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◎◎本日28日15時まで 「第11回 浜松ジオラマグランプリ」ザザシティ浜松で開催中◎◎「日本の人生行事  人の一生と通過儀礼」宮本常一 八坂書房 2016年 ①(前) /「地域住民から福祉・教育関係者等への無理難題要求をどう読み解き対応するか」~イチャモン研究の到達点~(講演の記録)  大阪大学教授 小野田正利 2008年 ⑥【再掲載】 [読書記録 民俗]

「第11回 浜松ジオラマグランプリ」が開催中です。
本月28日(日曜)15時まで、ザザシティ浜松(中区)西館2階特設会場
(浜松ジオラマファクトリーに隣接)で行われています。
閲覧は無料です。
お時間のある方はぜひ。
隣接する「浜松ジオラマファクトリ-」では、山田卓司さんの作品も見る
ことができます。(入館料 大人300円、中高生200円、小学生100円)



今回は、宮本常一さんの
「日本の人生行事 人の一生と通過儀礼」1回目(前半)の紹介です。




出版社の案内には、

「暦のなかに年中行事があるように、人の一生には人生行事がある。安産祈
 願・産湯などの出産儀礼、初宮参り、成人祝、結婚、還暦以降の長寿祝な
 ど古来から続く通過儀礼、そして元服や若者組、隠居制度などの失われつ
 つある習俗……。厄年や病気にまつわる民間療法・まじないをも加え、忘
 れられた日本人の一生を俯瞰する。 」

とあります。






今回紹介分より強く印象に残った言葉は‥

・「宮本民俗学とは、徹底したフィールドワークで得た民族的事実を整理し、
 比較研究したもの。日本人とは、日本文化とは何かを探究しており、膨
 大な調査記録と論考が特徴。」


・「村では一人が横車を通すと多数の者の努力が無に等しいことになる場
  合が多く、時には妥協せざるを得なくなる」
- 「空気を読む」ことに…


・「村の中に住んでおれば野垂れ死にすることはなかった」


・「子方10人以上持っている親方は、皆、申し合わせたように善良その
  もののような人たちであり、しかも、それぞれ識見をもっていた。
  ヤクザの世界にも、また政界にもそれが残っている。かつての相互
扶助の1つの手段として存在した組織が残る者の、努力温存の組織
として利用されるに至った 」




もう一つ、再掲載となりますが、小野田正利さんの講演
「地域住民から福祉・教育関係者等への無理難題要求をどう読み解き対応するか」
~イチャモン研究の到達点~⑥を載せます。
いつのまにか「モンスターペアレント」、「無理難題要求」等の言葉を
聞くことがなくなりました。
問題がなくなったというわけではなく、
それに驚かない時代になっているのかもしれません。



<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。







☆「日本の人生行事 人の一生と通過儀礼」宮本常一 八坂書房 2016年 ①(前)

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◇宮本常一
1907年 山口県周防大島生

 大阪府立天王寺師範学校専攻科地理学専攻卒 
   民俗学者

 日本観光文化研究所長 
   武蔵野美術大学教授 
   日本常民文化研究所理事

 1981年没 同年勲三等瑞宝章



◇まえがき  田村善次郎

宮本民俗学
  - 徹底したフィールドワークで得た民族的事実整理-比較研究

◎ 日本人とは、日本文化とは何かを探究
◎ 膨大な調査記録と論考


 アンソロジー 
   論文集ではない
産育・子供・青年(元服)・婚姻・年祝・隠居・病気・葬制

   「人の一生」

 「近代日本の人生行事」



◇日本人 - その人間模様 -講組・親方子方年功序列
 
 村の生態
日本人の非論理性や妥協性 = 農耕民族の荷
農耕村落の定住性 - 「全員賛成」が基本
◎ 村では一人が横車を通すと多数の者の努力が無に等しいことになる
   場合が多く、時には妥協せざるを得なくなる

  ◎ 気を遣う
      群れの中にいる一人がぐんぐん大きくなること
    (他部へ出て出世し金持ちとなった者は誇りとする)


 理想
  = 誇り 
   「この村はよいむらです。大きな金持ちもいないかわり、あまり貧乏
    な者もいない。」
(戦前)   「この村は仲のよい村です。、」                               |
  ◎ 自白的な構造を打ち破るには農業以外の職業を多くする以外に方法
   はなかった


 講組                                      
 2つの村 ①親方村   と  ②子方村                          (勢力が中核)    (どんぐり背比べ)                               ◎どんぐり村が農村の夢          

 どんぐり村では講が発達                               
念仏講・葬講・葬式組  10~20戸                        
◎ 村の中に住んでおれば野垂れ死にすることはなかった              
村八分(二分は葬式と火事)


