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「『家栽の人』から君への遺言」毛利甚八 講談社 2015年 ④ /「強く生きたいと願う君へ」坂本光司 WAVE出版 2012年 ⑥(最終)【再掲載 2014.7】 [読書記録 教育]

今日は10月13日、日曜日です。


今回は、10月10日に続いて毛利甚八さんの
「『家栽の人』から君への遺言」の紹介 4回目です。


朝ドラで話題となった家庭裁判所を思い出しました。



出版社の案内には、

「ヒット作『家栽の人』で一躍人気マンガ原作者となりながら、著者は、
その成功を素直に喜べない自分に出会う。現実離れした人物像を『家
栽の人』の主人公にしてしまったことに苦しみ、著者が突き当たった
のが、戦後の少年法が抱える問題だった。少年法への無知、無理解が、
ピント外れの少年法叩きを生む日本社会の現状を嘆く著者に、2014年
夏、末期の食道がんが見つかる。すでに肝臓、リンパ節、肺にも転移
していた…。」

とあります。


今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「少年法改正反対論の限界
  - 保護主義の理念と日本社会の漠然とした規制意識の落差」


・「少年司法に救う縦割りがセクト主義の弊害を生み、一連の流れを眺
めている専門家は一人もいなかった。少年司法全体の手続きを知っ
  ている人がいないため反論できない状況に陥った」


・「1945年から1970年の間、少年の殺人事件は年に300~400件発生し
ていた。それでも2000年のようには大騒ぎしなかったのは、戦争の
記憶が残っており、非業の死の当事者であった者が多かったから」


・「少年の犯罪は、本人の生まれ育った環境と深く結びついている。難
問ばかりで、少年一人を責め立てるだけでは何も解決しない。事件
の背景を知らないまま,世間は『死刑にする 死刑にしない』に着
目してしまいがち」




もう一つ、再掲載になりますが、坂本光司さんの
「強く生きたと願う君へ」⑥を載せます。
どのような職場で働きたいか、考えることは大切ですね。



もぐらおやじの創作物語」明日14日(月)まで!
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10月12日(土) 中日新聞 東海本社版 朝刊より




☆「『家栽の人』から君への遺言」毛利甚八 講談社 2015年 ④

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◇少年法たたきの15年を考える(2)

□最高裁判所の欺瞞
    最高裁事務員局は厳罰化の流れに相乗りする形で2000年の法
   改正へと! 


 少年法改正を擁護するヤンキーたち


 改正反対論の限界
   保護主義の理念と日本社会の漠然とした規制意識の落差


 インターネット社会と不寛容
「名無しさん」
    - 少年法たたきを理由に他人を罵倒し、たたくことに


 「少年問題ネットワーク」に参加する
   井垣康弘裁判官の呼びかけ
    - 少年法の主立った研究者はほとんど参加 
      約100人で発進
   非公開で‥


 少年司法に救う縦割りの弊害
   縦割り - セクト主義
    ~ 一連の流れを眺めている専門家は一人もいなかった
   ◎ 少年司法全体の手続きを知っている人がいない
      = 反論できない 


 少年犯罪は凶悪化し増えていたのか?


 1960年の日本社会
「60年安保」 - アメリカの対日政策の変更


 日米安保反対運動と少年のテロル
  1960. 6. 4 改定阻止実力運動 
          全国で560万人が参加
 1.10 大統領関係者 
          本がたたかれ立ち往生 → ヘリで救出
    10.12 浅沼社会党委員長 山口二矢により刺殺

   1945年~1970年
     ◎ 少年の殺人事件は年に300~400件
それでも2000年のようには大騒ぎしなかった
= 戦争の記憶、非業の死の当事者であった 



□光市母子殺傷事件
   1999年春 光市母子殺害事件
最高裁 2006年
無期懲役の広島高裁の決定を破棄し差し戻した
        = 最高裁は元少年の死刑を望んだ 
 差し戻し審 
      弁護人安田好弘弁護士と足立修一弁護士が激しいバッシン
     グを受けた
-※橋下徹氏がテレビを通じて懲戒請求を呼びかけたため
 面会を誘われたが拒否した(冷静でいられる自信がなかった)
 
