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「在すがごとく死者は語る」鈴木秀子 クレスト社 1996年 前半 / 『新版 静岡県伝説昔話集』(上巻)静岡県女子師範学校郷土研究会編 1994年 ①【再掲載 2017.11】 [読書記録 一般]

今回は、わたしの教育ノートから、鈴木秀子さんの
「在すがごとく死者は語る」1回目 前半の紹介です。





出版社の案内には、


「キリスト教徒たちが体験した死者と生者とのあたたかい絆のエピソードを、聖心会シス
 ター、聖心女子大学教授があつめて紹介する。」


とあります。





今回紹介分で強く印象に残った言葉は…

・「この世に大切なものは  信仰・希望・愛」


・「死と生の間は連続している」


・「わたしたちは死者の許しと支えによって生きている」


・「3つの生きる姿勢 ①素直さ ②世の中は味方感覚 ③自分の力を信じる」





もう一つ、再掲載となりますが、
昭和9年に、静岡県立静岡県女子師範学校の郷土研究会より発行された本の新版、
『新版 静岡県伝説昔話集』(上巻)1回目を紹介します。
出版社は羽衣出版、郷土の本をたくさん出版しています。
静岡の方言がなんとも味があります。




☆子供たちの学習に
文部科学省の
「子供の学び応援サイト(臨時休業期間における学習支援コンテンツポータルサイト)」




ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。









☆「在すがごとく死者は語る」鈴木秀子 クレスト社 1996年 前半

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◇まえがき

 この世に大切なものは
  「信仰」「希望」「愛」


 天国で大切なものは
  「愛」のみ





◇死者はいつもあなたを見守っている

 一つとして同じ死はない


 真夜中のピアノの調べ  
   死んだ娘からの贈り物


 死に対する修練 
  「作られたものはすべて常住ではなく死が結果としてあるのだ」


 人間は必ず死ぬ 愛する人たちにのみ死がある そして 愛する人たちに死はない





◇失われた右腕が語りかけたこと

 レフト・ハンデッド・ピープルのための道具
口で絵を描く画家-星野富弘さん 
    24歳で・体育の先生
  

 左手で描いたつたない斧の絵 


 右腕が膝を叩く


 自分を生かすことが他人を生かす
   これで生きられます→左手専用道具職人


 今与えられているものは何か


 失ったものが教えた本当の人生
失ったものの代わりに本当の人生を手に入れることができた





◇在すがごとく死者は語る

 死と生の間は連続している


 一瞬のうちに奪われた家族の命


 ナイフ恐怖症を取り除くセラピー


 死んだ父が語る娘への思い 
  「人を許して喜びのうちに生きなさい」


 友のために命を棄てる愛 
   1972年 ラグビーチームのチャーター便 アンデス山中 16人生還


 神の手を感じるとき


 無意識の世界に呼び掛ける


 苦しみが人を癒す





◇不倫の末自殺した女性からの手紙

「死せる人の霊魂が安らかに憩わんことを」


 不気味な偶然  
   出会いは賜物  恋人への供養 


 死者の地で踏み出した一歩
「願わくば死せる人の霊魂がやすらかに憩わんことを」
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   「わたしたちは死者の許しと支えによって生きている」   

   「許してくれ」 苦しみの先を洞察する力





◇「異次元の世界」の扉を開けた少女

 死者は愛する者を導き,助けてくれる


 祖母の死の直後,行方不明になった娘


 悲報を待つ家族の沈黙
「おばあちゃんが笑っていた」 赤い花と追いかけっこしながら帰ってきた」


 仏だんに現れた椿の花
3つの生きる姿勢
①素直さ ②世の中は味方感覚 ③自分の力を信じる


 お墓の中から聞こえてきた大先生の声
生きている者が心の底から望めば,死者はその人のもとを訪れ語り掛けてくれる。





◇魂が再び姿を現すとき

  森の仙人との出会い  
   和らいでいく苦しみ  大自然の中で感じた命の尊さ


 忽然と消えた老人  管理人の証言  希望の光の中へ
人の心も癒す医者  生田慎介さん
『足摺岬』
   「のう,おぬし,生きることは辛いものじゃが,生きておる方がなんぼよいことか」

溢れ落ちる涙の中に見た「真実」





◇なき幼子からの珠玉のメッセージ
祖父の魂が宿るお守り  精霊が探した玉手箱  息子の死の意味

  自分の中に宝はある  死を超えた「魂の蘇り」


















☆『新版 静岡県伝説昔話集』(上巻)静岡県女子師範学校郷土研究会編 1994年 ①【再掲載 2017.11】

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1山男、山婆、巨人、天狗の話



(1) 山男(周智郡城西村野田・現磐田郡佐久間町)


 水窪の奥の西浦の氏神様になっている観音様のお祭りの時に、祭りに飽きた男が一人で
夜遅く帰りかけた。


 瀬戸の沢という所まで来ると、向こうから誰かが

「田楽チャーチ、田楽チャーチ」


と言って、観音様の舞を舞いながらやって来る。



 くらやみをすかして見ると、それは雲をつくばかりの大男であった。


 男はびっくりして、ぶるぶる震えだしたけれども、どうすることも出来なかった。



 すると、どこからともなく山犬が現れて、その人におおいかぶさり、すっかり見えなく
してしまった。



 山男は


「人くさいと思ったら犬だっけ」


と言って、また同じ舞を舞いながらどこへともなく行ってしまった。


 その男は、犬のお蔭でようやく一命を拾った。                   
                                (伊藤こと)








(2)山婆 (周智郡城西村野田一現磐田郡佐久間町)

 西浦のシナゴという家に、まだ年若い娘があった。


 そしてその娘は毎晩のように藤をうんで(さいて)は糸にした。


 すると毎晩のように、どこからともなく山婆がやって来て


「私も手伝わず」


と言っては、藤をさいて手に巻き、一杯になると外してその端を火で焼き、灰を手のひら
に落としては、それをガクツとひと飲みにしてから吐きだすと、もう美しい藤の糸が出来
ていた。



 山婆はそれを束にして


「今夜も一つチヤンコロリン」


と言っては二階に放り上げた。



 そして娘とすっかり仲良しになって、毎晩来ては藤をうんだ。


 しかし後で見ると二階には何も無かった。



 家の人達は、これは、きっと山婆が娘をどこかへ連れていって食べるに違いない。



 そうならない前に山婆を殺さなければと思って、いろいろ考えたあげく、毎晩仕事の済
んだ時に出す茶玉(だんごに茶の粉をふりかけたもの)の代わりに、それと色も形もよく
似た川石を拾って来て、それを焼いて食べさせることに決まった。



 その晩も相変わらず山婆はやって来て、同じように藤をうんだ。


 家の人は一生懸命石を焼き、さていよいよ帰るという時になって、いつもの茶玉のよう
にその石を山婆の手にのせてやった。



 そして、熱くはないかと聞くと、ちっとも熱くはない、と言って、それをひと飲みにし
てしまった。



 ところが、そんな熱いものがお腹の中へ入っていったからたまらない。



 山婆は、熱い熱いと言って狂いまわり、何か冷たいものをくれと言った。



 そこで家の人達は大急ぎで油を飲ませたから、なおさら山婆は狂いまわり、ついにお腹
が大きな音を立てて破裂して死んでしまった。



 その家は今も残り、しかもその罰で、働いても働いても貧乏を続けているという。

                                  (伊藤こと)



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