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「続午前8時のメッセージ」草柳大蔵 静岡新聞社 2002年 ⑤ /「子どもより親が怖い」諸富祥彦 青春出版社 2002年 ④最終【再掲載 2011.12】 [読書記録 一般]

今回は、7月12日に続いて、草柳大蔵さんの
「続午前8時のメッセージ」5回目の紹介です。


出版社の案内には、


「評論家・草柳大蔵が送る待望の第2弾。家庭、学校、社会、さまざまな角度から子ども
 の心を見つめ、輝く未来のために祈りを込めて語る珠玉の99話。」


とあります。



中村諭先生、大好きな先生です。




もう一つ、再掲載となりますが、諸富祥彦さんの
「子どもより親が怖い」④を載せます。
問題点を指摘するだけでなく、解決策を示してくれる諸富さんにわたしは支えられています。






<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト







ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
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☆「続午前8時のメッセージ」草柳大蔵 静岡新聞社 2002年 ⑤

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◇挨拶は心の定期預金

 熊本の「慈愛園子供ホーム」の園長さんで、潮谷愛一さんという方のお話をしたいと思
います。


 妻の潮谷義子さんは、熊本県知事でいらっしやいますが、この方と名刺を交換したとき
に、私はあっ、と驚きました。


 職業柄、1年間に1万人くらいの方から名刺を頂きますが、潮谷さんの名刺には、名前
の横に点字が打ってあったんですね。


 そのご主人の潮谷愛一さんは、こんな話をしています。


 学生のころ、お父さんの本棚からデミアンという神父さんの話を書いた本を引き出して
読みました。


 デミアンという人は、イギリスからハワイのモロカイ島に、宣教師として派遣された牧
師さんなんですね。


 モロカイ島は、ハンセン病のための施設があり、隔離された患者さんが集団で暮らす島
です。


 デミアンさんはそこへ行って、ハンセン病の患者さんたちに、神様の話、信仰への道、
人を愛すること、世の中を美しく生きることなど、いろいろなお話をされるんです。


 ですが、全く受け入れてもらえないんですね。


 ところがある夜、焚き火を囲んで、みんなで話をしていた。


 すると、パチパチッと薪がはねて、火の粉がデミアンさんの手に掛かるんです。


 しかし、熱くも何とも感じないんですね。


 要するに、デミアンさんもすでに感染していて神経が麻痺し、熱さを感じなかった
んです。


 デミアンさんは、そのときからハンセン病の患者さんたちに対する説き方を変えました。


「あなた方は…」という言い方から、「私たちは…」という言い方にしたんですね。


 それによって一気に、患者さんたちの間にとけ込めるようになったんです。


「あなた方は…」から「私たちは…」への変化。


 実に簡単なことなのですが、人間の心と心が重なるとは、まさにこういうことですよね。




 中村諭先生という方がいらっしやいます。


 この先生は教員生活31年のうちの23年間を、崩壊寸前の学校ばかりに教諭、教頭、
学校長として派遣されました。


 中村先生は、「組織や集団の秩序を回復したいと思ったら、一番最初にすることは挨拶
じゃないか。


 当たり前のことだ」といって、学校で生徒の顔を見るたびに、

「おはようございます」

「こんにちは」

「さようなら」

「元気?」

などと言い続けるんですね。


 最初は、生徒の方が変な顔をして、そっぼを向いて足早に去っていきます。


 そのときに

「こら、待て。おまえは何で挨拶をしないんだ?」

と言ってはいけないというんですね。


 そうではなく、それでもニコニコして

「おはようございます」

と言い続ける。


「挨拶は心の定期預金だ」と言うんですね。


「必ず相手の心に積み重なっていく。相手は気持ちの負担を感じて、小さい声で『おはよ
 うございます』と応えるようになる」というんです。


 次の話も続けます。









☆「子どもより親が怖い」諸富祥彦 青春出版社 2002年 ④最終【再掲載 2011.12】  

<出版社の案内>
逆ギレ、わがまま、陰口、いじめ・・・・・・子どものような親の言動が、いま、学校現場を混
乱させている。多くの教師は「親が悪いから子が荒れる」と考えるが、一方の親は「教師
が子どもをダメにする」という。すれ違う「親」と「教師」の心の壁を取り除くことはで
きるのか。岐路に立つ学校教育に、カウンセラーからの提言。
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◇親と教師で行う学校改革13の提言

[提言1]親こそ教育の主体である。学校はあくまでサポート役と心得よう。
 
 ・ 学校任せから脱却しよう 

     生きる力 = サバイバル力


 ・ 新しい体制への「産みの苦しみ」

     学校選択制 → 教育の二極化


 ・ 学校を休ませて旅行に行くのは是か非か




[提言2]親と教師,必要なのは信頼できる関係づくり

 ・ 教師は親の話を聞くこと 

     聞く聞く


 ・ 教師にお願いをする手紙の書き方

     『担任への不満穏便解決マニュアル』学陽書房




[提言3]チャータースクールが学校を変える

 ・ 市民全体で運営する公立学校 

     単線型 → 複線型




[提言4]開かれた学校づくりには,外部からはいる人間と教師の双方に相手の視点に立
     つ姿勢が必要

 ・ PTAが鍵を握る


 ・ 父親が子どものためにやれること


 ・ スクールカウンセラーとしての体験


 ・ 学校を知らない民間人登用の問題




[提言5]教師は保護者との関係づくりに積極的に打って出よう

 ・ 自分を語り合って親しくなる




[提言6]教師は教科のプロである以前に人間のプロであろう

 ・ カウンセリングの技法を身に付けよう

  「授業」+「人間関係」


 ・「親を変えよう」とは思わないこと




[提言7]教師受難の時代。自らを支える場所を確保しよう。

 ・ 悩める教師が学校を救う

    「弱音を吐ける職員室づくり」

     ホッとできる職員室を!




[提言8]学校に「心のゆとり」を取り戻そう

 ・ 笑いが消えた職員室


 ・ 水曜日の午後を休みにした公立中学校

     千葉市立小中台中学校 - 「水後タイム」




[提言9]「不適格教員制度」「人事考課」が日本の学校をダメにする

 ・ 人権無視の横行の恐れがある 

     適正なシステムの整備を!


 ・ 職員室から逃走する教師たち 

     東京都のシステムに問題あり




[提言10]読み・書き・計算の反復学習は基礎学力の定着のみならず,落ち着きある心
      を育てるにも有効である

 ・ 学習量の3割減は行きすぎ




[提言11]進路教育で子どもの人生への意欲・動機づけを高めることが学力向上の最短
      コース

 ・ 生きる力と基礎学力は表裏一体


 ・ 将来設計の実現に向けた「ドリカムプラン」


 ・ ゲストティーチャー




[提言12]学校に「こころの教育」の専門家を置き,人生の基本的な構造を身に付けさ
      せよう

 ・ クラス担任だけでは荷が重い




[提言13]「自分を大切にする心」「他者を大切にする心」「集団・社会に貢献する心」
      「人間を超えた地点から自分を見つめる心」の4つの心を育てよう

 ・ 自分のミッションを実感できる人間に

    ① 自分を大切にする心

② 他者を大切にする心

  ③ 集団や社会に貢献する心

④ 人間を超えた地点から自分を見つめる心

【理想の人間像】

 「自分を大切にし,なりたい自分を自己決定でき,それを目指すプロセスの中で,他者
  や社会に貢献する喜びを実感できる人間」




◇諸富祥彦さん(執筆当時)

千葉大学教育学部助教授

1963年福岡生 筑波大卒 同大学院博士課程修了

「教師を支える会」代表

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