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「新時代の教育をどう構想するのか」藤田英典 岩波ブックレット№533 2001年 ① / 「あるがままに老いる」大原健士郎 毎日新聞社 2001年 ①【再掲載 2016.1】 [読書記録 教育]

今回は、藤田英典さんの
「新時代の教育をどう構想するのか」1回目の紹介です。



出版社の案内には、


「首相の私的諮問機関として各界の識者を集め、集中的な討議をへて発表された教育改革
 国民会議の報告は、教育基本法の見直し・奉仕活動の必要性など、大きな関心を呼び、
 今後の政策に反映必至の重大な提案を含んでいた。委員として参加・発言した教育学者
 が提案内容を検証・批判しながら『いま本当に必要な教育改革とは』を訴える。」


とあります。


教育改革国民会議委員、中央教育審議会義務教育特別部会委員などを歴任された藤田さん
が、教育改革国民会議での会議の様子を教えてくれます。



今回紹介分「教育改革国民会議の提起について」より強く印象に残った言葉は…

・「『余計な改革=改悪をしないこと』『会議の議論や提案が思いこみや偏見に基づく独善
  的で無責任なものにならないように少しでも貢献する』に藤田氏個人は満足されてい
ない」


・「提案の3つの柱
カリキュラム・教育実践の道徳主義的・教科主義的改革
教育制度・システムの新自由主義的・エリート主義的改革
  教育行財政・学校運営・教育実践の改良主義的な基盤整備
のうちに個人的には反対されているものがある」


・「あまりに反動的でバランスを欠いているのではないか」



21年前に話題となった教育改革国民会議。
委員の方は著名な方ばかり。現在都留文科大学学長の藤田さんも委員のお一人でした。
藤田さんの「教育改革」観が示されています。
「教育改革国民会議報告『教育を変える17の提案』が示されてから、
すでに3回の学習指導要領の改訂がされています。
何回もの教育改革により、教育課程はよくなっているのでしょうか。





もう一つ、再掲載となりますが、大原健士郎さんの
「あるがままに老いる」①を載せます。
- 言いたいことは言い、やりたいたいことをやるのが「あるがまま」。思い通りになら
 なくても、伸び伸びと生きたい…。
と案内にありますが、定年退職後の今、まさにそのようでありたいと願っています。






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☆「新時代の教育をどう構想するのか」藤田英典 岩波ブックレット№533 2001年 ① 

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Ⅰ 序章「教育改革国民会議は何を提起したか」
 
◇本書執筆   

最善を尽くしたいこと(藤田)

① 教育基盤・学校改善基盤の充実を図る → ○(結果)

     学級規模縮小,現場裁量権適切な拡大, 地方への権限の委譲


 ② 公教育予算の必要な充実と適正化を図る → ○


 ③ <余計な改革=改悪>をしないこと → ×


 ④ 会議の議論や提案が思いこみや偏見に基づく独善的で無責任なものにならないよう
  に少しでも貢献する → ×

 


◇「教育改革国民会議報告」の政策的意義
   
 国民会議報告  
 
   ↓
   
 文部科学省「21世紀教育新生プラン」(2001.1.25)
法律改正に関するものだけだけでも

 ① 家庭教育支援機能の充実 


 ② 小・中・高における奉仕活動体験の充実(義務化)


 ③ 問題を起こす子供への適切な適応 


 ④ 少人数教育の実施と習熟度別学習の推進


 ⑤ 大学入学年齢制限の撤廃(→ 17歳での大学入学の自由化)


 ⑥ 夜間・通信制大学院の法制化 


 ⑦ 学部三年修了からの大学院入学の促進


 ⑧ 大学の組織編成の弾力化


 ⑨ 的確性を欠く教員の教職以外への配置転換や免職措置のための条件整備


 ⑩ 教員の雇用形態・採用方法の多様化


 ⑪ 通学区域の弾力化(→公立高校の学区制の廃止と学校選択制への各教委へのり組み
  推進)