 ある少年調査票
少年の父親 - 虐待、家庭内暴力 
     中学生の時母自殺の現場を見る
母の死後、父親はフィリピン女性と交際、子どもが生まれた
   ※ 事件の背景を知らないまま,
      世間は「死刑にする 死刑にしない」
 


□少年法たたきが残したもの
2003年~ 
     長崎幼児誘拐殺人事件、佐世保市小6同級生殺人事件、
     山口県祖父殺人事件、福島県会津若松母親殺人事件
奈良少年自宅放火母子殺人事件
→ ◎ メディアが以前ほど大騒ぎしなくなった

   ◎ 少年の犯罪は、本人の生まれ育った環境と深く結びついている。
    難問ばかりで、少年一人を責め立てるだけでは何も解決しない

   1997年~2000年 メディア大騒ぎの教訓
「人をたくさん殺せば社会は大騒ぎする」

   ◎ 大事件を過剰に報道することは、何千何百という平凡な死を
    無価値と宣告しているのと等しい 
    ~ 珍しい死だけに価値があると伝えることにならないか?
     
   ※ 報道はいつも「珍しさ」を求めている                







☆「強く生きたいと願う君へ」坂本光司 WAVE出版 2012年 ⑥(最終)【再掲載 2014.7】

[出版社の案内]
40年にわたり、6600社の働く人々の生き様を見てきてわかったことは
「勝つ」から強いんじゃないということ。60万部!『日本でいちばん
大切にしたい会社』シリーズ著者が贈る、人生の教科書!動じない心
をつくる15の法則。
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◇人生で一番大切なものを知る
□涙の数だけ人は強くなれる
 誰もが「負の感情」に苦しむ
  想像を絶する苦しみ
  キン・エンジニアリング社長 岸征男さん 島根県出雲郡
岸さん もと三菱農機エンジニア
1976年 娘さんが髄膜炎 → 三菱農機を退職
    自宅近くの電気工事会社に
→ 独立 福祉機器製造
  「苦しみ」から生まれた愛にあふれる製品
  「呼吸トレーナー」31万円 採算はとれない
哀しみの果てにつかんだ「本当の強さ」
  2004年 娘さんが突然の心臓発作で亡くなってしまった


□「痛み」を知りなさい それが君に力を与えてくれる
本当に強い人は皆「苦しみ」を経験した
生半可ではない覚悟
  社員がケガ
      → 高額な最新式プレス機の導入を決めた
痛みを知る人は強い
正規の発明の源となった「痛み」
  豊田佐吉 母親の痛みを感じて織機
痛みとは恵みである
  1930年 佐吉没
 受け継ぐ人 
    ○キシ・エンジニアリング 岸征男さん
    ○ハッピーおがわ 小川意房さん
    ○中村フレイス  中村俊郎さん

  
□人生でいちばん大切なことを知りなさい
 かけがえのない魂のありよう
  福島県郡山市 菓子店・柏屋
    2か月に1回(50年以上)詩集「青い窓」  
 願い:詩を通じて心根の優しい子どもたちを育てたい
 初代編集長 佐藤さん 
    14歳で鉄棒事故により片眼の視力を失う
26歳で全盲
現編集長  橋本陽子さん
家族を思う気持ち
 ◎「家族を思う気持ち」がどれだけ軽く扱われているでしょうか
←→ 「経済第一主義」「利益第一主義」「お金第一主義」

※ まるで戦争のような企業間競争に明け暮れ、そこで働く人々
    がいちばん大切にしているものを犠牲にして、省みない社会に
    なってしまっているように思えてならない
  
□感動の涙が教えてくれること
  感動の涙を流すこと! 
  鹿児島県知覧「知覧特攻平和会館」
 利他の心こそホンモノの強さ

◇あとがき
  大山泰弘さん(日本理化学工業)「利他のすすめ」WAVE出版

◇坂本光司
  1947年 焼津市生(旧志太郡大井川町生)
  2008.4より 法政大学大学院製作創造研究科教授
        同大学院静岡サテライトキャンパス長 
NPOオールしずおかベストコミュニティ理事長
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