「にほん語観察ノート」井上ひさし 中央公論新社 2004年 ③ /「まじめの崩壊」 千石保 サイマル出版社 1992年 ④【再掲載 2013.7】 [読書記録 一般]
今回は、5月20日に続いて、井上ひさしさんの
「にほん語観察ノート」の紹介3回目です。
出版社の紹介には
「人生の難局を切り抜け、難問を乗り越える。その力が『ことば』である。新
聞投書から首相の答弁まで、著者が感銘を受けた言葉や迷言を幅広く取り上
げる。『読売新聞』日曜版連載を単行本化。」
「ふだんの言葉の中に隠れている日本語のひみつとは?『言葉の貯金がなによ
り楽しみ』という筆者のとっておき。持ち出し厳禁、言葉の見本帳。」
とあります。
井上ひさしさんが、言葉とは文化だとわかりやすく教えてくれます。
今回紹介分から強く印象に残った言葉は…
・「チャーチルは仏語、独語、伊語を分かっていたのに国際会議では必ず通訳
を通した。」
「わたしは英国の利益を代表している。それなのに例えばフランス語を知っ
ているからといってフランス語で話し始めると、とたんに自分の脳が偽フ
ランス人のようになり、フランスの政治文化や価値観に自分を合わせてし
まう。英国の利益を主張するときは、やはり英語で考え、英語で言い、
通訳に逐語訳をしてもらうしかない」
・「日本語ではが<姓-名>、英語では<名-姓>となるのは、日本人はズー
ムイン思考(大から小へ視点を移動)、英語圏はズームアウト思考であるこ
とと関連する。」
「英文の中でも日本人は自分たちの世界認識の基本的な枠組みを変えてはい
けないのはないか。『いや、世界は多用ですよ』と釘を刺すためにも、
<姓-名>の順で書くべきではないか。」
もう一つ、再掲載になりますが、千石保さんの
「まじめの崩壊」④を載せます。
まじめも1つの文化と言えるのかと思いました。
<浜松のオリーブ園>
浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト
〈ふじのくに魅力ある個店〉
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>
ものづくりのまちとも言われる浜松。
山田卓司さんのすばらしい作品を
ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。
☆「にほん語観察ノート」井上ひさし 中央公論新社 2004年 ③
<意言語習得トレ> 1
◇英語公用語化論に
チャーチル
◎ フランス語、ドイツ語、イタリア語分かっていたのに国際会議で
は必ず通訳
「わたしは英国の利益を代表している。それなのに例えばフランス語
を知っているからといってフランス語で話し始めると、とたんに自
分の脳が偽フランス人のようになり、フランスの政治文化や価値観
に自分を合わせてしまう。英国の利益を主張するときは、やはり英
語で考え、英語で言い、通訳に逐語訳をしてもらうしかない」
|
「一つの言語は一つの世界観である」
「言葉は伝達の道具であるが、それ以前にその言葉を使う人たちの文
化そのものである」
○rice 籾、稲、米、ご飯、ライス
○牛は逆
→ ◎日本語が日本人の性格や日本の文化をつくっている
◇TOEFUL試験
TOEFUL 677点満点
「日本人はもっと英語を勉強しなければならない」
ブームは危険
◇姓が先か名が先か
日本人 <姓-名>
英語 <名-姓>
◎ 日本人はズームイン思考(大から小へ視点を移動)
↑↓
◎ 英語圏はズームアウト思考
短歌の名句にズームイン思考によるものが多い
石川啄木
「東海の小島の磯の白砂に 我泣き濡れて かにとたはむる」
地方-島-磯-砂
佐佐木信綱
「ゆく秋の大和の国の薬師寺の 塔の上なる ひとひらの雲」
国-寺-塔-九輪
|
◎ 英文の中でも日本人は自分たちの世界認識の基本的な枠組みを変えて
はいけないのはないか。
「いや、世界は多用ですよ」と釘を刺すためにも<姓-名>の順で書く
べきではないか。
姓を大文字で書くことも (例)NAGASHIMA sigeo
◇訳語の不統一
オーストラリア「複合国家」を目指している
― 40か国からの移民受け容れ
→ 公衆電話の前の文字板(30~40)
移民がボランティアで詰めていて相談話を受ける
☆「まじめの崩壊」 千石保 サイマル出版社 1992年 ④【再掲載 2013.7】
<遊んで暮らすための仕事>
◇変わる労働観
□ビル・エモット
「日本は斜陽の国になっていく」
□何のために働くのか
①「金より休日」志向
②自分の仕事に「限定意識」
率先垂範が嫌味になってしまった
= 「仕事からの逃走」
若者たちの人気業種は「調査研究」である
= 自由な労働と遊び心の満足が見られる
◎遊戯性をエーテルとした自由な活動こそ理想たりつつある(今村仁司)
□仕事か仕事以外の生活か
鈴木正三
「労働は仏行であり修行の一つ」
M.ウェバー
「尊厳視される倫理的行動」
◇仕事倫理の崩壊
「食うために働く」意識の欠如
「日はまた沈む」
タテマエの崩壊と目標喪失
勤勉の次に来る価値観
◇記号になった仕事
機能主義の後退
機能地位は人間でなく機械が取って代わる
1980円の時計も10万円の時計も時間を知らせる点では差がなくなった
「差異性」
× 機能,正確さ
→ 外見,表現,装飾
=勤勉の崩壊
商品の持つ記号的価値 アイデア
外観で仕事を選ぶ若者
一芸主義が成功を生む時代
◇転職ブームを生む心理
カタカナ・横書き職業
「リワード」から「パフォーマンス」へ
◎金と時間が二大条件
フリーターは奴隷労働者
「賃金労働」-悲しい妥協
プロテスタントの「時は金なり」
「いちおう」の日雇いタイプ
日本の大学生
- 相対観のぬるま湯
葛藤,妥協そして転職
<若者文化と学校文化>
◇失墜した親の権威
□理念,目標がなくなった
→ 「巨人の星」以降マンガで父親が出なくなった
□「父親不在」は愛情の問題か
父親の役割
「子供を社会集団の成員としての責任感を内面化させることにある」
◎ 父親は文化の伝承者であった。必需品を与えるだけの存在ではな
い。しかし,豊かな社会となり勤倹貯蓄という伝承すべき文化の内
容は失われてしまった。
◎ かつての星一徹
「根性,我慢,努力,精神,犠牲 ~ 倫理観」を教え込んだ。
しつけ不足が問題だ!
