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「教師の資質」諸富祥彦 朝日新聞出版 2013年 ④ / コロナ禍の教育-「学校での経験 質変わる」  静岡大・亘理准教授に聞く 中日新聞東海本社版 2020.5.17朝刊より   [読書記録 教育]

浜松市の公立小中学校も、再開に向けて動き出しています。
なるべく早期に学校生活を送ることができるようになることを願っています。



☆学校休業中の子供たちの学習に
文部科学省の
「子供の学び応援サイト(臨時休業期間における学習支援コンテンツポータルサイト)」



今回は、5月14日に続いて、諸富祥彦さんの
「教師の本質」4回目を紹介します。


諸富祥彦さんの本も、お話もおもしろく、
また、現場をよくご存じの方だと分かります。




出版社の案内には、


「教師の不祥事が取りざたされる今、本当に優れた教師は何をしているのか?いじめへの
 ずさんな対応、体罰、暴言…教師の問題が注目されている現代で、本当に求められる
 資質とは何なのか。『教師を支える会』代表として、全国の学校の問題に取り組んで
 きた著者が、最先端の教師像を説く。」



とあります。





今回紹介分より強く印象に残った言葉は…

・「教師の人事考査の問題」
「見栄えのする授業に走りがちに」


・「日本の学校における最大の財産は『教師のチームワーク』
  いまやそれが崩壊してしまい支え合いも失われつつある」


・「この十数年程の間に若手教師がものすごい勢いで増えてきた」


・「『弱音を吐ける職員室』を」


・「これからの教師に必要な力(は)援助希求力」




昨日、17日(日)中日新聞東海版朝刊静岡県内版に、静岡大学の亘理陽一准教授の、
『コロナ禍の教育に何が求められるか』のコラムが載せられていました。
「子どもの学習権を制限されたことについて、事後に検証が必要ではないか」
との指摘が強く印象に残りました。
子どもたちに過度の負担を求めない方向になることと、
学びに取り組みやすい教育環境の整備を強く望みます。






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☆「教師の資質」諸富祥彦 朝日新聞出版 2013年 ④

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◇教師を取り巻く過酷な現状 - 壊れていく教師(3)

□教師のチームワークが崩れつつある

 ① 教師の人事考査の問題

  A(優秀) B(良好) C(もう一歩) D(期待) VS(それ以外)

  校長より



◎見栄えのする授業に走りがちに

  校長派     反・非校長派


管理職寄り 特に反旗翻さないが自分の評価を挙げるために


出世意識高 校長に気に入られようとは思わない人

 
※ 日本の学校における最大の財産は「教師のチームワーク」
    
    ↓

※ いまやそれが崩壊してしまい支え合いも失われつつある   





②この十数年程の間に若手教師がものすごい勢いで増えてきた

 関東のある学校 20代が全体の7割



中高年教師とのギャップ  ギクシャク

 
 9割近くの教師は「同僚や管理職に相談できる人がいない」


※「弱音を吐ける職員室」を 

※管理職によって職場の雰囲気は大きく影響される

 「鬱病は教師の勲章だよ」
   弱音を吐ける職員室 支え合える職員室

 
※援助希求力 - これからの教師に必要な力  

上手に助けを求める力 = 援助希求力














☆コロナ禍の教育-「学校での経験 質変わる」  静岡大・亘理准教授に聞く 中日新聞東海本社版2020.5.17朝刊より

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  <中日新聞 東海本社版 2020年5月17日(日)朝刊より>

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、子どもたちは「教育を受ける権利」を制限さ
れ、長期間通学できなかった。

 緊急事態宣言が解除され、学校は徐々に再開されるが、「三密」を避けるため、これ
まで通りの学校生活は送れない。

 コロナ禍の教育には何が求められるのか。静岡大・亘理陽一准教授(40)=教育方法学
に聞いた。   (聞き手・高橋貴仁)




【高橋記者】 

 安倍晋三首相の突然の要請で三月から、学校が臨時休校になった。




【亘理准教授】

 陽性者が出ていない県も含めて、全国一律で休校になったのは驚いた。事後に検証が
必要だと思っている。


 判断基準がなく、パニックだったとしても、子どもの学習権をどのように考えている
のか。


 本来であれば、保護者に「休校になって大丈夫ですか」と聞いたり、教育長が実態を
把握したりしてから判断するべきだった。


「時間的余裕がないから休校にするしかない」という理由が通り、臨時休校の先例をつ
くったのは将来に禍根を残した。




【高橋】  

「九月入学」への移行も議論されている。




【亘理】

 留学がしやすいとメリットが挙げられているが、留学する余裕のある一部の人にとっ
ての恩恵であって、多くの子どもたちには関係のない話。


 そもそも今留学はできず、留学を売りにしている大学は困っている。


 けがをして身体から血が流れている状態にもかかわらず、治ったら何を食べに行くか
話しているようなもの。 


 まずは、けがを治しましょうと考えるのが先。


 危機を好機に変えようと呼び掛け、九月入学を議論するのは恥知らずであきれる。




【高橋】
今後、徐々に学校が再開される。


【亘理】

 カリキュラムには二通りの意味がある。


一つは計画されたカリキュラムで、教育指導要領や大学では年間シラバス (授業計画)。


 もう一つは、学習で経験する総体を指す。例えば映画観賞は、映画を見るだけでなく、
映画館ですすり泣く声を聞いたり、どっと笑ったり、前後に家族とお昼を食べたりと多
くの経験がある。


 学校も同じで、台本のない即興劇のようなもの。子どもも演者になって、子ども同士
や先生の反応によって授業や学校生活が展開している。


 今その経験が失われている。


 根本的に他者との接触の質が変わった今、学校での経験の質も変わるだろう。
     



【高橋】

 保護者や教員はどうあるべきか。




【亘理】

 児童や生徒、学生から、これまでにどういう経験が失われ、これからどのようなカリ
キュラムを提供できるのか、考える必要がある。 


 教育行為を考えるのは大人の責任で、そのためのインフラ整備をするのが教育行政の
仕事。


 あれもしなさい、これもしなさいと現場に指示し、あとは熱意と創意と工夫でという
のは、ひどい話だ。


 アリバイづくりのために(夏休みを削減するなどして)計画したカリキュラムをやった
ふりをするのは、政府の布マスク配布と同じになってしまう。



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