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「文学強盗最後の仕事 エッセイ集9」井上ひさし 中央公論社 1994年 上 [読書記録 一般]

「本物が立派であれば,それに比例して,偽物も質が高い」





今回は、井上ひさしさんの
「文学強盗最後の仕事 エッセイ集9」1回目の紹介です。


出版社の案内には、


「喧嘩早くて単純で涙もろくて無鉄砲な『坊っちゃん』に我々はなぜこれほど共感するの
 か。平凡な趣味人・吉良上野介はなぜかくも悪役となったのか。日本人の理想像と美意
 識を探る味わい豊かな文学談義。」


とあります。


今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「樋口一葉  文語体名作の最後」


・「一葉(は)明治の女性の最上層から最下層までを知っていた」


・「菊池寛 『結末の明るさ』 = 『生活第一、芸術第二』」


・「事件は材料にしやすいが性格は創りにくい(『男はつらいよ』)」




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☆「文学強盗最後の仕事 エッセイ集9」井上ひさし 中央公論社 1994年 上
 
1.jpg

◇坊ちゃん
        
 樋口一葉 
   文語体名作の最後



 夏目漱石 
   口語体小説「坊っちゃん」寄席の江戸言葉

本来の気性を殺して生きざるを得ない日本人だからこそ,まっすぐに生きている人
  に喝采
 





◇寂しいという基調音

 夏目漱石 
  「淋しい」 
    一人になりたい ←→ 集まりたい
 




◇本物と偽物

 本物(者)と偽物(者)とは比例の関係



 本物が立派であれば,それに比例して,偽物も質が高い
 





◇樋口一葉の財産

 歌塾「萩の舎」明治の宮廷サロン

 師匠の中島歌子は教え子に遠慮



一葉 明治の女性の最上層から最下層までを知っていた



一葉の財産

 最上層と最下層の女を同時に生きていた
 





◇菊池寛

 明確なテーマ 
  -「結末の明るさ」 = 「生活第一、芸術第二」

「ところが」の連続
   ~ 必ず助け船が


 1910(明治43)年 一高入学 32歳 

   助け船 → 京都大学



  そのうちなんとかなるだろうの明るさ
 





◇車寅次郎の変質

 寅次郎  
  思いこみ・片思い・岡惚れ → 得々すれすれに



悲哀悲恋の二枚目に成り上がる
性格喜劇から運命喜劇へ


 「男はつらいよ」
   ① 川の美しさ 
水の流れの切ないほどの哀しさ
詩を運んでくれる

② 性格だけを材料に良質の作品



事件は材料にしやすいが性格は創りにくい


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