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「岩波講座 現代の教育〈第0巻〉教育への告発」佐伯胖 黒崎勲 佐藤学 田中孝彦 浜田寿美男 藤田英典 編 岩波書店 1998年 /「ボクシングに賭ける-アカンタレと夜学教師の日々」脇浜義明 岩波書店 1996年【再々掲載 2011.8】 [読書記録 教育]

今回は、
「岩波講座 現代の教育〈第0巻〉教育への告発」を紹介します。




出版社の案内には、


「いまや国民のあらゆる層に、教育の現実にたいする不安と怒りの声が上がっている。ま
 た、教育を立て直そうとする熱い思いや真摯な提言が語られている。時代の闇のなかで、
 改革への手がかりをさぐる告発の声を集めた。」


とあります。


各界の方からの提言が載せられています。
印象に残った言葉のみメモしたので、本当にざっくりとしたものになっています。
20年経ち、「告発」の効果があったでしょうか。




今回紹介分より強く印象に残った言葉は…

・「白紙の内申書」


・「教育と言うこと自体が避けがたい悪を含んでいる」


・「いまの学校が教えてきたのは教え方でも何でも中途半端」


・「崩壊する親 権威なき学校権力」



この本の要約に脇浜義明さんの名前がありました。
20年前に呼んで衝撃を受けた本を思い出します。
再掲載となりますが、脇浜義明さんの
「ボクシングに賭ける-アカンタレと夜学教師の日々」を載せます。
広く読まれてほしい本、おすすめです。
教育関係者、政治家の皆さんに読んでいただきたいと思います。




最近、飼い犬のワクがよく外に出たがります。
手すりの棒につながれて、前の道を姿勢よく見ていたり、寝そべったりしています。
気分転換にもなり、暖かくて気持ちがよいのでしょう。
昨日、帰宅するとワクが玄関のポストにつながれていました。
身動きがとれなくなっているのに、静かにしていました。
12歳になってもいたずらです。
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今日から、勤務校は冬期休業に入ります。
わたしは、これから年休をとり、家での片付けや充電のときとなります。
少しのんびりとできそうです。


<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。





☆「岩波講座 現代の教育〈第0巻〉教育への告発」佐伯 胖 黒崎 勲 佐藤 学 田中 孝彦 浜田 寿美男 藤田 英典 編 岩波書店 1998年

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◇白紙の内申書 脇浜義明

<反>オフィシャルレトリック生徒指導

~ 自立した対抗文化不在の中で個人と管理職とが直結した



◇僕にとっての学校 谷川俊太郎

教育と言うこと自体が避けがたい悪を含んでいる



◇前田雅子

学校に行かない子と親の会



◇宮大工を育てる 小川三夫

西岡常一の内弟子 鵤工房
  「いまの学校が教えてきたのは教え方でも何でも中途半端」

   中途半端な知識が邪魔をして体で覚えられない

   ↓
◎ 体で覚える その上で頭を使わなくてはならない



◇三遊亭円楽

噺家修業の今と昔



◇僕を育ててくれた師匠たち 遠藤ケイ

草の根民俗学



◇平井雷太

「教えない教育」



◇今授業が面白い 善本幸夫

崩壊する親 

 権威なき学校権力



◇網野善彦

日本史教育をめぐって



◇林光

音楽教育に



◇学校は誰のためにあるのか 山田洋次

学校教育の主人公は生徒と先生ではないか












☆「ボクシングに賭ける-アカンタレと夜学教師の日々」脇浜義明 岩波書店 1996年【再々掲載 2011.8】

<出版社の案内>
学力がない。気力がない。おまえら、もっとしっかりせいや。定時制高校生のアカンタレ
たちに絶望しながら、教師はリングでミットを出し続ける。日常の厳しい節制に、戦う技
術の鍛練に、生徒たちを徹底的に追いつめる。ごまかしを許さない一徹教師の指導とアカ
ンタレたちが火花を散らす、哀歓ただよう人間ドキュメント。
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◇私とボクシング

