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「京都たのしい社寺カタログ」片山直子 朝日新聞社 2019年 /「チューインガム一つ」灰谷健次郎 理論社 1982年(『灰谷健次郎 子どもに教わったこと』角川文庫にも)【再々掲載 2011.5】  /「万引き」 (『ふふふ』 井上ひさし 講談社 2005年より)【再々掲載 2011.5】 [読書記録 一般]

今回は、片山直子さんの
「京都たのしい社寺カタログ」を紹介します。



出版社の案内には、


「知らずに行ったらもったいない!京都の社寺めぐりが、ぐっと楽しくなる、わかりやす
 くてかわいい徹底ガイドが登場!
 『実はどう巡ればいいのかわからない……』
 『どこも同じに見える……』に答えたマストitなポイントを教えます!」

「どこへ行って何を見るべき?四季折々の絶景なら?どんなご利益があるの?京都のたのし
 い神社&お寺108。」

とあります。


コロナ感染症の広がりにより、旅行に自由に行けない今、
次回、京都を訪ねる計画を立てて楽しむのにちょうどよい本だと思います。





また、再々掲載となりますが、
灰谷健次郎さんの「チューインガム一つ」と井上ひさしさんの「万引き」を載せます。
道徳授業の題材としたこともありますが、
「たかが万引き」ではないということを強く心にもってほしいと思います。





