SSブログ

「地方紙は地域をつくる」梅本清一 七つ森書館 2015年 /「再犯に走る少年たち」 『少年育成』2002.12【再掲載 2014.1】 [読書記録 一般]

今回は、梅本清一さんの
「地方紙は地域をつくる」を紹介します。


新聞を取っている家庭は激減しているように感じます。
20年前、朝4時30分ぐらいに、新聞配達のバイクの音が聞こえてから、しばらく、何
軒もの家を回って我が家に届きました。
今では、聞こえ始めてから、すぐに届きます。
1/3より少なくなったのではないかと感じます。
学校で、図画工作科や書写などで「新聞1日分持ってきて」と昔は気軽に言いましたが、
今では言えるような状況にありません。
たくさんのことを学ぶことができる新聞。
-「読者をつかむラストチャンス」
期待しています。






出版社の案内には、


「方に軸足を置いて、地方や地域の問題に取り組み、そして地方から日本の問題ととらえ、
 発信するのが地方紙の使命である。全国紙に比べ、規模はちっぽけだが、地域では影響
 力があり、存在感がある。一国一城のようだ。その一国は今、人口急減時代に突入し、
 新聞部数減に苦しむ。時あたかも、忘れかけた日本の民主主義と根っこの地域の民主主
 義、地方紙の真価が問われているようであり、新聞とりわけ、小さくとも個性のある地
 方紙の出番だと、予感する。」


とあります。





今回紹介分より強く印象に残った言葉は…

・「地域文化にこだわる」


・「たれ込みは報道機関の勲章」


・「地方紙は地域の民主主義の砦」


・「『暴く』事は新聞の使命」


・「『取ってもらう』から『読んでもらう』」






もう一つ、再掲載となりますが、月刊『少年育成』(現在は休刊中)より、
「再犯に走る少年たち」を載せます。
およそ20年ほど前の記事だと言うことを承知してお読みください。
「子どもの悩んでいる姿」「子どものことを考えて悩んでいる親世代」に、
分かり易く、貴重な情報を与えてくれた、月刊『少年育成』のような雑誌はもう出ないで
しょうか。




<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト







ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
2.jpg






<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。








☆「地方紙は地域をつくる」梅本清一 七つ森書館 2015年

1.jpg

◇地方紙

 貫きたい県民目線
 

 地域文化にこだわる
 

 新聞のいのち
スクープ  

   たれ込みは報道機関の勲章




◇現場主義と世論

 クマ騒動  
   キャンペーンは読者と共に


現場主義に徹する
  「沈黙の森」


 地域から地域が見える




◇地方紙は地域の民主主義の砦

 地方自治・地方政治を報道する
 

 地方の胎動を見逃さない


 住民自治と地方紙の役割
 

 地域に生きる




◇密着すれど癒着するな
 
 記者としてジャーナリストとして

 
 密着と癒着は紙一重
 

 編集現場と経営

  「暴く」事は新聞の使命


 読者目線の新聞にするために
新聞は「深聞」を目指す  

   読者と対




◇販売現場を歩いて

苦戦する販売現場  
   一人暮らしを支えるサービス

   折り込み広告は地域メディア


 ネットに負けない新聞づくり
  「取ってもらう」から「読んでもらう」

   東日本大震災に負けなかった地方紙    

読者をつかむラストチャンス


 鎌田慧
  『地方紙は民主主義の砦である』




◇梅本清一

1951年富山県生 富山大学経済学部卒 北日本新聞社入社













☆「再犯に走る少年たち」 『少年育成』2002.12【再掲載 2014.1】

◎罪の意識を自覚させるシステムづくりを - こうした少年の三分の一近くが再び犯罪行為に走ってしまう現実に…

1.jpg


◇高い再犯率

 「オレ、少年院上がりやねん」。


 かつて取材したある暴走族グループの少年が、そう自慢げに話すのを聞いて驚いたこと
がある。


 彼らによると、強盗や傷害など数々の非行を重ねて少年院を経験することでグループ内
での″格″が上がり、仲間にも一目置かれる存在になれるのだという。


 本当の強さの意味を勘違いし、過去に犯した罪に悪びれることもなく、再び犯罪行為を
繰り返す-。




 少年事件の取材をするたびに、罪の意識を自覚できない少年が増えていることを痛感す
る。


 大阪府警によると、2001年に刑法犯として検挙された少年は14633人で8年連
続全国ワースト1。


 また路上強盗やひったくりなどの街頭犯罪のうち約7割は少年によるもので、府警は昨
年春から少年事件を担当する警官を約200人増員し、本格的な対策に乗り出したが、こ
こ数年で特に問題になっているのが、再犯率の高さだ。




