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松居和「人類の進化と親心(上)-宇宙は我々を信頼してゼロ歳児を与えた 子育ての体験が人間性や善性引き出す-」(中日新聞 2003.1.19) [読書記録 一般]


「宇宙は我々を信頼してゼロ歳児を与えた。」

「人間社会から親心が消え始めています。社会に親心が育たないということはモラル・秩
 序が育たないということ。」

「人間は絶対的弱者である幼児と接しそれを育てることによって、善性、やさしさ、忍耐
 力を自らの中から引き出され、同時に手に入れやすい幸福の物指し、『親心』というも
 のを天から授かるのです。」










今回は、中日新聞の記事より、松居和さんの
「人類の進化と親心(上)-宇宙は我々を信頼してゼロ歳児を与えた 子育ての体験が人
間性や善性引き出す-」を紹介します。



- 遠い20年も前のこと
- 遠いアメリカのこと

といっていられないような状況だと思います。



心配をなくすのに必要なこととして、松居さんは次のことを挙げています。


「すべての人が幼児と出会う機会を少しずつ取り戻していけばいいのです。」




わたしも自分の子ども、学校で出会う子どもたちによって大きく育てられているように感
じています。




休日に妻と奈良に出掛けました。
正倉院展がめあてですが、二日間で五万歩、よく歩きました。
天候にも恵まれ、楽しい時間を過ごしました。

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     <箸墓古墳>

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     <山の辺の道>

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     <大神神社>

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     <頭塔>

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     <法隆寺>

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     <須恵器 土師器が見られる土塀>

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     <西大寺>

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     <東本願寺>




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☆松居和「人類の進化と親心(上)-宇宙は我々を信頼してゼロ歳児を与えた 子育ての体験が人間性や善性引き出す-」(中日新聞 2003.1.19)
                      
 欧米で3割、4割の子どもが未婚の母親から生まれ、離婚率を考えれば実の両親そろっ
て育てられる子どもの方がすでに少数派になろうとしている。


 人間社会から親心が消え始めています。社会に親心が育たないということはモラル・秩
序が育たないということ。


 人間は絶対的弱者である幼児と接しそれを育てることによって、善性、やさしさ、忍耐
力を自らの中から引き出され、同時に手に入れやすい幸福の物指し、「親心」というもの
を天から授かるのです。



 家庭崩壊が始まると警察や司法で取り締まろうとしても焼け石に水です。


 家庭崩壊とは、親が子どもに無関心になること、子どもが病気になっても親が知らない、
居ない、といった状況をいいます。


 今年アメリカでは生まれる子どもの20人に11人が一度は刑務所に入ります。


 これはアメリカ政府の発表です。


「囚人の95%が幼児虐待の犠牲者といわれ、現在、親、義理の親、里親に虐待を受けて
 いる子どもたちを施設に収容しようとすると、200万人の子どもを収容する施設を作ら
 なければならない」


 といわれます。


 里親制度や母子家庭における幼児虐待・犯罪率の高さゆえ、8年前アメリカの連邦議会
に提出された「タレント・フェアクロス法案」は、


「21歳以下の未婚の女性が子どもを産んだ場合には生活保護費を出さず、その予算で狐
 児院を作って子どもを収容して育てよう」


というものでした。


 母子家庭が必ずしも悪いわけではないのです。


 母親の働く姿を見て、両親がいる家庭以上にしっかりした優しい子どもが育つことなど
いくらもあったのです。


 しかし、少年法で服役している少年たちの70%が母子家庭から来ている、という数字
が出てしまうと、将来犯罪を取り縮まるためにかかる費用、刑務所の建設費を考えれば、
孤児院で子どもを育てた方が安上がりだ、と言い始める議員たちが現れたのです。


 この法案は否決されました。


 しかし、これに賛成していた当時の下院議長が、

「孤児院と考えずに24時間の託児所と考えればいい」(同)

と言ったのを私は覚えています。


 下院議長が言うように、母子家庭から子どもを取り上げ政府が育てれば確かに一時的に
犯罪は減るでしょう。

 子どもが虐待される確率も下がるでしょう。

 子どもには確かにその方がいいのかもしれない。


 しかし、その先にさらに大きな、決定的な家庭崩壊の波がやってくる。


「幼児を育てること」を親が体験することの意味が見えていない。親が子育てを体験しな
いことの社会的損失が見えていないのです。



 私は、こういう発言が、先進国といわれるアメリカで下院議長にまでなる政治家によっ
てされているのだ、ということを日本の親たち、保育者たちに知ってもらいたい。


 そうすれば、今まで政府がやって来た少子化対策や親のニーズに応えようとするエンゼ
ルプランがきわめて危険な増税対策であり、学者たちの経済対策がいかに幸福論をともな
っていない場当たり的なものかが見えてくる。



 宇宙は我々を信頼してゼロ歳児を与えた。


 ほとんどの人間が幼児を任せるに価する優しさ、忍耐力を心の底に持っていると信じた。


 そうした人間の進化に必要な人間性・善性を引き出してくれるのが、幼児たちと過ごす
時間、子育ての体験だったのです。


 自分たちから人間性、善性を引き出してくれるものたちを自ら生み出す。


 この素晴らしく不思議なサイクルがいまシステムや権利意識によって崩されようとして
いる。


 日本だったらまだ間に合うかも知れません。


 先進国社会で奇跡的に家庭崩壊が進んでいないこの国が、欧米の失敗から学び、どうい
う方向へ向きを変えるかが人類の進化の鍵を握っているとさえ思うのです。



 やり方は簡単です。


 すべての人が幼児と出会う機会を少しずつ取り戻していけばいいのです。             


◇松居和
 まつい・かず 
 1954年、東京都生まれ。
 音楽プロデューサー。
 米国を舞台にレコード制作などで活躍、また、尺八奏者として『太陽の帝国』など多く
の米映画に参加した。米国の家庭崩壊を報告したビデオ『今、アメリカで』制作を機に、
子育てについての講演や執筆活動に入った。
 著書に『21世世紀の子育て』『家庭崩壊・学級崩壊・学校崩壊』など。


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