<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト







ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。














☆「京都たのしい社寺カタログ」片山直子 朝日新聞社 2019年

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◇世界遺産

01 東寺 

   教王護国寺 天才・空海の3Dに陶酔、立体曼荼羅 日本一高い木造五重塔

   不二桜・五重塔・夜叉神堂 生身供(6時から)・弘法市・おみやげ



02 仁和寺

皇室ゆかりの寺院 御室桜 

   宇多天皇開山 - 門跡寺院

御室桜・八八カ所ウォーク・おみやげ宿坊



03 下鴨神社

賀茂御祖神社 八咫烏が御神
     一年中お祭りだらけ

糺の森・河合神社  
     さるや・相生社・美人水おみやげ



04 平等院 

   極楽浄土・鳳凰 平等院鳳凰堂・阿弥陀如来像

ライトアップ・茶房藤丸・お土産グッズ 
   
   鳳凰堂内部・ミュージアム鳳翔館



05 醍醐寺

秀吉の花見舞台 上醍醐下醍醐 豊臣秀吉

藤戸石 三宝院 醍醐水・フレンチカフェ・醐山料理



06 比叡山延暦寺

根本中堂 不滅の法灯 仏教界のスターの超名門スクール

   根本中堂 大講堂  抹茶ラテ・写経体験・御朱印 釈迦堂 にない堂 



07 金閣寺

鹿苑寺  金色まぶしい金閣  鏡湖池

鏡湖池・夕佳亭・貴人  お札・拝観券・写経



08 銀閣寺

慈照寺 銀閣 わび・さび



09 清水寺

清水の舞台 霊験あらたか音羽の滝 奥の院 



10 龍安寺

枯山水の石庭 鏡溶流 龍安寺垣・つくばい

紅葉狩り 湯豆腐 グッズおみやげ



11 天龍寺

曹源池庭園・雲龍図  法堂・百花苑

   朝座禅・精進料理・グッズおみやげ



12 上賀茂神社 

賀茂別雷神社 立砂  賀茂別雷神社 細殿・片岡社神の依り代



13 西本願寺

書院 国宝の唐門 御影堂・阿弥陀堂・唐門

早朝参拝(6時) Shinrant Day(毎月16日) ガイドツアー



14 高山寺

鳥獣人物戯画・宇治茶の発祥地 

茶園・おみやげ



15 西芳寺 

   苔寺 苔の庭 要事前参拝申し込み



16 宇治上神社

最古の神社建築・過去平等院の守護社

名水・おみやげ しらさぎ



◇見どころ

□仏像

三千院    国宝阿弥陀三尊座像  有清園


 三十三間堂 千手観音座像 千体千手観音立像 国宝1000体のパワー


 神護寺    国宝薬師如来 京都一早い紅葉 元は和気清麻呂の私寺の仏像


 清涼寺    三国伝来の釈迦像 五臓六腑


 御寺・泉涌寺 楊貴妃観音 天皇の菩提寺


 永観堂禅林寺 木造阿弥陀如来立像 みかえり阿弥陀


 広隆寺    国宝第一号の弥勒菩薩像 美しさ




□庭

 高台寺    ねねの庭 秀吉を弔うために建てた寺


 東福寺    本坊庭園 紅葉の通天橋 四つの庭 1939年 重森三玲


 智積院    名勝庭園 長谷川等伯父子の障壁画


 詩仙堂    詩仙の間にちなんだ通称


 曼殊院    小さな桂離宮と呼ばれる寺


 南禅院    南禅寺発祥の地


 東本願寺渉成園 京都駅から近い東本願寺の庭園 十三景




□アート

建仁寺    風神雷神図屏風 双龍図  栄西へのリスペクト


 青蓮院門跡  キーヤン奉納のふすま絵・青不動


 相国寺    蟠龍図 相国寺承天閣美術館


 大徳寺・天龍寺・妙心寺・南禅寺  天井の龍


 随心院    ショッキングピンクの障壁画 秋の特別展覧で


 養源院    俵屋宗達の杉戸絵 血天井の霊を弔うため


 平岡八幡宮  花の天井 図鑑のような花の天井




□建築

 知恩院    国宝の三門 七不思議 巨大門 三方正面真向かいの猫


 大覚寺    旧嵯峨所 御所のような


 南禅寺    水路閣 「絶景かな」の三門


 平安神宮   大内裏を再現


 松尾大社   最古の神像 古酒の神様


 豊国神社   豊臣秀吉をまつる神社 豪華絢爛な門


 蚕の社    珍しい三角鳥居






◇京の四季

□春

 善峯寺    桜と紅葉の絶景地 桂昌院復興の寺


 平野神社   夜桜も楽しめる桜の名所京都人が愛する桜パラダイス


 退蔵院    しだれ桜


 仁和寺    遅咲きな桜の名所


 雲龍院    皇族ゆかりの別格山寺院 闇夜に浮かぶ桜にうっとり


 平安神宮   夜桜


 高台寺    夜桜


 城南宮    桜


 大田神社   カキツバタ


 松尾大社   山吹


 葵祭     京都三大祭り 源氏物語に登場する祭


 梅花祭    梅の花 はねず踊り はねず梅




□夏

 三室戸寺   あじさい園 ライトアップ


 楊谷寺    花手水 眼病平癒


 両足院    半夏生 建仁寺塔頭


 地蔵院    竹 一休さんゆかりの寺


 法金剛院   90種もある蓮の寺


 勧修寺    フォトジェニックな蓮