 後藤正治
   『リターンマッチ』(文藝春秋1994)  大宅壮一ノンフィクション賞


 55歳 定時制高校教員

 ◎「学校が嫌いで、事実学校から受ける恩恵がほとんど無かった層にも学校化の波が及
   んで支配している」



◇打たれても目を離さない少年

 ボクシング 
   インタハイではボクシングのみ定時制も全日制に交じる

  ◎「辛抱強く見守って、困ったときに助けてくれる人がいるほど幸せなことはない」


 ワル → 人間回復のきっかけ

    
 ボクシング = 「負けん気が強くないとダメ」
 闘争心がない子はいくら器用で運動神経が優れていてもモノにならない


 少年の美徳とは「卑怯者になることを極端に嫌う」こと
ヒロイズムは利益を伴わず、人目に触れず、華やかに誇示されないから感動的なの
  である


◎「今の教育問題を生み出す原因の一つは学校教育云々もさることながら、一般社会に教
  育力がなくなったことだ」
   
 = 社会の病弱化こそ教育荒廃の元凶


 遊びは平等でも、その代償は極めて不平等 

= 金持ちは金を使うが、貧乏人は人生を使う

◎ 金持ちはいつでも「マトモ」な生活に戻れるが、 貧乏人は戻る道が無くヤクザ
   の道に


 ◎ 創造するには時間と根気がいるが崩れるのは一瞬だ 



◇阪神大震災の慰問試合

「生徒や民衆はそのような行動をとれるのに、その上に立つ管理的な立場の人の中にそれ
 ができない人が多かった」



 ◎ マスコミ報道のひどさ =「世界残酷物語」式の押しつけ

    ① 悲惨なネタ探し

    ② お涙ちょうだい式浪花節探し

        |

 ◎震災は決して平等ではなかった

  = 平常時の社会的差別とパラレルな被災状況


 ※ 筆者(脇浜氏)が腹を立てたこと 

    ① 社会的差別

    ② それを欺瞞的に補う浅薄な偽善的ヒューマニズムの氾濫

    ③ 平常時には差別を叩いた先進部分の沈黙

    ④ 犠牲者庶民の心情(悲しいまでに優しく忍耐強い)



◇賽の河原で石を積む

 妙な妥協をしたり偽善ぶるより誠実な生き方の方がよい

 「相手を倒したパンチのことはよく覚えているが、その前に打ったパンチのことは覚え
  ていない」

  = 捨て駒が大切


 ◎「賽の河原のようにコツコツ石を積んでいたら鬼が来てそれを崩すのだ。しかし、地
   震のようにすっかり破壊することはない。少しは残してくれるから、またそこから
   積み直す」



◇ドロップアウト達の牙

 かつての夜学には反抗する子が多かった
○知的反抗  → 左翼

   ○暴力的反抗 → 不良
 
   ◎しかし、内にこもる植物的生徒が増えてきた

    ∥

 ※ 社会への異議申し立てが退行した姿、外部社会に圧倒され、悲鳴すらも出なくなっ
  た被抑圧者の姿


 矛盾の犠牲者の吹きだまりとしての定時制


 学歴インフレ

   ↓ 高卒者が中卒者の仕事をするようになった

   ↓ ∥
 
   ↓ 中学卒業者の就業機会を制限する

 現在
 「せめて高校ぐらい、いや大学ぐらい」というせっぱ詰まった惨めな進学競争

  ∥

  ◎ 子供が親より物質的に豊かになれる時代は終わった


 「負のサイクル」 岡村達雄『現代公教育論』
  貧困層 

  → 低い学力

  → 低い就学機会

  → 不安定・低賃金職業機会

  → 貧困層


「単位制高校」
  文部省筋の考え = 定時制の使命は終わった
→ 多様化への対応

単位制高校
   ◎ 全日制からドロップアウト軍を追い出して(犯罪1)別途学校をつくってやって
    そこに収容する。その学校は定時制から勤労学生を追い出す(犯罪2)

          ∥

   ◎ ユダヤとパレスチナ
より弱い立場のものを犠牲にして矛盾を解決しようとするが矛盾を生み出す
     元凶には手をつけないのである

↑↓

◎ 全日制のオチコボレを勤労学生に同化させること
 
   「誰にせよ働く必要のない者なんかいない」 = 主流に同化させること


 【問題】 
  - 仕事に誇りと人生設計がなくなった

  = だれでもできる、期待されていない


    ▲ 単に金のためにだけ働く


 <若い人に影響を与える仕事を!>


 <「持続」と「信用」の思想を!>



リクルート文化の犯罪
    若者を刹那主義に追いやった罪

   知的資本、技能的資本を欠く中卒者・定時制高校労働者の精神を汚染した


 ※リクルート文化

 ◎「忍耐」「努力」という発想を潰し、際限ない安易な転職を是とする思想を若者に与
 えた



 ◎ 資本を持たない貧困者が唯一資本に拮抗できる資産である「持続」と「信用」の思
  想を破壊した

「けつわり」→「とらばーゆ」



続きは →  2011.8.14記事「ボクシングに賭ける」脇浜義明 岩波書店 1996年
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