」長尾剛 新潮社 OH文庫 2000年 ⑱

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◇大正デモクラシーという時代の限界

□大正時代 

 民主主義思想が大いに華やいだ時代

↑↓

昭和前期 - 日本史上の暗黒時代にそのまま直結した時代





□米騒動  

 1918(大正7)年

 「民衆とジャーナリズムが組んで政府と対立する」
 
  = 大正デモクラシーの典型 

    幸徳秋水の後継者「平民新聞」





□ほめるべきか批判すべきか

(1)民主主義運動や天皇の意義の再評価が極めて現実的に即して行われた


(2)戦争に対する認識
第一次世界大戦への参戦に反対を唱えていない

→ むしろ好景気 = 大正デモクラシーの背景

戦争被害に苦しむ世界の民衆に気を回すだけの想像力を欠いていた





□吉野作造(1878~1933)

 宮城県出身  帝大教授-政治学

「民本主義」
  = 国家の主権が「それを人民が持つのかどうか」が問題なのではなく、「人民のた
   めに使われるかどうか」が問題なのだ。



 目的がしっかりしている限り政治を行う当事者が君主(天皇)であろうと誰であろうと
かまわない



 しかし、政策決定者は人民
<議会制>の主張


 「名を捨て実を取る」発想
現状肯定の延長として社会の改善を目指す



    現実との妥協





□美濃部達吉(1873~1948)

 兵庫県出身  帝大教授 - 政治学


 天皇の権限を制限的に理解、議会の権限を拡大的に理解



 「主権は法人である国家にある」天皇は行使する機関



 主権の所有者も行使者も「生身の人間ではない」天皇機関説

 
 当時は美濃部側の主張が大勢の支持を得ていた



不景気



 軍部・右翼・国家主義勢力の台頭
大正デモクラシーの民主主義エネルギーはあっさりしぼむ



 昭和に入ってから「天皇機関説」が国体に反する説とされる
発禁処分 + 憲法学会からの追放



 大正デモクラシーという時代の限界



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