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「忘れないでおくこと 随筆集あなたの暮らしを教えてください2」暮しの手帖社 2023年 ① /「昭和史をどう生きたか」半藤一利 東京書籍 2014年 ⑩(最終)【再掲載 2015.9】 [読書記録 一般]

今日は1月3日、金曜日です。

今回は、暮しの手帖社の
「忘れないでおくこと 随筆集あなたの暮らしを教えてください2」
1回目の紹介です。



出版社の案内には、


「豪華執筆陣で贈る珠玉の随筆集『あなたの暮らしを教えてください』は、
『暮しの手帖』の本誌と別冊に寄せられた「暮らし」がテーマの随筆作
品を選りすぐり、全4冊にまとめたシリーズです。
第2集は、日々の気付きにまつわるお話を集めています。当時の話題に
触れて感じたこと、近所の猫やお店のこと、仕事や家事を通しての発見
や、趣味や学びのなかで思うことなど、小さな日常をいつくしみたくな
る一冊です。


とあります。



暮しの手帖社らしいと感じるおすすめの随筆集です。


もう一つ、再掲載になりますが、半藤一利さんの
「昭和史をどう生きたか」⑩を載せます。


この2冊の本を読むことで、
わたしは現在の社会のルーツを知ることができるように感じました。



☆「忘れないでおくこと 随筆集あなたの暮らしを教えてください2」暮しの手帖社 2023年 ①

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◇天国 三木卓

 戦争が終ったときぼくは中国にいたので、いろいろな軍隊に出会った。


 最悪だったのはソ連軍で、強盗団のようなものだった。


 中国国府軍も、ここは自分の土地だから、それほど悪質ではなかったが、
よいとはまるでいえず、日本軍も、中国の民衆に対して相当わるいことをし
ていた。


 戦争している軍隊がやさしいわけがないけれど、引き揚げてくると、日本
人のこどもが、米軍の兵士になついている。


 米兵は体格がよく、お尻もパンパンにはっていて、小さなジープに乗って、
活気あふれる動きをしている。


 日本人のこどもがすぐについていって「チョコレート、ちょうだい」と平
気でいう。


 米兵はニッコリわらって手をあげて、それに応え「ハーイ」といって行っ
てしまう。


「チョコレートなんて、あるのか」


 ぼくが訊くと、

「あるある。前は、いくらでもくれたぞ」

といった。米兵は人気の的だった。


 ぼくは一度もその恩恵に浴さなかったけれど、かれらは本当にくれた。

 あいつらはこどもが好きなんだよ、という。


 このちがいは何なのか。


 アメリカは豊かで、信じられないほど人がいい。米兵はなぜか天使だ。


 大人になった、それも相当たってのある日、ぼくはようやく気づいた。


 あれは占領時の内密の指令があったからだ。こどもから手なずけよ。


 この内情を書いたものには、まだお目にかかっていないけれど、しかし、
今はミエミエだ。


 兵士諸君まず、こどもたちにチョコレートやガムをくばって、あかるく
ふるまえ。


 そして、ぼくらは、みごとにそれにひっかかった。米軍はぜいたくで、GI
はみんなすごくお人好しだ。


 戦争中に鬼だ強姦魔だと思っていた連中のイメージとは、まったくちがう。


 巧妙な懐柔。


 いろいろな局面で今はそれがよくわかるが、あの「チョコレート・ギブミー」
もその一環だった。


 続いて大量に公開されたハリウッドの映画も、その一翼をになっていた。


 水着の女王、エスターウィリアムズ。


 チョイわるでカッコいい、ヒゲのエロールフリン。


 エロールフリン主演の『ロビンフッドの冒険』は、『風と共に去りぬ』と
ともに終戦前のカラー作品である。


 そしてデモクラシー。


 ぼくがアメリカにソ連より好意をもったのは、

「チョコをくれるか。もっているパンをうばいとられるか」

のちがいの記憶のせいだ。


 あのころのスターは、「ハーシーのチョコレート」「リグレーのガム」。


「ハーシー」は、ドル安の今、ぼくのいる鎌倉でも売られているが、なつか
しさにロに入れてみると、昔の気持ちがよみがえる。


 しかし、ハーシーってこんなに牛乳くさい香りがしたのか。


 昨今の空輸の欧州チョコに比べると、ずいぶんひなびている。

 しかし、あの時は、これで充分天国に行き、とても帰ってこられなかった。

                           2012年3月






☆「昭和史をどう生きたか」半藤一利 東京書籍 2014年 ⑩(最終)【再掲載 2015.9】

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◇幕末から昭和へ 熱狂の時代に  宮部みゆき S35東京都生
 幕末のミステリーを歩く
    都立隅田川高校出身の2人 府立七中

  龍馬
   ~ 人物の魅力はすごくあったけれど独自の発想は何もない
・陽性の人で人好きがした
・勝海舟と大久保一翁に添え状を出させてしまう魅力
  ・それを持って会いに行く行動力
・そして会ってしまえば何とかなっちゃう
・5年間を走り抜けた
・斬ったのは見廻り組の佐々木只三郎・今井信郎
→ 居場所を流したのは薩摩? 大久保利通・西郷隆盛?
         斬られたとき大げさに憤る

  志士たちの明治  勝海舟

  2・26事件とわたし
    ・ 2・26事件で統制派が勝ち組となって、敗れた皇統派の
     有能な人たちがみんな追い払われたのが戦争で道を誤った原
     因か?
  ・ 2・26事件は陸軍内部の権力争い、戦略観の抗争
・ 陸軍はこの後事件を脅しに使った
  「わたしたちはいいんですよ。ただ若い者が黙ってはいませ
      んよ。何をするかわからんですな。」
    ◎ 陸軍が何をするか分からない恐怖

  終戦時  
    鈴木貫太郎首相 「かまわん 命を賭ける」

熱狂の時代に生きる



◇清張さんと昭和史  佐野洋 S3東京都生
  推理小説作家・松本清張の誕生

  飛行機のトリック

  GHQと官僚への執着
  公憤 ‥ 責任はノンキャリアに押しつけてキャリア組が好き
        放題

  戦前の日本 
   「天皇の軍隊」 → ×
   「天皇の官僚」 → 自分の省のための官僚   

 「砂の器」の衝撃  ハンセン病
 
 邪馬台国と戦後日本
森本六爾 → 「断碑」
   直良信夫 → 「石の骨」
◎歴史学に必要なのは → [推理能力 + 批判精神]



◇戦後60年が問いかけるもの  辻井喬 S2東京都生 堤清二
  マッカーサーへの感謝状

  戦後60年が問いかけるもの
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