「梅原猛の授業 道徳」梅原猛 朝日新聞社 2003年 ① /「さまよう少年たち」② 竹下玄恭 社団法人大阪少年補導協会・専務理事 『月刊少年育成』2010年6月号より【再掲載 2012.12】 [読書記録 教育]
今回は、梅原猛さんの
「梅原猛の授業 道徳」1回目の紹介です。
わかりづらい要約となってしまいました。
出版社の著者紹介には
「大ベストセラー『梅原猛の授業 仏教』につづくシリーズ第二作で、哲学者
は、道徳をテーマに選びました。前巻と同じく、京都の洛南中学での授業
をもとにまとめた、難しいことをわかりやすく解説する絶好の入門書。
中学生、高校生はもちろん、その親たちまで、だれが読んでも大丈夫。現
代の日本人にとって、何が大切なのか、何を中心に生きていくべきなのか。
生半可な知識をもとにした凡百の生き方書とは異なる、深い学識と洞察に
もとづく必読書。」
とあります。
今回紹介分より強く印象に残った言葉は…
・「日本近代化の成功の理由は、
[江戸時代の教育水準の高さ] + [道徳水準の高さ]」
・「君が代・日の丸教育が道徳ではない。人間が立派な道徳心を供え、国が立
派であるならば、必ず国を愛する人が生まれる」
・「神仏分離により天皇家から仏教の教養と知恵が奪われ、天皇が孤立した」
・「神仏分離により、天皇を神とする新しい宗教が生まれた。神道というより
も天皇教。日本は近代化するために仏教を否定し、神道も一番大切なとこ
ろをなくしてしまった。 その結果、『教育ニ関スル勅語』が生まれること
となった」
もう一つ、再掲載になりますが、『月刊少年育成』誌より、竹下玄恭さんの
「さまよう少年たち」②を載せません。
さまよわせないためには、親、保護者の姿勢が大切だと教えてくれます。
<浜松のオリーブ園>
浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト
〈ふじのくに魅力ある個店〉
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>
ものづくりのまちとも言われる浜松。
山田卓司さんのすばらしい作品を
ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。
☆「梅原猛の授業 道徳」梅原猛 朝日新聞社 2003年 ①
◇第一限 いま日本の道徳はどうなっているか
□日本人全体の道徳心がマヒしている
□江戸時代の教育は宗教に基づいていた
武士 儒教 前6、5世紀 孔子・孟子
朱熹のこしらえた学問中心
- 朱子学
塾 儒教の塾から始まった
儒教 ひとことで言えば仁(思いやり)
塾 まず孔子・孟子の教えを教える
→ 次に実用的学問 + 武術 = エリートの教育
寺子屋 まず仏教 基本は自利利他(自分を利益し、他人も利する)
そして読み・書き・算盤
◎日本近代化の成功の理由は
[江戸時代の教育水準の高さ] + [道徳水準の高さ]
□明治以後も残った江戸の道徳の遺産
思想家
新渡戸稲造 農業経済学者・教育家 武士道 儒教
内村鑑三 キリスト教の上に(その裏に儒教)
□君が代・日の丸教育が道徳ではない
人間が立派な道徳心を供え、国が立派であるならば、必ず国を愛する
人が生まれる
◇第二限 明治以後の道徳教育はどうなったか
□尊皇思想 ← 水戸学、国学
□神仏分離で国宝級の仏像が焼かれた
水戸光圀は仏教嫌い
国学 真淵・宣長、平田 - 排仏
↓
◎ 廃仏毀釈と神仏分離
空海、最澄のころから神さまと仏さま仲良く
興福寺-春日大社
門跡寺院の皇子たちが還俗して軍人に
明治以降天皇は仏教徒であることをやめさせられた
↓
◎天皇孤立 - 天皇家から仏教の教養と知恵が奪われた
□天皇を神とする新しい宗教が生まれた
神道 → 天皇教
日本は近代化するために仏教を否定した
神道も一番大切なところをなくしてしまった
↓
◎ その結果「教育ニ関スル勅語」
□伝統思想が継承されていない教育勅語
