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小浜逸郎さんはこんなことを⑬-「14歳 日本の子どもの謎」イースト・ブック 1997年 (7) /「加藤秀俊著作集3」中央公論社 1981年 ②【再掲載 2017.2】 [読書記録 教育]

今回は、12月9日に続いて、
「小浜逸郎さんはこんなことを」13回目、
「14歳 日本の子どもの謎」7回目の紹介です。


今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「だらしない収容所
…そうした連中を『勉強することを本分とすべき存在』という身分に無理矢理押し込
 めば,そこにたてまえと実態との落差が大きく露呈するのも当然」


・「少年たちの周囲には金や刺激や情報が満ちあふれている
= 個人主義の感覚」


・「大衆教育社会の犠牲者は教師だ 
文化伝達に長けている子供たちにより、『大人から子供へ』の古典的文化を伝達す
の順路が混乱させられる」


・「日本の家族は騒がれるほど崩壊も解体もしていない。大枠は安泰である。問題は個人
生活が抱えるようになった二重性・多重性である。それにより、つかみにくさを感じ
る。」



小学校のうちから学習に向かう姿勢を育てることが大切だと改めて思いました。



もう一つ、再掲載となりますが、加藤秀俊さんの
「加藤秀俊著作集3」②を載せます。
わたしは、「こと」「もの」からの民俗学、考古学を通しての歴史が好きです。
文字と向き合うのがつらいからでしょうか。




<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト




ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
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☆小浜逸郎さんはこんなことを⑬-「14歳 日本の子どもの謎」イースト・ブック 1997年 (7)

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◇「だらしない収容所」の大きな子供②

□援助交際,不登校,暴力に走らせる浮遊感覚

 「だらしない収容所」は今その内部と周辺とに様々な逸脱者を生み出している。

 40年前
   半分が高校生

現在は全員が高校生 = 「猫も杓子もフツーの高校生」
※ 学力もやる気もなくファッションや遊びや美容,交友関係にしか関心を示さな
    い子も皆、高校生と呼ばれている。



  昔だったら 農家,集団就職等



   勉強には関心はないが,自分の人生にはそれなりに切実な関心をもっている

  ↑

早くから稼ぐ手だてを与えたり,異性の相手を見つければ結構たくましい生活
    力を持った子たち

  ↓

 ◎ そうした連中を「勉強することを本分とすべき存在」という身分に無理矢理押し込
  めば,そこにたてまえと実態との落差が大きく露呈するのも当然
                   
          ↓
           
 ◎ 高校生にあるまじき行為は余計に助長された

自分に相応しくない衣を着せられているので,生きている感覚が不確かなものにな
  り,しかも暇を持て余してつかみ所のない浮遊状態をさまようことになってしまう

  → 援助交際,引きこもり,コンビニ前の時間つぶし,オヤジ狩り



□大人が設定した場所以外での「別の生」

  二重生活 

  別の生を生きようとしている



□反抗ではなくただのだらけ

 「小人閑居して不善を為す」

  少年たちの周囲には金や刺激や情報が満ちあふれている

   = 個人主義の感覚



 ◎ 日本の家族は騒がれるほど崩壊も解体もしていない 大枠は安泰。問題は個人生活
  が抱えるようになった二重性・多重性

  = つかみにくさ 



 ◎ 今の社会では空間的に近いところにいるはずの個人同士が誰も互いの関心領域に介
  入できないし介入しようともしない



 ◎ 個人主義的な相互不干渉
      
 ◎ 大衆教育社会の犠牲者は教師だ 
文化伝達に長けている子供たち = 「大人から子供へ」の古典的文化                   
     伝達の順路が混乱させられる

    |

 ▲大きな問題 
※ 「学校生徒」という身分に相応しくない者たちを日常的に管理する立場にある人たち
 が抱える苦悩と矛盾
   










☆「加藤秀俊著作集3」中央公論社 1981年 ②【再掲載 2017.2】

<出版社の案内>
著者加藤秀俊氏は、現代の生きた諸問題に挑戦する意欲に満ち溢れている。行動的に世界
中を駆け巡る個性的な社会科学者である。現代に生きることへの責任を行動をもって果た
したからである。
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◇世相史研究序説

□文字にならない歴史

 記憶の保存 
   口承の伝承 → 文字の伝承

 「歴史」 = 記憶に対する恐るべき執念の集積
   ↑
 ○偏りがある
  - 社会の頂点に立つことのできた限られた人々



 ※  数十億の人間の殆どすべては,誰にも知られないまま,不快沈殿層をつくってい
  る。その上に文字になった記録が薄い上澄み部分をつくってのっかっている。


 ◎「歴史学」は上澄みをよりどころにして成立した学問
         ∥
 ◎エリートの思想と行動の軌跡

 ◎しかし,それだけを歴史と考えるのは間違いではないか?


 ※ 上澄みは上澄みで結構。しかし,少なくともそれと並んで厚い沈殿層にも目を向け
  な ければならない



□正史と稗史
 ① 歴史学 … 社会の頂点に立つ人々=上澄みをよりどころにした学問
  政治性
 
     正史 政治史を以てその主流とすべき


 ② 民俗学 … 沈殿した記憶の歴史に照明

     常民が主人公 ~ 世相史



 「正史家」
  ◎物事を因果の網の目で説明する

■ 網の目に乗らないものは偶発的・例外的

    → 切り落とす=植木屋の職人のごとき


 稗史  
    因果律にも法則的にも別段興味を持たない = 自然観察家

行き当たりばったり 事実の寄せ集め



 世相史 
    ぼさぼさした個別的事実の集合体

  小さな経験とその産物



□市井のジャーナリズム

 常民の変化
   ~ 自らの手で記録が可能に

新聞の誕生 ~ 日録(ジャーナル)

 ①市井の記録家
江戸期 西沢一鳳,喜多村信節,神沢卓幹,浜松歌国 -随筆 

    菅江真澄,橘南渓             -旅行家

鈴木牧之 -雪国博物誌


   場期末・明治  服部誠一,菊池貴一郎,宮武外骨,石井研堂


 ②常民の成長が早かった
江戸・大阪・京都  寺子屋-普通教育

武官優位 → 文官優位 → 浮浪・有閑知識人 =  自由なインテリ


 ③日本人の大多数は世俗的-即物的関心
18 ~ 今世紀 

   稗史材料は優れている(他国に比べて)

  = 世相史は日本史しかつくれない



□世相史の確立に向かって

 歴史学徒としての世相史学,世相史方法論の確立
  ~ 記録保全
民具,常民の記録

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