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「忘れないでおくこと 随筆集あなたの暮らしを教えてください2」暮しの手帖社 2023年 ⑦(最終) /「読書力」齋藤孝 岩波新書 2002年【再掲載 2017.5】 [読書記録 一般]

今日は6月28日、金曜日です。
現在、こちらは激しい雨。
ナゴヤドームのナイター観戦、どうしようかと考えています。


今回は、6月22日に続いて暮しの手帖社から出されている
「忘れないでおくこと 随筆集あなたの暮らしを教えてください2」
の紹介7回目 最終です。


出版社の案内には、

「豪華執筆陣で贈る珠玉の随筆集『あなたの暮らしを教えてください』
は、『暮しの手帖』の本誌と別冊に寄せられた『暮らし』がテーマの随
筆作品を選りすぐり、全4冊にまとめたシリーズです。
 第2集は、日々の気付きにまつわるお話を集めています。当時の話題に
触れて感じたこと、近所の猫やお店のこと、仕事や家事を通しての発見
や、趣味や学びのなかで思うことなど、小さな日常をいつくしみたくな
る一冊です。」

とあります。



もう一つ、再掲載になりますが、齋藤孝さんの
「読書力」を載せます。




☆「忘れないでおくこと 随筆集あなたの暮らしを教えてください2」暮しの手帖社 2023年 ⑦(最終)

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◇ 忘れないでおくこと 中島京子

 イタリアの作家、パオロジョルダーノの『コロナの時代の僕ら』(早川書
房)は、新型コロナウイルスの大騒動の中で書かれたエッセイ集で、あとがき
の「コロナウイルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと」は殊に、重く
胸に響いている。


 著者は、新型コロナが襲い掛かってきたときに、人々がいかに無防備だっ
たか、それに無知だったか、あるいはひそかにデマかもしれないような噂に
すがったか等々、公式の記録には残らないだろういろいろなことを、「忘れた
くない」と書いた。


 おそらくは、それは簡単に忘れられてしまう可能性があり、そして忘れて
しまえばもう一度同じように人を無防備にしてしまうものだからだろう。


 中国の作家の閻連科も、香港の学生に向けたメッセージの中で、「この厄
災の経験を『記憶する人』であれ」と書いた。「われわれはこの新型肺炎の事
の起こり、ほしいままの略奪と蔓延、近くもたらされるであろう『戦争の勝
利』と称される万人の合唱の中で、少し離れたところに黙って立ち、心の中
に墓標を持つ人になろう」と、厳しい言論統制のある国で書き続けている作
家は訴えた。


 忘れないでおくこと、記憶に残しておくことについて考えている。


 日本でも外出自粛要請が出ると、さまざまな支援団体がSNS上でアナウン
スをはじめた。


 ホームレスの人、ネットカ フェで暮らしている人、家庭内暴力が怖くて逃
げている人が、行き場をなくしたからだ。


 在留外国人や留学生の支援者や、人々が外に出ないことであきらかに仕事
を失う人の支援をしてい弁護士なども、ものすごく働いていた。


 依頼人の状況改善のために、文字通り東奔西走、自宅に戻ればリモートワ-
クが待っていて、寝る時間すらないように見えた。


 あっという間に、オンラインの支援システムが立ち上がり、相談窓口がで
きたのは、ずっと支援を続けていたからだということが、目に見えてわかっ
た。


 コロナの被害は、最も弱い人々を直撃した。


 いまだけではなく、支援は必要な人のところに届かなくては意味がない。


 そのことを覚えておこうと思った。


 もう一つ、感染者や医療関係者にまで、ひどいバッシングがあったこと。


 つらいけれど、いちばん忘れてはいけないことだろう。
 

 いつまでたっても届かなかったマスクのことなどは、さすがに記憶から消
えたりしないだろうけれど、オリンピックや隣国の国家元首の来日を睨んで
後手後手に回った対策は、残念だけど、わたしたちが選挙で選んだ政治家の
やったことだというのも忘れがたい。


 有権者の約半数が選挙に行かず、誰もがその状況に慣れきってしまい民主
主義をさぼると、つけを払わされる。 


 つらいことばかり記憶するのは悲しいので、日本から中国に送ったマスク
に千三百年前の漢詩が添えられ、お返しに中国から日本に届いたマスクには
夏目漱石が正岡子規に送ったとされる俳句が書かれていたことも、ぜったい、
忘れたくないなと思っている。          
                             2020年7月








