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「問われる教育の公共性と教師の役割-教育改革のゆくえ-」 藤田英典(東京大学)( 『教師の現在 教職の未来』教育出版 1999年より) ④(最終) /「みずからの稼業が、夜なきうどん屋の主人であったとしたならば」松下幸之助 『松下幸之助発言集』(全45巻)第23巻  (『松下幸之助に学ぶ人生論』飯田史彦 PHP研究所 2008年 より)【再掲載 2013.3】 [読書記録 教育]

今回は、4月7日に続き、藤田英典さんの
「問われる教育の公共性と教師の役割-教育改革のゆくえ-」の
4回目の紹介、最終です。



出版社の案内には、


「変化しつつある社会の中で、教育の現状と意義を考察する。5では制度的
 な制約のなかで多様な役割を求められる現代の教師の現実を検証し、未来
 の教師像はいかにあるべきかを様々な視点から模索する。」


とあります。


公教育の課題と教師の方向性をわかりやすく示してくれます。




もう一つ再掲載になりますが、松下幸之助さんの発言
「みずからの稼業が、夜なきうどん屋の主人であったとしたならば」
を載せます。
飯田史彦さんの『松下幸之助に学ぶ人生論』を楽しく読みました。




今回の記事が4000本目となります。
続けらることができたことをうれしく思います。




<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。









☆「問われる教育の公共性と教師の役割-教育改革のゆくえ-」 藤田英典(東京大学)( 『教師の現在 教職の未来』教育出版 1999年より) ④(最終)

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◇公教育の公開性・共生性の揺らぎ

□3R’s 
   社会についての基本的知識と構え 道徳性・社会性

   政治的判断能力など国民市民としての基礎的教養と生活者能力形成


  
   ◎ 教育の共通性は義務教育段階の教育の基本的要件

   |

   ◎ 共通教育の場はだれにも開かれたパブリックなもので
   なければならない。
(差別的・排他的なものであってはならない)


□地域制公立学校 

  ◎公開性・非差別性・非排他性を制度的に保証しようとしたもの

           +

  ◎子供の自律性(尊敬・自己表現)と共生性を備える

  |


□荒れる学校

  ◎差別性・排他性を志向し共生共同の場を開いた空間にしていくもの

   → 子供を排除する志向性



□教育の平等性・基礎性の揺らぎ

 公教育の平等性

   ① 教育は人権の平等を実現するための不可欠な手段
  人権の平等を基礎とした規範的・権利論的理由

   ② 制度論的理由・実質的であり相対的

義務教育は総ての人に開かれているべき

   ③ システム論的・教育学的理由
義務教育                             
        = 市民的教養・生活者能力・基礎学力の構成

◎<生きる力><考える力><自己教育力>のスローガン
        も妥当
        中核は3R’sを中心にした基礎学力(広義のリテラシー)
        と社会生活に対する前向きの構えとプライド




◇教育改革の課題と教師の役割

□今必要な改革は何か

① 制度改革はしない

  ② 条件整備をする 
      学級定数の縮小と学校裁量権の拡大

  ③ 開かれた学校のための条件整備・多様な人材・学校施設の開放



□今教師に期待されていること

① 教育のプロだという自覚を持つこと
プロとしての最善を尽くすこと

  ② 開かれた弾力的な学級づくりを進めること,力量の向上に努める
   こと
子供をよく見ること,子供の状況をよく知ること
偏見や硬直性を排除し,許容性と応答性と安定性のある学級づく
   りを進めること

③ 学校と教師の仕事を開かれたものにしていく

  ④ 教師の相互信頼と協同性を高めていくこと







☆「みずからの稼業が、夜なきうどん屋の主人であったとしたならば」松下幸之助 『松下幸之助発言集』(全45巻)第23巻  (『松下幸之助に学ぶ人生論』飯田史彦 PHP研究所 2008年 より)【再掲載 2013.3】

<出版社の案内>
「経営の神様」といわれた松下幸之助はいかなる人間観を持って経営を成
功させたのか。総計170万部のベストセラー「生きがい論」シリーズの著
者であり、人事管理を専門とする経営学者が、『松下幸之助発言集』全45
巻を読破して松下幸之助の人生哲学の神髄に迫る。松下幸之助は「宇宙(神
様、仏様)と自分のつながり」「自分とソウルメイト(縁ある人々)とのつな
がり」「会社と世の中(お客様を含む)とのつながり」「経営者と社員とのつ
ながり」「社員どうしのつながり」そして「自分の奥にある本当の自分(魂)
とのつながり」など、さまざまな「つながり感」を構築し尊重していくこ
とが、あらゆる存在の幸福の追求に結びつくという真理を得た。
宗教家ではない松下幸之助はそれをあらゆる機会に、人々に伝わりやすい
言葉に置き換えながら表現してきたのだと著者は言う。一代で大企業を立
ち上げた松下幸之助に新しい学問「スピリチュアル経営学」で迫った革命
的な書。



