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「モラトリアム国家 日本の危機」小此木啓吾 祥伝社 1998年 ① [読書記録 一般]

「『モラトリアム心理』
 
  何事に対しても,その時その折における当事者意識を持たない。自分はその時,その
 所であくまで仮の存在である。本当の自分はそっと棚上げしておく。一貫した主義主張
 を持たないか,持たない振りをする。特定の党派,集団にすべてを賭けることを避ける。」







今回は、小此木啓吾さんの
「モラトリアム国家 日本の危機」の紹介 1回目です。



出版社の案内には、


「名著(「モラトリアム人間の時代」)から20年。その病根は若者から企業の管理職、
 官僚、教師にまで波及した!権力志向のみ強く、責任をとらない人々…モラトリアム人
 間が「エリート」となった国の悲劇。」


とあります。





今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「教師も医師もモラトリアム
防衛的心理 = 失敗をしたくない ~ 無難に受け身的に」
- 反論して面倒なことに巻き込まれたくない…?


・「モラトリアム心理がエリートにはぴったり
昇進 ~ 将来の自分を心に描いて現在の自分は仮の姿」


・「いつまでも大人になりたくない 青年期の延長 ~ 30歳」
- なのに18歳で成人。


・「モラトリアム人間社会のジレンマ
ジェネラティビティ・クライシス(次世代を育てる心を失う危機)」





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☆「モラトリアム国家 日本の危機」小此木啓吾 祥伝社 1998年 ①
 
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◇前書き 

 モラトリアム症候群




◇モラトリアムエリート

□モラトリアム世代が日本の中核に

 社会の運営に実権を持たないで,社会から経済的・心理的なモラトリアム(義務・責任
の支払い猶予期間)を提供されている。



「モラトリアム心理」
 
 何事に対しても,その時その折における当事者意識を持たない。自分はその時,その所
であくまで仮の存在である。本当の自分はそっと棚上げしておく。一貫した主義主張を持
たないか,持たない振りをする。特定の党派,集団にすべてを賭けることを避ける。



□モラトリアム首相の方が安心

 誰のものでもない,誰が主体か分からない。



□教師も医師もモラトリアム

 防衛的心理 = 失敗をしたくない ~ 無難に受け身的に



□モラトリアム・エリートの心理

 ① 一時的・暫時的なあり方

 ② 責任の転嫁・拡散  
     責任回避・半人前意識

 ③ 常に待つ存在    
     いつもいつも待つ

 ④ モラトリアム心理がエリートにはぴったり

  昇進 ~ 将来の自分を心に描いて現在の自分は仮の姿

 ⑤ モラトリアム・エリートを保護する構造

一定の決まりを守り,主体的な自己主張を控え,重大な責任を背負い込む羽目にさ
  え陥らなければ,エリートは順調に出世する。



□モラトリアム心理

 E.H.エリクソン 
  青年期「心理社会的モラトリアムの世代」

旧来は一定の年齢で終結し大人になった



□いつまでも大人になりたくない

  青年期の延長 ~ 30歳



□モラトリアムが居心地のいいものに

 青年 = 半人前 ~ 苛立ち ~ 青年は大志を抱いた

     ↓

        戦後



 青年が情報化消費社会の主役になった
労働生産しないで受け取り消費に専念してよい 
 
    = モラトリアム大規模 商業化



□モラトリアム人間社会のジレンマ

 ジェネラティビティ・クライシス
              (次世代を育てる心を失う危機)



 世代間の継承と再生という,人間にとってもっとも基本的な,親であるという自覚

 = アイデンティティ感覚を持つことのない,親らしい心を持つことのない親たちの時
  代の到来


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