 ⑫ 教育委員会制度の改革

 


◇提案の3つの柱

(1)カリキュラム・教育実践の道徳主義的・教科主義的改革 ← 藤田反対意見


(2)教育制度・システムの新自由主義的・エリート主義的改革← 藤田反対意見


(3)教育行財政・学校運営・教育実践の改良主義的な基盤整備
 



◇教育改革の新しい危険な流れ① -「教える側の論理」の重視

 特徴①<学ぶ側の論理> から  <教える側の論理>への転換
 
   子供中心主義的    →   教える側の論理 社会主義的効率主義

考え方      →   復古的道徳主義 エリート主義

「ゆとり」「個性重視」  → 「社会的自立」「社会の一員」
  「子供の興味関心」 →  「人間性豊かな日本人」「日本人としての自覚」 →  「郷土や国を愛する心や態度」
→   「一人ひとりの持って生まれた才能」
→ 「社会を牽引するリーダーの輩出」

◎他にも…
○ 家庭での「厳しい躾」や「親の責任」の強調

  ○ 奉仕活動の義務化

  ○ 「道徳」「人間科」「人生科」という教科の新設

  ○ 「問題を起こす子供への教育を曖昧にしない」

    ∥

  ※ あまりに反動的でバランスを欠いている
 









☆「あるがままに老いる」大原健士郎 毎日新聞社 2001年 ①【再掲載 2016.1】

<出版社の案内>
言いたいことは言い、やりたいたいことをやるのが「あるがまま」。思い通りにならなく
ても、伸び伸びと生きたい…。森田療法の権威が、自らの老いを見つめつつ「あるがまま」
の極意を説く。沈みがちな心に効く50のエッセー。
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◇事実唯眞

□「あるがまま」 

 自然体ではない

 
 森田正馬(もりたまさたけ) によると
「気分(症状)はあるがままに受け入れ,やるべきことを目的本位・行動本位にやる」こと
  
 = 気分をいじらずただ目前にあるやるべきことをやる

 ◎「できない」という人はただやらないだけ



□「あるがまま」

 - 「事実唯眞」(じじつただしん)  老荘思想



□「外相整いて内相自ずから熟す」

 外相を健康人らしく建設的に毎日を送れば、心も自然に健康になることができる




◇死の準備

□人間は生まれると同時に死の宣告を受けたようなもの
     
 - 死の準備などと、死ばかり考えるより今日を精一杯生きる  




◇尊厳死

□他人の死に際して主張すべきではない

 ◎ 人間らしいしつけは何もされずに放置されていれば,姿形は人間でも動物並みの心
  しか育たない

① 気質(テンペラメント) 
 
    遺伝的に親から受け継いだもの


 ② 性格(キャラクター)
 
    親や先生の影響  

    語源 = 刻み込む

人格から見ると未熟

大人になっても性格だけで人間関係を結んでいる人は子どもっぽい性格
     = 人格未成熟者


  ◎ 性格 + 社会や文化の影響

人格(パーソナリティ)  性格+社会・文化
語源「仮面」

 ※ 人と人とのつきあい方は人格と人格のふれ合い、欠点は隠し長所を飾り立てよう。




◇生の欲望

 精神療法
 
 
(1)精神分析


 
(2)森田療法 - 「生の欲望」願望の複合体

    ① 病気になりたくない,死にたくない

    ② よりよく生きたい,人に褒められたい

③ 知識を広めたい,勉強したい

④ 偉くなりたい,幸福になりたい

⑤ 向上発展したい

「生の欲望」外に ←→ 「死の恐怖」自己に


□森田療法は過去を問わない
     
 もう取り返しのつかないことだから
   
    ↓

 ◎ 過去をほじくり返すよりも,今日現在を頑張ろう
              (それ以外に生きていく術はない)      


 ◎ 20歳を過ぎて「親が悪い社会が悪い」と嘆いても仕方がない

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