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「すぐわかる日本の呪術の歴史」武光誠 東京美術 2001年 ⑫(最終)  / 私の「夜間中学」教師体験記・命の光がいっぱいの教室 いっぱいの学校 ④ 夜間中学校教論・松崎運之助 『致知』2004.3【再掲載 2012.3】 [読書記録 歴史]

今回は、3月21日に続いて、武光誠さんの
「すぐわかる日本の呪術の歴史」12回目の紹介 最終です。



出版社の案内には


「呪術がどのように日本の歴史を動かしてきたのかを時代順に1テーマ見開き2ページで
 解説。原始的なアニミズムにたつ呪術から、現代の風水や各種占いの流行にいたるまで
 呪術の流れがよくわかる。」


とあります。





今回紹介分より強く印象に残った言葉は…

・「叶福助 = 1804年 モデルは新吉原の大文字屋主人・一兵衛<ケチ>」


・「1871年 陰陽道による宮中祭祀廃止 → 土御門家が歴史の表舞台から退場」


・「超能力を志向する新々宗教 」





もう一つ、再掲載となりますが、月刊誌『致知』から、松崎運之助(みちのすけ)さんの、
「私の『夜間中学校』教師体験記・命の光がいっぱいの教室 いっぱいの学校」を載せま
す。
学ぶことの楽しさの大本を夜間中学校の生徒さんから学ぶことができます。
1993年に山田洋次監督による映画「学校」を思い出します。
西田敏行さんが先生役を、「イノさん」を田中邦衛さんが演じていました。



今日は、一日年休を取りました。
のんびりと荷物の片付けをします。


<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





☆子供たちの学習に
文部科学省の
「子供の学び応援サイト(臨時休業期間における学習支援コンテンツポータルサイト)」




ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。





☆「すぐわかる日本の呪術の歴史」武光誠 東京美術 2001年 ⑫(最終)

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◇江戸時代・福助人形

 叶福助
   1804年 モデルは新吉原の大文字屋主人・一兵衛<ケチ>

   人々が福助を七福神の仲間と見た



◇明治時代・神仏分離と呪術衰退、陰陽道の近代化

 仏教を敵視した国学者 
   「呪術は文明開化を損なう」とした


 1871年 陰陽道による宮中祭祀廃止

    → 土御門家が歴史の表舞台から退場


 新宗教の中に潜む陰陽道 
   金光教、大本教、黒住教 - 陰陽道的教義



◇近代 ~ 現代・いざなぎ流   イタコとユタ 1978年イザイホー

 綾笠をかぶる祈祷師(高知県香美郡物部町)村人の生活にとけ込む太夫たち


 恐山で死霊を呼ぶイタコ 視覚障害女性
加持祈祷、占い、霊の呼び出し - 呪術的行いを職業に


 島の人々を救うユタ
   沖縄 - ユンター・ユンタク

   人々はユタ信仰 - 悩み相談窓口



◇現代宗教と呪術

 超能力を志向する新々宗教  
   自己啓発


 伝統宗教と若者の乖離



◇現代占い事情

 学問を装う占い


 占いでストレス発散











☆私の「夜間中学」教師体験記・命の光がいっぱいの教室 いっぱいの学校 ④ 夜間中学校教論・松崎運之助 『致知』2004.3【再掲載 2012.3】

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◇いのさんのハガキ

 昔、私のクラスに「いのさん」というおじさんがいました。


 競馬が大好きでもカタカナが苦手で授業では「頭痛がする、目眩がする」と言って寝て
しまうのに、カタカナだらけの競馬新聞は片時も離さないという不思議な人でした。


 いのさんも夜間中学で初めてひらがなを覚えました。


 ひらがなの練習として、知人にハガキを出してもらっていましたが、一番初めはクラス
全員に私の自宅宛に出してもらいました。


 2、3日するとチラホラと届きはじめるのですが、いのさんのハガキだけは届かない。


 随分経ってから届いたそのハガキは、住所は鉛筆で何度も書いたり消したりして真っ黒、
宛名はかすかに「まつぎきみちのすけさま」と読める状態で、よくぞ郵便局の人はこのハガキを届けてくれたと感心しました。


 しかし、よ-く見てみると絵が描いてありました。


 字も書いてあって、「ここけいばじょう(競馬場)」、そこから線を引っ張って「おけら
かいどう(街道)」、角に「やきとりや○○」、矢印が後ろに回って、アパートの絵の3番
目が塗りつぶされて「ここ」とある。