 伊勢講                                       
普通年 30~40万人    
   おかげ参り-300万人超が伊勢へ

 頼母子(たのもし)
   生活に困った者が親しい者に助けを求める 
   10~20人仲間



◇親方子方

 元服  15~18歳    
     ・大人の髪 烏帽子                     
     ・大人の名前(戸籍導入以降無くなる)         

 カネで歯を黒く染める(カネ親)                           
 頼みがいのある人に親を頼む                          
 
 仲人親                                    

 仮親
 (実の親に力がなくても、よい仮親をとっておいてやりさえすれば、その
  子が食うに困るということは少なかった)                   
          |                                     ◎一代限り
         子は親に恩を報い義理を果たす必要があった
 
 ◎ 子方10人以上持っている親方は、皆、申し合わせたように善良その
  もののような人たちであり、しかも、それぞれ識見をもっていた。
   - ヤクザの世界にも
       |
     ◎ 政界にもそれが残っている

 ◎ かつての相互扶助の1つの手段として存在した組織が残る者の、努力
  温存の組織として利用されるに至った                                |                                     
いわゆる温情主義


 年功序列                                      
年齢階梯制度                                  

 生誕以降
   7日目 名付けの親
  30日目(50日目) 宮参り
  50日目 五十日の親
 100日目 百日の親


 尊ばれた
  ◎ 子供仲間・若者組・オヤジ仲間・隠居・大じい 
    カカ仲間  (50歳くらい)
                










☆「地域住民から福祉・教育関係者等への無理難題要求をどう読み解き対応するか」~イチャモン研究の到達点~(講演の記録)  大阪大学教授 小野田正利 2008年 ⑥【再掲載】

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(6)振り上げた拳ではなくその源を見る

 こういったロールプレイによる自身の言動や応対の仕方の振り返りは、意
外に効果をもたらしています。


 教師に限らず、人は一般的に自分のポジション(立場)を基準にしてモノ
ゴトを考える傾向か強いです。


 それは決して悪いことではありませんが、他者との交渉や話し合いの場面
では、それが強く出すぎると不必要な摩擦を引き起こしてしまうことが往々
にしてあります。


 同じ状況でも、人はまるっきりモノの見方や捉え方(認知)は違い、誰も
が一定のくせ(認知のゆがみ)をもっています。


 ロールプレイを通してそれに気づくという意味があるのです。
  

 先のアルバムのことでみれば、親にとってみれば我が子が一番で、かわい
いに決まっています。


 アルバムを作り直させることは出来ないと分かってはいても、言葉として
は先鋭化する場合があります。


 他方で学校側はうろたえるか、一方的に謝罪の言葉だけを繰り返すか(こ
れで親は「で、結局どうするんだ」と更に腹を立てるごとになります)、そ
んなこと今更言われてもと、木で鼻をくくったような態度を見せる場合もあ
ります。


   
 振り上げられた拳(言葉としての要求)ばかり見ていては、本質(ホンネ)
を見誤るおそれがありますし、実際、アルバムを作り直した(金銭的面での
問題ではなく)結果、「どこの誰が作り直しの差し金を入れたのか」が問題
となり、学校ではなく、要求をした親が窮地に陥ることもあります。


 親の要求は、オモテに見えるものがすべてではありません。


 拳の源がどこにあるかをたどることも必要なわけです。
  


 もう一つの効果は、教職員の間に連帯的な気持ちが生まれるということで
す。


 ベテラン教員が、若い教員に

「あそこはこう返答したらいいぞ」

と反省会でアドバイスをし始めるのです。


 もちろん私が「共同性の発揮」を大事にすること、学校の会議室(親との
面談)で何か起きているか「見殺しにするな!」と言っていることもありま
すが、それが自然と出てくるようになります。
  

 奇妙キテレツな私の講演を組み合わせていることも関係しますが、ロール
プレイを通して、それぞれの立場が分かり始めます。


 もちろん、ワークショップは一時的な効果しかもたらさないものです。


 仮定としてだから出来るわけであって、実際の場面では縮み上がってしま
うことは当然あるわけです。


 それでもこのロ-ルプレイの意義は、慌てずに、親の“要求”をいったん
は受け止める(受け入れることとは違います)気持ちや姿勢を培う上で一定
の有効性を持っていると確信しています。
  

 ただ付言すれば、それでもなんともならないケースも、稀にはあります。


 極めて難しい背景を抱えていたり、不当や違法な要求としか思われない言
動を繰り返したりする場合もあります。


 こういった場合は、距離を置いだり向き合う角度を変えたりするなどの別
の対応の仕方が必要になりますが、それは別の機会に譲らざるをえません。

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