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キーワード 読書について⑲ /「地域生活社会の意義」(宮本常一『見聞巷談』八坂書房 2013年より⑧ 最終)【再掲載 2014.3】 [読書記録 教育]

第10回ハイスクール国際ジオラマグランプリ(HiD2023)
の開催が近づいてきました。
浜松駅近くのザザシティ浜松西館1F 特設会場で、
今月の24日(金)・25日(土)・26日(日)に開催されます。
24日(金)25日(土)は、12:00~20:00、最終日26日(日)は、10:00~16:00です。

主催者の案内は次の通りです。

「子どもたちへの『ものづくり』伝承を目的に浜松ジオラマファクトリーを運
 営するNPO法人はままつ未来会議(理事長 内山淳平)が主催するコンテス
 ト。全国の高校生が部活動などを通じてチームで作り上げたジオラマ(情景
 模型)作品の展示と作品に関わる情熱をプレゼンで競い合いプロ審査員と会
 場来場者の投票でグランプリが決まる国内最大規模の大会。今大会は一次予
 選を通過した19校28チームが出場する。」


楽しむことができると思います。
お時間があればぜひ!
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今回は、3月17日に続いて、わたしの教育ノートから、
キーワード「読書について」の紹介 19回目です。



明治書院教科書編集部による
『自分の著作について語る21人の大家』(上) の紹介と、

深澤五郎さんの
「子供を本好きにするブックリスト」1回目の紹介です。
ほかの記録です。



出版社の案内には、順に


「教科書にも登場する21人の著名な原作者が、自分の著作について語る。対
 談から作者の意図・背景・日常生活等も窺える。本巻は小川国夫・北杜夫・
 堀辰雄等の10作家。」


「前半は理論編として教室ですぐに使える・すぐに役立つブックリスト、ブッ
クリストの有効な使い方について述べ、後半は、学年別基本的推薦図書、授
業別ブックリストを掲載。」


とあります。





今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「細かく観察し太い線・主要な線で書く」


・「小説にはユーモアがないといけない」


・「方言は日本語を太らせる」


・「忙しいときこそ読み聞かせを実行すると教師も子供も心が落ち着く」



もう一つ、再掲載になりますが、宮本常一さんの
「地域社会の意義」(『見聞巷談』⑧)を載せます。
わたしが子どもの頃を思い出しました。
自治会の活動を手伝うにつれ、
地域に関わろうとする住民の意識の違いを強く感じるようになりました。





<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。








☆キーワード 読書について⑲

◇「自分の著作について語る21人の大家」明治書院 上 1997年
 
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□物と心 小川国夫
文学生産の場 藤枝
 
  細かく観察し太い線・主要な線で書く
 

□少年  北杜夫
人間は心の優しいのがいちばん

  「魔の山」を読んでほしい
 

□石段  三浦哲郎
「拳銃と十五の短編」
偶然の不思議

  日本語の文章の上質 
    平明で簡潔で正確
難解で晦渋な文を書くことは簡単
  |
◎ 小説にはユーモアがないといけない
「上質なユーモア」

  生と死がないまぜになっている
 

□彦一ばなし 木下順一
民話劇 
    親しみやすくほほえましい
  彦一(八代)吉四六(大分)
◎ 方言は日本語を太らせる




◇「子供を本好きにするブックリスト」深澤五郎 明治図書 1991年 (1)
 
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□読み聞かせ 
  ◎ 読み聞かせの基本は継続
読み終えた本を子供たちに学級文庫として貸し与える

「忙しいときこそ読み聞かせを実行すると教師も子供も心が落ち着く」
 

□素話と読み聞かせ法
①お話(語り)= ストーリーテリング ~ 非日常性
・話はすべて暗記
・聞き手を見ながら物語る
     ・語り手を独特の能力のある人と見る