 再犯率とは、検挙された少年のうち、過去に逮捕されたり、補導されたりした経験を持
つ少年の割合のことを言う。2001年の全国の少年事件の再犯率は26・4%だが、大阪
はさらに高い30・7%と、ほぼ三人に一人という割合だ。


 また、府警が犯罪の種別ごとに、再犯率を調査したところ、ひったくりは最も高い73
・2%。さらに路上強盗が69%、車上狙いも64・1%と、こうした街頭犯罪で特に再犯
率が高い実態が浮き彫りになった。





◇プロ顔負け

 昨年、自動車盗を繰り返したとして、府警に窃盗容疑で逮捕された少年グループは、過
去にも万引きやオートバイ盗などを繰り返し、一人平均で5回程度の逮捕歴があったとい
う。


 しかし、少年らは更生するどころか、さらに犯行をエスカレートさせていった。400
万円相当の四輪駆動車やスポーツカーに狙いを付け、大阪や京都など近畿一円を中心に、
時には四国まで″遠征″して計約120件の犯行を繰り返した。


 盗んだ車は、海外への不正輸出にかかわっている自動車ブローカーに知人を通じて売り
さばき、約10か月の間で数千万円を荒獲ぎするなど、いつの間にか「プロ顔負け」の犯
罪に手を染めていた。


 中には家出中の少年も多かったが、生活費や遊興費はすべて盗みで嫁いでいたといい、
府警幹部は「簡単に金が手に入る味を覚えると、まじめに働く意志がなくなり、ますます
自分から足を洗うのが難しくなる」と指摘する。


 こうしたグループの溝成は、ほとんどが中学時代の同級生や先輩後輩。警察に逮捕され
たことで、やや反省の兆しが見えた場合も「遊び仲間なので誘われたら断れない」などの
理由で、足を洗えないケースも目立つ。そして非行歴を重ねるごとに手口を巧妙化させ、
今度は自分が友達や後輩をグループに引き込むことも多い。





◇凶悪犯罪にエスカレート

 窃盗などの非行を重ねた未、殺人などの凶悪犯罪を引き起こす少年もいる。2001年
10月、大阪・ミナミのマンションで炊食店員の少女(当時16歳)を殺害したとして、
強盗殺人容疑で逮捕された無職少年(当時17歳)は犯行当時、少年院を退所し、保護観
察中だった。


 この少年は母親と二人暮らしだったが、学校にもほとんど通わず、盗んだバイクを乗り
回していた。


 これまでにひったくりや恐喝で4回逮捕されたことがあった。


 しかし、少年院を出てからも、母親がいる実家には寄りつかず、定職にも就くことはな
く、強盗殺人事件を起こした時もミナミの繁華街のサウナなどを転々としながらパチンコ
店などで遊び歩いていた時期だった。


 偶然見かけた全く面識のない被害者の少女を尾行してマンションの部屋まで押し入った
うえ、首を絞めて殺し、1万5千円入りの財布や腕時計などを奪った。


 少年は逮捕後、調べに対し、なんら取り乱すこともなく「金が欲しかったが、抵抗され
たので殺した」と平然と言ってみせたという。


 この少年にとって、これまで繰り返してきたひったくりなどと、殺人という凶悪犯罪と
の間にあるのは、罪の意識や歯止めが働く一線ではなく、単なる「金目あて」という動機
だけで簡単に飛び越えられるものに過ぎなかった。




 強盗致傷という凶悪事件を起こしたが、少年院送致にはならず、保護観察処分となった
暴走族リーダーの無職少年(当時18歳)は、そのわずか3か月後、十数人のメンバーと
一緒に大阪府大東、枚方両市の路上で金属バットで通行人らを次々と攻撃する無差別暴行
事件を引き起こし、今度は殺人未遂容疑などで逮捕された。


 犯行の動機は、ほんのささいなトラブルだった。車の通行をめぐつて口論になった男性
に車のキーを持って逃げられたことに腹を立て、報復を計画。しかし、捜しても相手が見
つからなかったことから、うっぷん晴らしのために無関係の通行人を手当たり次第にバッ
トでめった打ちにしたり、カッターナイフで切りつけたりし、5人に重軽傷を負わせてい
た。


