キーワード 読書について73-「はじめて学ぶ日本児童文学史」鳥越信 ミネルヴァ書房 2001年(7) /「人生のくくり方」 加藤秀俊 NHKブックス 1995年 ⑤【再掲載 2017.5】 [読書記録 教育]
今日は6月21日、金曜日です。
今回は6月11日に続いて、
「キーワード 読書について」73回目、鳥越信さんの
「はじめて学ぶ日本児童文学史」の紹介 7回目です。
出版社の案内には、
「明治維新から昭和期にかけての日本児童文学の歩みを最も初期の時代
(草創期)を起点に、科学読み物・知識読み物の歴史およびキリスト教
児童文学の歴史、外国作品の歴史と幅広い視点から考察する。
【ここがポイント!!】
・日本における児童文学研究の最新成果をとりこむ
・好戦的・侵略的児童文学の解明を試みる
・1868年から約120年間を6部に分ける」
とあります。
今回紹介分から強く印象に残った言葉は…
・「野間清治は国民性の啓発と涵養を目的として1914年11月『講談倶
楽部』のジュニア版ともいえる『少年倶楽部』を大日本雄弁会講談
社から出した。大正後半から部数が増えた」
・「『少年倶楽部』の付録,投稿欄,豆知識ダイヤモンドの名編集が話題
になった。残念なのは、富国強兵,立身出世,勧善懲悪を前面への押
し出しすぎたことか」
・「1937年の侵略以後、『児童文学』は『小国民文学』と呼ばれるよう
になった」
・「文部省推薦図書の第1回は1939(昭和16)年6月。浄化運動のため
認証して思想統制の方向付けをしたちもいえるのではないか」
もう一つ、再掲載になりますが、加藤秀俊さんの
「人生のくくり方」⑤を載せます。
☆キーワード 読書について73-「はじめて学ぶ日本児童文学史」鳥越信 ミネルヴァ書房 2001年 (7)
◇少年倶楽部の魅力
歩み
1914年11月「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社
~1962年11月 611冊 42年間
野間清治
「国民性の啓発と涵養」目的
キングの先駆け
-「講談倶楽部」のジュニア版
大正後半~
部数増
モットーは「おもしろくて為になる」
高畠華宵事件
日常生活に具体的に触れながら少年の理想主義を鼓舞していく
= 少年の純粋な正義感が発散
人気作家
- 大仏次郎,吉川英治,佐藤紅緑,佐々木邦,山中峯太郎
佐藤紅緑の小説に見る「理想と現実」
忍耐と努力,不正を憎む純粋さ
~ 少年の理想
独学者のクーラーとしての講義録
講義録広告
勉強 = 立身出世価値
クールアウト作用
→ 「修養」
名編集
付録,投稿欄,豆知識「ダイヤモンド」
残念なのは前面への押し出しすぎ
= 富国強兵,立身出世,勧善懲悪
<15年戦争の時代>
◇時代思潮
1931(昭和6)年 満州事変
~ 1945(昭和20)年 敗戦
1937年 侵略以後、児童文学 → 小国民文学
1938年内務省「児童読み物改善に関する指導要綱」
芸術的児童文学の「復興現象」,戦争児童文学
良心のあかし
吉野源三郎「君たちはどう生きるか」
山本有三 「心に太陽を持て」
= 『日本小国民文庫』全16冊(1935)
ルポ
川崎大治 「村の保育所」
国分一太郎「戦地の子供」
◇言論統制と現復興象 戦中期の児童文学(前期)
戦中児童文学
昭和10年(1935~1945)代
1936年
<小国民文庫シリーズ>新潮社 1935~1937
山本有三「心に太陽を持て」
吉野源三郎「君たちはどう生きるか」
「児童読物改善ニ関スル指示要綱」の成立
1938.10.26 内務省警保局図書課
1941.12.23 「日本小国民文化協会」
めざしたもの
・小国民文化統制
・佐伯郁郎中心 振り仮名廃止-眼鏡の多さ
→ 文部省推薦図書 第1回 1939(昭和16)年6月分
◎ 浄化運動 → 認証 → 思想統制 方向付け
「復興現象」について
権力の側による児童文学の「庇護現象」
☆「人生のくくり方」 加藤秀俊 NHKブックス 1995年 ⑤【再掲載 2017.5】
◇親離れ・子離れ(2)
□若者は最大の消費者
ロストウ
「子供は究極の消費財」
= ペットかわいさのあまり自らの楽しみを犠牲にしてペッ
トたちに多大な投資をしている
かわいがることと愛情を持つことは別
自立の問題は親の問題
基本的躾をしなかった親にも問題がある
土居健郎『甘えの構造』
甘え
「甘えとは乳児の精神がある程度発達して母親が自分とは別
の存在であることを知覚した後に,その母親を求めること
を指していう」
甘え
- アマ(天)観念
味覚の甘さ
甘え
= 依存 日本社会の特徴
小此木啓吾『モラトリアム人間の時代』~「対象消失」
モラトリアム人間
- あれこれやってみてだんだん自分が分かってくるだろう
→ あれもこれもやってみたけどすべてダメだった
自己存在の基盤の微弱さを自覚
→ 対象消失はそれほど大きな悲しみにはならない
甘え
人間の依存関係 = 責任問題
◎ 人間は誰かに甘え,依存しているわけですから,そ
れは責任のなすり合いの構造にもすぐに転化する可能
性をもっている
土居建郎
「日本人の罪悪感は,裏切り行為に発して謝罪に終わるという
構造を極めて鮮明に示している」
◎ 日本社会では謝罪ですべてが精算される
◇日本社会
① 親離れ子離れの難しい社会
② 甘える関係から離脱することのできない社会
◎ 私たち現代の日本人は,永久に大人と子供の間を振り子の様に
