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「私の教育観」学研教育ジャーナル編集部 2000年 ⑥(最終)  / 『灯し続けることば』大村はま 小学館 ⑧(最終) 2004年【再掲載 2012.12】 [読書記録 教育]

2020年の最終日は、12月27日に続いて、学研教育ジャーナル編集部による
「私の教育観」の紹介 6回目  最終です。



出版社の案内には、

「秋山仁、金田一春彦、俵万智、山田洋次…。37人の著名人が自らの生い立ちや天職を
 得た動機などを語り、学校・家庭・社会の教育問題へ提言する。『教育ジャーナル』掲
 載の『ひと・模様』(途中改題)をまとめる。」


とあります。




今回紹介分より強く印象に残った言葉は…

・「素直な子がいちばん 教える方も教わる方も疲れない」


・「(川渕三郎さんの)恩師は吉岡たすく先生 - 演劇を用いて 話の巧さ」
-「テレビ寺子屋」のおなじみの講師の吉岡さん、川渕さんの恩師とは存じませんでした。


・「これから雑誌と本と毎月一冊ずつ買うてあげる。どの本がほしいか自分で探しなはれ」
- 素晴らしい言葉掛けですね。


・「『むかつく』『キレル』『べつに』『ウザイ』 - ミーイズムと拝金主義」






もう一つ、再掲載となりますが、大村はまさんの
『灯し続けることば』⑧を載せます。
森繁久弥さんのエピソードは、ずっと頭のどこかに残っています。




本年も、拙ブログとおつきあいくださり、ありがとうございました。





<浜松のオリーブ園>
浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





☆子供たちの学習に
文部科学省の
「子供の学び応援サイト(臨時休業期間における学習支援コンテンツポータルサイト)」




ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。







☆「私の教育観」学研教育ジャーナル編集部 2000年 ⑥(最終)

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<社会教育>

◇江崎玲於奈 1925大阪生
  
 急がれる若き創造力の育成 


 人生を変えた三高の校風 
   ① 自由闊達にやる 

   ② テイストを磨く 審美眼鑑識眼


 DNAと遺伝外情報  
  
 
 先生が再充電できる大学院制度を





◇小川三夫 1947生 宮大工 西岡常一門下
  
 本物をつくる 
   法隆寺五重塔に感動


 西岡棟梁の教え方
   1年間刃物道具研ぎ-法輪寺三重塔 8年間一人で
  

 鵤工舎(いかるがこうしゃ) の指導法
昭和52年5月独立 
   23人の弟子 
   共同生活が原則 - 見習いは飯炊きと掃除
「素直な子がいちばん 教える方も教わる方も疲れない」
  

