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草柳大蔵さんはこんなことを40 [読書記録 教育]

今回は、12月17日に続いて、わたしの読書ノートから、
「草柳大蔵さんはこんなことを」40回目の紹介です。





今回も、「続午前8時のメッセージ」(静岡新聞社)からの紹介です。




出版社の案内には、


「評論家・草柳大蔵が送る待望の第2弾。家庭、学校、社会、さまざまな角度から子ども
 の心を見つめ、輝く未来のために祈りを込めて語る珠玉の99話。」


とあります。




今回の内容は「人間ビラミッド」。
その危険性が大きな課題として取り上げている現在、複雑な思いはしますが…




今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「どんな教育制度をつくっても、その中で子どもが勉強を持続するかどうかということ
が問題なんですね。」


・「棒暗記主義だと、知能の働きがそこで止まってしまうんですね。」


・「勉強というものは、試験があろうとなかろうと、心に留まったことを頭の中でもう一
度繰り返して、そして別の情報がきたときにそれと並べてみたり、結び付けてみたり
すると、その人だけの方程式が頭の中にできるんですね。」






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☆草柳大蔵さんはこんなことを40

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☆「続午前8時のメッセージ」草柳大蔵 静岡新聞社 2002年 (6)


◇メッセージを伝えよう


 前にご紹介した中村諭先生は、現在、宝塚市の市立高司中学校の校長先生をしていらっ
しゃいますが、そこにモモちゃんという女の先生がいるんです。


 そのモモちゃんが、子どもたちに自分が集団の一員だということを自覚させよう、と女
子マスゲームに取り組み、男子は人間ビラミッドをつくったんです。


 8段までつくるのですが、8段のピラミッドにはなんと90人弱の子が必要なんです。


 一番下の子は、その重みに耐えなければいけないから大変ですし、上の方に行けば行く
ほど、力を抜いてやらなければいけないですね。


 思いやりですよ。


 それでようやく8段ができる。


 体育大会の日に8段のピラミッドをつくったら、全国から見にきていた先生や、市や県
の教育関係者がワーツと拍手した。


 終わったときになんと男子の指導者がマイクを取って、

「ただいまより、オプションで9段をつくります。高中生の心意気です」

と言ったんですね。


 すると120人がワーツと出てきた。


 そして、とうとう9段のピラミッドをつくってしまったんです。



 そのときのモモちゃんの文章があります。


「体育館での最後の練習、タワーを組む人たちの頑張り。周りで支える人たちの頑張りを
 感じることができた。タワーが立ち上がった時、涙が溢れてきた。拍手も起きた。『泣
 いちゃ駄目。泣くのは本番やで』と3年生の子が言った。ああ、高司中の子はやっぱり いい。 私はこんな心のある子がいっぱいいる高司中のみんなが大好き。そして、ドラ
 マが生まれたのです」

と。


 これが彼女が最後に書いたメッセージなんですよ。


 すごいですね。


 これをやった子どもたちの方は、


「モモちゃんに怒鳴られて怖かった。私はあの怖さを忘れられない。だけど、最後に8段
 のピラミッドを組み終わって、そして皆さんから拍手を貰って、ピラミッドを崩し終わ
 った時に、モモちゃんが怒ったのは私たちへの愛だったということがわかった」


と書いているんですね。


 怒鳴りまくられたのが、実は私たちに対する愛だったんだということを、中学生だから
こそ、こちらがすごい本気のメッセージを送ってやればピタッと受け取るものなんですね。



 こういうことを考えると、どんな教育制度をつくっても、その中で子どもが勉強を持続
するかどうかということが問題なんですね。


 今の制度が悪いとか、昔の制度が良かったということではなくて、今が棒暗記主義にな
っているということが悪いんです。


 棒暗記主義だと、知能の働きがそこで止まってしまうんですね。


 試験が終わるとケロッと忘れてしまうんです。


 そうではなくて、勉強というものは、試験があろうとなかろうと、心に留まったことを
頭の中でもう一度繰り返して、そして別の情報がきたときにそれと並べてみたり、結び付
けてみたりすると、その人だけの方程式が頭の中にできるんですね。


 このことが大切なんです。


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