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山折哲雄さんはこんなことを ②-「近代日本人の宗教意識」岩波書店 1996年 (2) /「文系学部廃止の衝撃」吉見俊哉 集英社新書 2016年 ③【再掲載 2017.2】 [読書記録 宗教]

今日は6月17日、月曜日です。


今回は6月14日に続いて、
「山折哲雄さんはこんなことを」2回目、
「近代日本人の宗教意識」2回目の紹介です。


出版社の案内には、

「日本人にとって宗教とは何か.オウム真理教事件が提起する問題を見
 据えながら,著者年来の問題関心とその成果を集成.正岡子規,夏目
 漱石,寺田寅彦,宮沢賢治,和辻哲郎,木村泰賢他の言行を検討し,
 風土に規定された自然感覚の深奥に横たわる原初的な宗教意識と,そ
 の特質を浮彫りにする.日本人の心の深層に新しい角度から光を当て
 る労作」

とあります。


今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「まじめになればなるほど,ものが滑稽に見えてくる」


・「大自然は慈母であると同時に厳父である」



もう一つ、再掲載になりますが、吉見俊哉さんの
「文系学部廃止の衝撃」③を載せます。




☆山折哲雄さんはこんなことを ②-「近代日本人の宗教意識」岩波書店 1996年 (2)

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◇兆民 
  1901(明治34)年「一年有半」
 合理主義者 唯物論者 無霊魂論

◇漱石 
  滑稽趣味はまじめ人間と表裏の関係
= まじめになればなるほど,ものが滑稽に見えてくる
姦通小説 
    「それから」→「門」
     日本人の宗教性
   自己本位
  漱石
       姦通小説を書きながら三角関係の構図を無化
  人間と人間との関係でなく自己の中に
自己幻想「則天去私」
 
◇本居宣長 
  病 
    加持祈祷
      =「あはれ」な治療法

    =「さかとら」な振る舞い
◎ 自然状態の破綻から自然状態への回復へという過程の中に病気
   治癒の秘密の一切が含まれている
 
◇寺田寅彦
「天災は忘れたころにやってくる」
「天災と国防」
   ◎ 文明が進めば進むほど天然の暴威による災害はその激烈の度
    を増す
= 悪い年が必ずやってくるのが「自然の鉄則」
◎ 天然の強敵に対しては合理的科学的な対策を
- 数千年来の災禍の試練により日本国民特有のいろい
        ろな国民性の諸相が創り上げられた
- 自然に逆らうかわりに,自然を師として学ぶ
「大自然は慈母であると同時に厳父である」
 「日常生活」
    長い間命がけの勉強で得た超科学的の科学知識
  季節の野菜 魚貝の年同期循環 住居の防寒・防暑 
      庭園設計  花見遊山
「精神生活」
    短歌と俳句
 荒涼たる砂漠に一神教
      ←→  多彩変貌極まりない自然の日本に八百万の神
= 無常観の日本類型







☆「文系学部廃止の衝撃」吉見俊哉 集英社新書 2016年 ③【再掲載 2017.2】

[出版社の案内]
大学論の第一人者による緊急提言!
大学は何に奉仕すべきか?
迷走した廃止論争の真相と、日本を救う知の未来像。
2015年6月に文科省が出した「国立大学法人等の組織及び業務全般の
見直しについて」の通知を受け、各メディアは「国が文系学部を廃止
しようとしている」と報じ、騒動となった。これは事の経緯を見誤っ
た報道ではあったものの、大学教育における「理系」偏重と「文系」
軽視の傾向は否定できない。
本著では、大学論、メディア論、カルチュラル・スタディーズを牽引
してきた著者が、錯綜する議論を整理しつつ、社会の歴史的変化に対
応するためには、短期的な答えを出す「理系的な知」より、目的や価
値の新たな軸を発見・創造する「文系的な知」こそが役に立つ論拠を
提示。実効的な大学改革への道筋を提言する。

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◇文系は役に立つ                                
1「役に立つ」はいかなることか?                           
「役に立たないが価値がある」は本当か?                  
□広田照幸(日大)寺脇研(京都造形美術大)                   
   人文社会系に「経済効果」を求めるのはおかしいが、短期的には
  別として、長期的にはそうした「効果」はちゃんとある
   - 新しいアイデアを生み出す    

□大学は国に奉仕する機関ではない!
  安倍首相
  ×「国立大は国が金を出してあげるのだから国のために役立つべき」

□大学は人類的な普遍性に奉仕する   
グローバルなエクセレンスの表現に奉仕


2「役に立つ」の2つの次元
□目的遂行型の有用性 と 価値創造型の有用性
  ◎ 大学の知はその時々の国家権力、政権、近代的市民社会といっ
   た臨界を超えている
  ◎時間的スパンも
     文系の知にとって、3年、5年ですぐに役立つことは難しい
    かもしれません。しかし、30年、50年の中長期的スパンでなら
    ば、理系よりも人文的社会系の知の方が役に立つ可能性は大    

□「人文社会系は長期的にしても役に立つから価値がある」かもしれない  
     友人や教師のひと言が向かうべき方向。いわば目的や価値の
    軸を発見させてくれる、 
     = 「役立つ」ための価値や目的自体を創造する

□マックス・ウェーバーから学び直す
「目的合理的行為」と「価値合理的行為」

□価値の軸は必ず変化する

□理系と文系の「役に立つ」は違う
  ◎ 経済的成長や成長戦略と言った自明化している目的と価値は疑
   い、そういった自明性から飛び出す視点がなければ新しい創造性
   は出てきません 
    -  理系的な知は役に立つことが多く、文系的な知はむしろ
     長く長く役に立つことが多い


3「人文社会系」と「教養」「リベラルアーツ」の違い
 「文系」=「教養」という誤解  
□文系も理系も含まれる「リベラルアーツ」
 12世紀13世紀 
    中世の自由七科
  ◎言葉の学   ①文系学 ②修辞学 ③論理学
    ◎数学     ④代数学 ⑤幾何学 ⑥天文学
     ◎ 芸術   ⑦音楽

□国民○○と「教養」の誕生
  グローバルな教養は存在するか


4 大学基礎教育の20世紀的○○
  「教養」と「一般教養」は同じではない
     教養教育の解体はなぜ起こったか


5 人文社会系はなぜ役に立つのか
「文系」「理系」の区別はいつ生まれたのか?
  リベラルアーツ
     = 自由な学
  神学、法学、医学
     = 有用な学
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