SSブログ

非行の予防学(3) 「予防的な家族支援」 佐々木光郎 静岡英和学院大学教授 ③ /「なつかしい話」宮本常一 河出書房新社 2007年 ②(後半)【再掲載 2014.9】 [読書記録 教育]

今日は9月27日金曜日です。


今回は、9月24日に続いて、月刊『少年育成』誌(年・号数不明)より、
佐々木光郎さんの「非行の予防学(3) 予防的な家族支援」の紹介 3回目です。


ここに記されている次のことが、より強くなっているのではないかと思います。
「どのようにすれば‥」を話し合う大切さを感じます。

- 近年,親たちが「自子主義」の傾向を強め,「自分の子どもさえよければよ
 い」という考えを強めている。いきすぎると,わが子の言い分やわがままをす
 べて鵜呑みにしてしまい,責任をすべて外に求める傾向がある。
  そのために,子どもが抱える困難(問題)が見えない。



もう一つ、再掲載になりますが、宮本常一さんの
「なつかしい話」②を載せます。





☆非行の予防学(3) 「予防的な家族支援」 佐々木光郎 静岡英和学院大学教授 ③

1.jpg

◇各グループヘの支援

(1) 潜在グループ
  この家族への支援は,子どもがこれ以上に問題行動を広げないように,
 親が本来持っている


  力を発揮し,わが子との関係を調整したり,生活状況の改善に取り組める
 ように支えるのである。


  私は,試験観察などで,親も困っているので共感的に理解しながらも,親
 と共に「問題」について


  共通認識を得て,子どもの利益の代弁者として,言うべきところは言うように
 してきた。


  この支援には専門者が個別的にかつ継続的にかかわるのが望まれる。
 児童委員や保護司,心理療法機関等の支援が求められる。親には絶え間
 ない努力が求められるので,途中でくじけないように励まして支える者が必
 要である。



(2) 兆候グループ

  非行予防的な子育て家族支援となる。子ども虐待をさせない支援とも共通
 する。このグループは実態としては見えにくいが,ある程度のリスクを持つの
 で,あるきっかけで子どもの問題行動が露呈することがあり得る。そこで,保
 育園,幼稚園,学校や医療,学童保育、子育て支援センターなどで子ども・
 親と直接かかわる者は,これらを生み出しやすい家族の状況をある程度知っ
 て親への温かい気配りができるようにしたい。


  リスクの高い家族は、

    ①「ひとりぼっちの家族」が多い。行事や親の会,地域の子ども会
     などに顔を出さない。親族ともうまくつながっていない。育児の楽し
     さを分かち合う人もいない。

