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大村はまさんはこんなことを ⑫-「教師大村はま96歳の仕事」小学館 2003年 (8) /「みんなで一緒に貧しくなろう」齋藤貴男対談集 かもがわブックス②(後半)  2006年【再掲載 2012.10】 [読書記録 教育]

今回は、9月11日に続いて、大村はまさんの
「大村はまさんはこんなことを」の紹介12回目です。
「教師大村はま96歳の仕事」の要約8回目です。


出版社の案内には、


「国語の教師生活52年。徹底して子どもを見すえた大村の実践は、自主的な学びが称揚
 される時代にあって、教えることの真髄として、今再び広く注目を浴びている。96歳
 の1年間の講演と仕事をまとめる。講演CD付き。」


とあります。




もう一つ、再掲載となりますが、齋藤貴男さんの対談集、
「みんなで一緒に貧しくなろう」②を載せます。
齋藤さんらしい本だと感じます。



<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。








☆大村はまさんはこんなことを ⑬-「教師大村はま96歳の仕事」小学館 2003年 (8)

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◇私のおすすめ単元①

□ほめ言葉の研究

 さて、「おすすめ単元」です。


 今、私が学校にいるならやりたいです。


 みなさん、どうですか、この単元。


「ほめ言葉の研究」、いいじゃないですか。


 叱られたんじゃなくって、ほめ言葉の研究。



 自分はどんなふうに始めようと思いますか。


 みんながほめられた経験。


 こんなことをしたときに、誰がこうしてこうして、こんなふうにほめた、ほめられた。


 お父さんやお母さん、兄弟、お友達、先生から……。



 単元はなるべくなら、あまり暗い、叱られたということよりも、ほめられたことのほう
が成功しやすいです。


 なぜかと言いますと、心が暗くないほうが口は軽くなりますね。


 心を暗くしてしまったら、言葉は出ません。


 そういう意味でも、よかったと思っています。


 おすすめします。




□私の生まれた日

 それから、「私の生まれた日」。


 みなさんがなさったことのないような題材でしょう。


 何月何日に生まれました、そんなことを調べるのではありません。


 そんなことを調べても仕方がありませんので、私はそれをプリントにして、全クラスの
誰が何年何月何日生まれか、わかるようにしていました。


 自分の生まれた日がどんな日で、どんなことがあったか。


 どんなことがあってもいいけれども、とにかくそういうお話をする、そういう単元です。


 自分の生まれた日がたとえば与謝野晶子の生まれた日でしたら、それがだいたいどうい
う仕事をした人で、どういうエピソードがあって、どういう歌があって、歌を暗唱してく
るとか、そういうふうにして自分の生まれた日を語るようにしていました。 


 たくさんの本を読んで、与謝野晶子についての紹介をたくさんできるほうがよろしいで
すね。


 そのとき気をつけることは、誰かの誕生日が、みんなが名前を知らないような小さな国
に戦争が起こって死人がたくさん出たとか、そんなことしかなかったという日にあたって
いないかどうか、前もって教師が全部調べておくことです。


 誰が何日に生まれたかなんていうのを暗唱している必要はないけれども、その人が生ま
れた日にどんなことがあったのか、その人が愉快に調べて楽しくお話ができるよう、クラ
スの者も大変興味を持つお話の種がありますよう、そして資料がその図書館にあるかどう
か、それを全部調べない限りは、この単元はできません。


 それを子どもが本で調べている間、教室の中で教師は暇で、みんながたまに字の読み方
を聞くくらい、それではだめですね。


 教師は、

「あなたは与謝野晶子だったね。こういうこと調べた? あそこにこういう本があるけど
 読んだ?」、

こういうふうにやってもらわなければ困ります。


 ついでですが、私は自分の学校の図書館の本は一冊残らず読んでありました。


 百科事典では、戦後まもなく出た赤い表紙の児童百科事典の文章が好きでした。


 そして、大変おもしろかったので読みました。図書館の本は一冊残らず読んでいました
から、それを背景にこの単元をするのであって、誰がどの日に生まれていてもだいたい見
当をつけて、