 祇園祭    日本三大祭 動く美術館 日本が誇る「京の夏」


 御手洗祭   冷たい水 千日詣 清水寺本堂 六道まつり 五山の送り火




□秋

 瑠璃光院   リフレクション・モミジ 春と秋の公開


 毘沙門堂   勅使坂の敷きモミジ 山門へと続く紅葉のレッドカーペット


 祇王寺    敷きモミジ


 大原野神社  紅葉の絶景


 真如堂    花の寺 イロハモミジ


 実相院    門跡 元祖床もみじ


 東福寺    夢の架け橋


 北野天満宮  御土居のもみじ苑


 東寺     紅葉と五重塔のコラボ


 永観堂・禅林寺・円徳院  夜紅葉


 時代祭    動く歴史風俗


 萩まつり   梵燈あかりに親しむ会




□冬

 貴船神社   雪の日だけライトアップ


 天龍寺    モノトーンの史跡  特別名勝庭園 水墨画


 除夜の鐘   知恩院


 をけら祭   八坂神社


 鬼やらい   吉田神社






◇御利益

 伏見稲荷神社 千本鳥居 お山巡り


 北野天満宮  道真がまつられる  なんでもあれ


 晴明神社   陰陽師・安倍晴明の社 魔除け


 八坂神社   祇園の総氏神


 松尾大社   月鏡神社  鈴虫寺


 鞍馬寺    生命力が見える木の根道


 貴船神社   階段参道 水とともにある


 地主神社   恋占いの石にチャレンジ


 野宮神社   源氏物語に登場する社 良縁祈願


 今宮神社   町娘が将軍の妻に 玉の輿 桂昌院の運にあやかる


 安井金比羅宮 縁切り縁結び碑 悪縁切ったら良縁カモン


 六角堂    いけばな発祥地  ロマンチックな縁結び


 片岡社    下鴨神社 御神体をぐるりと回って


 市比賣神社  女子力


 河合神社   メイク


 御髪神社   日本唯一の髪の神社


 大御前神社八坂神社


 御寺泉涌寺  楊貴妃観音


 護王神社   イノシシ


 八坂庚申堂  映えるカラフルお猿さん


 大将軍八神社 厄除け


 電電宮    法輪寺 電気電波


 白峯神宮   スポーツ


 芸能神社   アーティスト


 三宅八幡宮  子ども     



















☆「チューインガム一つ」灰谷健次郎 理論社 1982年(『灰谷健次郎 子どもに教わったこと』角川文庫にも)【再々掲載 2011.5】

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◇チューインガム一つ     3年 △△ △△

 せんせい おこらんとって

 せんせい おこらんとってね

 わたし ものすごくわるいことした



 わたし おみせやさんの

 チューインガムとってん

 一年生の子とふたりで

 チューインガムとってしもてん

 すぐ みつかってしもた

 きっと かみさん(神様)が

 おばさんにしらせたんや

 わたし ものもいわれへん

 からだが おもちゃみたいに

 カタカタふるえるねん

 わたしが一年生の子に

「とり」いうてん

 一年生の子が

「あんたもとり」いうたけど

 わたしはみつかったらいややから

 いややいうた



 一年生の子がとった

 でも わたしがわるい

 その子の百倍も千ばいもわるい

 わるい

 わるい

 わるい

 わたしがわるい

 おかあちゃんに

 みつからへんとおもったのに

 やっぱり すぐ みつかった

 あんなこわいおかあちゃんのかお

 見たことない

 あんなかなしそうなおかあちゃんのかお見たことない

 しぬくらいたたかれて

「こんな子 うちの子とちがう 出ていき」

 おかあちゃんはなきながら

 そないいうねん



 わたしひとりで出ていってん

 いつでもいくこうえんにいったら

 よその国へいったみたいな気がしたよ せんせい

 どこかへ いってしまお とおもた

 でも なんぼあるいても

 どこへもいくとこあらへん

 なんぼ かんがえても

 あしばっかりふるえて

 なんにも かんがえられへん

 おそうに うちへかえって

 さかなみたいにおかあちゃんにあやまってん

 けどおかあちゃんは

 わたしのかおを見て ないてばかりいる

 わたしは どうして

 あんなわるいことしてんやろ



 もう二日もたっているのに

 おかあちゃんは

 まだ さみしそうにないている

 せんせい どないしよう
   


      



☆「万引き」  (『ふふふ』 井上ひさし 講談社 2005年より)【再々掲載 2011.5】

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◇万引き

 中学三年の春、転校先の岩手県一関市の書店で、わたしは生まれて初めて万引きという
ものをした。


 どうしてその小さな英和辞典を上着の下に隠してしまったのか、その理由はいまだによ
く分からない。


 英和辞典はすでに父譲りのいいものを持っていたし、毎日でも映画館に通えるぐらい小
遣いを貰っていたし、薬屋と文房具屋をやっていた母親が万引きに遭うたびに嘆くのを身
近に見ていたし、その寸前まで代金を払わずに本を持ち出すことなどは考えてもいなかっ
た。