  ②読み聞かせ = ブックトーク ~ 提示の仕方
・本を持っての朗読
・絵本は絵を見せながら
・何人かで読むことも
 


□基本的推薦図書
  1年生 
    いえでぼうや         灰谷健次郎   理論社

   はれときどきぶた       矢玉四郎    岩崎書店

  むしばミュータンスのぼうけん かこさとし   童心社

  あいうえおうさま       寺村輝夫    理論社

    どろんこハリー        ジオン     福音館書店 


  2年生 
    エルマーのぼうけん      ガネット    福音館書店 

   ちいさいモモちゃん      松谷みよ子   講談社

 いやいやえん         中川李枝子   福音館書店

 大きい1年生と小さい2年生  古田足日    偕成社

    ひろしまのピカ        丸木俊     小峰書店


  3年生
    先生のつうしんぼ       宮川ひろ    偕成社

 ブゥー等あげます       灰谷健次郎   理論社
    
    花さき山           斉藤隆介    岩崎書店

  ミス3年2組のたんじょう会  大石真     偕成社

    はせがわくんきらいや     長谷川集平   すばる書房
  

  4年生 
    長くつ下のピッピ       リンドグレーン 岩波書店

 車の色は空の色        あまんきみこ  ポプラ社

    小さな青い馬         今江祥智    ポプラ社

    瀬戸内海のカブトガニ     土屋圭示    学習研究社

 猫は生きている        早乙女勝元   理論社
  

  5年生
    宿題ひきうけ株式会社     古田足日    理論社
  
    青い目のバンチョウ      山中恒     偕成社 

 だれも知らない小さな国    佐藤さとる   講談社

 兎の目            灰谷健次郎   理論社

 ガラスのうさぎ        高木敏子    金の星社


6年生
    二死満塁ツーダンフリーベース 砂田弘     偕成社

 ぼくがぼくであること     山中恒     実業の日本社

 やったぞ僕らの卒業論文    南晋三     ポプラ社

 はだしのゲン         中沢啓治原作  汐文社

 アンネの日記         アンネ・フランク文芸春秋社
 






☆「地域生活社会の意義」(宮本常一『見聞巷談』八坂書房 2013年より⑧ 最終)【再掲載 2014.3】

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 この10年ほどの間に古い農村の大半が解体してしまって、村落共同体の姿
をとどめているものは何はどもなくなった。


 たとえばユイとよばれる労働交換のおこなわれているところがどれほどの
こっているであろうか。


 共有山が地元の人たちの生活の支えになっているところがどれほどあるだろ
うか。


 台風などの災害のあと、すぐ村人が出て復旧のために共同して、働いている
ところがどれほどあるだろうか。



 村落共同体の解体は村人の職業分化からはじまっていった。


 昔は村と農村が同義語であった。


 村に住む者の大半が農民であった。


 しかしいま、村に仕む者の職業は分化し、一戸一戸の収入を見ると農業収入
よりも農外収入の多くなっている家が大半である。


 村人たちは農業によって生活をたてているものはきわめて少なくなっている。


 にもかかわらず、その人たちも第二種兼業として農民の中にくり入れて規定
しているのが今日の農村である。


 第二種兼業は農業をいとなんでいるといっても農民とは言えないはずである。


 それは他の職業についても言えることで収入のもっとも多いのが生業となっ
ており、それ以外は余業としてほとんど統計のうちにのぼってこない。


 そしてそういう社会では一つの地域に住んでいるということで地域共同体的
な意味を持つけれども、生産および生活共同体としての機能はほとんど果たさ
なくなっている。


 それは「個人は自由である」ということばと裏腹をなしていて、むしろ隣に
他人が住んでいるということを迷惑であるという考え方を持っている。


 都会では2階建ての家の2階は後の家に対して眼かくしの装置をしているも
のが多い。


 覗見にならないようにとの配慮からであるが、最近きいた話では前の家が二
階をのせたので、後の家が、

「眼かくしをしてくれ」

と言ったら、

「私の家は眼かくししない方がいい。見られるのがイヤなら自分で勝手に遮蔽
したらよいだろう」

と言われたという。


 そしてそういう風潮が次第に一般的なものになりつつある。
 カーテンの発達はそれを物語るものであろう、


 しかし人間の仕合せは家庭の中だけで守れるものではない。


 むしろ外に健全な社会があることによって守られるものである。


 自分および自分の家をとりまく環境のゆたかさが、自分の家をゆたかにする。


 たとえそこに住む人たちの職業がまちまちであるとしても同一の地域に住む
ということによって生活上の利害あるいは秩序の一致することは多い。


 そしてそれらを守ろうとすることによって地域社会の連帯意識は強められて
くる。


 都市に於ける地域社会の連帯意識は今日では公害排除のような運動を通じて
強まりつつあるが、それはさらにその地域社会をより住みやすくするための積
極的な運動にまで高められるべきものでなければならぬと思う。


 個人が個人の生活だけを守ろうとするとき、多くの場合その環境は荒廃して
ゆくものである。


 その荒廃を防ぐためには、まず地域社会の持っているもろもろの問題をあば
き出して考えて見なければならぬ。


 大人同志が話しあえる場、子供の遊び場、子供たらの仲間遊びのできる雰囲
気、地域社会をよりよくしていくことのできる可能性の開発、隣接地域社会と
の交流、あるいは年令・性別・職業別による連携交流など、問題はきわめて多
いはずである。


 そしてしかもそういうことについてお互いが考えてみなければならないほど、
人間の持つ自由時間がふえ、生産のための拘束時間が減少しつつある。


 自由時間をどのようにすごしていくかということが、これからの大きな課題
になってゆくはずで、それには自由時間をすごす場を自分の居住他のきわめて
近いところに持つ工夫からはじめなければならない。


 生活の場としての地域社会の健全な開発が、これから大きく問題になってく
るであろう。

          (「住民活動」№1、新生活運動協会、昭和47年12月)

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