「この本はどうか、あれはどうか」

と言えます。


 それがてびきです。そこまで手を引かないと、全員の参考にはなれません。


 で、与謝野晶子をやった人に向かって私が、石川啄木が与謝野晶子にお姉さんのように
かわいがってもらった、助けてもらったんだという話をしたときに、その話を本の中に見
つけたその子は非常に喜びました。


 このように、探すのを手伝ってやらなくてはいけない。


 そのために、教師には広い読書が必要です。


 それなしにこういった種類の単元を始めます

と、教師から与えられるものはないように思われて、教室が大変寂しいところ、何か枯れ
たようなところになってしまいます。


 こういったような調べ物をするときには、参考になる本が自分の図書室にあるのかどう
かを知っておかなければなりません。


 本がなければ町の図書館もあるし、自分の蔵書もあるのですから、補えばいいのです。


 なければできないというわけではありませんが、しかし、できないのもあります。教師
も持っていない、学校にも町の図書館にも本がなくて、


 そんなことについてを「調べておいで」と言っても、それは困ります。ですから、こう
いったような種類の調べ物をするときには、自分の学校の図書館の本には精通しているこ

が大事です。


 さて、ある方の授業を見ていたら、研究の発表をするときに

「それじゃあ、背の高いほうから順に」とおっしゃいました。


 そんなつまらないことを言わないで、子どもが喜ぶようなことを言えるようにしたいで
すね。


 この単元のときは、私は

「このクラスで一番お兄さんは誰だろうか」

と言いました。


 みんなは顔を見合わせて、同じ年齢のはずですけど、日にちから考えると誰なんでしょ
うか、となって、なんだか急に家庭的なあたたかい気持ちが流れたことがあります。


 そうしたひと言に気がつくようになるのも、その子達が調べる本を教師が調べておいて、
それに精通しているから出てくることなのであって、ただ考えても出てきません。

 そうしたくふうなしに番号順だとか背の順だとか、そういったふうなことに頼っていた
りして指名の仕方もよくないと、せっかくの単元をだめにしてしまいます。


 単元のおもしろさをなくしてしまうのではないかなと思います。















☆「みんなで一緒に貧しくなろう」齋藤貴男対談集 かもがわブックス②(後半)  2006年【再掲載 2012.10】

<出版社の案内>
格差社会、管理社会、差別教育、戦争国家…ジャーナリストとして譲れないことを語った
一冊。
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◇ジャーナリズム・管理社会編

1 日本はなぜ物言う弱者を憎むようになったのか 対談:辛淑玉(しん すご)

 弱者バッシングの典型が起こった

   イラク人質家族バッシング

 

 無知であることが楽な日本社会



 ネットが差別等暴力を増長させている

   強者に付くことが生き延びる術



 異論を封じ込める社会構造がある 

   子どもたちは…  自分の頭で考える



 弱者バッシングを減らすためには

◎「経済は強い者が勝つに決まっているのだから,そこは政治でバランスを取らな
     ければ行けない」


  
 『怒りの方法』岩波新書



  「金持ちだけは自由に金が増えるのだけれど,貧乏人はますます選ぶメニューがなく
   なっていく」

→ メニューを少しでも良いものに
  


2 ジャーナリズムは再生できるか  対談:大塚将司(日本経済研究センター)
 
 朝日新聞虚偽メモ事件をどう見るか 
   進むサラリーマン化



 取材時の録音は許されるか  
                                           建前を逆手に取られる新聞



 郵政民営化問題の本質   
   
    首相のウソをなぜ指摘しない



 新自由主義と新聞  

   理念をどう回復するか



 日本のジャーナリズム = 権力のプロパガンダ機構





3 記者は呻吟,葛藤しているか  対談:岡本厚(「世界」編集長)