揺れ動いている存在
- 最終的には、甘えの構造の究極の解決方法としての謝罪に
よってすべてを精算するという習慣
今回は6月11日に続いて、
「キーワード 読書について」73回目、鳥越信さんの
「はじめて学ぶ日本児童文学史」の紹介 7回目です。
出版社の案内には、
「明治維新から昭和期にかけての日本児童文学の歩みを最も初期の時代
(草創期)を起点に、科学読み物・知識読み物の歴史およびキリスト教
児童文学の歴史、外国作品の歴史と幅広い視点から考察する。
【ここがポイント!!】
・日本における児童文学研究の最新成果をとりこむ
・好戦的・侵略的児童文学の解明を試みる
・1868年から約120年間を6部に分ける」
とあります。
今回紹介分から強く印象に残った言葉は…
・「野間清治は国民性の啓発と涵養を目的として1914年11月『講談倶
楽部』のジュニア版ともいえる『少年倶楽部』を大日本雄弁会講談
社から出した。大正後半から部数が増えた」
・「『少年倶楽部』の付録,投稿欄,豆知識ダイヤモンドの名編集が話題
になった。残念なのは、富国強兵,立身出世,勧善懲悪を前面への押
し出しすぎたことか」
・「1937年の侵略以後、『児童文学』は『小国民文学』と呼ばれるよう
になった」
・「文部省推薦図書の第1回は1939(昭和16)年6月。浄化運動のため
認証して思想統制の方向付けをしたちもいえるのではないか」
もう一つ、再掲載になりますが、加藤秀俊さんの
「人生のくくり方」⑤を載せます。
☆キーワード 読書について73-「はじめて学ぶ日本児童文学史」鳥越信 ミネルヴァ書房 2001年 (7)
◇少年倶楽部の魅力
歩み
1914年11月「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社
~1962年11月 611冊 42年間
野間清治
「国民性の啓発と涵養」目的
キングの先駆け
-「講談倶楽部」のジュニア版
大正後半~
部数増
モットーは「おもしろくて為になる」
高畠華宵事件
日常生活に具体的に触れながら少年の理想主義を鼓舞していく
= 少年の純粋な正義感が発散
人気作家
- 大仏次郎,吉川英治,佐藤紅緑,佐々木邦,山中峯太郎
佐藤紅緑の小説に見る「理想と現実」
忍耐と努力,不正を憎む純粋さ
~ 少年の理想
独学者のクーラーとしての講義録
講義録広告
勉強 = 立身出世価値
クールアウト作用
→ 「修養」
名編集
付録,投稿欄,豆知識「ダイヤモンド」
残念なのは前面への押し出しすぎ
= 富国強兵,立身出世,勧善懲悪
<15年戦争の時代>
◇時代思潮
1931(昭和6)年 満州事変
~ 1945(昭和20)年 敗戦
1937年 侵略以後、児童文学 → 小国民文学
1938年内務省「児童読み物改善に関する指導要綱」
芸術的児童文学の「復興現象」,戦争児童文学
良心のあかし
吉野源三郎「君たちはどう生きるか」
山本有三 「心に太陽を持て」
= 『日本小国民文庫』全16冊(1935)
ルポ
川崎大治 「村の保育所」
国分一太郎「戦地の子供」
◇言論統制と現復興象 戦中期の児童文学(前期)
戦中児童文学
昭和10年(1935~1945)代
1936年
<小国民文庫シリーズ>新潮社 1935~1937
山本有三「心に太陽を持て」
吉野源三郎「君たちはどう生きるか」
「児童読物改善ニ関スル指示要綱」の成立
1938.10.26 内務省警保局図書課
1941.12.23 「日本小国民文化協会」
めざしたもの
・小国民文化統制
・佐伯郁郎中心 振り仮名廃止-眼鏡の多さ
→ 文部省推薦図書 第1回 1939(昭和16)年6月分
◎ 浄化運動 → 認証 → 思想統制 方向付け
「復興現象」について
権力の側による児童文学の「庇護現象」
☆「人生のくくり方」 加藤秀俊 NHKブックス 1995年 ⑤【再掲載 2017.5】
◇親離れ・子離れ(2)
□若者は最大の消費者
ロストウ
「子供は究極の消費財」
= ペットかわいさのあまり自らの楽しみを犠牲にしてペッ
トたちに多大な投資をしている
かわいがることと愛情を持つことは別
自立の問題は親の問題
基本的躾をしなかった親にも問題がある
土居健郎『甘えの構造』
甘え
「甘えとは乳児の精神がある程度発達して母親が自分とは別
の存在であることを知覚した後に,その母親を求めること
を指していう」
甘え
- アマ(天)観念
味覚の甘さ
甘え
= 依存 日本社会の特徴
小此木啓吾『モラトリアム人間の時代』~「対象消失」
モラトリアム人間
- あれこれやってみてだんだん自分が分かってくるだろう
→ あれもこれもやってみたけどすべてダメだった
自己存在の基盤の微弱さを自覚
→ 対象消失はそれほど大きな悲しみにはならない
甘え
人間の依存関係 = 責任問題
◎ 人間は誰かに甘え,依存しているわけですから,そ
れは責任のなすり合いの構造にもすぐに転化する可能
性をもっている
土居建郎
「日本人の罪悪感は,裏切り行為に発して謝罪に終わるという
構造を極めて鮮明に示している」
◎ 日本社会では謝罪ですべてが精算される
◇日本社会
① 親離れ子離れの難しい社会
② 甘える関係から離脱することのできない社会
◎ 私たち現代の日本人は,永久に大人と子供の間を振り子の様に
揺れ動いている存在
- 最終的には、甘えの構造の究極の解決方法としての謝罪に
よってすべてを精算するという習慣