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「現代の現代性-何が終わり何が始まったか」岩波書店 2015年 ② [読書記録 一般]

「市場に移されてしまったものについては、もはや政治的決定の効果は及ばなくなり政治
 はやせ細っていった」





今回は、3月14日に続いて、
「現代の現代性-何が終わり何が始まったか」の紹介 2回目です。




出版社の案内には、


「私たちが生きるこの現代社会で,いま何が終わり,何が始まっているのだろうか.3.11(東日本大震災と原発事故)をはじめとした危機的転換の意味もふまえ,諸論考と座談会
 を通して考える.執筆者は,全編集委員のほか,ジョン・ダワー,西谷修,斎藤美奈子,
 野家啓一,加藤典洋,橋爪大三郎,吉岡斉,斎藤環,広井良典.」



とあります。




今回紹介分より強く印象に残った言葉は…

・「市場は暴走しているのではなくその本質を顕現させている」


・「高い収益を上げる企業ほど、所在地を租税回避地に移し法人税を納めない」


・「租税回避地のサービスを提供しているのは政治の役割」


・「相互扶助的側面はそこに見られない。むしろ、それぞれの地域や個人の競争力に注目
  し、蹴落とし合うような市場の原理がそこには貫かれている。」





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☆「現代の現代性-何が終わり何が始まったか」岩波書店 2015年 ②

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4 政治の現在と未来  杉田敦

  
□政治を追いつめる最も強い力 = 経済から来ている
  


□現在 

 政治のいわば「周辺化」こそ今日政治が直面しつつある問題の根源にある
 
            |

 ◎市場は暴走しているのではなくその本質を顕現させている

            ∥

 市場が地球大となり経済による政治の「周辺化」が進んだ

            |

 何よりもまず税の徴収が困難になっている
   ~ 高い収益を上げる企業ほど、所在地を租税回避地に移し法人税を納めない

             ↑↓

 租税回避地のサービスを提供しているのは政治の役割
     
  ※ 租税回避 - 企業 高額所得者 
                    
 

 △地域間格差の広がり   △人々の間の階層的格差の広がり
 
            |

 19世紀以降 ナショナリズムの強まり
          
 国民経済を讃えるナショナリズムが強まった
  
           |

 ならば、国民経済が崩れつつある今、ナショナリズムも弱まっていくはず
 
           |

 しかし そうではない


◎ 今のナショナリズムは、国民集団の間で冨を分かち合っていくような意識では必ずし
 もない。
 
           ↑


 相互扶助的側面はそこに見られない。むしろ、それぞれの地域や個人の競争力に注目
し、蹴落とし合うような市場の原理がそこには貫かれている。         
 

           ∥

   
 このナショナリズムは、市場に対抗するようでいて、市場に膝まずくナショナリズムな
のである


           |              

   
 では、なぜ支え合わないのか?
        

= 市場の論理に対抗することは市場に絡め取られる以上の不安をもたらす


          ∥
 
  より強い人に付いていけば少しはおこぼれに!
 
   
※ 今日代表制は危機!  

   
 代表の危機 ~ 政党政治の衰退という形を取ってもあらわれる
       
 
         |

◎ 経済による政治の「周辺化」は政治的な選択肢を消滅させる     

 19~20世紀 代表制は政党間対立を軸として展開した
 
         ↓

 自由主義的政党 VS 社会主義的政党
              ヨーロッパでは衰退

※ あらゆる領域における市場策を各政党は争って推し進めた
   
      ↓


 市場に移されてしまったものについては、もはや政治的決定の効果は及ばなくなり政治
はやせ細っていった


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