 米メディア戦略に学んだ小泉自民党

   リストラするほど「景気よくなる」



 リアリティなき内向きな保守言論

  肉体的な活動を敵視,潰す発想



 ちゃんと伝える沖縄のメディア

   ミスリードするためにある新聞



 NHK,お上のものではない公共性



「帝国主義の臣民」が国家にとっての理想

  



4 情報化社会は人を自由にするか  対談:吉岡忍 

 消費されるだけの情報

   歴史認識は教養の問題



 ネットに接続しない自由

   JR西日本 - 日勤教育のひどさ



 差別化と管理下にどう立ち向かうか







◇差別的教育改革編

1 オリンピックで考える国旗国家との付き合い方 対談:吹浦忠正(東京財団常務)

いつ「日の丸」はつくられたのですか
  『続日本紀』金と銀,陰と陽 ?

  武将の時代ではないか

 

 東京五輪と長野五輪で「日の丸」が違う

  武将 ~ 自分たちが正統と日の丸を錦の御旗に!

  1876年 明治政府 太政官布告で日の丸制定

 

 「そこはかとなくある」べきものでは?

  君が代 ジョン・ウィリアム・フェントン(イギリス)に作曲を依頼

  フェントンが作った外国系の雅楽に林広守が手を加えた

 

 石坂啓(漫画家)

  「アメリカがジャイアンで,日本はスネ夫だ」

 

 寛容さがあれば本来は好かれるはず

  アルベールビル五輪から変わった 全く新しいものをつくることができるか

  国旗を知ればもっと世界がよく見える




2 教育の私物化に抗え 対談:佐藤広美,山田功「教育」

 空疎な石原慎太郎 江藤淳の石原評

  「思想に対する義務から政治に赴いた。イデオロギーや思想にほとんど一顧の価値も認め
   ない」

 

 陰影が一切ない 

   石原「他人を見下す」ことが行動原理



 強い大国意識による危機感

  他者や弱者を見下す石原慎太郎

 

 なぜ石原が支持されるのか

   企業の現場 - 成果主義の果てに

 

 東京都の日の丸君が代攻撃

 

 新自由主義の優勝劣敗思想 
 
   「教師は民間企業にコンプレックスをもつ必要がない」

 

 強い犯罪政策と従順の養成

  小泉・石原 「貧乏人のくせに余計なことを考えて勉強するんじゃない」

 

 やせ我慢を - 本当の信頼





3 ゆとり教育は「理想」か「平等破壊」か  対談:宮崎哲弥
 
 教育力こそが国力?

   私立重視政策   

   学習指導要領は最低要求



 新自由主義的教育改革  

   学歴社会は壊れるか



 兵隊と工場労働者の教育

   次世代の公教育とは? → 地域コミュニティ



4 現場から考える教育基本法  対談:野田正彰(関西学院大学教授)

 この社会に生きるための教育

   ある価値観を染め上げる教育



 社会的抑圧と精神疾患

   新自由主義の価値観とコンフリクトフリー



 クラッシュするまで逃げられない構造

 

 通達と命令による教育行政のすさまじさ

  尾道市教委 1年間に通達文書1567件 370件に報告義務

 

 保護者,現場の教師は何をすべきか 

   法を学ぶ者へ






◇「衛生プチ帝国論」編

1 政治家になるべきでなかった作家 - 石原慎太郎研究  対談:佐野眞一
 
 戦後50年間出突っ張り 
   父・石原潔 山下汽船に  

   小心さ

  江藤淳 『無意識過剰』

 

 梶原一騎との違い

   新自由主義,差別主義

 

 使い勝手のいい男 

   極右グループ - 中川昭一,安倍晋三





3 国と国民,この距離感のなさ  対談:香山リカ
 
 戦後50年をチャラにする

  「自分はそっち側の人間じゃない」



 「勝ち組」の利益を守るのが「国益」か?

戦争と個人のけんかは違う  

     戦争になったらただの駒


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