 地図でした。


 いのさんは競馬で負けるとよく私の家で自棄酒を飲んでいたので、場所はよく知ってい
たのです。


「なんで地図なんか書いたの?」


と聞くと、


「俺たちのハガキを届けてくれる人だよ。かわいそうに、こんな変なもん読まされて苦労
 するだろうと思ってさ」


とのことでした。


 後日、市民集会の講演の席でこの話をした時、終わってから一人の男性が


「こんなに感動したことはない」


と涙を流しながら私の元へやってきました。


 ちょっとした笑い話のつもりで披露したので、少し驚きながら話を聞いてみると、その
男性は郵便配達の仕事をされている方でした。


「郵便配達を始めたばかりの頃は、町中の人を知っていた。なかには施設に入っているよ
 うな子もいてね、その子からの手紙をおばあちゃんに届ける時は自分の胸も震えて、一
 秒でも早く持って行きたかった。ハガキを届けながら、気 持ちも一緒に届けていたん
 です。
 ところがいまは機械が導入され、郵便番号制度が導入され、効率ばっかり追求している。
 ワープロできれいに書いたハガキなら、誰だって配達できるんだ。
 俺はいのさんのハガキを運んだ奴の気持ちがよく分かる。そいつは必死で先生の家を探
 したと思うよ。そして、ちゃんと届けられて青んだと思う。やはり俺たちはそういう思
 いを伝えるために仕事をやっているんだ」


 ハガキが届いたいのさんも嬉しいし、もらった私も嬉しい。


 しかし、届けた人の喜びにも繋がっている。


 社会というのは、見えないところでみんなが繋がっているんだと感じました。


 学校へ行く、勉強するということは、人と競うためでなく、その社会との窓口にするた
めなのだと思います。




◇命の光

「山」という漢字の勉強をしている時のことです。


 山の絵を黒板に書いて、漢字になるまでの変遷を説明すると、ある女性が


「先生、この漢字を考えた人はすごいねぇ」


と感動していました。


 田舎で育った自分は、朝から晩まで山を見ていた。


 もう逃げ出したいというくらい山に囲まれていたけど、この字は思いつかなかったと言

うのです。


「この字を考えた人はどのくらい山を見つめていたんでしょうね?」、さらに


「男でしょうか、女でしょうか。何歳くらいで、どんな仕事をしていたんでしょう?」


と畳み掛ける。


 そうなるともう立ち往生です。      

 
 因っている様子を察して、町工場で働いている生徒さんが


「それは先生には分かんねえだろうな。でも、俺なら分かる」


と言いました。


「この字を考えたのは、俺と同じように田舎から出てきた男だよ。東京で働いているけど
 さ、東京の人間って冷たいだろ。その上仕事はきついし、給料は安いし、もういやにな
 っちゃったんだ。それでアパートに戻って壁を見ていたら故郷の山が見えてきたんだよ。
 その男は涙ぐむような思いでこの字を考えたんだよ」


「山」なんて小学校一年生で習うような簡単な漢字です。


 しかし易しい授業でも、その学びの中に自分なりの感動があったり、発見があったりす
ることがどれほど素晴らしいことか。


 それが人間の心を耕すのです。


 私はそのことを夜間中学の生徒さんたちから教えてもらいました。


 世間からは、ひらがなも分からない、小学校にも行っていないと馬鹿にされ、あるい
は外国から来て得体が知れないと敬遠されている、その人たちに教わったのです。


 いまの日本の学校では、山を覚えたら川、川の次は森、次は林…。


「山」という文字の向こうに広がる景色、込められた思いを知ろうともせず、早くたくさ
ん先に行くことが求められ、ずっと走らされてきたのではないでしょうか。


 感動や感性など、目に見えないものはどんどん切り捨て、目に見えるもの、点数や偏差
値、卒業証書ばかりを追い求めてきた気がします。


 生まれたばかりの赤ちゃんを見ると、みんなニコニコしてしまいます。


 その赤ちゃんが偏差値が高いとか、顔がいいとか、お金を持っているとか、そんなもの
があるわけがない。


 何もないけれども赤ちゃんには人をばっと明るい気持ちに、幸せにする力がある。


 それが命の光だと思います。
 

 その光は目には見えません。


 見えないけれど、誰もが持っている光です。
 

 しかし学校で集団生活へ入る頃から、周囲の大人は見えるもの、形のあるものを求め始
め、いつしか命の光があることにも気づかなくなってしまう。


 私は夜間中学で、人間の命そのものが輝いていることを再確認しました。


 学校に行っていない。


 でも素晴らしい。


 読み書きできない。


 でもとっても素敵。


 年齢も国籍も職業も考え方も、何もかも違う。


 でもいいじゃない。
 

 いつも命の光でいっぱいの教室、いっぱいの学校。それが夜間中学です。

 
 だから私はこの学校が大好きなのです。

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