 だが、気がつくと、もうわたしは定価500円の英和辞典をズボンと下着の間に挟んで
しまっていた。


 店番をしていたのは細縁眼鏡のおばあさんだったが、そのおばあさんを甘く見たのか、
万引きで余ったお金で大福餅でも食べょうと思ったのか、友だちに盗品をこっそり見
せて度胸のあるところを誇りたかったのか、古くさい辞書にあきて新しいものを使いたか
ったのか、あるいはその全部だったのか、それもよく分からない。




 とにかくわたしは硬い辞典の冷たさを下着を通して感じながら震えて立っていた。あのときの<世界から外れてしまったようなおそろしさ>を今も忘れることができない。



「坊やにお話がある」

 おばあさんがいつのまにかわたしの横にいた。

「ちょっと奥へおいで」

「あたしが警察へ連れて行こうか」



 入れ替わって店番に立ったおじさんが云うのを手を上げて止め、おばあさんはわたしを
裏庭の見える縁側の前へ押して行った。


「上着の下に隠したものをお出し」


 震えながら差し出すと、おばあさんはその英和辞典をしげしげと見てから、


「これを売ると100円のもうけ。坊やに持って行かれてしまうと、100円のもうけは
 もちろんフイになる上に、500円の損が出る。その500円を稼ぐには、これと同じ
 定価の本を5冊も売らなければならない。この計算が分かりますか」


 400円で仕入れて500円で売っている。簡単な計算だから、こわごわ頷くと、


「うちは6人家族だから、こういう本をひと月に100冊も200冊も売らなければなら ないの。でも、坊やのような人が月に30人もいてごらん。うちの6人は飢死にしなけ
 ればならなくなる。こんな本1冊ぐらいと、軽い気持でやったのだろうけど、坊やのや
 ったことは人殺しに近いんだよ」


 恐ろしくなって縮み上がっていると、おばあさんは庭の隅に積んであった薪の山を指し
て云った。


「あの薪を割ってお行き。そしたら勘弁して上げるから」


 ぶじに帰してもらえるのなら、どんなことでもするつもりでいたから、死に物狂いで薪
を割ったことは云うまでもない。



 薪割りがあらかた片付いたころ、おばあさんがおにぎりを2つ載せた皿を持って現われ
た。


「よく働いてくれたねえ。あとは息子がやるから、おにぎりを食べてお帰り」


 そして驚いたことに、お金を700円、わたしに差し出してこう云った。


「薪割りの手間賃は700円。安いと思うなら、どこへでも行って聞いてみるといい。  700円が相場のはずだからね。700円あれば、坊やが欲しがっていた英和辞典が買
 えるから持ってお行き。そのかわりこのお金から500円、差っ引いておくよ」
 

 このときわたしは、200円の労賃と、英和辞典1冊と、欲しいものがあれば働けばい
い、働いても買えないものは欲しがらなければいい、という世間の知恵を手に入れた。


 まったく人生の師は至るところにいるものだ。もちろん、それ以来、万引きはしていな
い。また薪割りをするのはごめんだし、なによりも万引きが緩慢な殺人に等しいというこ
とが、おばあさんの説明で骨身に沁みたからである。




 売り上げの2パーセント前後を万引きの引当金にあてるのが書店の常識といわれているが、その万引きが年ごとにふえて、いまでは店によっては売り上げの10パーセント以上
にも及ぶという。


 単純に計算して、売り上げの20パーセントが店の利益であるから、店によっては利益
が半減してしまう。

 これでは書店の経営は立ち行かない。


 川崎の古書店で万引きした少年が、迎えに来た警察から逃げようとして踏切りに飛び込
み即死した事件で、この古書店に「人殺し」となじる電話が相次いだというが、そんなこ
とを云ってくる人たちは、万引きがじつは緩慢な殺人行為であることを知らないのだ。

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