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 それは何かと申しますと、皆さんは、いわゆる「社員稼業」という一つの
独立経営体の主人公であり、経営者である、という考え方であります。

 社会全体から見れば、自分の仕事は松下電器の社員という職業である。し
かし、その実体は、自分は社員という稼業の経営者である、と、こういうよ
うな考えに徹することはできないかどうか。


 私はこう考えられるかどうかによって、これはたいへんな違いがそこから
生じてくると思うのであります。


 今日、独立した経営者は数多くありまして、その経営ぶりはさまざまであ
ります。それぞれの人の持ち昧において、自主独立のかたちで経営が行われ
ております。


 うどん屋さんの主人公もそうであります。


 そば屋さんの主人公もそうであります。


 夜なきうどんの主人公も独立しております。


 その人たちは、いわばその仕事を自分一人でやっておられるのであります。


 自分一人で、独立経営体として、そこに精魂を打ちこみ、おのが事業とし
てものを見、ものを判別し、そうして是非を判断されているのであります。


 しかし、大会社のいわゆるサラリーマン、社員という人たちは、そこまで
は徹しておらない。


 会社の社員という立場において、要するに与えられた仕事を遂行している、
というような心がまえに終わっているのではないかという感じがするのであ
ります。


 それをもう一歩進めて、自分は、松下電器という一つの会社の中で、社員
稼業をしている独立経営体である。皆さん一人ひとりが、自己の独立経営と
して、自分は松下電器の社員稼業をやっているんだと、こういうような心意
気になって、ものを見、ものを判断することが、はたしてできないものかど
うか、また、そうすることは間違ったことなのかどうか、ということを考え
ていただきたいのであります。


 もし、社員稼業に徹するならば、たとえば命じられただけの範囲で仕事を
すませるということは私はできないと思います。


 みずからの稼業が夜なきうどん屋の主人であったとしたならば、みずから
すすんでうどんを売るというような心がけで仕事をしなければならないでし
ょうし、川べりに屋台店を出して、これをお客さんに呼びかける必要があり
ましょう。


 また、きょうのおつゆの味わいはどうであるかと、みずから食べてみて、
少し辛いとか、辛くないとか、自分で味わい、考えるということもやりまし
ょう。


 幸いにして、最初のお客さんが来たときに、そのお客さんにうどんを渡し、
まず第一に発する言葉は、「きょうの味はいかがですか」ということだと思
うのです。


 自分はこれでいいと思ったけれども、通りがかりのお客に食べてもらう。


 そして、その人々をつかまえては、「きょうの昧はどうですか」ときく。


 自分はいいと思うけど、お客さんは、どういうふうに感じているだろうか
と、こういうことは当然きくべきことだと思います。それをきかない夜なき
うどんの主人公であれば、それは非常に自分の商売を無視している、蔑視し
ていると思うのです。


 ところが自分の商売に非常に熱心ならば、炊きたての汁の味、うどんの温
みというものが、どういうふうにできているか、自分はいいと思うが、お客
さんはどういうふうにこれを判定してくれるかを、ききたくなるだろうと思
うのであります。


 熱心であれば当然そうなるだろうと思います。


 そして、お客さんから「きょうの味はうまいよ」と言ってもらえることに
よって、非常に安心だ、それじゃこのとおりやったらいいということになる
でありましょう。


 そういうような努力の姿に、私は独立自営の花が咲くと思うのであります。


 すべての独立経営というものは、私は、そんなものだろうと思うのであり
ます。


 そういうことをしない経営者というものは、適格性を欠いていると申せま
しょう。


 適格性がない人はおのずと落伍します。


 真の独立経営者には、うどんの味をそういうふうにきくというくらいの熱
意が、当然起こってくると思うのであります。


 皆さんが松下電器の社員ということについて、

「これは自分の稼業なのだ」

「私は松下電器の社員稼業の主人公なのだ。これは私の家の事業であり、ま
 たこは、いわば自分個人の事業なのだ。そういう意昧での松下電器の社員
 だ」


 そういうふうな考えに徹せられたならば、皆さんの頭から何か生まれるか
というと、想像もできない偉大な力が生まれてくると思うのであります。


 このように、そういう小企業体が集合して、この松下電器という社会を構
成していくということになれば、私はこの松下電器という社会が、非常にす
ぐれたものとなり、ほかの社会にそのよさを移すことになろうかと思うので
す。


 ひいてはそれは日本全体の、大きな社会の発展に結びつくと思うのであり
ます。

 
 そういうような心境になったならば、仕事に伴う苦痛というものはなくな
るでしょうし、働く喜び、自分の稼業の繁栄していく姿の喜びに、時のたつ
のも知らない、ということになるだろうと思うのであります。


 そして、心のすみずみに喜びが行き渡るから疲れを知らないという状態に
なるだろうと思うのであります。

            『松下幸之助発言集』(全45巻)第23巻
             昭和38年(1963)1月10日
             松下電器 昭和38年度経営方針発表会(68歳時)
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