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「日本国民を作った教育」沖田行司 ミネルヴァ書房 2017年 /「加藤秀俊著作集3」中央公論社 1981年 ②【再掲載 2017.2】 [読書記録 教育]

今回は、沖田行司さんの
「日本国民を作った教育」を紹介します。


大変大雑把で部分的な要約ですが、
印象に残っている本です。


出版社の案内には、


「荒廃が叫ばれる日本の教育、その新たなすがたを見出すため、いまふり
 かえるこの国の学びの歴史。
 寺子屋・藩校・私塾といった江戸時代の学びの場に蓄積された教育遺産
 とは何か。
 明治維新ののちはじまった『国民教育』とともに、日本は何を手にいれ、
 何を失ったのか。
 そして敗戦後、占領下の教育政策をへて、いかにして現代の日本人が誕
 生したのか。
 学びのかたちの変遷に現代へのヒントをさぐる、温故知新の教育読本。」


とあります。



今回紹介分より強く印象に残った言葉は‥

・「教育が立身出世主義と結びつく度合いは、封建的な身分制社会が
  濃厚であった国ほど熾烈である。」


・「かくして、学問・教育のみならず、経済文化に至るまで、国家に
  よってオーソライズされたものに価値を見出すという思考パター
  ンが国民の間に広く浸透していくのである。」


・「国民教育のはじまりは京都町人の番組小学校」


・「山県有の言葉、『軍人勅語のようなものが教育にも必要』から生
 まれたのが『教育ニ関スル勅語』」




もう一つ、再掲載となりますが、
「加藤秀俊著作集3」を載せます。
今回紹介した2冊ですが、
どこかでつながっているような印象をもちました。






<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
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☆「日本国民を作った教育」沖田行司 ミネルヴァ書房 2017年

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◇現代の教育を考える

□戦後教育とは何であったか  
  
 立身出世と教育 - 教育に熾烈な競争の原理


 ◎ 教育が立身出世主義と結びつく度合いは、封建的な身分制社会が
  濃厚であった国ほど熾烈である。

   教育に熾烈な競争原理が導入されることになった日本の近代教育
  を一貫して支配してきたのは、この競争の原理である。

   こうした国家主導型の教育システムにおいて、立身出世とは個人
  と国家との距離を縮めていくことを意味したのである。

   かくして、学問・教育のみならず、経済文化に至るまで、国家に
  よってオーソライズされたものに価値を見出すという思考パターン
  が国民の間に広く浸透していくのである。

 
□江戸の「学びの形」 常識の力と教育

 
□横井小楠(1809~1869)

 肥後熊本藩 ~ 時習館で学んだ

 
□学びの共同体

 - 私塾

 
□江戸の教育論



◇日本人の近代教育の変容

□ 国民教育のはじまり

 京都町人の番組小学校

 立身出世主義と国民教育
 

□「教育勅語」をどう見るか

1890(明治23)「教育ニ関スル勅語」

 = 山県有朋  1882「軍人勅語」のようなものが教育にも必要




◇沖田行司(おきたいくじ)

同志社大学社会学部教育文化学科教授 博士

1979 同志社大学大学院文学研究家博士後期課程修了

1989~1996 ハワイ大学日本研究科客員教授

 2004~2013 中国人民大学客座教授







☆「加藤秀俊著作集3」中央公論社 1981年 ②【再掲載 2017.2】

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◇世相史研究序説

□文字にならない歴史
 記憶の保存 
   口承の伝承 → 文字の伝承

 「歴史」 = 記憶に対する恐るべき執念の集積

 ◎偏りがある - 社会の頂点に立つことのできた限られた人々

 ◎ 数十億の人間の殆どすべては,誰にも知られないまま,不快沈殿層
  をつくっている。その上に文字になった記録が薄い上澄み部分をつく
  ってのっかっている。

 ◎「歴史学」は上澄みをよりどころにして成立した学問
       ∥
   エリートの思想と行動の軌跡

 ※ しかし,それだけを歴史と考えるのは間違いではないか?

 ◎ 上澄みは上澄みで結構。しかし,少なくともそれと並んで熱い沈殿
  層にも目を向けなければならない



□正史と稗史
 ◎歴史学 …①社会の頂点に立つ人々=上澄みをよりどころにした学問

   ②政治性

      ③正史 政治史を以てその主流とすべき


 ◎民俗学 …① 沈殿した記憶の歴史に照明

      ② 常民が主人公 ~ 世相史



 ◎「正史家」
    物事を因果の網の目で説明する

網の目に乗らないものは偶発的・例外的
切り落とす = 植木屋の職人のごとき

 
 ◎稗史  
    因果律にも法則的にも別段興味を持たない = 自然観察家
行き当たりばったり 事実の寄せ集め



 ◎世相史 
    ぼさぼさした個別的事実の集合体
  小さな経験とその産物



□市井のジャーナリズム
 常民の変化
   ~ 自らの手で記録が可能に
新聞の誕生 ~ 日録(ジャーナル)

 ① 市井の記録家
  江戸期 
      西沢一鳳,喜多村信節,神沢卓幹,浜松歌国 - 随筆 

    菅江真澄,橘南渓             -旅行家

鈴木牧之 -雪国博物誌


   場期末・明治  服部誠一,菊池貴一郎,宮武外骨,石井研堂



 ② 常民の成長が早かった
   江戸・大阪・京都  寺子屋-普通教育

   武官優位 
     → 文官優位 
     → 浮浪・有閑知識人 = 自由なインテリ



 ③ 日本人の大多数は世俗的-即物的関心
   18世紀 ~ 今世紀 

    ◎稗史材料は優れている(他国に比べて)

    = 世相史は日本史しかつくれない



□世相史の確立に向かって

 歴史学徒としての世相史学,世相史方法論の確立
  ~ 記録保全
民具,常民の記録

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