☆「読書力」齋藤孝 岩波新書 2002年【再掲載 2017.5】

[出版社の案内]
本を読むことの意味は何?案外答えにくい問いに、「読書によって…の
力がつく」という形で考え、コミュニケーションの力、人間を理解する
力との関わりを示します。自分をつくり、鍛え、広げることが、読書と
どう結びついているかを述べて、あらためて読書の本質を見つめます。
心に残るフレーズ、工夫の手がかりも満載です。

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◇はじめに
「単なる娯楽のための読書」 
   → 「多少とも精神の緊張を伴う読書」


◇読書力とは何か
読書は四股
   = 思考活動の素地
  「読書力がある」の基準 
   = 「文庫百冊 新書五十冊」
  精神の緊張を伴う読書  
文庫のスタイルに慣れる  
    新書五十冊
要約を言えることが読んだということ
新書は要約力を鍛える  
    社会で求められる実践的読書力
なぜ百冊なのか  
    有効期限は四年
    本は知能指数で読むものではない
読書は継続は力なりの世界
    「『小学校時代は本を読んだけれど』のナゾ」
定期試験に読書問題を入れる 
あごを鍛える食らうべき書
  ① 児童書は離乳食
  ② 乳歯レベル 
        推理小説・歴史小説・エンタティメント
 ③ 永久歯の読書
歯が生え替わった本
日本は読書立国
    総ルビ文化・世界文学の威力 読書力は日本の含み財産
the book がないから booksが必要だった


◇自分をつくる  自己形成としての読書
複雑さを共存させる幅広い読書
  読書
     =「自分を作る最良の方法」
     = 自分の世界観・価値観を形成し自分自身の世界をつくる
ヴィルドゥング(自己形成としての教養) 
    教養主義
「一人になる」時間の楽しさを知る
     読書 - 適度な緊張感 → 充実感
自分と向き合う厳しさとしての読書 
    テレビ
     - テレビを作る側が管理
 読書
     - 読書の側がコントロール
単独者として門を叩く 
    「本屋に行って自分の身銭を切って買え」
    読書は優れた他者との出会いの経験 
言葉を知る  
    自分の本棚を持つ喜び 
  繋がりながらはずれていく読書
   - 本は本の連鎖を生む
本は背表紙が大事 
    本は並べ方が大事 
    図書館はマップ作りの場所 
    品切れ本に強い  
  経験を確認する
   - 経験しないことでもわたしたちは力を得ることができる
  人間劇場
   - 多様な人間像を読書を通して受け入れる 
読書自体が体験となる読書
   - シチュエーションと読書 音楽とセットも
  伝記の効用 - 倫理面で  
    ためらう = 溜めること 
「満足できる分からなさ」を味わう


◇自分を鍛える - 読書はスポーツだ
技としての読書 
読み聞かせの効用[ステップ1]
   宮澤賢治の作品が持つイメージ喚起力 
      地水火風の創造力,倫理性
  自分で声に出して読む[ステップ2]
音読の技化 アイ・イパンを広げる
  音読で読書量をチェックする 
    読書は身体的行為である
線を引きながら読む[ステップ3]
  三色ボールペンで線を引く 
      青 - まあ大事
      赤 - すごく大事
      緑 - 主観的に面白い    
読書のギアチェンジ[ステップ4]
  本ごとに緩急を付けて読む  
    脳のギアチェンジ 
      難易組み合わせて


◇自分を広げる - 読書はコミュニケーションの基礎だ
会話を受け止めて応答する
  読書
     = 会話の脈略を作る
      相手の話の要点をつかみ,その要点を引き受けて,自分
      の角度で切り返す
     = 人の話の幹をつかまえる(言い換え力)
メモを取る力の関連
書き言葉で話す
    「書き言葉で話せ」
漢語+和語,口語体+文語体
ピンポンと卓球  
    話し言葉はピンポン  
    書き言葉は卓球 - 技術
本を引用する会話
    ブックリストの交換
読書会文化の復権 
    最後まで読んでいると言うことを前提としない
  ① 三色ボールペンで印
② おもしろいところ(緑)を何ページの何行目というように
      指摘してもらい,引いた理由をコメント
 ③ 聞いていた人は、発言した人の名前とともに、自分の本
      にチェックする
   ④ 何回か回す
※ 具体的な箇所を指示してチェックを入れる
  → 各人がテキストへのなじみを深くする
マッピングコミュニケーション
  B4白紙 
     - キーワードをかき込みながら対話する
◎キーコンセプトでその著者の思想世界をマップにする
◎マップを作る作業を通して対話を深める
みんなで読書クイズを作る
本を読んだ上で人に話す
好きな分を書き写して作文につなげる
読書トレーナー
本のプレゼント
  「どれでもいいから一人一冊好きなものを選んで持って行っていいよ」
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