 教えることは教えないこと 
弟子は自分で覚えるしかない 我慢比べ
  

 木は寝かせて使う
   耐えること 


 千三百年前の工人と対話 
  「本物を残しておけば必ず技術は蘇る」





◇川渕三郎 1936大阪生
  
 小中学校のグラウンドを緑の芝生に 


 サッカーに学ぶ国際性


 恩師・吉岡たすく先生 - 演劇を用いて - 話の巧さ NHK放送劇団
  

 四国行きが人生を決めた
  

「百年構想」の原点





◇ジョージ・フィールズ 1928東京生 オーストラリア人 
  
 野茂・イチローに続け
  「0歳教育」に共感 - 井深大『ゼロ歳教育』


 マーケティング畑一筋に  
  「東京オリンピアン」世代の活躍 

   偏差値教育と塾の全盛


 日本型「いじめ」の特性  
  
   世代交代は進む





◇谷沢永一 1929大阪生
  
 義務教育は諸悪の根源


 母の適切な言葉
 「これから雑誌と本と毎月一冊ずつ買うてあげる。どの本がほしいか自分で探しなはれ」


 読書家の心得
  ① まず買いなさい

  ② 捨てる ツマラナイ本は捨てる
  

 教師は「お通夜のお坊さん」





◇寺島実郎 1947北海道生
  
 よみがえれ団塊パワー


「むかつく」「キレル」「べつに」「ウザイ」 - ミーイズムと拝金主義


 パブリックを意識する時
   社会工学がキーワードに 
  

 若者が社会参加できるような仕組み作り





◇矢島稔 1930東京生 昆虫学者
  
「昆虫の森」に夢かける 
  虫と昆虫の違い 蝶の羽化に感動 大切な先生の一言


 子どもたちが主役の「昆虫の森」












☆『灯し続けることば』大村はま 小学館 ⑧(最終) 2004年【再掲載 2012.12】

<出版社の案内>

「国語教育の神様」とまで言われた国語教師・大村はま、98歳になる今日までの著作・
執筆から選びだした珠玉のことば52本と、その周辺。自らを律しつつ、人を育てること
に人生を賭けてきた大村はまの神髄がここに凝縮された。 「熱心と愛情、それだけやれ
ることは、教育の世界にはないんです」「したことの悪さより、しかられた傷のほうが大
きいということはないでしょうか」「熱心結構、いい人あたり前です」「スタートラインが
一緒でも、ゴールには同時に入りません」「しかられ上手であることが必要です」etc.子ど
もにかかわるすべての大人、仕事に携わるすべての職業人に、折に触れてページを開いて
読んでほしい。

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◇バケツの水を捨てるときのように

 掃除の後、バケツの水を捨てるときに、ぐるぐるぐるぐる回してポイと捨てると、底の
ほうに沈んでいた澱が浮かんできて捨てられます。


 でもその回転を途中でやめたら、また澱が沈んでしまいます。


 人間の頭もそれと同じではないか、と子どもに話すことがありました。


 ゆっくり少しずつやっていたのでは、アイディアが出てこないということがあります。


 ですから、ぐるぐるかき回して、ぱっと捨てるように進めていくのです。


 とくに文章を書くときなどに、そういう場面があるようです。


 カードやメモに、頭に浮かぶことを次から次へと頭がからっぽになるまで、「書くこと
がない」というところまではき出していくのです。


 こうやっていくと、自分でも知らなかったような自分の持っている考えが浮き上がって
きます。


 そのようにしなければ、私たちは心の底に沈んでいる自分の大切な思想を引き出すこと
ができないもののようです。



 それを目覚めさせるために、ぐるぐる回していくこと、からっぽになるまで頭を使い、
鉛筆を止めずに書き続けること。


 そこからいい文章、いい見方が生まれて来るというのは、私の実体験でした。





◇「なんにも考えてこなかったのですが…」

 教師たちの会に、俳優の森繁久弥さんを講演にお招きしたことがありました。


 みんなが楽しみに待っているところへ、森繁さんが走るようにはいっていらっしゃいま
した。


「遅くなりました。いま旅から帰ってきたもので」

とおっしゃり、


「なんにも考えてこないで、先生がたの前でお話をするなんておこがましいようですけれ
 ど」

というふうに話し始められました。


 しかし、大変面白く、心にしみるお話でした。




 さてお話が終わって、


「何かこの際、お聞きしたいことがありましたら」 

となると、一人の方が


「大変おもしろいお話でした。なんにも考えてこられないのに、どうしたらそういうふう
 に、のびのびと、しかし筋の通ったお話ができるようになるのでしょうか」 

と尋ねられました。



 そのときです。森繁さんが、瞬間キリっとした表情になりました。


 すぐまた元の穏やかな表情に戻りましたが、私にはその瞬間がわかりました。



「なんにも用意してこなかった、と言いましたが、本当は、う-んと用意してきました。
 みなさんに楽しんで聞いていただけるように、長い間、この話の案を練っていました。
 なんにも考えてこなかったと言ったのも、それも私の案でした」


 会場はシーンとなりました。


 私はいろいろな案があってこそ、ないように見えるすばらしさが心にしみました。


 案はいくら練っても練りすぎることはないということ、それをなんでもないように、重
い感じにならないようにして、気軽に聞いてもらうためには何倍もの苦心がいることを知
りました。



 なんにも考えていないような自然さがあるからといって、なんにもないんだと思ったり
するのが、どんなに浅いものの見方か、話すことの難しさに思いを致していないことであ
るかと気づきました。

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