1890年
民主主義に制約 永田永孚(ながたね)水戸学者がつくった
「忠」の思想を中心にする儒教
日本国の中心が必要-対内対外の理由により天皇神に
教育勅語は批判を許さない
自由な思惟、自由な思想が妨げられる
伝統思想軽視
|
◎ 明治以降庶民の宗教である仏教が公から排除
□日本国憲法を裏付ける道徳が必要
靖国神社
~ 自分の国の人たちだけを祀るのは神道ではない
|
◎仏教が公教育から追い出された
仏教系の学校
・ 西本願寺派 - 平安高校
・ 東本願寺派 - 大谷高校
・ 浄土真宗知恩院派 - 東山高校
・ 禅宗 - 花園高校
◎ 日本国憲法には裏付ける道徳を持たない
◇第三限 道徳の根源をどこに求めるか
□動物の母子の愛情は利他の心
◎ 利他の心が道徳の根源
サルから受け継いだ肉親殺しの遺伝子
孟子 道徳の根源は惻隠の情にある
今西錦司 棲み分け理論 → サル学
◎ ボス交代の前のボスの子殺し
「殺人はサルから受け継いだ遺伝子のなせるワザ?」河合雅雄
□道徳がなければ人間は自利の塊
人間の欲望は動物の欲望より遙かに強い
|
直立
① 大脳が大きくなる
② 手が自由になる
↓
◎ それとともに人間の欲望が強く複雑になった
・性欲 発情期がない
・所有欲 蓄える欲望
・名誉欲
・征服欲 ニーチェ ルサンチマン 恨み復讐
◎ 道徳の根源は親の思う心、特に母の子を思う心にある
- そこから始める
☆「さまよう少年たち」② 竹下玄恭 社団法人大阪少年補導協会・専務理事 『月刊少年育成』2010年6月号より【再掲載 2012.12】
◇一家団欒
「亭主、元気で留守がいい」
ひところ、こんなフレーズが流行した。妻の立場からすれば、「その通り、
大賛成」という声が聞えてきそうだが、子供の立場からすると、必ずしも
「元気で留守がいい」とはいかないようだ。
というのも、こんなことがあったからだ。
2年前のある日。大阪市内の少年サポートセンターに、小学校5年生の子供
のことで悩むひとりの父親が相談に訪れたが、このケースでは父親の存在の意
味するところが大きかった。
息子のA君は学校の成績が急激に下がり、自宅から現金を持ち出すようにな
り、その額も次第に大きくなった。
親が自治会費として集めた数万円の現金を封筒から抜き取り、ゲーム代に使
ったり、友達におごったりすることもあった。
ついには、ファミコンのソフトを万引して、店員に取り押さえられたという。
A君の父親は39歳で、大阪市内で建築資材の販売店を営んでいる。
普段は仕事や取引先の接待などに追われ、家族そろって夕食を食べることは
まれ。
休日は休日で、朝から閉店時間までパチンコ。A君と顔を合わせて話をする
ことなど、めったになかった。
だから、A君が問題を起こしても、父親は不在の状態で、後始末はすべて母
親がしなければならなかった。
夜遅く帰宅した父親が、母親から報告を受けA君をしかりつけるという日々
が続き、A君にとって父親は、怒られるだけの「怖い存在」たった。
こうした家庭の状況に悩んだすえ、母親は少年サポートセンターに足を運ん
だが、相談を受けたセンター員は、家庭における父親の存在は大きいとして、
「一家だんらんが大切」とアドバイスした。
一方、A君の問題行動が深刻化するのに伴い、父親の態度に変化が起きた。
A君のことが心配になった父親は、A君が万引した店に謝罪に行ったり、A
君を探しに近くの商店街にあるゲームセンターを一軒一軒訪ね歩くようになっ
た。
センター員のアドバイスを受けて早く帰宅する機会が増えた。
1か月後、A君の母親から、電話がかかってきた。
「お金の持ち出しがなくなり、ゲームセンターヘも以前ほど行かなくなりまし
た。夫も努力して、子供と出来るだけかかわりを持つようにしています」
「子供は親の後姿を見て育つ」という。
子供にとって親というのは、社会のさまざまなことを教えてくれる最も身近
で、大切な大人のはず。
以前より早く帰宅するようになった父親の後ろ姿が、A君には少しずつだが、
