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「詠う平家 殺す源氏」谷沢永一・渡部昇一 ビジネス社 2002年 ⑤ [読書記録 一般]

今回は、5月19日に続いて、谷沢永一さん・渡部昇一さんの
「詠う平家 殺す源氏」5回目の紹介です。



出版社の案内には、


「『平家物語』で現代社会に通じる日本人のアイデンティティを再発見する きらびやかな
 印象のある『平家物語』は、戦乱と権力の構図を浮き彫りにした日本人論である。本書
 は平家物語を題材に、朝廷、平氏、源氏に見る権力の流れや、人間 の欲望、甘さ、残
 酷さなどを、二大論客が鋭く語る。」


とあります。


なるほど、なるほどと頷いてしまう本です。



今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「神仏習合,本地垂迹で日本は悲惨な宗教戦争を免れた」


・「『殺す源氏』『流す平氏』」


・「平家滅亡のドラマはジュネーブ条約(捕虜協定)のない殺し合いだ」


・「平氏は藤原氏の正統の後継者だと思っている」




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☆「詠う平家 殺す源氏」谷沢永一・渡部昇一 ビジネス社 2002年 ⑤

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<神仏併存日本の英知>

◇平家物語は秀微した歴史観を持った仏教文学

□「先帝身投」や「那須与一」には日本精神が凝縮されている



□「平家物語」の背骨となった平安仏教

  平安仏教の終末を彩った「平家物語」



□奈良仏教からの脱皮を目指した最澄と空海

  国営から民営化
     


□衆世の「成仏」への道を開放した平安仏教 



密教 次第に貴族化していった教団

平安仏教を揺るがした社会の大変動

何かと言えば出家出家 = 仏教が安っぽく扱われていた

    ∥

内からの信仰よりも外からの形成へ








◇仏教因縁と神道とが混在する不可思議

□ハンコ(神霊)にまつわる奇抜な神仏混交



□神仏習合,本地垂迹で日本は悲惨な宗教戦争を免れた

日本独特の思想となった「本地垂迹」

対立を避けようとする民族的な思念

日本人に生まれてよかった








<武の源氏に敗亡した文の平氏>

◇「殺す源氏」「流す平氏」

□「頼朝助命」が平氏の不幸の根源 

 = 公家的発想が強かった平氏は殺すことを好まなかった 

   源氏の冷酷さが殺戮の風潮を招いた








◇武家の源氏,公家の平氏

□平氏が畏れた東北武士の活力源は「納豆」だった



□淡泊な京都の食文化



□荒馬を自在に乗りこなした東北武士



□貴族化すると馬ではなく牛車



□平家側には馬の「物語」がない



□平氏には謀をめぐらす軍師もいなかった



□富士川での平家の敗走は必然だった

  工夫を凝らしたエピソードの仕掛け







◇感応を揺さぶる源平合戦 鎧装束と名乗り

□極彩色の鎧装束と名乗り

元寇の時,日本の武士は名乗りのため標的とされバタバタと
   … 名乗りで命を落とした平家の武将


  平家滅亡のドラマはジュネーブ条約(捕虜協定)のない殺し合いだ








◇悲劇の猛将可憐な女傑 木曾義仲と巴御前

□どこか憎めぬ猛将木曾義仲

  源為義の孫で義賢の子



□「平家物語」は女二人で始まり女二人で幕を下ろす

   祇王祇女と静の貞操,巴の剛勇



□巴御前の勇烈ぶり 

  和田義盛にくれられる



□巴御前は悲劇の義仲を救うための存在

  架空であっても魅力的



□今も能舞台で生きている巴御前

  四十五曲の能が「平家物語」に生存を与え続けている



□木曾勢への悪評は「屍にむち打つ」の類ではないか

  宮廷は意地悪の巣窟 

  公家は意地悪の集まり
   

□戦びとではない平氏には義仲と組むという発想など無かった  

  忠盛が武人,清盛からは宮廷人 → 完全に変質

  平氏は藤原氏の正統の後継者だと思っている

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