□「社会化」できない子供たち
アラン・ブルーム(シカゴ大学)
「相手に対する異議の申し立て討論,対話,それが本当の民主主義
だ。君の教えはそうかで終わってはならない。」
◎ 父親不在は「叱る」不在であり,「禁止・命令」の不在と考えるべ
きでないか
◎ 第二反抗期の喪失は親の命令の喪失からきている
□倫理が欠けた学歴社会
命令の喪失は反抗期の喪失を生んだ
◎日本の大人は命令を忘れた
→ 反抗期を失い罪悪感のない子
想像力を欠く子に
□軽視される親の権威
「親の意見と茄子の花は千に一つの無駄はなし」
◇道徳を死守せよ
荒れる学校を生んだもの
権威喪失した学校の先生
自信を持って言える道徳の内容がない
◎ 日本の社会でまじめ・勤勉・努力など古い価値を守ろうとしてい
るのが唯一、学校。
◎「まじめ」を失ってはならない
◇ポストモダニズムと学校
荒れる学校
= 「メタゆらぎ」現象
構造主義に欠けているもの
「一杯のかけそば」
筒井康隆のポスト構造主義
カオスを前にした「自省作用」
「にほん語観察ノート」の紹介3回目です。
出版社の紹介には
「人生の難局を切り抜け、難問を乗り越える。その力が『ことば』である。新
聞投書から首相の答弁まで、著者が感銘を受けた言葉や迷言を幅広く取り上
げる。『読売新聞』日曜版連載を単行本化。」
「ふだんの言葉の中に隠れている日本語のひみつとは?『言葉の貯金がなによ
り楽しみ』という筆者のとっておき。持ち出し厳禁、言葉の見本帳。」
とあります。
井上ひさしさんが、言葉とは文化だとわかりやすく教えてくれます。
今回紹介分から強く印象に残った言葉は…
・「チャーチルは仏語、独語、伊語を分かっていたのに国際会議では必ず通訳
を通した。」
「わたしは英国の利益を代表している。それなのに例えばフランス語を知っ
ているからといってフランス語で話し始めると、とたんに自分の脳が偽フ
ランス人のようになり、フランスの政治文化や価値観に自分を合わせてし
まう。英国の利益を主張するときは、やはり英語で考え、英語で言い、
通訳に逐語訳をしてもらうしかない」
・「日本語ではが<姓-名>、英語では<名-姓>となるのは、日本人はズー
ムイン思考(大から小へ視点を移動)、英語圏はズームアウト思考であるこ
とと関連する。」
「英文の中でも日本人は自分たちの世界認識の基本的な枠組みを変えてはい
けないのはないか。『いや、世界は多用ですよ』と釘を刺すためにも、
<姓-名>の順で書くべきではないか。」
もう一つ、再掲載になりますが、千石保さんの
「まじめの崩壊」④を載せます。
まじめも1つの文化と言えるのかと思いました。
<浜松のオリーブ園>
浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト
〈ふじのくに魅力ある個店〉
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>
ものづくりのまちとも言われる浜松。
山田卓司さんのすばらしい作品を
ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。
☆「にほん語観察ノート」井上ひさし 中央公論新社 2004年 ③
<意言語習得トレ> 1
◇英語公用語化論に
チャーチル
◎ フランス語、ドイツ語、イタリア語分かっていたのに国際会議で
は必ず通訳
「わたしは英国の利益を代表している。それなのに例えばフランス語
を知っているからといってフランス語で話し始めると、とたんに自
分の脳が偽フランス人のようになり、フランスの政治文化や価値観
に自分を合わせてしまう。英国の利益を主張するときは、やはり英
語で考え、英語で言い、通訳に逐語訳をしてもらうしかない」
|
「一つの言語は一つの世界観である」
「言葉は伝達の道具であるが、それ以前にその言葉を使う人たちの文
化そのものである」
○rice 籾、稲、米、ご飯、ライス
○牛は逆
→ ◎日本語が日本人の性格や日本の文化をつくっている
◇TOEFUL試験
TOEFUL 677点満点