はっきりと見え始めているのではないだろうか。
(平成10年6月16日発行「夕刊フジ」より)
「梅原猛の授業 道徳」1回目の紹介です。
わかりづらい要約となってしまいました。
出版社の著者紹介には
「大ベストセラー『梅原猛の授業 仏教』につづくシリーズ第二作で、哲学者
は、道徳をテーマに選びました。前巻と同じく、京都の洛南中学での授業
をもとにまとめた、難しいことをわかりやすく解説する絶好の入門書。
中学生、高校生はもちろん、その親たちまで、だれが読んでも大丈夫。現
代の日本人にとって、何が大切なのか、何を中心に生きていくべきなのか。
生半可な知識をもとにした凡百の生き方書とは異なる、深い学識と洞察に
もとづく必読書。」
とあります。
今回紹介分より強く印象に残った言葉は…
・「日本近代化の成功の理由は、
[江戸時代の教育水準の高さ] + [道徳水準の高さ]」
・「君が代・日の丸教育が道徳ではない。人間が立派な道徳心を供え、国が立
派であるならば、必ず国を愛する人が生まれる」
・「神仏分離により天皇家から仏教の教養と知恵が奪われ、天皇が孤立した」
・「神仏分離により、天皇を神とする新しい宗教が生まれた。神道というより
も天皇教。日本は近代化するために仏教を否定し、神道も一番大切なとこ
ろをなくしてしまった。 その結果、『教育ニ関スル勅語』が生まれること
となった」
もう一つ、再掲載になりますが、『月刊少年育成』誌より、竹下玄恭さんの
「さまよう少年たち」②を載せません。
さまよわせないためには、親、保護者の姿勢が大切だと教えてくれます。
<浜松のオリーブ園>
浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト
〈ふじのくに魅力ある個店〉
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>
ものづくりのまちとも言われる浜松。
山田卓司さんのすばらしい作品を
ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。
☆「梅原猛の授業 道徳」梅原猛 朝日新聞社 2003年 ①
◇第一限 いま日本の道徳はどうなっているか
□日本人全体の道徳心がマヒしている
□江戸時代の教育は宗教に基づいていた
武士 儒教 前6、5世紀 孔子・孟子
朱熹のこしらえた学問中心
- 朱子学
塾 儒教の塾から始まった
儒教 ひとことで言えば仁(思いやり)
塾 まず孔子・孟子の教えを教える
→ 次に実用的学問 + 武術 = エリートの教育
寺子屋 まず仏教 基本は自利利他(自分を利益し、他人も利する)
そして読み・書き・算盤
◎日本近代化の成功の理由は
[江戸時代の教育水準の高さ] + [道徳水準の高さ]
□明治以後も残った江戸の道徳の遺産
思想家
新渡戸稲造 農業経済学者・教育家 武士道 儒教
内村鑑三 キリスト教の上に(その裏に儒教)
□君が代・日の丸教育が道徳ではない
人間が立派な道徳心を供え、国が立派であるならば、必ず国を愛する
人が生まれる
◇第二限 明治以後の道徳教育はどうなったか
□尊皇思想 ← 水戸学、国学
□神仏分離で国宝級の仏像が焼かれた
水戸光圀は仏教嫌い
国学 真淵・宣長、平田 - 排仏
↓
◎ 廃仏毀釈と神仏分離
空海、最澄のころから神さまと仏さま仲良く
興福寺-春日大社
門跡寺院の皇子たちが還俗して軍人に
明治以降天皇は仏教徒であることをやめさせられた
↓
◎天皇孤立 - 天皇家から仏教の教養と知恵が奪われた
□天皇を神とする新しい宗教が生まれた
神道 → 天皇教
日本は近代化するために仏教を否定した
神道も一番大切なところをなくしてしまった
↓
◎ その結果「教育ニ関スル勅語」
□伝統思想が継承されていない教育勅語
1890年
民主主義に制約 永田永孚(ながたね)水戸学者がつくった
「忠」の思想を中心にする儒教