    ② まわりから手を差し伸べられるのを嫌がる。親たちの輪に入りに
     くい。

    ③ 夫婦の間にすれ違いが見られ,子育てに父親の協力が乏しい。
 
    ④ 経済的にも困っている。


  これに子どもの年齢も影響する。


  思春期とこのような家族の状況とが重なったとき,家族が抱える困難が増幅
 する。


  親が誰かに子育てのつらさや大変さを聴いてもらうだけでもかなり心も和
 らぎ安らぐ。「今度,こうしてみよう」という意欲が出てくるからである。


  さらに子どもを介して親同士のつながりが広がると良い。


  周囲のさりげない声かけや配慮がそのきっかけとなるように思う。


  ところで,私は,実習指導,フリースクールの運営,教育講演会等で,幼
 児と小学生を持つ親とかかわる機会が少なくない。


  このような「イエローゾーン」の家族を想定して,次のようなことを話している。

  「理想的な家庭」はどこにも存在しないことである。

  どの親も家庭もみんな悩みや超えるべきハ-ドルを抱えている。

  だから家族なのであって,それでよい。

  家族が力を合わせて乗り越えようとしていることが尊い。

  困ったときはだれかの力をうまく借りる勇気が大事である。時には公的な
 支援も上手に受けるようにしてほしい。


(3) 適応グループ

  開発的な非行予防支援となる。


  開発的と言うのは,今の状態を支持しさらに発展的な学びを提供する支援
 である。


  この家族は,自分たちの力でバランスの取れた家庭生活を維持している。

  さらに育児・教育,保健・健康,遊び,スポーツなど関わる学びの場をもっ
 と広げたい。


  私は親たちとかかわる機会があると述べたが,そのような場にはこのグルー
 プが多く集まる。


  その時,次のようなことを話すと,親たちは熱心に聴いている。


  近年,親たちが「自子主義」の傾向を強め,「自分の子どもさえよければよ
 い」という考えを強めている。

  いきすぎると,わが子の言い分やわがままをすべて鵜呑みにしてしまい,
 責任をすべて外に求める傾向がある。

  そのために,子どもが抱える困難(問題)が見えない。

  また、過度に「教育熱心」な親では,子ども白身がいつも緊張を強いられ
 安心できる居場所がない。

  しかも、「成績さえよければ何をしてもよい」という考えが見られ,子どもに
 は社会性が育たない。


  ところで,親の苦手なところも表した屈託のない親子関係(安心感の源)が
 望まれる。


  親が,「いまを生き生き」と過ごして,社会と熱心に向き合っている姿こそ
 が子どもの心を成長させる。







☆「なつかしい話」宮本常一 河出書房新社 2007年 ②(後半)【再掲載 2014.9】

1.jpg

◇意外に知られぬ行事の由来 牧田茂 1916-2002 民俗学者
地方により門松も様々 
    民俗行事に底流する禊ぎ
七夕「たなばた」
    → 万葉集の「棚機女」から 
       - カヤの持っていた威力
収穫を祀る年中行事 
    盆も正月の一つだった 
    稲作式思考の日本人
  融通の利く日本の神様 
    - 宗教ではなく民間信仰(=抜け道がある)
  ◎ あまり宗教的戒律の強い所では文化は栄えない  


◇雪と囲炉裏の夜話  
  水沢謙一 1910-1994 昔話研究家(小学校長20年間)
       越後の昔話  
       山古志で長島ツルさん,川上イマさん
  袋小路に残る昔話 
    昔話を語る人はいい顔をしている
  三河山中も昔話が少ない
    カマバ
昔話が残る所 
   ①航空写真で山に杉がびっしり植わっている所 と ②南の島
  グリムは若い女性専門
◎ 昔話が消え去ろうとしているのは,受け手じゃなくて語り手が語らなく
   なったから  
「市」か「一期」か?
    「市がホーンとさけた」 
      市が栄えた
一期栄えた 
      一期栄え中した
◎「間引き」の話と「どぶろく」の話が聞かれれば本物
  掛け取りは昔話の敵 
    雪と火がないと昔話は出ん
  必要な自前の精神


◇民話のある生活・民話のない生活  上笙一郎 1933-
  水沢謙一 民話採集
    戦前-岩倉市郎氏は4000
田植え歌 
    360が1セット
      一通り歌うと夕方 = 時計がわり
伊勢音頭 
    作業歌 - 酒造り,木下ろし歌
三河・名倉のバンザイ峠
  夕方の意思表示 
     - 逢魔が時
 ◎ 「電源一本切られるともう一人の人間としては生きていけなくなってしまう」
   = ある種のかたわ
  宮本氏 
    「親が子どもをそこまで突き放すことができたら,これはもっと創造力
    に富んだ人間を創り出すことができる…」
  星野哲郎
   -「海に遊びに行くのに親が見張りだしたらおぼれだした」
     = 子どもの連帯感


◇自然を語る  河合健二 1913-1996 
  植林について  
    みんな調和を取って生きていく
  東京から離れる勇気と離れて暮らす計画
生物のサイクル 
    物の節約 活性炭の利用法
あんまり情報通になってはいけない
    宮本の師匠:奈良の高田十郎
「すみが一番よく見える」
アイデアの開発
    自分の頭で考えること


◇風景をつくるこころ 柳宗民 1927-2006 園芸研究家
仏花と薬草 
    カキノキ,ミカンのある庭
     - 嫁がカキの木
     = 死ぬ時カキの木でやく
生け垣と景観  
    守り木 一本残して用材として
  ◎風景を作る心
nice!(123)  コメント(0) 
共通テーマ:学校