「日本人はもっと英語を勉強しなければならない」
ブームは危険
◇姓が先か名が先か
日本人 <姓-名>
英語 <名-姓>
◎ 日本人はズームイン思考(大から小へ視点を移動)
↑↓
◎ 英語圏はズームアウト思考
短歌の名句にズームイン思考によるものが多い
石川啄木
「東海の小島の磯の白砂に 我泣き濡れて かにとたはむる」
地方-島-磯-砂
佐佐木信綱
「ゆく秋の大和の国の薬師寺の 塔の上なる ひとひらの雲」
国-寺-塔-九輪
|
◎ 英文の中でも日本人は自分たちの世界認識の基本的な枠組みを変えて
はいけないのはないか。
「いや、世界は多用ですよ」と釘を刺すためにも<姓-名>の順で書く
べきではないか。
姓を大文字で書くことも (例)NAGASHIMA sigeo
◇訳語の不統一
オーストラリア「複合国家」を目指している
― 40か国からの移民受け容れ
→ 公衆電話の前の文字板(30~40)
移民がボランティアで詰めていて相談話を受ける
☆「まじめの崩壊」 千石保 サイマル出版社 1992年 ④【再掲載 2013.7】
<遊んで暮らすための仕事>
◇変わる労働観
□ビル・エモット
「日本は斜陽の国になっていく」
□何のために働くのか
①「金より休日」志向
②自分の仕事に「限定意識」
率先垂範が嫌味になってしまった
= 「仕事からの逃走」
若者たちの人気業種は「調査研究」である
= 自由な労働と遊び心の満足が見られる
◎遊戯性をエーテルとした自由な活動こそ理想たりつつある(今村仁司)
□仕事か仕事以外の生活か
鈴木正三
「労働は仏行であり修行の一つ」
M.ウェバー
「尊厳視される倫理的行動」
◇仕事倫理の崩壊
「食うために働く」意識の欠如
「日はまた沈む」
タテマエの崩壊と目標喪失
勤勉の次に来る価値観
◇記号になった仕事
機能主義の後退
機能地位は人間でなく機械が取って代わる
1980円の時計も10万円の時計も時間を知らせる点では差がなくなった
「差異性」
× 機能,正確さ
→ 外見,表現,装飾
=勤勉の崩壊
商品の持つ記号的価値 アイデア
外観で仕事を選ぶ若者
一芸主義が成功を生む時代
◇転職ブームを生む心理
カタカナ・横書き職業
「リワード」から「パフォーマンス」へ
◎金と時間が二大条件
フリーターは奴隷労働者
「賃金労働」-悲しい妥協
プロテスタントの「時は金なり」
「いちおう」の日雇いタイプ
日本の大学生
- 相対観のぬるま湯
葛藤,妥協そして転職
<若者文化と学校文化>
◇失墜した親の権威
□理念,目標がなくなった
→ 「巨人の星」以降マンガで父親が出なくなった
□「父親不在」は愛情の問題か
父親の役割
「子供を社会集団の成員としての責任感を内面化させることにある」
◎ 父親は文化の伝承者であった。必需品を与えるだけの存在ではな
い。しかし,豊かな社会となり勤倹貯蓄という伝承すべき文化の内
容は失われてしまった。
◎ かつての星一徹
「根性,我慢,努力,精神,犠牲 ~ 倫理観」を教え込んだ。
しつけ不足が問題だ!
□「社会化」できない子供たち
アラン・ブルーム(シカゴ大学)
「相手に対する異議の申し立て討論,対話,それが本当の民主主義
だ。君の教えはそうかで終わってはならない。」
◎ 父親不在は「叱る」不在であり,「禁止・命令」の不在と考えるべ
きでないか
◎ 第二反抗期の喪失は親の命令の喪失からきている
□倫理が欠けた学歴社会
命令の喪失は反抗期の喪失を生んだ
◎日本の大人は命令を忘れた
→ 反抗期を失い罪悪感のない子
想像力を欠く子に
□軽視される親の権威
「親の意見と茄子の花は千に一つの無駄はなし」
◇道徳を死守せよ
荒れる学校を生んだもの
権威喪失した学校の先生
自信を持って言える道徳の内容がない
◎ 日本の社会でまじめ・勤勉・努力など古い価値を守ろうとしてい
るのが唯一、学校。
◎「まじめ」を失ってはならない
◇ポストモダニズムと学校
荒れる学校
= 「メタゆらぎ」現象
構造主義に欠けているもの
「一杯のかけそば」
筒井康隆のポスト構造主義
カオスを前にした「自省作用」