 被害者の中には頭がい骨骨折のけがを負った人や入院によって仕事を辞めることを余儀
なくされ、強い精神的ダメージを引きずっている人もいる。


 しかし、その後、少年側から届いた手紙には「ボクは見ていただけ」などとつづられて
おり、およそ反省の意志は感じ取れなかったという。




◇おとがめなし


「なぜそんな凶悪な少年たちが、たいした罰も受けず、野放しにされているのか」。


 繰り返される少年の再犯。事件の被害者からはこれまでにも度々、そうした声が上がっ
ていた。

 その憤りは、そのまま少年法に基づく現在の少年審判制度に向けられる。


 犯罪を犯して検挙された少年は、家庭裁判所に送致されて処遇が決まる。


 処遇には大きく分けて、成人と同じように刑事裁判を受けさせる「検察官送致」、少年
院送致や保護観察を含めた「保護処分」、処分する必要がないと判断した場合の「不処分」
と、審判そのものを開く必要がないと判断した湯合の「審判不開始」がある。


 司法統計によると、2001年に大阪家裁が決定した12277人の処遇のうち、最も
多いのは審判不開始の7496人で全体の61・1%を占める。


 937人で7・6%にあたる不処分を合わせると、検挙された少年のおよそ7割は、特
になんの処分も受けていないということになる。


 また、少年院に入る必要がない保護観察処分は、13・3%で、少年院送致は4・5%、
検察官送致はわずかに0・9%に過ぎない。


 また刑法犯少年の二割近くにあたる17歳未満の触法少年は、刑事責任を問えないため
ほとんどは補導されてもすぐに保護者のもとに帰される。


 確かに少年法は、少年は可塑性に富んでいることを前提に保護主義を理念としている。


 しかし、こうした少年の三分の一近くが再び犯弊行為に走ってしまうという現実に、少
年事件の捜査現湯からは


「非行少年を捕まえても捕まえても、ほとんど″おとがめなし″のままですぐに野に放た
 れて、今度はもっと悪質な犯罪を起こす。その繰り返しに無力感を感じる」


との声も漏れ聞こえる。





◇処分の重み

 また最近、非行少年を取り調べる捜査員が特に実感するのは、少年審判の仕組みや処遇
の実態を驚くほど熟知している少年が多いことだという。


 事件後、調べに対し


「どうせ捕まってもホゴカン(保護観察処分)で済むと思った」


「これぐらいの事件なら、少年院行きはないと思っていた」


などと供述する少年は多い。


 また、非行少年グループの仲間内などで情報交換も盛んだ。


「ポイントは家裁の調査官面接。そこだけ反省したふりして涙の一つでも流せば、あとは
 全部ホゴカンになる。みんなそう言っているし、ほくらの間では常識ですよ」。


ある少年は、悪びれる様子もなくそう述べたという。


 その保護観察制度についても問題を指摘する声は多い。

 前述の少女殺人事件や暴走族の無差別集団暴行事件で逮捕された少年がそうだったよう
に、再犯事件の中でも特に保護観察中に凶悪事件を起こすケースが目立っている。


 実質的に保護観察制度を支えているのは民間ボランティアの保護司だが、60歳以上が
多くを占めるなど高齢化しており、人材確保も困難になっているのが現状だという。


 世代が離れすぎていることによるコミュニケーションの難しさもあり、あるベテラン保
護司も


「全員に目が届く訳ではないし、何をしているかも少年の自己申告に頼らざるを得ない面
 がある。いつの間にか連絡が取れなくなり、しばらくして警察に逮捕されていたという
 こともある」


と言う。 


 こうした現状を背景に、ここ数年「少年を甘やかしすぎだ」との世論が高まっている。


 その一方で、少年犯罪は家庭環境や人間関係に起因することも多く、

「成人と同じように単に厳罰化すれば済む問題でもない」

との意見もある。


 しかし、取材を通じていつも痛切に思い知らされるのは、現実の非行少年たちの驚くほ
どの罪の意識の希薄さだ。


 周囲がいくら少年を更生させようと努力しても、罪を自覚しない人間に更生はありえな
い。


 少年たちに犯した罪を自覚させる。


 そんな当たり前であるはずの制度が現在、健全に機能していると言えるのだろうか。


 社会全体が少年をめぐる現行のシステムを見つめ直す時期に来ているのではないか。




※先の5月21日に「改正少年法が成立し18・19歳を厳罰化され、来春施行される」こ
 とが、報道されました。

nice!(137)  コメント(0) 
共通テーマ:学校