日本国の中心が必要-対内対外の理由により天皇神に
教育勅語は批判を許さない
自由な思惟、自由な思想が妨げられる
伝統思想軽視
|
◎ 明治以降庶民の宗教である仏教が公から排除
□日本国憲法を裏付ける道徳が必要
靖国神社
~ 自分の国の人たちだけを祀るのは神道ではない
|
◎仏教が公教育から追い出された
仏教系の学校
・ 西本願寺派 - 平安高校
・ 東本願寺派 - 大谷高校
・ 浄土真宗知恩院派 - 東山高校
・ 禅宗 - 花園高校
◎ 日本国憲法には裏付ける道徳を持たない
◇第三限 道徳の根源をどこに求めるか
□動物の母子の愛情は利他の心
◎ 利他の心が道徳の根源
サルから受け継いだ肉親殺しの遺伝子
孟子 道徳の根源は惻隠の情にある
今西錦司 棲み分け理論 → サル学
◎ ボス交代の前のボスの子殺し
「殺人はサルから受け継いだ遺伝子のなせるワザ?」河合雅雄
□道徳がなければ人間は自利の塊
人間の欲望は動物の欲望より遙かに強い
|
直立
① 大脳が大きくなる
② 手が自由になる
↓
◎ それとともに人間の欲望が強く複雑になった
・性欲 発情期がない
・所有欲 蓄える欲望
・名誉欲
・征服欲 ニーチェ ルサンチマン 恨み復讐
◎ 道徳の根源は親の思う心、特に母の子を思う心にある
- そこから始める
☆「さまよう少年たち」② 竹下玄恭 社団法人大阪少年補導協会・専務理事 『月刊少年育成』2010年6月号より【再掲載 2012.12】
◇一家団欒
「亭主、元気で留守がいい」
ひところ、こんなフレーズが流行した。妻の立場からすれば、「その通り、
大賛成」という声が聞えてきそうだが、子供の立場からすると、必ずしも
「元気で留守がいい」とはいかないようだ。
というのも、こんなことがあったからだ。
2年前のある日。大阪市内の少年サポートセンターに、小学校5年生の子供
のことで悩むひとりの父親が相談に訪れたが、このケースでは父親の存在の意
味するところが大きかった。
息子のA君は学校の成績が急激に下がり、自宅から現金を持ち出すようにな
り、その額も次第に大きくなった。
親が自治会費として集めた数万円の現金を封筒から抜き取り、ゲーム代に使
ったり、友達におごったりすることもあった。
ついには、ファミコンのソフトを万引して、店員に取り押さえられたという。
A君の父親は39歳で、大阪市内で建築資材の販売店を営んでいる。
普段は仕事や取引先の接待などに追われ、家族そろって夕食を食べることは
まれ。
休日は休日で、朝から閉店時間までパチンコ。A君と顔を合わせて話をする
ことなど、めったになかった。
だから、A君が問題を起こしても、父親は不在の状態で、後始末はすべて母
親がしなければならなかった。
夜遅く帰宅した父親が、母親から報告を受けA君をしかりつけるという日々
が続き、A君にとって父親は、怒られるだけの「怖い存在」たった。
こうした家庭の状況に悩んだすえ、母親は少年サポートセンターに足を運ん
だが、相談を受けたセンター員は、家庭における父親の存在は大きいとして、
「一家だんらんが大切」とアドバイスした。
一方、A君の問題行動が深刻化するのに伴い、父親の態度に変化が起きた。
A君のことが心配になった父親は、A君が万引した店に謝罪に行ったり、A
君を探しに近くの商店街にあるゲームセンターを一軒一軒訪ね歩くようになっ
た。
センター員のアドバイスを受けて早く帰宅する機会が増えた。
1か月後、A君の母親から、電話がかかってきた。
「お金の持ち出しがなくなり、ゲームセンターヘも以前ほど行かなくなりまし
た。夫も努力して、子供と出来るだけかかわりを持つようにしています」
「子供は親の後姿を見て育つ」という。
子供にとって親というのは、社会のさまざまなことを教えてくれる最も身近
で、大切な大人のはず。
以前より早く帰宅するようになった父親の後ろ姿が、A君には少しずつだが、
はっきりと見え始めているのではないだろうか。
(平成10年6月16日発行「夕刊フジ」より)